251205_東北大知財セミナー(角渕、土本)

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December 06, 25

スライド概要

第60回 東北大学知財セミナー「生成AIを活用した侵害予防調査を含むビジネスに必要な特許調査・分析」のスライド資料です。
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第60回 東北大学知財セミナー 生成AIを活用した侵害予防調査を含む ビジネスに必要な特許調査・分析 2025年12月5日 弁理士法人レクシード・テック 弁理士・博士(理学)角渕 由英 博士(工学)土本 晃久 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 1

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自己紹介(角渕) <経歴> 2008年 日本学術振興会特別研究員(DC1)採用 2011年 株式会社技術トランスファーサービス 入社 登録調査機関部門 2014年 博士(理学) 東京大学 2016年 弁理士登録、秋山国際特許商標事務所 2017年 特許検索競技大会2017 最優秀賞・ゴールド認定(化学・医薬分野) 2018年 特定侵害訴訟代理業務付記登録 2019年 AIPE認定知的財産アナリスト(特許) 2023年 弁理士法人レクシード・テック 入所 社員弁理士 2025年 Qualified Patent Information Professional (QPIP ) 2025年 GUGA 生成AIパスポート 資格取得 弁理士法人レクシード・テック パートナー弁理士・博士(理学) <委員など> 2020年~ 特許検索競技大会実行委員会 副委員長(~2024年) 2021年度 特許庁IPAS事業 アソシエイトメンター 2022年~ 知財実務情報Lab.®専門家チーム 2022年~ 知財塾 侵害予防調査ゼミ、検索式作成ゼミ、検索式作成ゼミファシリテーター 2023年~ 経済産業庁九州経済産業局 チーム伴走型知財経営モデル支援・広報事業 支援チーム専門家(~2024年) 2024年~ 特許庁VC-IPAS事業 、スポットメンターおよびメンター(現任) 2025年~ 特許検索競技大会実行委員会 委員長(現任) つの ぶち よし ひで 角渕 由英 デジタル名刺 <著作(主なもの)> 「特許調査における弁理士の役割」(パテント, 2025.8) 「侵害予防調査についての一考察 」(パテント, 2024.2) 「第三者特許の無効資料調査の留意点」(知財管理,2023.9) 「特許調査における先行技術資料および無効資料の変化」(知財管理,2022.9) 「改訂版 侵害予防調査と無効資料調査のノウハウ~特許調査のセオリー~」 (経済産業調査会, 2022.6) 「弁理士のための特許調査の知識」(パテント, 2022.5) 「侵害予防調査と無効資料調査のノウハウ~特許調査のセオリー~」 (知財ぷりずむ 新春特別寄稿, 2020.1) 「プロダクト・バイ・プロセス・クレームにおける「不可能・非実際的事情」の主張・立証についての考察」(パテント, 2016.7) ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 2

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弁理士法人レクシード・テック(概要) 京都(四条烏丸):7名 ➢ 組織 ※2025年12月1日時点 東京(新丸ビル) 資格者: 弁護士・弁理士1名、弁理士6名 :8名 学 位: 博士5名、修士2名、学士2名 (医薬・バイオテクノロジー、化学が中心) 所員数: 15名(東京8名、京都7名) 弁護士法人レクシード 弁護士7名 グループ創業の地 姫路 大阪梅田 拠 点: 東京(新丸ビル)・京都(四条烏丸) 創 業: 2022年7月1日(4期目) 博多 https://lexceed.or.jp/ ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 3

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弁理士法人レクシード・テックの強み ➢ 技術系専門家の有機的な協働によってシナジーを発揮 ➢ 事業のあらゆるステージにおけるバックアップ 知的財産・法律 弁護士・弁理士1名、弁理士6名 高い技術力 特許調査・分析 特許検索競技大会 博士5名、修士2名、学士2名 (特に医薬・バイオ、化学) 最優秀賞 ワンストップサービス 出願・権利化、契約、鑑定、係争、 特許調査・分析、ベンチャー、国際業務 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 4

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本日の内容 ・講演1 「生成AIを活用した侵害予防調査を含むビジネスに必要な特許調査・分析」(15:00-16:30) 侵害予防調査は他者の特許権等を侵害していないかを調べる調査であり、ビジネスにとって非常に 重要であり、新規事業を行う際や、スタートアップにとっても不可欠な調査ですが、どのような観 点で何をどこまで調べればよいか難しい調査でもあります。 本講演では、侵害予防調査を中心に、ビジネスに必要な特許調査・分析について、生成AI活用も 踏まえ、初心者やスタートアップ関係の方々にもわかりやすく解説します。 【前半:角渕】 1.特許調査における生成AI活用の概要 2.AI時代の特許調査において人の果たす役割 3.侵害予防調査の概要 【後半:土本】 4.特許調査への生成AI活用の実際 5.ビジネス視点での生成AI特許分析 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 5

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2023年12月の東北大知財セミナー J-Platを用いた調査の基本について講演 資料:https://drive.google.com/file/d/1pw9iFwli3EFJbhfn_lQ8qt7Bk5wErlT/view?usp=sharing ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 6

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1.特許調査における生成AI活用の概要 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 7

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特許調査とは 「特許調査は手段であり、目的ではない」。 特許調査は、発明の新規性や進歩性を検討する先行技術調査、特許権の侵害リスクを見極める侵害予防調査、ビジネスの障害となる特許権や特 許出願を無効化できるかどうかの可能性を探る無効資料調査、さらには技術動向調査に至るまで、特許実務の基盤を支える重要な業務である。 しかしながら、特許調査はあくまでも手段であり、特許調査それ自体は目的ではないこと、特許調査のみで課題が解決する訳ではな く、調査結果および調査から得られる示唆に基づいて課題を解決し、目的を達成するためのアクションが必要であるという点を繰り返し強調し てきた。 そしていま、生成AIの急速な進歩により、手段としての特許調査の実行プロセスが大きく変わりつつある。これまで、特許調査の専門家が、 専門的な特許調査の知識を駆使して、専用のデータベースを活用するなどして、多くのコストを費やしてきた調査の準備、情報収集、スクリー ニング、分析といったタスクが、生成AIによって効率化されることで、「特許調査」の概念が大きく変わっていくことが予想される。 リサーチに関する書籍には、「リサーチとは何か?広義にとらえれば、問題の解決を目的として、問いに答えるために情報収集をすれば、その 行為はリサーチである。」と記載されている。特許調査も、これと同様に、「何らかの問題の解決を目的として、問いに答えるための 行為」であるといえるであろう。 課題を解決するための特許調査は、単に情報を収集、選別し、リストアップする作業ではなく、問いに答えるべく、必要な情報を的確に 探索して評価・分析することに他ならず、課題を解決するための具体的なアクションに繋げることが求められる。 繰り返しになるが、「特許調査は手段であり、目的ではない」。調査の依頼者が、真に求めていることは、ビジネスにおける優位性の構 築であったり、ビジネスにおけるリスクの把握・低減であったり、研究開発を効率的に進めるヒントであったり、係争を勝ち抜くことである。 この根底にある目的を意識することで、特許調査において、より的確に調査を設計して実行し、得られた情報を正しく評価することができる。 特許調査の背景にある解決すべき課題を強く意識し、答えるべき問いに答えることを追求する姿勢が求められる。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 8

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製品開発の流れと特許調査 市場 調査 企画 立案 技術動向調査 <主な調査の種類> 研究 開発 設計 侵害予防調査 製造 販売 特許出願 改良 侵害予防調査 出願前先行技術調査 ・技術動向調査 研究開発戦略や研究テーマの決定に際し、特定分野の動向を俯瞰的に分析 ・侵害予防調査 新製品を市場に投入する際に、第三者の特許権等を侵害しないか確認 ・出願前先行技術調査 特許出願前の段階で、既に類似した発明が出願されていないかを確認 ・無効資料調査 自社製品が他社の特許権等に抵触する場合や、自社の事業活動の障害となり得る他社の特許権を無効化するため の先行資料を探す ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 9

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生成AI活用の目的は? 1.効率化 これまでもできた事が 大幅に効率化、 クオリティもUP 2.すそ野拡大 これまでできなかった人ができるようになる 3.先鋭化 これまで基礎的なことができていた人が、 さらに上のレベルのこれまでスキル的にでき なかったことや、時間や労力の制限からでき なかったことができるようになる 角渕note 生成AI活用と一緒くたに言うけれど https://note.com/tsunobuchi/n/na516a02202ae ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 10

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生成AI活用におけるポイント~タスクへの細分化~ 特許調査に限らず、生成AI活用で大切なことは、 業務プロセスをタスクに細分化すること 「○○に関する特許調査をして下さい」と成果物を一気に得ようとするよりも、まずは調査の目 的を明確にし、下調べをして情報を収集し、予備検索を行うというように、人が行っているよう に、各タスクに生成AIを用いて、調査を段階的に実行することが質の高いアウトプットを生み出 すことに繋がります。 タスクに細分化して指示を出すことは、生成AIに限られるものではなく、人に対する指示でも大 切なことであり、新人を指導することが上手な人は、生成AIの活用が上手であると筆者は感じて います。 そのような観点から、基本的な業務を基本に忠実に実行することができるというスキル、基本的 な実務を言語化できるスキルが、より一層重要になっていくでしょう。 細分化と言うが実際にサーチャーがやっていることは単純ではない 暗黙知の形式知化 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 11

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特許調査の業務プロセス ステップ1:調査対象の特定 ポイントを 一言で (1-1)調査対象技術の特徴の把握 (1-2)調査対象技術のまとめ ステップ3:スクリーニング (3-1)関連特許の抽出 (3-2)関連特許の読み込み 段階的に スクリーニング ステップ2:検索式の作成 (2-1)調査対象技術の構成の特定 検索式の 組み立て (2-2)予備検索 (2-3)特許分類の特定 (2-4)キーワードの整理 (2-5)本検索式の作成 ステップ4:報告書の作成 (4-1)クレームチャートの作成 (4-2)調査報告書の作成 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 技術を理解 法的な判断 12

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機密情報の扱いについて ChatGPT利用規約:https://openai.com/policies/terms-of-use 入力するデータについて新規性の喪失の可 能性が問題となる ChatGPT APIなど、入力データがAIによる 学習に使われないことが利用規約にあるも のを使うなど、留意が必要 湯浅竜 日本弁理士会研修 「弁理士のための生成AI活用講座~進化する明細書作成術~ (群馬・集合)」 機密情報を取り扱う際に「新規性を喪失」しないための条件 ① 入力データが暗号化されていること ② 入力データがAIに再学習されないこと ③ 上記①②が利用規約などで担保されていること 参考:弁理士業務AI 利活用ガイドライン ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 13

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生成AIの時代に必要な特許調査スキル 特許調査における生成AI、サマリアの活用方法 【角渕由英 先生】 2024年11月 【サマリアウェビナー】 特許調査における生成AI活用の最前線 【角渕 由英 先生】 2025年10月 【サマリアウェビナー】 資料: 資料: https://drive.google.com/file/d/1OhrodpM6xwf3bCGs AmicEWguyiiRxAHj/view https://drive.google.com/file/d/1XrCf4zpyTlvjMYfSr EOAVQteSgXcX7O6/view ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 14

