特許調査の王道

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November 28, 25

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特許調査の王道
https://chizai-jj-lab.com/2022/10/01/1214/

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弁理士・博士(理学)/弁理士法人レクシード・テックパートナー

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1.

特許調査の王道 2022年12月14日(水)13:00-14:30 弁理士・博士(理学) 角渕 由英

2.

目次 1.特許調査の基本的な流れ ~予備検索から本検索への拡張~ 2.特許分類とキーワードについて ~特許分類の必要性~ 3.特許分類の調べ方 4.キーワードの調べ方 5.特許分類とキーワードを用いた本検索 6.検索式の組み立て方 7.近傍検索で効率よく文献を見つける 基本的な考え方と手法さえ身に付けてしまえば 特許調査は、それほど難しいものではありません。 2

3.

1.特許調査の基本的な流れ ~予備検索から本検索への拡張~ https://chizai-jj-lab.com/2022/05/17/0517/

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特許調査の一般的な流れ 1. 使用するデータベースの選択 日本/海外、有料/無料など各種データベースがインターネット 経由で提供。 無料データベースの代表=各国特許庁のサービス(J-PlatPat、 PATENTSCOPE、Espacenet等) 有料のデータベースは、複雑な検索式に対応できる、登録中・ 継続中など生存中のみを対象とした検索ができる、表示が見やす い、スピードが速い、など、本格的な調査に向いている。 2. 検索式の作成 調査観点に基づいて、適切な特許分類を選択する必要がある。 予備検索で特許分類を選定。キーワードを調べる。 3. 検索の実行 想定するヒット件数への落とし込み。 特許分類をキーワード等で徐々に絞り込んでいくイメージ。 4. ヒット集合の確認 ヒットした出願をチェックし、必要な公報を特定。 4

5.

調査手順のフレームワーク 調査対象の明確化 発明のポイントを一言で表現 『技術Aに関して、構成Bが、 特徴Cである。』 予備検索 予備検索は発明の本質を捉 えた質の良い母集団 特許分類、キーワード (同義語、類義語)を選定 高適合率検索(効率優先) 効率優先(狭)で適切な情報 のみを抽出=適合率重視 低ノイズだが漏れが多い 高再現率検索(網羅的) 網羅的で漏れがない(広)ように 調査範囲を拡張=再現率重視 必要な情報を漏れなく抽出 5

6.

発明のポイント(本質)を一言で 「技術Aに関して、構成Bが、特徴Cである。」 技術分野 物、方法、製造方法 技術分野 必須の要件 部材、工程 手段、物質 発明の本質 状態、相互関係、処理 (+課題・目的) 従来技術との差異 ☆発明のポイント(本質)=調査のメインターゲット 調査対象を明確にする。 発明のポイントを一言で言えない =発明の本質を理解できていない =調査しても見つからない(本当の意味での調査は不可能) 6

7.

発明のポイント(本質)を一言で 「技術Aに関して、構成Bが、特徴Cである。」 技術分野 (A) 必須の要件 (B) 物、方法、製造方法 技術分野 部材、工程 手段、物質 発明の本質 (C) 状態、相互関係、処理 (+課題・目的) ☆発明のポイント(本質)を予備検索式に置き換える 技術分野 (A) * 必須の要件 発明の本質 * (B) (C) 7

8.

発明のポイント(本質)を一言で 技術分野 (A) * 必須の要件 発明の本質 * (B) (C) キーワードのみで予備検索 A/要約・請求項 * B/要約・請求項 * C/要約・請求項 技術分野にぴったりな特許分類を見つける A/名称 * B/要約・請求項 (* C/要約・請求項) 特許分類を用いてドンズバな文献を見つける検索 A/FI * B/要約・請求項 * C/要約・請求項) 近傍検索で特徴点の記載がある文献を狙い撃ち A/FI * B,近傍演算子,C/要約・請求項 8

9.

調査手順のフレームワーク 網羅的 効率優先 予備検索 調査種別・課題や目的・レベル感 に応じて検索範囲を広くしたり 狭くしたり 無効資料調査 新規性→進歩性 同一分野→関連・周辺分野、他分野 侵害予防調査 高リスク→低リスク 先行技術調査 効率的に情報収集 9

10.

