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August 23, 18
スライド概要
デジタルサイネージにおける多数の選択肢からのアイテム選択や,ファストフード店で複数の商品の中から選 択するなどの場面において,対象の多様性から迷ってしまった経験がある人は少なくない.また,迷ってしまうこと で選択に要する時間が長くなってしまい,それにより発生した行列が,焦りを生むと同時に,他者に不快感を与えて しまう可能性もある.こうした問題を解決するため,我々は過去の研究において,ポップアウトを行うことで選択に おける時間の短縮と迷いを軽減することができると考え,飴配布システムを作成し,その効果について検証を行って きた.本研究では,過去の研究の実験を見直し,再実験を行うことでポップアウトの提示が問題解決に有用であるか どうかを検証した.また,適度に急いでいる状況においてポップアウトが有効であることなどを明らかにした.
明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室
ポップアウトによるユーザの 選択行動変容に関する分析 細谷美月(明治大学 総合数理学部 3年) 山浦祐明 阿部和樹 明治大学 総合数理学部 中村聡史 先端メディアサイエンス学科
背景 日常生活において 選択 を必要とする状況は多い
背景:選択の例 ファーストフード店で 何を食べよう…
背景:選択の例 どのアトラクションに乗ろう…
背景:選択の例 どの柄の着物を着よう…
背景:迷いについて 選択行動には 迷い がつきもの
背景:迷いについて 迷うことによる影響 • 時間を無駄にする • 例:電車に乗り遅れる • 混雑を引き起こす • 例:ファーストフード店の行列 ➡迷いは自身・他者にとって デメリット
背景:迷いについて 迷いの問題 を解決したい! そのために 選択にかかる時間を短縮 すること が必要
迷いに関する研究 実店舗における消費者の迷いを検出する システム [荒木ら 2009] 迷いの問題解決には至っていない!
背景:迷いの解決策 推薦 何か提示されることによって それを選ぶ可能性がある オススメだよ それに しようかな
背景:迷いの解決策 デジタルサイネージ型自動販売機 直接的な推薦が おすすめ 苦手な人も表示
背景:迷いの解決策 直接的な推薦→ 嫌われる なるべく意識させずに 選択させたい
選択行動に関する研究 • 視線の検出によって被験者の選択行動に おける満足度を推定[若井ら 2016] • 視線情報を用いてテレビ番組の選択行動 における興味を分析 [澤畠ら 2005] 視覚情報は選択行動の分析に重要!
背景:ポップアウト 複数の同じ視覚刺激群の中に 一つだけ異なる視覚刺激が存在すると その刺激を即座に知覚することが可能に
背景:ポップアウトによる解決策 背景色を変えることでポップアウト
背景:過去の研究 商品選択の際に ポップアウトが与える影響について検証 ポップアウトを利用した際のユーザの選択行動の変化の分析[山浦 2018]
背景:過去の研究 • ポップアウトされた商品は ポップアウトされてない商品に比べ 選択にかかる時間が短い ポップアウトの • 選択者が急いでいる場合に 実用性の検証には ポップアウトされた商品の選択時間が短い 不十分 ポップアウトが存在しない場合との比較✖
研究目的 商品選択の際に ポップアウトが与える影響の より詳細な調査 • ポップアウトなし条件との比較 • 選択に影響を与える条件の追加
実験システム iPad上で動作する アプリケーションで 選択を行い 選択にかかる時間 を計測
実験:選択対象の選定 選択対象には 16種類の 飴 を使用 理由: • 実際にもらえるという報酬 • 食べるという行動が伴う • 保存・管理が容易 ある程度真剣に 選択してもらえる
実験:流れ ①実験システム提示 ②飴選択 飴の味は 文字列 ③飴を配布
実験:条件 ポップアウト あり・なし タイマー表示 あり・なし ポップアウトの 実用性の調査 時間による 選択行動への 影響の調査
実験:ポップアウトあり・なし条件 ポップアウト位置は 試行毎ランダム
実験:タイマーあり・なし条件 画面上部 10秒 事前に説明は していない 0秒になっても 選べる
実験:条件 4種類の条件 味の配置は 試行毎ランダム
実験:概要 人が選択を行う環境を作り 選択にかかる時間を測定 • 実験環境 明治大学総合数理学部1年次学生対象の演習講義内 • 実験期間 2018年6月6日〜7月16日 演習講義13回 • 実験協力者 演習講義に参加する学生約 100 名 講義課題が終了したタイミングで任意で実験に参加