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生成AI関連の記事① 知財実務情報Lab.🄬の記事 調査を言語化して、プロンプトも作成、その過程・考え方も詳説 noteマガジン 特許調査における生成AI活用 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 15

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生成AI関連の記事② noteマガジン あくまでも無料の範囲であるが、 試行したものを公開 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 16

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生成AI関連の記事③ 特許実務における生成AI活用(まとめ記事④) 大切であるのは考え方 であるという原点は 変わらない 特許実務×生成AIプロンプト集 プロンプトそれ自体に大きな価値は 無く、使いこなせる、 評価できるスキルが今後活きる ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 17

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生成AI関連の記事④ https://note.com/tsunob uchi/n/ncfedae3684d7 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 18

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スライド集 自分の著作、セミナー資料・録音 →文章生成AIで言語化 →生成AIでスライド化 →自分の脳が整理、拡張される https://www.docswell.com/user/ytsunobuchi ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 19

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2.AI時代の特許調査において人の果たす役割 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 20

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AI時代における人間の役割 特許調査は手段であり、目的ではない。 特許調査は多岐にわたる知財活動を支える重要な業務であるが、特許調査それ自体は手段であり、 目的ではない。 生成AIの急速な進歩によって、従来は専門的な調査の知識が求められ、時間を要していた特許調 査が効率化される状況下、調査によって解決すべき課題を正しく見極め、問いを立てることが、 専門知識と経験を有する弁理士の重要な役割となっていくであろう。 本稿では、特許調査について概論を述べた上で、調査種別ごとに目的や私見を述べ、生成AIの時 代に弁理士が果たす役割に言及し、仮想的な事例を交えて論じる。 「新春特別寄稿 侵害予防調査と無効資料調査のノウハウ ~特許調査のセオリー~」 知財ぷりずむ 18 (208) 8-38 2020 「特許調査における弁理士の役割」 (パテント, 2025.8) ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 21

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AI時代における人間の役割 https://note.com/tsunobuchi/n /nd8ac73e9e841 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 22

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○○を知るには○○ではないものを知る必要がある 不正解 (ゴミ) ガイドのような何か 不正解 (ゴミ) 正解 (宝物) ガイド 正解 (宝物) ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 23

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非効率の効用 https://note.com/tsunobuchi/n/n3046d0598cf1 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 24

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泥臭い経験の価値 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 25

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人が果たす役割 前章で私見を交えて述べたように、特許調査は、単に情報を収集したり、抽出したりする作業ではなく、ビジネスにおける何ら かの課題を解決するための手段である。特許調査は手段であるが、ビジネスを行う際の様々な局面で必要な業務、重要な業務であるこ とに変わりはない。要求されるスキルや視点はサーチャーとは異なるかもしれないが、専門家である知財人材の調査への関与の仕方、技術 的並びに法律的な専門知識が、調査結果の質を左右するであろう。 特許調査の課題や目的が曖昧なまま調査が実行された場合、どれだけ多くの資料・情報を集めたとしても、結果をどう解釈し、どのような アクションにつなげるべきかが見えなくなってしまう。そのような状況に陥らないためにも、技術、法律、ビジネスを横断的に理解し、 特許調査の課題と目的を明確にし、解くべき問いを立て、調査の位置づけを的確に設計、調整できる専門家の介在が不可欠 である。 特許調査を単に行うのではなく、何のために特許調査を行うか、特許調査によって何を解決したいのか、解くべき問いを明らかにし、 特許調査の発揮する価値を高める-その役割を担うのが、技術と法律とビジネスを橋渡しする専門家である人であると筆者 は考える。 本章では、人の果たすべき役割について論じる。 手元に集まった情報が問いを解決するのに足るものであるのか否か、専門家たる知財人材が評価を行う。知財人材が評価をする際に、特許 文献に記載されている内容の評価、目的となる事項が記載されているかの判断、対象となる特許権との対比など、様々な場面で生成AIを 活用して、少なくとも部分的には生成AIを用いることで、検討を行うことが今後一般的になっていくであろう。 ここで、大切なことは、生成AIの出力である生成文をいかに読むかということである。入力したプロンプトによって生成 された出力である、「生成文」は、生成された文字列からなる文章に過ぎない。生成された文章を、どう読むのかは、読み手次 第で大きく異なるであろう。 経験やスキルを活かし、正しく、生成文を読んで理解をし、問いに未解決の部分があるかどうかを判断し、必要に応じて修正を加えたり、 タスクを再度回したりことで問いを解決する、といったことが専門家である知財人材に求められていくと筆者は感じている。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 26

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3.侵害予防調査の概要 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 27

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侵害予防調査とは 侵害予防調査とは、ある製品やサービスについて、関連する第三者の特許出願、特許権(以下、「特許権等」ともいう)を侵害するおそれがあるか否か を調べる調査である。 侵害予防調査の目的は、ある製品等の実施に際し、第三者の特許権等についてのリスクを事前に評価することにより、ビジネス上のリスクを最小限に抑 え、ビジネスにおける自由度を確認することである。 侵害予防調査の真の目的は、ある製品等に関連するビジネスを行う上で、障害となり得る特許権等を把握することで、当該特許権等に対する何らかのア クション、具体的には、侵害検討、設計変更の検討、無効化、ライセンス交渉等を検討、実行することで、ビジネスにおけるリスクを最小化することに ある。 また、広義には、侵害予防調査と同一視される、FTO(Freedom To Operation(自由実施))調査を行うことで、ビジネスを行 う際に、どの範囲であれば自由実施技術の範囲でビジネスを行うことができ、他社の特許権を侵害する可能性が低いのか把握することも、侵害予防調査 の目的の1つともいえる。 そのような観点からすると、ある製品等において、どのような観点、着眼点で他者が特許出願をして、権利化をしているのか、そして、存在し得る特許 権等はどのような権利範囲のものであるか、ビジネスにおける重要性が高いものを優先して想定することが重要であると筆者は考える。 想定していない観点については、侵害予防調査における検索式などの入力に反映することが原則としてできないし、たまたま当該観点に関する特許権等 を抽出できたとしても、それ以外の特許権等が存在するかしないかは、何ら担保されるものではない。 そして、侵害予防調査は、リスクとなり得る特許権等を見つけるだけでは、真の目的を達成できたとは言えない。 侵害予防調査では、単なる特許文献の抽出と評価に留まらず、特許請求の範囲に記載された発明の認定、クレーム解釈、対象となる製品やサービスとの 対比、当該特許権等の有効性の評価、回避策の検討など、法的知見に基づいた高度な検討スキルが求められる。 つまり、侵害予防調査をする際には、先行技術調査と同様、ある製品等についてどのような発明があるのか検討し、存在し得る特許権等を想定して、何 を探すのか、ある製品等が含まれ得る発明を、いかに言語化をするかという点が非常に重要であると言える。 ここでも、「発明の言語化」という知財人材が普段から何気なく行っているタスクが非常に重要な役割を果たすと筆者は考えている。 そして、生成AIを活用することで、特許権等の抽出、評価が効率化され、調査対象の製品等が、検討対象の特許権等に係る発明の技術的範囲に属する か否か、判断をすることに、人は、より一層注力することができるようになっていくであろう。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 28

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特許権の侵害とは ① 差止請求権 (特許法100条) 1 特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は 侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。 2 特許権者又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物 (物を生産する方法の特許発明にあつては、侵害の行為により生じた物を含む。 第百二条第一項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却 その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。 ② 不法行為による損害賠償 (民法709条) 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、 これによって生じた損害を賠償する責任を負う。 ③ 特許権の効力 (特許法68条) 特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。 ただし、その特許権について専用実施権を設定したときは、 専用実施権者がその特許発明の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 29

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特許発明の実施、権利範囲とは? ④ 実施行為 (特許法2条3項各号) この法律で発明について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。 一 物の発明:物の生産、使用、譲渡等、輸出、輸入、譲渡等の申出 二 方法の発明:その方法の使用 三 物を生産する方法の発明:その方法により生産した物の使用、 譲渡等、輸出、輸入、譲渡等の申出 ⑤ 発明の技術的範囲 (特許法70条第1項) 1 特許発明の技術的範囲:特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。 ⑥ 用語の解釈技術的範囲 (特許法70条第2項、第3項) 2 前項の場合においては、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮して、 特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとする。 3 前二項の場合においては、願書に添付した要約書の記載を考慮してはならない。 ※特許出願に係る発明の要旨認定(リパーゼ最高裁判決)vs. 特許発明の技術的範囲の確定 裁判所におけるクレームの文言解釈に関する考察、知財管理、Vol.69、No.3、p.354-367 (2019) ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 30

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技術的範囲の属否に関する判断手法 オールエレメントルール(権利一体の原則) 全ての構成要件(エレメント)の充足・非充足をもって侵害の成否を判断 ① 請求項を各構成要素A~Cに分節 ② 対象製品や方法(イ号)から構成要件A~Cに対応する要素a1~c1を抽出 ③ 各構成要件を対比、Aとa1、Bとb1、Cとc1 ④ 全て一致する場合、特許発明の技術的範囲に属すると判断され、文言侵害となる ⑤ 相違点がある場合、均等論にも注意する 構成 ① 特許権 請求項1 要件 ② 実施品1 (イ号) ③ 対比 実施品2 A 構成Aと、 構成a1と、 A=a1○ A=a2○ B 構成Bと、 構成b1と、 B=b1○ B≠b2× C を備えるC装置 を備えるc1装置 C=c1○ C=c2○ - - - ④ 文言侵害 非侵害 ⑤ 参考:角渕由英、改訂版 侵害予防調査と無効資料調査のノウハウ、111~121頁 参考:知財実務情報Lab.「特許権侵害の判断方法」 参考:知財実務情報Lab.「オールエレメントルールの具体例」 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 31

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オールエレメントルールの実際 C:滑止め A:本体 D:食事道具 B:溝部 特許権 特許請求の範囲 A+B+C+D 実施品1 A+B+C+D 侵害 実施品2 A +C+D 非侵害 実施品3 A+B +D 非侵害 実施品4 A+B+C+D+E 侵害 実施品5 A+B +D+E 非侵害 A:長尺状の本体と、 B:前記本体の先端部に設けられた溝部と、 C:前記本体の後端部に設けられた滑り止めと、を備えた D:食事道具。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 32

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よくある勘違い 構成 要件 特許権 (先願) 自社特許権 (後願) A 構成Aと、 構成A1と、 ○ ○ B 構成Bと、 構成B1と、 ○ △(均等) C を備えるC装置 を備えるC装置であって、 ○ ○ - - 構成D1をさらに備える 構成D1 - 実施品2 ・自社特許権があるから大丈夫? →利用発明(侵害) 均等 特許権 自社特許 実施品 実施品 2 1 実施品1 ・実施品1 構成D1があるから大丈夫? →構成A~Cをすべて充足(侵害) ・実施品2 構成Bが異なるから大丈夫? →均等侵害の可能性 構成要件が増加=権利範囲は狭くなる ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 33