検索式作成の基本~検索対象が見える~ 観点A→A1, A2, A3 観点B→B1, B2 観点C→C1, C2, C3, C4 同一の観点 → OR (“+”、和) 異なる観点 → AND (“×”、積) ◎よい例→(A1+A2+A3)×(B1+B2)×(C1+C2+C3+C4) △悪い例→(A1+B1+C1)×(A2+B2)×(B3+C2) A C 観点が多い場合でも 常に頭の中で集合をイメージ ↓ スクリーニングに活かす B この検索式でヒットする文献には 構成AとB…が記載されている。 10

11.

2.特許分類とキーワードについて ~特許分類の必要性~ https://chizai-jj-lab.com/2022/06/21/0621/

12.

Google検索(ググる) テキストを用いたキーワード検索の限界 シソーラス(同義語、多義語、上位語/下位語、関連語など) ある技術を適切かつ網羅的に調べるためには?→特許分類を用いる 12

13.

特許分類の必要性、マスクを例として キーワード検索で「マスク」だと、以下の全てがヒットしてしまう 特許分類(以下ではFI)を用いると各技術を絞り込み可能 衛生マスク A62B18/02@C 防煙・防毒マスク A62B18/02@A 防塵マスク A62B18/02@B 保護用の顔面マスク A41D13/11 フォトメカニカル法による凹凸化又 呼吸または麻酔マスク 正体を隠すためのマスク A61M16/06 又は仮面,例.演劇に用い はパターン化された表面の製造に用 いる原稿,例.マスク,フォトマス るもの A41G7/00 ク又はレチクル G03F1/00 出典:凸版株式会社HP 13

14.

特許分類(IPC、FI、Fターム) IPC (International Patent Classification) 世界各国が共通に使用できる特許分類として作成されたもので、第一の目的は、新規性や進歩性を評価するた めに、世界各国で特許文献を共通に検索するためのサーチツールを確立すること。 FI (File Index) 国際特許分類(IPC)を細分化した日本国特許庁独自の特許文献の分類で、発明の技術主題(請求項)に付与され、 単観点となっている。 Fターム (File Forming Term) 文献量の著しい増大及び技術の複合化、融合化、製品の多様化に対応し、特許審査のための先行技術調査(サー チ)を迅速に行うために機械検索用に開発された検索インデックスのこと。 FIを所定技術分野毎に種々の技術観点から細区分したものがFタームであり、多観点での解析、付与が可能であ ることが特徴。 Fタームは、特許情報(特許公報類)中に記載されている技術的事項を把握した上で、種々の技術観点(目的、 用途、構造、材料、製法、処理操作方法、制御手段等)を付したFタームリストに照らして文献ごとに付与され ています。 ・IPC 世界各国が共通に使用できる特 許分類 ・FI 発明の技術主題(請求項)に付与 ・Fターム 技術観点、具体的内容 (実施例) にも付与 14 出典:INPIT、国際特許分類、FI、Fタームの概要 とそれらを用いた先行技術調査

15.

分類検索、テキスト検索の長所と短所 長所 短所 分類 ・検索漏れが少ない FI (コンプリートサーチ) FT ・類義語、幾何学的特徴 (図面,形状 IPC 位置関係)を拾える CPC ・ノイズが少ない ・ある概念を示す用語が複数あって も1つのタームで捕捉可能 ・適切なキーワードがない場合 ・古い文献にも対応可能 ・分類付与の漏れ・ミスがある ・概念の幅が広く、曖昧だとノイズが 多くなってしまう ・分類の知識(階層やテーマ)や 付与傾向の理解が必要 ・改廃がある ・最新技術は未整備 テキ ・キーワードを直接的に使用 スト (直観的でわかり易い) ・用語,物質名に特徴がある際に有効 ・適切な分類がない場合に対応可能 ・類義語を網羅しないと検索漏れ ・ノイズが多くなる傾向 ・適切なキーワードがないと使えない ・古い文献がヒットしないことがある ・分野によって意味が異なる可能性 (参考)IPC(国際特許分類)推定ツール https://shiningip.com/ipcestimator/ 長所・短所を理解してバランスよく適切に使い分ける 参考:独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT),「特許分類の概要とそれらを用いた先行技術調査 ~IPC、FI、Fターム編~(平成30年度)」, 2018年4月 15

16.