実験:データ 実験では952件のデータが得られた 前半の期間に得られたデータを除外 • ユーザがシステムに慣れていなかった • ポップアウトあり・なしが固定化されていた 分析に使用したデータは 後半の期間に得られた 448件
結果:ポップアウトの選択率 • データ448件のうちポップアウトあり:217 人 • ポップアウト商品選択者:22 人 • CL(チャンスレベル): ポップアウトが存在する場合 217人÷16種類≒13.5 一定数の人が 564人中62人 • ポップアウト選択者との比率: ポップアウト商品を 22人÷13.5≒1.62 比率:1.76 比率>1 選択する可能性 ポップアウト商品選択者はCLを上回った
結果:ポップアウト選択者・非選択者 ポップアウトは 時間短縮に 効果がある可能性 平均選択時間はポップアウト選択者が短い
考察 • ポップアウトの選択率: CLを上回った ポップアウトなしとの • ポップアウト選択者の選択時間: 比較を行う 短くなった …過去の研究の再現が出来ていた
結果:ポップアウトあり・なし • 平均選択時間はほぼ変わらない • 有意差は見られなかった
考察:ポップアウトあり・なし 差がなかった理由→ 実験環境の違い 例:実験協力者が同じタイミングに固まる →列発生 =後ろを気にして急いで選ぶ
結果:ポップアウトあり・なし(講義ごと) 短 長 短 短 短 長 • 1,3,4,5回:平均選択時間はポップアウトありが短い • 2,6回:平均選択時間はポップアウトありが長い
考察:ポップアウトあり・なし(講義ごと) 第2回・第6回の講義では ポップアウトありの選択時間が長い 第2回 • 講義終了直後に人が押し寄せた • 過度に行列ができていた 第6回 • まばらに人が来た • まったく行列ができなかった
考察:ポップアウトあり・なし(講義ごと) 第2回・第6回の講義では ポップアウトありの選択時間が長い 人の集まりが 第2回 極端に多い・少ない状況では • 講義終了直後に人が押し寄せた ポップアウトが • 過度に行列ができていた 逆効果になる可能性がある 第6回 • • まばらに人が来た 適度な行列では まったく行列ができなかった ポップアウトが選択時間の短縮に繋がる
実験:タイマー表示あり・なし条件 時間による 選択行動への影響の調査
結果:タイマー表示あり・なし タイマー表示ありの平均選択時間が長い
結果:タイマー表示あり・なし(選択時間別) タイマー表示が 選択時間を 遅めてしまった • 5秒以内はほぼ変わらない • 5〜10秒はタイマー表示ありが1.75倍多い
考察:タイマー表示あり・なし(選択時間別) なぜタイマーの効果が 見られなかったか? タイマー提示において 必要以上の時間提示は 平均選択時間:2-4秒 ↕ 逆効果である タイマー:10秒 可能性 必要以上の時間の提示によって 逆に余裕を生んでしまった。
結果:まとめ ポップアウトの提示は • 商品の選択率を上げる • 適度な行列において 選択時間を短縮する 幅広く選択 時間を有効に 混雑の緩和
結果:まとめ ポップアウトの提示は ユーザごとに • 商品の選択率を上げる 正確な推薦ができれば 選択時間を短くできる • 適度な行列において 可能性 選択時間を短縮する
結果:まとめ タイマーにおける必要以上の時間提示は、 逆に選択時間を遅めてしまう 急いでいる人への 長い時間の提示によって 長い時間のタイマー提示で 『あと何秒選べる』という 落ち着かせられる 余裕を生んでしまう 可能性
応用先 • デジタルサイネージ • 自動販売機 • 案内インタフェース • デジタルな場面 • ネットショッピングのWebサイト • 飛行機内の座席モニターでの映画チャンネル • アナログな場面 • ファストフード店 • 災害時の救援物資の無料配布
応用先 • デジタルサイネージ • 自動販売機 • 案内インタフェース • デジタルな場面 • ネットショッピングのWebサイト • 飛行機内の座席モニターでの映画チャンネル • アナログな場面 • ファストフード店 • 災害時の救援物資の無料配布
応用先 • デジタルサイネージ • 自動販売機 • 案内インタフェース • デジタルな場面 • ネットショッピングのWebサイト • 飛行機内の座席モニターでの映画チャンネル • アナログな場面 • ファストフード店 • 災害時の救援物資の無料配布
まとめ ポップアウトの提示は • 商品の選択率を上げる • 適度な行列で選択にかかる時間を短縮 • 必要以上のタイマー提示は選択時間を遅める 今後は 提示するものを変えて選択行動の変化を調査 ・文字以外のポップアウト ・音や画像など視覚以外の刺激