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クレームチャート 特許請求の範囲(=クレーム)の表(=チャート)、専門家との共通言語 構成 要件 特許発明 対象製品 請求項1 (イ号) 対比 コメント A B C D E F ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 34

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クレームチャート(対比表)の作り方(プロンプト付) 以下に示す特許請求項の文言をそのままコピー&ペーストし ますので、クレームチャートを作成してください。 【要望】 1. 請求項の文言を改変せず、一言一句正確に保持してくださ い。 2. クレームを意味段落ごとに分割し、それぞれを「クレーム 要件」として表の行に配置してください。 3. 表の列は、下記の4列構成で作成してください(見出しを そのまま使用してください): - 「クレーム要件(原文そのまま)」 - 「対応する製品/先行技術文献の該当箇所」 - 「対応の有無(該当・一部該当・非該当)」 - 「備考・解説」 4. 各クレーム要件に対して、対応する製品や先行技術を仮に 検討している場合でも、まだ情報がなければ「未確認」や 「検討中」などとして表記してください。すでに情報がある 場合は具体的に書いてください。 5. 請求項の文言は必ず表内の1列目に完全一致で貼り付けて ください。誤字・脱字・言い換えはせず、そのまま取り込ん でください。 それでは以下に請求項を入力します。表を作成して結果を出 力してください。 ---- ここから請求項貼り付け ---(ここに請求項を貼り付けてください) ---- ここまで請求項貼り付け ---作成をお願いします。 https://note.com/tsunobuchi/n/n19e7d0a63df6 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 35

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それって生成AIにやらせていいの? 例えば、侵害予防調査を生成AIでやってもよいのか? 生成AIと侵害予防調査の母集団 様々な法的論点、 責任の所在を考慮して 生成AIを活用する必要 ↓ 最終的には、専門家による調査、 見解が必要不可欠 特に侵害予防調査は何を(観点)、 どこまで(網羅性)調査したか、 調査範囲と検索式が重要 ↓ 全てを専門家に依頼することは、 現実的ではない ↓ 酒井美里さんnote:https://note.com/sakaimisato ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 初期的な特許調査を、 生成AIを用いて、侵害予防 の観点も含め実行する 36

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侵害予防調査における公報の読み方 侵害予防調査:権利書面として公報を“読む” 目的 障害となる 権利の把握 対象 請求の範囲 +明細書・図面 特許請求の範囲の 用語の意義解釈 ↓ 明細書の記載 及び図面を考慮 出典:2020年度 知的財産権制度入門テキスト https://www.jpo.go.jp/news/shinchaku/event/seminer/text/2020_nyumon.html ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 「Udemy講座よくわかる特許の読み方講座」 (2024.3) 37

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段階的なスクリーニング 1次スクリーニング ノイズ除去 スクリーニング=情報の篩掛け 篩目の粗さを徐々に細かくする 例:1000件→200件→30件→10件 2次スクリーニング 関連公報ピックアップ 種 別 Why (目的) What (対象) 1次 ノイズ除去 名称、請求 要約、図面 ~1分/件 2次 関連公報 ピックアップ 公報全体 ~10分/件 3次 精読 報告書作成 公報全体 ~完成まで 3次スクリーニング 精読 No 課題解決 Yes How much (どの程度) 1次or2次スクリーニング完了の段階 →ダブルチェック(社内、依頼者間) 作業履歴を残しておく 特に侵害予防調査で重要 終了 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 38

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調査の過程~スクリーニング~ スクリーンニング対象(スタート) 1000件 100件 人間はなぜ 絞り込みを できているか? 各ステップで 何をしている? 10件 各ステップの 基準は? 報告する特許(ゴール) ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 39

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生成AIを用いたスクリーニング スクリーンニング対象(スタート) ★単に泥にまみれるのはなく、 方向性を持ってもがく 一見 非効率な ここが 超重要 1000件 “読む”ことのレベル感 関係ある、関係ない ガイド どのような観点があるか知る 観点が記載されている、 記載されていない 100件 人間は 各ステップで 何らかの基準に基づいて 絞り込んでいる 基準は最初からある? 製品、先行技術との対比 10件 途中の作業の重要性 報告する特許(ゴール) ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 最後のステップは 生成AIにやらせる 必要があるか? ※判断の重要性 40

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生成AIを用いたスクリーニング 基準となる ガイドを 形成する ノイズ判定 ・ノイズ ・ノイズではない ・ ・観点A ・ ・ ・観点A1 ・ ・ ・ ・観点a1-1 ・ ・ ・ ・観点a1-2 ・ ・ ・観点A2 ・ ・観点B ・ ・ ・観点B1 ・ ・ ・ ・観点b1-1 ・ ・ ・ ・観点b1-2 ・ ・ ・ ・観点b1-3 ・ ・ ・ ・観点b1-4 ・ ・ ・観点B2 ・ ・観点C ・ ・ ・観点C1 ・ ・ ・観点C2 ・ ・ ・観点C3 ・ ・ ・観点C4 ・ ・観点D ・ ・ ・観点D1 ・ ・ ・ ・観点d1-1 ・ ・ ・ ・観点d1-2 ・ ・ ・ ・観点d1-3 ・ ・ ・観点D2 ・ ・ ・ ・観点d2-1 ・ ・ ・ ・観点d2-2 ・ ・ ・ ・観点d2-3 ・ ・ ・観点D3 スクリーンニング対象(スタート) ノイズ判定 ・ノイズ ・ノイズではない ・ ・観点A ・ ・ ・観点A1 ・ ・ ・観点A2 ・ ・観点B ・ ・ ・観点B1 ・ ・ ・観点B2 ・ ・観点C ・ ・観点D ガイド 報告する特許(ゴール) ・ ・ ・観点A1 ・ ・ ・ ・観点a1-1 ・ ・ ・ ・観点a1-2 ・ ・ ・観点A2 ・ ・ ・観点B1 ・ ・ ・ ・観点b1-1 ・ ・ ・ ・観点b1-2 ・ ・ ・ ・観点b1-3 ・ ・ ・ ・観点b1-4 ・ ・ ・観点B2 ・ ・ ・観点C1 ・ ・ ・観点C2 ・ ・ ・観点C3 ・ ・ ・観点C4 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. ・ ・ ・観点D1 ・ ・ ・ ・観点d1-1 ・ ・ ・ ・観点d1-2 ・ ・ ・ ・観点d1-3 ・ ・ ・観点D2 ・ ・ ・ ・観点d2-1 ・ ・ ・ ・観点d2-2 ・ ・ ・ ・観点d2-3 ・ ・ ・観点D3 41

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暗黙知の形式知化 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 42

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知財実務情報Lab.🄬の記事 https://chizai-jjlab.com/category/%e8%a7%92%e6%b8 %95-%e7%94%b1%e8%8b%b1/page/3/ ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 43

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侵害予防調査×プロンプト 特許実務×生成AIプロンプト集 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 44

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参考文献 (1)静野健一、特許調査、特に権利調査における現状と課題、 情報の科学と技術、Vol.65、No.7、p.284-289(2015) (2)鈴木利之、効率的で漏れのない特許調査(後編)、知財管理、Vol.60、No.2、p.303-308(2010) (3)野崎篤志、特許情報調査と検索テクニック入門 改訂版、8-13 頁、一般社団法人 発明推進協会(2019) (4)酒井美里、特許調査入門 第三版 サーチャーが教えるJ-PlatPat ガイド、 20-23 頁、一般社団法人 発明推進協会(2020) (5)角渕由英、改訂版 侵害予防調査と無効資料調査のノウハウ、14-19 頁、一般社団法人 経済産業調査会(2022) (6)情報科学技術協会 試験実施委員会、先行技術調査と権利侵害調査、 情報の科学と技術、Vol.66、No.8、p.427-429(2016) (7)潮見坂綜合法律事務所、桜坂法律事務所、初心者のための特許クレームの解釈、21-32 頁、日本加除出版(2020) (8)酒井美里、知財部員のための侵害予防調査―検索着手前に考慮すべき点と検索式作成のテクニック―、 知財管理、Vol.65、No.2、p.266-271(2015) (9)北川道成、化学分野における特許調査の現状と課題、情報の科学と技術、Vol.65、No.7、p.296-301(2015) (10)野崎篤志、弁理士が知っておきたい国内外特許情報調査の基礎知識、 パテント、Vol.67、No.1、p.31-42(2014) (11)成松大志、特許検索における実務上の留意点、知財管理、Vol.71、No.6、p.859-865(2021) (12)小島浩嗣、技術者・研究者のための特許検索データベース活用術[第2 版]、 角渕由英 116-132 頁、秀和システム(2022) (13)角渕由英、弁理士のための特許調査の知識、パテント、Vol.75、No.5、p.3-15(2022) 「侵害予防調査についての一考察」 (14)東智朗、尼崎浩史、できるサーチャーになるための特許調査の知識と活用ノウハウ、 (パテント, 2024.2) 191-197 頁、オーム社(2015) (15)情報検索委員会 第1 小委員会、クリアランス調査におけるスクリーニングの研究、 知財管理、Vol.65、No.9、p.1270-1279(2015) noteまとめ記事 (16)梶田邦之、クレームチャートを作成するための留意事項について、 侵害予防調査(まとめ記事②) 知財管理、Vol.69、No.6、p.849-854(2019)

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4.特許調査への生成AI活用の実際 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 46

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自己紹介(土本) つち もと あき ひさ 土本 晃久 弁理士法人レクシード・テック 特許技術者・博士(工学) <経歴> 2013年3月 私立 東海高等学校 卒業 2018年3月 東京大学工学部化学システム工学科 卒業 2020年4月 日本学術振興会特別研究員(DC1) 採用 2023年3月 東京大学大学院工学系研究科化学システム工学専攻 博士課程 卒業 2023年4月 ANRI株式会社 入社 スタートアップ投資検討において知財DD 2025年5月 弁理士法人レクシード・テック 入所 2025年~ 特許庁VC-IPAS事業 ビジネスメンター <学術論文> ・Machine Learning-based Comprehensive Survey on Lithium-rich Cathode Materials. Tsuchimoto, A., Okubo, M. & Yamada, A. , Electrochemistry 91, 037007–037007 (2023). ・Nonpolarizing oxygen-redox capacity without O-O dimerization in Na2Mn3O7. Tsuchimoto, A., Shi, X. M., Kawai, K., de Boisse, B. M., ... & Yamada, A., Nature Communications, 12(1), 1-7. (2021) ・Highly Reversible Oxygen-Redox Chemistry at 4.1 V in Na4/7−x[□1/7Mn6/7]O2 (□:Mn Vacancy). Mortemard de Boisse, B., Nishimura, S., Watanabe, E., Lander, L., Tsuchimoto, A., ... & Yamada, A., Adv. Energy Mater., Wiley-VCH, 8 (20), 1800409, (2018) ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 47