3.特許分類の調べ方 https://chizai-jj-lab.com/2022/07/26/0726/

17.

仮想事例1:ゲノム編集 『CRISPR-Cas9システムをvivo(生体内)で用いてゲノム編集』 『ゲノム編集技術でCRISPR-Cas9システムをvivo(生体内)で用いる』 ①予備検索(キーワード検索) 17

18.

予備検索から特許分類を検討 92件ヒット CRISPRと請求の範囲に記載されて いないものはヒットしない →特許分類(FI)を調べる 特許分類(FI) 18

19.

特許分類を検討 19

20.

PMGSで特許分類を照会 20

21.

パテントマップガイダンス(特許分類照会) https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p1101 21

22.

特許分類をパテントマップガイダンスで照会 C12N15/09,110が CRISPR/Casを用いた ゲノム編集技術に関する 特許分類(FI) Fターム リスト 22

23.

分類対照ツールで特許分類を検索 https://www.jpo.go.jp/cgi/cgi-bin/search-portal/narabe_tool/narabe.cgi 23

24.

J-GLOBALで特許分類をランキング表示 https://jglobal.jst.go.jp/ CRISPR 24

25.

J-GLOBALで特許分類をランキング表示 25

26.

特許分類を用いた調査 特許分類(FI)を用いる 108件ヒット(+16件) 請求の範囲にCRISPRの 記載がない文献もヒット 26

27.

4.キーワードの調べ方 https://chizai-jj-lab.com/2022/08/23/0823/

28.

J-GLOBALで同義語を表示 CRISPR cf.エアコン 28

29.

J-GLOBAL同義語について J-PlatPatでも J-GLOBAL同義語 を表示可能 29

30.

Google・Weblioで同義語を調べる weblio類語辞典では、 同義語だけではなく、 類義語も調査可能 類義語も考慮する場合、 エアコン+エアハンドリング+空気調和 +空調+冷房+エアーコン+クーラ と入力することになります。 30

31.

JSTシソーラスマップ https://thesaurus-map.jst.go.jp/jisho/fullIF/index.html 同義語や類義語を調べる際に有用であるのが、JSTシソーラスmap シソーラス(thesaurus)とは、ある単語と似たような意味を持つ語を まとめた類語辞典 in vivoについて 同義語を検討(Weblio英和・和英辞典も活用) 生体内、インビボという同義語がある 生体内から、生体中、生物内や生物中なども想起 31

32.

Weblio英和・和英辞典 https://ejje.weblio.jp/ 意味・読み方・使い方、特許文献の例文検索が可能 特許文献の英語例文を収録しており、英単語の類義語も確認できる 32

33.

5.特許分類とキーワードを用いた本検索 https://chizai-jj-lab.com/2022/09/20/0920/

34.

特許分類とキーワードを整理 『CRISPR-Cas9システムをvivo(生体内)で用いてゲノム編集』 『ゲノム編集技術でCRISPR-Cas9システムをvivo(生体内)で用いる』 分類 (FI, Fターム) 技術 A ゲノム編集 構成 B CRISPR -Cas9 システム 特徴 C in vivo (生体内) で用いる C12N15/09 ・組換えDNA技術その 他 C12N15/09,100 ・・ゲノム編集技術, 例.TALEN,ジン クフィンガーヌク レアーゼを用いる もの C12N15/09,110 ・・・CRISPR/Casを 用いるもの キーワード CRISPR +クリスパ vivo+インビボ +体内+生体中 +生物内+生物中 34

35.

同義語をカバーした網羅的な調査 CRISPR/Casを用いたゲノム編集技術 に関する特許分類(FI) 411件ヒット(+318件) in vivoについて 同義語を追加した 特許分類(FI)とキーワードの同義語により キーワードのみの検索と比較して網羅的な検索となった。 35

36.