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はじめに:生成AIの進化と活用の広がり 2022年11月 2023年3月 2025年4月 ChatGPT公開 医師国家試験合格水準[1] 東大理科三類合格水準[2] GPT-3.5 GPT-4 GPT-o1 2023 2024 2023年秋~ 2日で3,500件、短期間で ソフトバンク大量出願 合計1万件の出願[3] 2025 2025年4月 日本弁理士会ガイドライン発表[4] ・タスクによっては人間と同等以上の水準を既に達成。 ・知財分野への活用も進む。 [1]MICIN社リリース https://micin.jp/news/10073/ [2] 【東大理3合格】ChatGPT o1とDeepSeek R1に2025年度東大受験を解かせた結果と答案分析【採点協力:河合塾】https://note.com/lifeprompt/n/n0078de2ef36b [3]日経クロステックhttps://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/03093/040200003/ [4]日本弁理士会 https://www.jpaa.or.jp/cms/wp-content/uploads/2025/04/AIservices-guideline.pdf ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 48

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生成AIの特許関連業務へのインパクト 調査 特許調査時間を80%削減(三井化学の事例[1]) 発明届出 発明届出業務が50%以上削減、2,000時間以上の効果 (島津製作所の事例[2]) OA対応 OA対応期間が34%削減(MIXIの事例[3]) ・大手企業の知財部を中心に本格的な導入事例が増加。 ・幅広い業務で大幅な削減が達成されている。 [1]三井化学、生成AIを活用した特許チャットを開発(三井化学)https://jp.mitsuichemicals.com/jp/release/2024/2024_1225/index.htm [2]島津知財における生成AIプロンプトドリブン改革【阿久津 好二 先生】【サマリアウェビナー】https://www.youtube.com/live/mfg7m9-K87Q?si=lBanJ6FTpevlO0wB [3]生成AIにより進化した企業知財の最前線【栗山 幸介 先生】【サマリアウェビナー】https://www.youtube.com/live/L65EENTdQxw?si=4M3mxkogmGfe8zxx ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 49

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生成AI(大規模言語モデル:LLM)の基本動作 [1] 繰り返し 【例文】 入力 今日は雨が トークン化 今日|は|雨|が 埋め込み (ベクトル化) 文脈理解& 確率的生成 降って 降り 強い (各トークンを数千次元に展開) 今日|は|雨|が|降って 止ま 心配 予想 ・ ・ ・ ①続くトークン候補から (重み付け有り) ②確率的にサンプリング ・入力文章からの単語類推 → ハルシネーション(幻覚、誤り)が起こる可能性 ・入力文章(プロンプト)の工夫が重要 [1]生成AIのプロンプトエンジニアリング(James Phoenix、オライリー・ジャパン、2025)等を参考に作成 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 50

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より良いアウトプットを得るためのプロンプトの基本原則 例)MOFに関する技術調査 方向性・役割の提示 「MOFの特許を調べて。」 「あなたはプロの特許サーチャーです。 以下のステップでMOFの特許を調べてください。 ツールの指定 ①Google Patentsを用いて30件をリストアップし、出 願年と出願人、国際出願の有無、ステータスを調べてく ださい。 タスクの分解 ②最も出願が多い出願人を特定し、 その出願人の特許の中で、国際出願が有り、登録済みの もので、できるだけ最近のものについて、内容を要約し てください。 出力形式の指定 ③また、課題と解決方法を一覧表にしてください。」 ・可能な限り要件を分解することで、精度の向上が期待される。 ・実務のフローを言語化・構造化し、プロンプトに反映することが重要。 [1]生成AIのプロンプトエンジニアリング(James Phoenix、オライリー・ジャパン、2025)等を参考に作成 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 51

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生成AIを使用する上での心構え 1.回答が正しいとは限らない ・原理的に、AIは正誤を判定しているわけではない。 2.要所は必ず人が確認 ・ソース元との整合性を要確認。 3.一発で理想的なアウトプットは得られない ・実行→確認→プロンプト改善のサイクル。 4.プロンプト改善の過程で、実務のポイントを言語化していく ・出力確認ステップでの違和感=まだプロンプト化されていないノウハウ。 5.機密情報の取扱いには注意 ・公開情報ベースの範囲でまずは使ってみる。 ・機密情報を用いる場合は各サービスの規約を確認。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 52

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調査に適した生成AIツール 安定した動作、高い汎用性、高性能。有料プランでは推論型モデルや DeepResearch機能を多く使用でき、できることの幅が広がる。 Googleの提供するAIサービス。有料プランではGoogle Spreadsheetとの 連携機能が使用可能になり、表データ処理との相性が良い。 Geminiと同じくGoogleの提供するAIサービス。特定の情報ソースのみに 準拠して回答させることができ、文献の読み込みに便利。 文書作成やコーディング に定評。 Web情報に強く、特許検 索機能もリリースされた。 ・ChatGPTがバランスが良く使いやすい。 ・同じプロンプトの出力結果を比較して、ベストなものを選んでも良い。 ・特許特化サービスもあるが、まずは学習コストが低い上記汎用AIサービスがおすすめ。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 53

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特許調査(例:侵害予防調査)の流れ と生成AIの役割 [1] パターン1:工数的負担が大きいプロセス →プロセス自体を代替できると恩恵が大きい 調査対象の 明確化 予備検索 分類とキー ワードの選定 スクリーニ ング 対比検討 (検索式作成) パターン2:工数的負担は小さいが、調査の質を左右するプロセス。 →AIは補助的に利用。ノウハウをプロンプトとして取り込み、短時間で人の作業を補完する。 ・全体の工数削減においては、スクリーニングの代替が効果的。 ・検索や対比検討は、人と生成AIの連携による補完・効率化を目指す。 ・調査プロでなくても簡易的に調査を実行することで、専門家との連携を円滑にする。 [1]侵害予防調査についての一考察(角渕 由英、パテント2024) ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 54

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予備検索→検索式作成でのポイント ポイント: 1. 探したいテーマを技術要素に分解する 2. 技術要素から予備検索を行う 3. 予備検索で得た文献から、キーワードや分類を拡充する 4. データベースで実際に検索しながら、最終調整 ・1-3. 予備検索→検索式作成をプロンプト化して補助。4. DB検索は人が行う。 ・文献の簡易的な検索は可能か? →可能。最近の高精度なモデルは、存在しない文献を誤って持ってくることは稀。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 55

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仮想テーマ:MOF(Metal-Organic Framework, 金属有機構造体) MOFの構造[1][2] 【MOFの特徴】 ・金属イオンと有機分子が組み合わさった 化合物で、多様な組合せと構造を持つ。 ・多くの細孔を持ち、非常に大きな表面積 を持つ。 ・二酸化炭素など、特定のガス分子を選択 的に吸着する性質を持つ。 [1] Jian-Bin Lin et al. , Science374,1464-1469(2021). [2] Visualized with VESTA. K. Momma & F. Izumi, J. Appl. Crystallogr. 44, 1272–1276 (2011). ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 56

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予備検索→検索式の作成でのプロンプト例 プロンプトの例 プロンプトを使用した実行例(ChatGPT 5.1) あなたはプロの特許サーチャーです。 以下のテーマに関する特許を、以下のステップで調べたいです。 テーマ:二酸化炭素や排ガスの処理、吸着に用いるMOF 1. まず、テーマを技術要素に分解し、アルファベットを振ってく ださい。テーマで言及していない要素まで広げる必要はありませ ん。 例)急速充電が可能な、固体電解質を備える蓄電池 → A. 蓄電池 B. 急速充電 C.固体電解質 2. このテーマに関する日本語の特許を5つ調べて、各技術要素が、 特許の中でどのように表現されているか、調べてください。 例)文献XXX A.蓄電池 表現の例:バッテリー、二次電池 3. ここまでを踏まえて、このテーマに関する特許を検索するため の日本語のキーワードと特許分類(IPCとFI)を提案してください。 一覧表の形式で出力してください。 列:技術要素|検索式用キーワード|検索式用IPC|検索式用FI → 今回は簡易的に下記条件で母集団作成。 (MOF or 金属有機構造体 or 多孔性配位高分子)/請求の範囲 × (二酸化炭素 or CO2)/全文 (登録あり、存続中) ・調査対象テーマから、各技術要素に対応するキーワードと分類を得ることが出来た。 実行リンク: https://chatgpt.com/share/691c3f01-0eb0-8009-b009-24fcef96b19a ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 57

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特許調査の検索式の作り方(プロンプト付) https://note.com/tsunobuchi/n/ne332b05845bb ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 58

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スクリーニングでのポイント ポイント: 100~1,000件 1.1次スクリーニング ・文献を読みながら、文献のパターンを把握する。 ・そのうち、明らかなノイズを落とす。 1次 50~100件 2次 2.2次スクリーニング:関連度が高いものを抽出する 10~20件 ・J-PlatPat等で要約を含む特許リスト(.csvなど)を出力 ・スクリーニング工程自体を置換するフローの構築を目指す ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 59

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スクリーニングでのポイント ポイント: 100~1,000件 1.1次スクリーニング ・文献を読みながら、文献のパターンを把握する。 ・そのうち、明らかなノイズを落とす。 1次 50~100件 2次 2.2次スクリーニング:関連度が高いものを抽出する 10~20件 ・文献を流し読みしながら、どのような分類の文献が存在するのか、 どの分類を優先的に見るべきなのかを把握(用途分野、物 or 製造方法、etc.) ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 60

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1次スクリーニング(分類作成)でのプロンプト例 プロンプトの例 プロンプトを使用した実行例(ChatGPT 5.1) 1. 添付したcsvから、特許技術の分類を10個以内で作成してくだ さい。アルファベットを振ってください。 2. 下記のテーマについて特許調査を行いたいです。1.で作成した 分類は、 (1)明らかにノイズとなる (2)関連度は低いが、ノイズとは言い切れない (3)関連度が高い どれにあたりますか? 3.ここまでの内容を一覧表にしてください。 列:技術分類|ノイズ評価 (1)or(2)or(3)|ノイズ評価の理由 テーマ:二酸化炭素や排ガスの処理、吸着に用いるMOF ・リスト全体に目を通し、分類を作成。 ・更に、テーマに対して明らかにノイズとなる分類を特定。 実行リンク: https://chatgpt.com/share/691c3f01-0eb0-8009-b009-24fcef96b19a ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 61

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スクリーニングでのポイント ポイント: 100~1,000件 1.1次スクリーニング ・文献を読みながら、文献のパターンを把握する。 ・そのうち、明らかなノイズを落とす。 1次 50~100件 2次 2.2次スクリーニング:関連度が高いものを抽出する 10~20件 ・作成した分類に基づき、まずは明らかなノイズを落とす目的で分類付与。 ・踏み込んだ検討が必要なものは、一旦全て残す。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 62

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1次スクリーニング(分類割り振り)でのプロンプト例 プロンプトの例 プロンプトを使用した実行例(Gemini in Google Spreadsheet) あなたはプロの特許サーチャーです。 特許の要約を読み、以下の分類の中から、最も良く当て はまるものを答えてください。 回答はアルファベット1文字で。 A:MOF の材料設計・合成 B:MOF の成形体・複合体 C:ガス吸着・貯蔵(一般ガス) D:CO₂ 吸着・分離を目的とする MOF E:排ガス処理(NOx/SOx 含む)触媒用途 F:発光・光応答・電気化学特性 G:電池・エネルギーデバイス用途 H:生体適合性・医療用途(ドラッグデリバリー含む) I:センサー用途(検出・応答材料) J:MOF 非関連(医薬・ポリマー等) プロンプト 読み取り範囲 判定結果 =gemini(プロンプト、読み取り範囲 )) ・作成した分類を付与。AI関数による一括処理で、約1分/100件程度の短時間で可能。 ・明らかなノイズの分類のみを落とし、2次スクリーニングへ。(例では160件→60件) ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 63

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スクリーニングでのポイント ポイント: 100~1,000件 1.1次スクリーニング ・文献を読みながら、文献のパターンを把握する。 ・そのうち、明らかなノイズを落とす。 1次 50~100件 2次 2.2次スクリーニング:関連度が高いものを抽出する 10~20件 ・1次スクリーニングを経たものに対し、請求項の記載も含めて詳細検討。 ・関連度を段階的に評価。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 64

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2次スクリーニングでのプロンプト例 プロンプトの例 プロンプトを使用した実行例(ChatGPT 5.1) テーマ:二酸化炭素や排ガスの処理、吸着に用いるMOF あなたはプロの特許サーチャーです。 特許調査を行います。上記テーマと、以下に記載する特許文献の 要約および請求項との関連性を3段階で評価してください。 1. 強い関連性(テーマのど真ん中。優先的に検討すべき。) 2. 弱い関連性(やや方向性が異なるが、技術的に被る可能性があ る。要検討。) 3. 関連性なし(検討の必要がない) また、判定の根拠をを教えて。 表形式でアウトプットして。 列:文献番号|関連性評価|判定根拠 ( 10~20文献分の文献番号、要約、独立請求項をコピー& ペースト) ・要約+独立請求項の記載から、3段階で関連度を評価。所要時間は1分~数分。 ・評価理由を併記させることで、誤った基準で見落としが発生することを防止。 実行リンク: https://chatgpt.com/share/691d241d-43dc-8009-a757-b7e0394c2f26 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 65

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対比検討でのポイント ポイント: 1.請求項を分解し、クレームチャートを作成する。 2.各技術要素について、目的に沿って詳細検討する。 ・目的:侵害予防調査、先行技術調査、無効資料調査 ・目的によって評価観点は異なる ・クレームチャートの作成を自動化。 ・詳細検討の土台として、初期的な評価コメントの提案を行う。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 66

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クレームチャート作成でのプロンプト例 プロンプトの例 プロンプトを使用した実行例(ChatGPT 5.1) あなたはプロの特許サーチャーです。 以下の請求項を、技術要素に分解して、クレームチャートにして ください。 技術要素にはアルファベットを振ってください。 作成後に、請求項の要素に漏れが無いことを確認してください。 クレーム文言は必ず原文準拠であることを確認してください。 アウトプット形式は下記の表形式にしてください。 列:要素記号(アルファベット)| クレーム文言(原文の抜粋) (対象とする 請求項をペースト) ・自動的に技術的要素に分解し、クレームチャートを作成。 実行リンク: https://chatgpt.com/share/691d2d3a-ea28-8009-aed7-6ae5e012ec50 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 67

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詳細検討でのプロンプト例 プロンプトの例 プロンプトを使用した実行例(ChatGPT 5.1) (続けて実行) 上記のクレームチャートについて、詳細検討をしたいです。 各技術要素について、特殊性を評価してください。 1.一般的な記載(前提となる記載、技術常識) 2.やや特殊な技術的特徴(目安:過去10年以内に知られるように なった技術的特徴) 3.発明のコアと想定される技術的特徴 また、各技術要素について、下記テーマに関する発明を出願するにあ たって、回避する難易度を評価して。 テーマ:二酸化炭素や排ガスの処理、吸着に用いるMOF 易.使用する必要がない、または豊富な代替方法が存在し、用意に回 避可能。 中.代替方法が存在するが、性能が著しく低下するなどのトレードオ フが生じる可能性がある。 難.回避が難しく、基本的に充足する。前提となる要素。 そのように判断した理由も簡潔に教えて。 出力は下記の表形式として。 列:要素記号(アルファベット)| クレーム文言(原文の抜粋) | 特殊性 評価 | 回避難易度 | 回避難易度の判定理由 ・技術要素の特殊性を評価。優先的に注目すべき技術的特徴を把握。 ・侵害予防の詳細検討の土台として、回避難易度を判定。ロジックも記載。 実行リンク: https://chatgpt.com/share/691d2d3a-ea28-8009-aed7-6ae5e012ec50 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 68

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特許調査への生成AI活用まとめ 1.調査フローを分解した上で、AIと人との適切な役割分担を検討した。 2.各プロセスを更に個別タスクへ分解し、実務でのポイントを言語化、整理した。 3.プロンプトの一例と結果を示した。特にスクリーニングでは、1分~数分のプロ セスを数回繰り返すだけで、優先的に検討すべき文献を抽出した。 4.プロンプトはあくまで一例であり、調査対象や目的によって、理想的なプロンプ トの姿は異なる。アウトプットの評価→改善が重要。 5.簡易的な調査を効率化することで、本格的な調査へスムーズな橋渡しができるの ではないか。 調査対象の 明確化 予備検索 分類とキー ワードの選定 スクリーニ ング 対比検討 ・----- ・----- ・----- ・----- ・----- ・----- ・----- ・----- ・----- ・----- ・----- ・----- ・----- ・----- ・----- ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 69

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5.ビジネス視点での生成AI特許分析 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 70

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特許の価値とは ミッション 組織の優先領域 組織能力 事業ポートフォリオ 技術とニーズの適合 技術の独自性と優位性 技術の成熟度と実現性 拡張性 志向性 技術基盤 市場機会 市場規模と成長性 顧客課題の把握 競争環境と勝ち筋 商流と収益性 特許による保護の対象 保護する価値の高い領域 ・特許の価値は事業の価値に紐づいている。 ・特許調査や出願戦略について、価値の高い事業領域から逆算することが重要。 参考: ビジョナリー・カンパニー2(原題:Good to great、Jim Collins、2001) The Strategist’s Toolkit(Jared D. Harris & Michael A. Lenox、2013)“The strategist’s challenge is to balance the intersection between three critical factors: values, opportunities, and capabilities.” ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 71

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参考:事業戦略における検討項目の例 A-1. ミッション 会社/組織のミッション・ビジョン 期待される役割 A-2. 組織の優先領域 B-1. 技術とニーズの適合 強みの技術が価値に直結するか 技術の適用範囲 ニーズを満たすために欠けている技術は何か 中期経営計画 リソース配分 A-3. 組織能力 営業チャネル・ブランドとの整合 実行力のある体制 B-2. 技術の独自性と優位性 技術的ブレークスルーはあるか 比較優位性の把握 他者が追いつけない仮説(リソース、知財) A-4. 事業ポートフォリオ 既存事業との補完・シナジー リスク分散 B-3. 技術の成熟度と実現性 技術成熟度は十分か 量産の見通し コスト構造 C-1. 市場規模と成長性 十分なTAM、成長性 適切な参入タイミング C-2. 顧客課題の把握 Painの明確化 課題の大きさと頻度の評価 C-3. 競争環境と勝ち筋 現状の競合と代替手段の把握 参入障壁 B-4. 拡張性 将来的な環境のアップデートへの対応 求められる性能の伸びへの対応 他市場・用途への転用可能性 C-4. 商流と収益性 志向性 技術基盤 商流の把握 マネタイズのポイント 収益性評価 市場機会 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 72

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生成AIを用いた検討 ミッション 組織の優先領域 組織能力 事業ポートフォリオ 技術とニーズの適合 技術の独自性と優位性 技術の成熟度と実現性 拡張性 志向性 技術基盤 Web情報+生成AIで補完 市場機会 市場規模と成長性 顧客課題の把握 競争環境と勝ち筋 商流と収益性 特許による保護の対象 ・生成AIを活用し、技術基盤と市場機会のマッチングに関する分析を試みる。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 73

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仮想ケース:二酸化炭素吸着MOFの事業化 ・近年開発されたMOF材料であるCALF-20は、高い二酸化炭素選択率と、水分への耐性から注 目されています。 ・これを改良し、配位子の一部を修飾することで、原材料費は5%だけ向上するものの、CO2/N2 選択率を50%向上させることに成功しました。 ・良い特性が得られたため、事業化を検討したいです。しかしながら、ガス吸着材料での事業経験が 無いため、そもそもどのような用途・顧客企業・競合企業が存在するのか把握できていません。 ・また、知財についても調査していません。 ・そのため、生成AIを活用し、 事業化の1ステップ目として、PoC提案を行うとしたらどういった企業が良いのか、 どのような競合企業特許が存在し、今後どういった出願を考えるべきなのか、 簡易的な調査を実施することにしました。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 74

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技術を起点とした事業検討の流れ PoC検討 用途のリスト アップ 用途と顧客の 絞り込み サプライチェー ンの検討 知財調査 前提検討フェーズ →具体的なアクションへ ・いきなり特許調査をするのではなく、有望な用途/顧客/競合をまずは検討。 ・初期的な検討を効率化し、顧客ヒアリングや専門家への依頼といった具体的なアク ションに繋げる。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 75

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(1)用途と顧客セグメントの検討①網羅的探索 プロンプトの例 目的: 用途と顧客候補を網羅的にリストアップ し、現状を把握する。 方針: 1.顧客単位で整理するため、用途だけ でなく顧客セグメントを細分化して検討 を進める。 2.一定以上のサイズを持つ市場である ことを、市場規模の概算から確認する。 3.現状のソリューション提供者、ソ リューション(技術)を把握する。 あなたはB2Bビジネスに特化した戦略コンサルタントです。 下記の発明をしたとします。 「近年開発されたMOFであるCALF-20を改良し、配位子の一部 を修飾することで、原材料費は5%だけ向上するものの、CO2/N2 選択率を50%向上させることに成功した。」 この技術が適用可能な用途を特定し、さらに同じ用途の中で顧客 セグメントを細分化して一覧表にしてください。 また、そのセグメントの推定市場規模と推定ロジックを追記して ください。 さらに、現状、そのソリューションを直接的に提供しているトッ プティアの企業数社をセグメントごとに挙げ、どのような技術が 主に使用されているか調べてください。 すべて一覧表にまとめて。 ・まずは用途と顧客候補を網羅的に検討する。 実行リンク:https://chatgpt.com/share/69201cc9-d3b8-8009-9252-6c10a47e32c6 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 76