特許分類とキーワードを組合せた網羅的な調査 [C12N15/09,110/FI+CRISPR/CL+CRISPR/AB+クリスパ /CL+クリスパ/AB]*[(vivo/CL+インビボ/CL+体内/CL+生体中 /CL+生物内/CL+生物中/CL)+(vivo/AB+インビボ/AB+体内 /AB+生体中/AB+生物内/AB+生物中/AB)] CRISPR/Casを用いたゲノム編集技術に関する特許分類(FI) +キーワード(CRISPR、請求の範囲と要約) in vivoのキーワード (請求の範囲と要約) 494件ヒット(+83件) 特許分類(FI)+キーワードとキーワードの同義語により 特許分類だけの検索と比較してより網羅的な検索となった。 36

37.

J-PlatPatで指定できる検索項目 論理式で 構造 指定できる タグ 検索項目 全文 TX 書誌事項 BI 発明・考案の名称 TI /タイトル 要約/抄録 AB 請求の範囲 CL 明細書 SP 審査官フリーワード FW 審査官フリーワード AL +全文 FI FI Fターム FT ファセット FC IPC IP CPC CP 論理式で 構造 指定できる タグ 検索項目 出願人/権利者 AP /著者所属 申請人識別番号 AN 出願人/権利者住所 AA 発明者/考案者/著者 IN 代理人 RP 審査官名 EX 審判番号 JN 優先権主張国 PN ・地域・番号 論文タイトル TL 書籍タイトル BO 参考文献 RF 目的 PI 構成 CI 論理式で 構造 指定できる タグ 検索項目 構成 CI 詳細な説明 DD 符号の説明 DC 説明 BD 図面の説明 DF 利用分野 FA フリーワード CW 従来の技術 BA 発明の開示 DI 課題 PS 手段 MS 効果 ED 実施例 EI 発行者 PB 微生物の受託番号 DN 37

38.

検索のフィールド 発明の名称(/TI) 要約(/AB) 多 検索漏れ 特許請求の範囲(/CL) 全文(/TX) 少 ノイズ(ヒット件数) 多 少 特許分類とキーワードをAND演算で掛け合わせることで小集合を作成 作成した小集合を足し合わせることで検索式を作成 C12N15/09,110/FI *(vivo/CL+インビボ/CL+体内/CL+生体中/CL+生物内/CL+生物中/CL) →特許分類(FI) AND キーワード(/CL) C12N15/09,110/FI *(vivo/AB+インビボ/AB+体内/AB+生体中/AB+生物内/AB+生物中/AB) →特許分類(FI) AND キーワード(/AB) [CRISPR/CL+CRISPR/AB+クリスパ/CL+クリスパ/AB] *[(vivo/CL+インビボ/CL+体内/CL+生体中/CL+生物内/CL+生物/CL) +(vivo/AB+インビボ/AB+体内/AB+生体中/AB+生物内/AB+生物中/AB)] →キーワード(/CL+/AB) AND キーワード(/CL+/AB) 38

39.

6.検索式の組み立て方 https://chizai-jj-lab.com/2022/10/18/1018/

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検索式の基本的な演算パターン ①特許分類*キーワード ・特許分類(IPC/FI) ・特許分類(Fターム) AND キーワード AND… AND キーワード AND… ②特許分類*特許分類 ・特許分類(IPC/FI) ・特許分類(Fターム) AND 特許分類(Fターム) AND 特許分類(Fターム) ③キーワード*キーワード ・キーワード AND キーワード AND… ・FI 発明の技術主題(請求項)に付与 ・Fターム 技術観点、具体的内容 (実施例) にも付与 ・キーワード 特許分類によらず、 狙った記載を抽出 出典:INPIT、国際特許分類、FI、Fタームの概要 とそれらを用いた先行技術調査 40

41.