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(1)用途と顧客セグメントの検討①網羅的探索 プロンプトを使用した実行例(ChatGPT 5.1 Thinking) 用途 顧客セグメント(例) 推定市場規模 (2030年, 年間TAM) 現状のトップティア企業 & 主な技術 化石燃料火力発電(石 ① 先進国の大規模石炭火力 約20億ドル/年 炭) (>500MW, EU・北米・日 本・韓国) - Mitsubishi Heavy Industries (MHI):KM CDR / Advanced KM CDR(KS-1, KS-21溶媒)によるアミン 吸収。世界最大規模の石炭火力向け実績。(Mitsubishi Heavy Industries, Ltd.) - Fluor:Econamine FG Plus℠(MEA系改良アミン)。(サイエンスダイレクト) - Shell:CANSOLV® CO₂ Capture(専用アミ ン)。(Shell) - Aker Carbon Capture:Aker CO₂ capture process(アミン吸収、モジュール型)。(Heat Exchanger World) - Carbon Clean:CycloneCC(回転充填床+高効率アミン)。(carbonclean.com) 化石燃料火力発電(石 ② 中国・インドなど新興国 約30億ドル/年 炭) の石炭火力(>300MW) - MHI:KM CDRプロセス、アジア各国向け案件多数。(Mitsubishi Heavy Industries, Ltd.) - Shell CANSOLV:高硫黄・高ダスト対応アミン。(catalysts.shell.com) - Carbon Clean:低CAPEXなモジュー ル型CycloneCCで新興国のコスト制約にフィット。(carbonclean.com) 化石燃料火力発電(ガ ③ 先進国の大型NGCC(ガ 約10億ドル/年 ス) スコンバインド) - MHI:NGCC向けKM CDR(KS-21溶媒で省エネ)。(Mitsubishi Heavy Industries, Ltd.) - Shell CANSOLV:天然ガス火力向け実績。(Shell) - Svante:固体吸着材(MOF系)+回転コンタクターによる ポストコンバッション捕集。(Svante) - Carbon Clean:小型モジュールCCS(CycloneCC C1)。(janus.co.jp) - Aker Carbon Capture:Just Catch®などコンパクトな標準モジュール。(Aker Solutions) - Svante:コンパクトな固体吸着コンタク ター。(Svante) 化石燃料火力発電(小 ④ 工場自家発・地域熱供給 約4億ドル/年 規模) 向け中小ガスボイラー セメント ⑤ 欧州・北米の大手セメン 約13億ドル/年 トメーカー(Heidelberg, Holcim等) - Heidelberg Materials / SLB Capturi / Aker Carbon Capture:Brevik CCSで年間40万トン捕集、アミン 吸収を採用。(Aker Solutions) - Aker Solutions:BrevikのEPC、CCWHR®熱回収。(man-es.com) Svante:CALF-20系MOFを用いた固体吸着フィルタをセメント向けに開発。(Svante) (上記含め、19のセグメントに分解して検討された。) ・様々な用途と顧客セグメントについて、市場規模などの初期的な検討を行った。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 77

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(1)用途と顧客セグメントの検討②顧客視点での価値評価 プロンプトの例 目的: 顧客視点での課題(ペイン)視点で、技 術が持つポテンシャルの発揮が期待され るセグメントを見極める。 方針: 1.顧客企業を例示しつつ、想定される 課題を特定する。 2.発明の特性を踏まえて、特に優先的 に検討すべき、「刺さる」用途を特定す る。 (続き) さらに、そのセグメントの顧客企業の例を挙げてください。 その顧客企業の視点で、現状満たされていないと想定される課題 を考えてください。 用途-顧客セグメントとともに、一覧表にまとめてください。 顧客の課題と市場規模、今回の発明の特性を踏まえて、特に優先 的に検討すべきセグメントを2,3絞って、その理由を解説してく ださい。(用途があまり重複しないように注意。) 特に、課題解決のロジックを、定量的な指標も絡めて解説してく ださい。 (続き) 絞った中で、追加して、将来性や競合環境について検討し、1つ だけ提案するとしたらどれですか? その理由も一緒に説明して。 ・顧客視点での課題について仮説を設定し、発明が価値に繋がるかどうか検討する。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 78

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(1)用途と顧客セグメントの検討②顧客視点での価値評価 プロンプトを使用した実行例(ChatGPT 5.1 Thinking) 用途 顧客セグメント 代表的な顧客企業例 セメント向けポスト欧州・英国の大手セメン Heidelberg Materials(Brevik, コンバッションCCSトメーカー(炭素価格・ Padeswood でCCS実装)(Heidelberg CBAM 直撃) Materials) Holcim(GO4ZERO, OLYMPUS, KOdeCOなど複数の大型 CCUSプロジェクト)(ホルシム) CEMEX(Rüdersdorf CO2LLECT プロ ジェクト)(cemex.com) 想定される未充足ニーズ・課題(顧客視点) - 1トンあたりのCO₂回収コストが高い(既存アミン系で50–80$/tCO₂クラ ス)で、EU ETS(現在65–75€/t)より十分に低く抑えたい(ResearchGate) - 窯横に十分なスペースやスチーム源がないプラントでの実装が難しい 高湿度・粉塵・SOx/NOxを含むフルーガスで、アミン劣化と前処理コスト が重い - ネットゼロセメントは需要はあるが価格プレミアムに限界があるた め、キャプチャーコストをあと10–20%は下げたい WtE(廃棄物発電) 北欧・英国の大規模 Hafslund Celsio(オスロ Klemetsrudプ - バイオマス起源CO₂が6割前後のため**「ネガティブエミッション」を最 +BECCS Waste-to-Energyプラン ラント、40万tCO₂/年捕集計画) 大化したいが、キャプチャーコストが高く案件が補助金依存 - WtEは発電 ト (cewep.eu) Encyclis(英国Ellesmere 出力が中規模(数十MW)で、CCSの電力・蒸気消費が売電収入を大きく Port WtE CCS)(Reuters) AVR, 削る - 高湿度・変動負荷なフルーガス条件で安定運転できる吸着材・プロ Twence, Fortum など欧州WtE事業者 セスが限られる** - 長期O&Mを考えると、アミン分解・溶剤ロス・腐食へ (cewep.eu) の懸念が大きい ガス火力(NGCC) 先進国の大規模NGCC RWE, EDF, Engie, JERA, Kansai - 系統安定・バックアップ電源として廃止できないガス火力にCCSを付けた 向けCCS (系統安定用で存続必須 Electric など(複数のCCS実証・計画) いが、 既存アミンでは発電効率が15–20%ポイント低下するレベルのエネル なユニット) (Wiley Online Library) ギーペナルティが問題(Wiley Online Library) - 電力料金への転嫁余地が小 さいため、LCOEベースで競争力を保つ必要 - 大型プラントほど排ガス処理 設備が巨大化し、敷地・建設期間・CAPEX負荷が重い (上記含め、8件について優先的に検討された。) ・顧客視点での課題について、定量的指標も絡めながら考察を行った。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 79

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(1)用途と顧客セグメントの検討②顧客視点での価値評価 プロンプトを使用した実行例(ChatGPT 5.1 Thinking) セグメント 将来性(需要・規制) 競合環境 あなたのMOFとのフィット 主なリスク ① 欧州・英国 セメント Brevik CCS(ノルウェー)が世界初のフルスケールとして25年稼働 セメント排ガス(高温・高湿・粉 Aker/SLB Capturi、MHI、 開始予定。 EUでは他にも複数のグリーンセメントCCS案件がEU 塵)に対してCALF-20は既に実証さ ・大型案件ゆえプロ Leilac系(カルシウムルーピン Innovation Fundで採択されており、パイプラインは数十件規模。 れており、Brevik由来のevoZeroセ ジェクトリスク(遅 グ+少量アミン)など、多数 EU ETSは24年平均約65€/t、25年の平均予測は75€/t前後、26~27 メントとして商品化が始まっている。延・コスト増)大・ の技術が競合。 ただし大半は 年には90~100€/t予想と強い上昇シグナル。 CBAMで輸入セメント ここに**CO₂/N₂選択性+50%**を乗 公的補助と規制動向 アミンや酸素燃焼ベースで、 も同じ炭素コストを負担。→ 需要・炭素価格・政策がロックインさ せると、エネルギー・OPEX削減イ に依存する面は残る MOF固体吸着はまだ初期。 れている。 ンパクトが大きい。 ② 北欧・英国 WtE/BECCS オスロ・KlemetsrudのWtE CCSは、一度コスト高で中断されたが、 Hafslund Celsio案件ではAker 高湿度・変動負荷・酸性ガスという ・単体プラントは中 25年に再開が決定し、29年までに約35万t/年のCO₂捕集を目指す。 Solutions+SLB Capturiが採用。 アミンが苦手な条件でCALF-20の耐 規模で案件ごとの構 オスロだけで市の排出の17%がこのプラント由来であり、BECCSは Capsolなど北欧発の専業プ 性が評価されており、BECCSとし 造がバラバラ・事業 都市の気候目標に不可欠と認識されている。 欧州には類似の焼却施 レーヤーも増えつつあり、 て「追加1~2%の捕集率向上=高価 性が補助金+VCM 設が約450あり、波及余地は大きい。 さらに、VCM(自発的カーボ WtE×アミン/HPC系はかなり なネガティブクレジット増収」に直 に強く依存し、政策 ン除去市場)での高価格(80$/t級)クレジットにより、少しの効 埋まりつつある。ただしMOF 結。 変更リスクが高い 率改善でもIRRが跳ねやすい。 固体吸着はほぼ空白。 ③ 大型外航船 OCCS(LNG 船・VLCC) IMOは「2050年頃までに実質ネットゼロ」を掲げ、FuelEU Wärtsilä、三菱造船、日本の大 船舶ではスペース・重量・電力が致 ・燃料転換(メタ MaritimeやEU ETSで海運のCO₂コストを明確化。 一方で、アンモ 手船社(MOL, NYK, “K” 命的制約。CO₂/N₂選択性をテコに ノール・アンモニア ニア/メタノール/e-fuel燃料の普及も狙っており、OCCSはブリッ Line)+舶用機器メーカーが 装置縮小+エネルギー30~40%削減 等)と競合する「暫 ジ技術的な扱い。MOLは24年に世界で初めて商業船へのOCCS搭載 コンソーシアムで動いており、 ポテンシャルを出せれば、溶剤方式 定策」になりうる・ を発表。 ClassNKも25年に三菱重工のOCCSへAiP付与など、実証 「造船所+船社+エンジンメー との差別化余地はかなり大きい。た 船級・旗国・港湾イ 案件は増加。 ただしTAMはまだ小さく、ビジネスモデルも模索段 カーの囲い込み」が始まってい だし、海事規制・安全基準への適合 ンフラなど規制面の 階。 る。 など、技術以外のハードルが高い。 不確実性が大きい ・技術の刺さりが良い候補の中から、さらに追加検討を経て絞り込んだ。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 80

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(2)サプライチェーンの把握 プロンプトの例 目的: 参入するレイヤーは複数候補考えられる。 そのため、まずは現状のサプライチェー ンを把握た上で、参入レイヤーについて 検討する。 方針: 1.あらかじめレイヤーを提案して、分解 する。 (原料>原料加工>ユニット>組み合げ> サービス提供) 2.可能な限り実企業名ベースで検討す る。 (続き) 欧州・英国セメントに絞って検討を進めましょう。 まずは、サプライチェーンについて掘り下げたいです。 具体的には、ある主要な顧客について、直接サービスを提供する プレイヤーを特定(可能であれば実企業名)し、そのサービス提 供者から上流に伝っていくイメージです。 一般的には、原料レイヤー、原料加工レイヤー、ユニットレイ ヤー、組み上げレイヤー、サービス提供レイヤーなどが考えられ ると思います。ユニットや原料は枝分かれすることも当然想定さ れます。 調査結果を一覧表にしてください。 (続き) 一覧性の高い表も欲しいです。 各レイヤーが1行に対応するよう なまとめ方をしてください。 ・サプライチェーン全体から、直接の顧客企業と競合企業を俯瞰する。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 81

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(2)サプライチェーンの把握 プロンプトを使用した実行例(ChatGPT 5.1 Thinking) レイヤー 主な機能・役割 代表的プレイヤー 顧客レイヤー セメント製造、CO₂大量排出、CCS Padeswood など)/Holcim(GO4ZERO, 投資の意思決定主体 OLYMPUS 等)/CEMEX(Rüdersdorf 等)な Heidelberg Materials(Norcem Brevik, サービス提供レイ ヤー(CCS技術+ 輸送・貯留+ O&M) ど大手セメント SLB Capturi(Aker Carbon Capture 技術)/ CO₂捕集プラントの設計・提供・性 MHI(KM CDR)/Capsol などCCS技術プロバ 能保証、CO₂輸送・貯留サービス、 イダ+EPC、Northern Lights( 長期O&M Equinor+Shell+TotalEnergies)などCO₂輸送・ 貯留事業者 我々(改良CALF-20)から見たポイント 直接の最終顧客。1案件で数十~数百万t/年のCO₂排出を持つ。中長期的には 「CO₂コストを10~20%下げたい」という強い動機がある。将来的に 「sorbent 指定」で入札条件に組み込ませるのが理想。 我々にとって最重要の一次顧客候補兼パートナー。既存アミン/固体吸着プ ロセスの「次世代 sorbent モジュール」として、改良CALF-20を組み込んで もらうのが基本戦略。輸送・貯留事業者は直接の顧客ではないが、CO₂純度 や含水分の要求仕様を決める“ルールメーカー”。 直接の売上先にはなりにくいが、採用される技術を決める影響力が大きい層。 彼らにとっては「装置が小さくなる」「熱統合が簡単になる」ことが価値な ので、コンパクト&低エネルギーを前面に出して売り込む。 組み上げレイヤー (EPC) プロセス設計・機器調達・土建・ 据付・プロジェクト管理、既存セ メントラインとの統合 Aker Solutions/大手EPC(Technip, Worley 等)/Norconsult など ユニットレイヤー (装置) 吸収塔/吸着塔・再生塔、熱交換 器、CO₂コンプレッサー・液化ユ ニット、LCO₂船などのハードウェ ア供給 Aker Carbon Capture(Big Catch モジュー 我々は**「吸着ユニット内部のsorbent」**を提供する立ち位置が自然。こ ル)/Everllence・MAN ES(CO₂コンプレッ こでコンパクト化・エネルギー削減を実現できれば、装置メーカー側にも サー+CCWHR®)/ボイラ・熱交換器メーカー 「同じ性能で一回り小さいラインアップを作れる」というメリットが立つ。 /LCO₂船:Dalian Shipbuilding, “K” Line など 原料加工レイヤー (機能材料・機 器) アミン溶剤の配合・製造、MOFの 合成・成形・コーティング、コン プレッサー・タービンなど機器の 機械加工 Aker Carbon Capture(専用アミンS26 等)/ BASF, Huntsman など溶剤メーカー/(将来 の)MOFメーカー/MAN ES・Everllence 等の 機械メーカー 我々が実際にビジネスをするのはここ。改良CALF-20粉体の合成 → 成形体・ コーティング加工 → モジュール化して上流ユニット/サービス層へ供給する。 BASFなど既存ガス処理用アミンメーカーと組み、「溶剤+MOFハイブリッ ド」も選択肢。 原料レイヤー 金属塩・有機配位子・溶媒など MOF原材料、アミンの基材、圧力 容器・配管用鋼材、船体鋼材など 化学:BASF, Dow, INEOS などの大手化学メー カー/鋼材:SSAB, thyssenkrupp, ArcelorMittal 等 ここはコモディティ色が強く、我々は基本的に調達側。長期的には、MOF原 料の価格・供給安定性がCO₂捕集コストに効くので、量産フェーズでの共同 購買・長期契約がポイント。 ・具体的な顧客候補、競合企業を特定 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 82

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(3)PoC(概念実証)提案先候補の検討 プロンプトの例 目的: PoC提案候補の絞り込みと土台となる仮 説の構築 方針: 1.具体的な指標改善幅とインパクトを 検討する。 2.既存プロセスへの適用でのハードル を検討する。 (続き) 顧客候補となるレイヤー、協業候補となるレイヤーを中心に、 PoCの提案を検討したいです。 対象となる各社について、 我々の技術によって、 1. どの指標をどう改善し得るのか(定量的に)、 2. その改善幅は、導入するのに十分なインパクトを持つか、 3. 既存プロセスにスムーズに入ることができるか、それともハー ドルが大きいのか、 検討し、最有力候補を3つまでに絞って。 ・PoC提案の基礎として、導入インパクトとハードルを検討。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 83

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(3) PoC提案先候補の検討 プロンプトを使用した実行例(ChatGPT 5.1 Thinking) 会社 レイヤー 1. 改善し得る指標(ざっくり定量) 2. インパクト評価(導入の動機 づけになるか) 3. 既存フローへの入りやすさ / ハード ル - 対象:AkerのACC プロセス(S26溶剤) +セメントフルーガス。 - 改良MOFを 「ハ - AkerはMobile Test Unitで既に複数の - 80 → 73 €/tCO₂ の削減は、 イブリッド吸収−吸着」 のポリッシング塔 溶剤・条件をテストする文化がある → ETS 90~100 €/t 時代には1 t or 一部置換として導入。 小規模スリップストリームPoCを受け あたり 17~27 €/t の粗利益。 入れやすい体質。 - 例:年間 80 万tCO₂ 捕集プ サービス提供 - 再生熱:1.6 → 1.4~1.45 GJ/tCO₂(▲10~ SLB Capturi / ラントなら、 0.8 Mt × 5 €/t レイヤー 15%) - 一方で、ACCはアミン吸収ベース Aker Carbon = 400万 €/年のOPEX削減 (CCS技術プ なので、プロセスをMOF主体に全 Capture ロバイダ) - 捕集コスト:80 €/t → 73~75 €/t(▲ ~5 面変更するのは大工事。 - 複数案件を抱えるAker/SLBに ~7 €/t、▲6~9%) - したがって短期は「既存ACCにMOF とっては「自社ACCプロセスの ポリッシング塔を追加するPoC」から 決定的な差別化要素」になり得 - 装置サイズ:吸収部の一部を固体吸着に置 入り、徐々にスケールアップするのが る。 き換えることで、吸収塔・再生塔の高さや直 現実的。 径を5~10%縮小(新設案件の場合)。 (上記含め3社について検討された。) 提案されたSLBとAkerのJoint venture URL:https://capturi.slb.com/ ・優先すべきPoC先候補について、定量的なインパクト と導入ハードルの仮説が得られた。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 84

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(4)競合企業調査 プロンプトの例 目的: これまで検討したサプライチェーンと顧 客候補を踏まえて、直接的な競合企業を 特定して調査する。 方針: 1.当該企業のレイヤーと技術概要を特 定する。 (続き) これまでのサプライチェーンの検討と、具体的な顧客・協業の検 討を踏まえて、競合企業の分析をしたいです。 直接的に競合する可能性の高い企業を数社ピックアップし、その 企業のレイヤー、技術概要、その企業と我々の技術との差別化の ポイントを提案・整理してください。 2.差別化のポイントについても検討す る。 ・単に同じ領域の企業ではなく、顧客への提案における直接的競合企業を特定する。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 85

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(4)競合企業調査 プロンプトを使用した実行例(ChatGPT 5.1 Thinking) 企業 Svante Nuada(旧 MOF Technologies) 主なレイヤー(前回の定義に 技術概要(かんたんに) 我々との直接的な競合ポイント/示唆 対応) - 原料加工レイヤー(CALF- - CALF-20ベースのMOF固体吸着材をBASF - 技術ポジションは我々とかなり被る:CALF-20系MOF+固体吸着をハード・ 20系MOFのスケールアップ・ と共同でトン単位に量産。 - MOFを薄膜に トゥ・アベイトに展開。 - ただし彼らは**「自社の装置に自社MOFを組み込 成形) - ユニットレイヤー コートしたフィルターを**回転式吸着マシ む」フルスタック路線**。 - 我々は 「改良CALF-20」をオープンに供給し、 (フィルター+Rotary ン(RAM)**に組み込み、TS Aベースの Aker/SLB等の既存EPC・技術プロバイダにも使ってもらう“中立マテリアルベン Adsorption Machine) - サー 高速サイクル(VeloxoTherm )でCO₂を ダー” というポジションを取ると差別化しやすい。 - 逆に言うと、Svante型の ビス提供レイヤー(一部案件 濃縮。 - 8–25% CO₂のフルーガス(セメン “完全自社装置”で行こうとすると真正面衝突になる。 でEPC/システム提供) ト・青水素等)をターゲットに設計。 - **MOFフィルター+VPSA(真空圧力スイ - 原料加工レイヤー(MOF - 我々と同じくセメント×MOFにど真ん中で突っ込んでいるので、ここも直接 ング吸着)**で「ほぼ無加熱・省エネ」の フィルター) - ユニットレイ 競合。 - ただしNuadaは「自前ユニット+VPSA」でワンパッケージ提供、我々 CO₂回収を実現するコンセプト。 - セメン ヤー(MOFカートリッジ+ は既存Aker/SLBやEPCと組んで sorbent を提供という構図にすれば、競合しつ トなど重工業のフルーガスを対象に、「従 VPSAスキッド) - サービス つも棲み分け可能。 - 「改良CALF-20をVPSA向けにカスタム提供する」など、 来アミン比で最大80~90%のエネルギー削 提供レイヤー(小型プラント 将来的に技術提供側(マテリアル)として組む余地もゼロではないが、まずは 減」を謳う。 - Buzzi(伊セメント)工場 提供) 競合と見ておくのが現実的。 で1t/日スケールのパイロットを稼働中。 (上記含め5社について検討された。) 競合としてピックアップされたSvante社とBASF社のMOF URL: https://www.svanteinc.com/press-releases/svante-secures-commercial-supply-of-mof-advancedsorbent-materials-with-basf-for-carbon-capture-market/ ・競合企業の特徴やサービス提供形態を把握し、住み分けや協業が提案された。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 86