検索式の演算パターン ○特許分類(IPC/FI/Fターム) AND キーワード AND… ・上位の特許分類(メイングループレベルC12N15/00)を用いるとき、 キーワードはAB+CL(要約+請求の範囲)が基本 ・下位の特許分類(サブグループレベルC12N15/09以下)を用いるとき、 キーワードは TX(全文)とする ○キーワード AND キーワード ○特許分類(IPC/FI) AND 特許分類(Fターム) ○特許分類(Fターム) AND 特許分類(Fターム) ・AND演算するキーワードの数が多ければキーワードを広めに選定 ・異なる概念のキーワード群同士のAND演算はノイズが増えるので 必要に応じて近傍検索を行うとよい ・上位の特許分類(メイングループレベルC12N15/00)を用いるとき、 Fタームは下位階層のものを用いる ・下位の特許分類(サブグループレベルC12N15/09以下)を用いるとき、 Fタームは上位階層のものを用いる ・ Fターム同士のAND演算をするときには、下位階層のものを用いる 41

42.

検索式作成のポイント 分類①×キーワード① 分類①×キーワード② 分類①×分類② キーワード①×キーワード② 分類③×キーワード③ 分類③ ×キーワード④ 分類③×分類④ 分類⑤×キーワード⑤ 分類⑤×分類⑥ ・500件の単観点の検索式1つ ・100件の異なる観点の検索式を5つ 同じ件数だが「確率」が異なる ・検索式のパターンを多くする 効率的にノイズや検索漏れを低減 ・多観点から検索式を作成 基本的なパターン ・特許分類 AND キーワード ・特許分類 AND 特許分類 ・キーワード AND キーワード 検索漏れを防ぐために分類を活用 ・分類とキーワードの特徴を考慮して併用 分類付与のぶれ・漏れ対策としてキーワードを用いる 42

43.

原則として好ましくない演算パターン Ⓐ 特許分類(IPC/FI) AND 特許分類(IPC/FI) Ⓑ 特許分類(FI) AND 対応しないFタームテーマ Ⓒ Fターム(テーマA) AND Fターム(テーマB) Ⓓ 特許分類(IPC/FI) AND 同一概念のキーワード IPCやFIは発明の技術主題に付与されるため、異なる技術主題同士を 掛け合わせることは原則として好ましくないとされている Fタームはテーマコード毎にカバーするFI範囲が決まっており、ある FIに対して、対応しないテーマのFタームを掛け合わせることは好ま しくないとされている Fタームはテーマコード毎にカバーするFI、つまり技術主題が決まっ ており、異なるテーマのFターム同士を掛け合わせることも原則とし て好ましくないとされている 調査観点毎に同一の観点はOR演算で足し合わせ、異なる観点はAND 演算で掛け合わせるという基本からすると好ましくないとされてい る 43

44.

検索式の評価と修正 ○検索式の評価 ・検索でヒットした文献の発明の名称や要約をざっとチェック ・予備検索でヒットした文献や審査引例が含まれているか ・事前に把握している関連公報があればヒットしているか ・対象技術分野のキープレーヤの出願が含まれているか ○検索式の修正 ①再現率を向上させる=検索漏れを減らす (再現率:どれだけ網羅的な検索ができたか) ・検索フィールドを広くする(要約<請求の範囲<全文) ・上位階層の特許分類を用いる(A23L2/02 < A23L2/00) ・同義語の追加、上位概念のキーワードを用いる ②適合率を向上させる=ノイズを減らす (適合率:どれだけノイズが少ない検索ができたか) ・検索フィールドを狭くする(全文>請求の範囲>要約) ・下位階層の特許分類を用いる(A23L2/00 > A23L2/02) 参考:野崎篤志、J-PlatPat+無料ツールを活用した効率的な特許調査のコツ(日本弁理士会九州会主催研修会) 44

45.

7.近傍検索で効率よく文献を見つける https://chizai-jj-lab.com/2022/03/22/0318/

46.