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(5)競合特許調査 プロンプトの例 目的: 競合特許の把握と出願アイディア創出。 方針: 1.特許をリストアップ。 2.事業上注意すべきものをピックアップ 3.参入障壁を築くための今後の出願戦略 の提案 (続き) 競合企業のうち、特に技術的に参考となりそうな3社に絞って、 各社の特許を調べてください。 材料の特許(物の特許)、材料製法・量産の特許、上位のユニッ トやシステムの特許、に分けて、各社がどのような特許を取得し ているかを一覧表にまとめてください。 (続き) 1.これらの特許のうち、事業上の障壁となりえるものがあれば ピックアップし、解説してください。 2.今後、どのような特許があれば、他者の参入ハードルを上げ ることができるか、提案してください。 ・競合の出願を把握しつつ、自身の出願へフィードバックさせる。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 87

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(5)競合特許調査 プロンプトを使用した実行例(ChatGPT 5.1 Thinking) 企業 Svante Svante Svante カテゴリ 代表特許ファミリー(例) 概要(何を守っているか) Zn²⁺・オキサレート・トリアゾレート/イミダゾ レートなどからなる水安定な多孔質MOF。CO₂に対 して高選択性で、フルーガス条件下での熱・水安定 性が高い。CALF-20の組成・構造とそのCO₂吸着用 途を広くカバー。 材料(物) CALF-20系 MOF:US9782745B2 / CA2904546A1 / EP3784824A1 他「 Metal organic framework, production and use thereof」 材料製法・量産 亜鉛系MOF(CALF-20を含む)のスケールアップ Zn-MOF合成法:US2024系「Synthesis 合成に関する手法(溶媒条件、温度・圧力、反応ス method of zinc metal organic framework ケール、洗浄・乾燥・活性化ステップなど)をカ materials」(CALF-20量産プロセス)等 バー。Nature Comm. 論文でも、これらの特許に基 づいてCALF-20を工業規模で製造していると明記。 ユニット/システム US11148094B2「Adsorptive gas separation process and system」 回転式あるいは多接続コンタクターを用いた吸着分 離プロセス。TSA/VSA/部分圧スイングを組み合わ せ、フルーガスからCO₂を分離するサイクル構成・ 配管・運転条件を包括的にクレーム。 (上記含め約20件の特許リストが出力された。) ・競合企業の簡易的な特許リストが得られた。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 88

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(5)競合特許調査 プロンプトを使用した実行例(ChatGPT 5.1 Thinking) (上記含め8件の特許が言及された。) ・本格的なFTOの手前に、簡易的に注意すべきポイントを確認。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 89

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(5)競合特許調査 プロンプトを使用した実行例(ChatGPT 5.1 Thinking) カテゴリ 狙い 具体的な特許の方向性・クレーム要素 期待できる参入障壁効果 「CALF-20の親戚だが明確 - Znベース or Zn+他金属の固溶体など、新しい骨格のMOF - 特定の新配位 - 「セメント向け高選択MOF」の領域で組成+性 A. 材料(物の特 に別物」で、セメント排ガス 子構造(置換イミダゾール等)+電子特性・pKa・立体障害などのパラメー 能で独自の“島”を作る - 似た材料を思いついて 許) 条件に最適化された新MOF タでファミリーごとクレーム - セメント条件(40°C, 15% CO₂, 10% H₂O, も、同じ性能レンジを出すと特許に引っかかる構 ファミリーを押さえる 残りN₂)での CO₂容量・CO₂/N₂選択性・耐久性 を定量条件としてクレーム 造にできる - 連続フロー合成+インライン活性化(特定の溶媒・濃度・滞留時間・温度 - 他社が似た組成を作っても、同じコスト・同じ 「この材料だからこそできる レンジをセットでクレーム) - 合成と成形を同時に行う ワンポット成形(基 物性で成形品を量産できない - 成形/コーティン B. 材料製法・成 低コスト量産と成形」を押さ 材上 in-situ 結晶化→乾燥→そのまま吸着体として利用) - 高湿・酸性ガス グを組み込んだ一連のプロセスを持つことで、材 形 え、同じコスト構造で追いか 対応の 独自コーティングプロセス(樹脂種・架橋構造・膜厚条件などを明 料+成形一式をセット提供できる立場になり、後 けにくくする 記) 発が装置に入り込みにくくなる - アミン吸収塔+MOFポリッシャー塔の2段構成:1段目で90%捕集 → 2段 既存のACCやアミンCCSの C. ハイブリッド 目で残余CO₂をパイプライン仕様まで仕上げるプロセス - 吸収温度・圧力・ 「性能ブースト役」としての プロセス(アミ CO₂濃度レンジ・吸着/再生時間・熱統合方法(WHRとの組み合わせ等)を 使い方を押さえ、プロセスレ ン+MOF 等) 細かくクレーム - プレヒーターライン専用モジュールなど、セメントフロー ベルの塹壕を掘る シートの特定位置を前提にした構成 D. アプリケー ション特化(セ メント・WtE向 け) - Aker/SLBや他のアミンベース技術に対して、** 「MOFポリッシャーを付けた構成=我々の領域」 **を作れる - 既存のアミン技術にMOFを組み合わ せたい後発にとって、プロセス設計を一から変え ないと入れない状況を作れる - 具体的な用途・性能指標とセットで押さえるこ - 例:セメントキルン/プレヒーター+改良CALF-20 MOF を組み合わせた とで、**「欧州セメントでこの性能を出すCCS= 「欧州セメント/WtE向けの CCSシステムで、CO₂純度 ≥95%、回収率 ≥90%、特定のCO₂コスト以下、 このMOF前提」**という空気を作れる - 競合 標準構成」を顧客と一緒に特 等を達成するプロセス - フルーガス組成(O₂, N₂, CO₂, H₂O, SOx, NOx, ダ MOFベンダーから見ると、「大手セメントが既に 許化し、市場全体を囲う スト)やダクト配置、熱統合(WHR+蒸気供給)の仕様も含めた「実システ 特定のMOF前提で標準構成を作っている」市場に ム」をクレーム - Heidelberg / Holcim などとの共同出願を前提に設計 なり、参入心理的ハードルが上がる ・競合特許を踏まえたうえで、出願アイディアを検討。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 90

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(6)領域特許調査 プロンプトの例 目的: 当該領域全体でどのような企業と特許が あるのか俯瞰する。 方針: 1.主要企業と特許をリストアップ。 2.独自分類で特許を整理。 3.独自分類×企業のマトリクスを作成。 調査対象技術:ポストコンバッションCCS向けの二酸化炭素吸着MOF あなたはプロの特許サーチャーです。 上記調査対象技術について、関連する企業とその特許を調べ、 「企業 × 特許分類」のマトリクスを作成してください。 1.調査対象技術について、特許検索とWeb検索から、主要企業リス トを作成。 2.特に特許数が多い10社までに絞って、主要競合企業とする。主要 競合企業が持つ、調査対象技術に関する特許をリストアップ。特許分 類と、特許の概要をメモ。少なくとも各社3件ずつ、30件程度を調査。 3.特許を適当にグルーピングし、4から8程度の独自分類を作成。分 類にアルファベットを振る。また、その独自分類に該当しやすい既存 の特許分類を対応付ける。 4.主要競合企業が、各独自分類の特許を保有しているかを調べ、下 記の基準で判定し、「企業 × 特許分類」のマトリクスを作成する。 ✕:この分類に関する特許の出願も登録もない。 ◯:この分類に関する特許の出願はあるが、登録は2件以下。 ◎:この分類に関する特許の出願があり、登録は3件以上。 ・主要な競合企業数社を俯瞰し、出願や開発の戦略に活用する。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 91

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(6)領域特許調査(独自分類の作成) プロンプトを使用した実行例(ChatGPT 5.1 Thinking) 独自分類 内容(ざっくり) 対応しやすいIPC/CPCの例 A 水安定・ポストコンバッションCO₂ 吸着MOF 湿潤フューガス中で安定なMOF組成 (CALF-20、Mg-MOF-74改良型な ど) B01D53/62, B01D53/02, B01J20/26, Y02C20/40 B アミン・官能基付与型協同吸着MOF diamine-appended MOF、ステップ 状等温線、低温再生 B01J20/26, B01D53/62, C07F等 C 混合金属・混合配位子によるCO₂選 択性チューニングMOF Mg/Mnなど複数金属 + 複数配位子に より吸着圧・選択性を調整 B01J20/26, B01D53/02, B01D53/62 D 構造化MOF吸着材(成形体・モノリ ス・コンポジット) 押出体、球状成形体、フィルム、ラミ ネート、HFMモジュール B01J20/30, B01J20/32, B01D53/02 E MOFベースCCSプロセス・モジュー ル TSA/PSA/TVSA等への組込み、回転 コンタクタ、装置設計 B01D53/62, F25J, Y02C20/40 F MOF製造・スケールアッププロセス 水系合成、高固形分スラリー、連続結 晶化、原料回収 B01J19/00, B01J20/30, C01B G 周辺用途向けMOF(呼吸保護・室内 空気・特殊ガス処理) ガスマスクカートリッジ、室内CO₂削 減、ライフサポート B01D53/02, A62B, Y02C20/40 ・調査した競合特許をグルーピングし、7の独自分類を作成。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 92

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(6)領域特許調査(マトリクスの作成) プロンプトを使用した実行例(ChatGPT 5.1 Thinking) 企業 / 分類 A 水安定CO₂吸着 MOF B アミン協同吸 着MOF C 混合金属/配位 子MOF D 構造化MOF吸 着材 E CCSプロセス 統合 F MOF製造・ス ケールアップ G 周辺用途MOF Svante ◎ ◯ ✕ ◎ ◎ ◎ ◯ BASF ◯ ✕ ◯ ◎ ◯ ◎ ◎ ExxonMobil ◎ ◎ ◎ ◯ ◎ ◎ ◎ Mosaic Materials ◯ ◎ ◯ ◯ ◎ ◯ ◯ ・主要競合4社について、各社の注力領域が可視化された。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 93

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ビジネス視点での生成AI特許分析まとめ 1.特許の価値は事業の価値に紐づいている。 2.仮想ケース(MOF)を用いて、技術シーズについて市場調査と特許調査を行った。 3.検討のポイントを言語化し、ステップ・バイ・ステップで検討を進めた。 4.技術シーズの特徴から、OPEXの有意な圧縮を見込むことができるCCS事業者が優先 すべき顧客候補として提案された。 5.同タイプの材料を開発する競合の特許について簡易的な分析を行った。 PoC検討 用途のリスト アップ 用途と顧客の 絞り込み サプライチェー ンの検討 知財調査 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 94

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おわりに:生成AI活用の価値とは 研究者・技術者 発明者 経営者・事業部 専門性の壁 専門家・知財部 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 95

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おわりに:生成AI活用の価値とは 生成AIによる 拡張 研究者・技術者 発明者 経営者・事業部 専門家・知財部 ・生成AIで集合知を取り入れることはできても、真に新しいものを生み出すことは難しい。 ・お互いの専門領域から一歩踏み出ることで生まれる、対話に価値がある。 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 96

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本日はセミナーにご参加いただき ありがとうございました。 弁理士法人レクシード・テック 弁 理 士 ・ 博 士(理 学)角 渕 由 英 博 士 ( 工 学 )土本 晃 久 ©2025 LEXCEED GROUP. ALL RIGHTS RESERVED. 97