近傍検索(近接演算子) 仮説・想定力: 文章をイメージ A部材とB部材が接続 適切な分類がない! A部材とB部材が連結 分類が機能していない! A部材とB部材とが接続 テキストの掛け合わせでは絞り込めない! A部材とB部材とが連結 A部材と、B部材と、が接続 A部材*B部材 A部材,10N,B部材 A部材と、B部材と、が連結 A部材 A部材とB部材が接着剤で接続 A部材…B部材。 式:A部材*B部材*(連結+接続) →絞り込み不可能 B部材 文章を想定した近傍検索 A部材, 10C, B部材, 10C, (連結+接続)/TX {A部材, B部材,(連結+接続)},20N/TX 助詞、助動詞も活用 例:Cステップを行った後に、Dステップを行う Cステップ, 20C, (後に+後で+次に), 20C, Dステップ/TX 例:データEを、基準FでG処理する データE, 20C, 基準F, 20C, G処理/TX 参考:弊所HP「J-PlatPatを用いた近傍検索の活用方法」、https://www.tectra.jp/akiyama-patent/post-1326/ 川原英昭「J-PlatPat特許・実用新案検索の調査精度が飛躍的に向上」パテント 2018年12月号 46

47.

3単語近傍検索 ○近傍・2単語近傍検索 フードと、ダクトの間が5文字以内の語順ありを指定 フード,5C,ダクト/TX ○ 3単語近傍検索(前半優先) フードと、ダクトの間が5文字以内の語順ありを優先検索し、 検索該当箇所とカバーの間が3文字以内の語順なし {フード,5C,ダクト},3N,カバー/TX ○ 3単語近傍検索(後半優先) ダクトと、カバーの間が3文字以内の語順なしを優先検索し、 フードと検索該当箇所の間が5文字以内の語順あり フード,5C,{ダクト,3N,カバー}/TX ○ 3単語近傍検索(省略形式) フード、ダクト、カバーでキーワード間が3文字以内の語順なし {フード,ダクト,カバー},3N/TX ※間隔の数字:和文→文字数、英文→単語数 参考:高度な検索が可能な閲覧用機器 INPIT公報閲覧室(@特許庁本庁舎2F) 47

48.

予備検索への応用 『技術Aに関して、構成Bが、特徴Cである。』 ・A/名称 × B, 10C, C/要約・請求項 ・A/IPC × B, 10C, C/全文 ・{A,B,C},20N/全文 近傍検索(近接演算子)~Googleの場合 ○Google Patentsの場合 (safety ADJ/5 belt) NEAR/10 (baby OR child) SAME vehicle ADJ/x :語順指定の近接演算、数字Xは語間のWord数 NEAR/x:語順無指定の近接演算 SAME :語順無指定で、語間距離が200語以内 WITH :語間距離20語以内 出典:7 tips to unlock full potential of Google Patent Search https://www.greyb.com/google-patent-search-tips/ ○ Googleの場合 term1 AROUND(#) term2:terms separated by #words Bert AROUND(1) Ernie 48

49.

ご清聴ありがとうございました 49

50.

参考文献

51.

参考文献:特許調査の三大基本書 ・特許情報調査と検索テクニック入門 改訂版(野崎 篤志) ・特許調査入門 第三版(酒井美里) ・技術者・研究者のための 特許検索データベース活用術 第2版(小島 浩嗣) 51

52.

参考文献:特許調査の実践的書籍 ・できるサーチャーになるための 特許調査の知識と活用ノウハウ (東 智朗、尼崎 浩史) ・特許調査の研究と演習 調査の実際が体系的に学べる初めての教科書 (二神 元信) ・これだけは知っておきたい特許審査の実務(千本 潤介) 52

53.

最近の活動など

54.

最近の動画配信 イーパテントチャンネル 資料DL サーチャー(調査会社)の視点で 特許調査の魅力を語る 知財実務オンライン 資料DL 弁理士(特許事務所)の視点 で特許調査の重要性を語る 54

55.

最近の著作物 ・「改訂版 侵害予防調査と無効資料調査のノウハウ ~特許調査のセオリー~」 (経済産業調査会, 2022.6) ・「弁理士のための特許調査の知識」(パテント, 2022.5) ・「特許調査における先行技術資料および無効資料の変化」 (知財管理, 2022.9) 55