三択の選択肢の色の組み合わせが選択行動に及ぼす影響

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December 01, 21

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三択の選択肢の色の組み合わせが選択行動に及ぼす影響

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明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

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各ページのテキスト
1.

三択の選択肢の色の組み合わせが 選択行動に及ぼす影響 関口祐豊(明治大学3年) 植木里帆 横山幸大 中村聡史(明治大学)

2.

Qどの車を購入したいですか?

3.

研究の大目的 商品選択や人気投票などで 選ばれづらい選択肢への誘導や 選択行動の公平性の維持

4.

はじめに 日常生活において,選択を行う機会は多い どれにしようかな〜? どの人に投票しようかな〜?

5.

はじめに 日常生活において,選択を行う機会は多い 選択において様々な要因の影響を受けている どれにしようかな〜? どの人に投票しようかな〜?

6.

はじめに 選択行動への影響 配置 味 値段 量

7.

はじめに 選択行動への影響 色について考える

8.

関連研究 商品選択における色の影響 ・商品選択において パッケージデザインは 比較的重要 [蘇ら 2009]

9.

関連研究 商品選択における色の影響 ・商品選択において パッケージデザインは 比較的重要 女性は色に注目して [蘇ら 2009] 商品選択を行っている

10.

関連研究 商品選択における色の影響 ・商品選択において 商品の色が決定に大きな 影響を与えている [Priluck,R.ら 1999]

11.

背景 商品選択における色の影響 商品選択に商品の色が 関係してる可能性が高い

12.

ゴルディロックス効果 ゴルディロックス効果 …3段階の選択肢がある時に,人は真ん中の 選択肢を選ぶ傾向にあるという効果

13.

関連研究 ゴルディロックス効果に注目した研究 ・ 三択の質問において,2つのフォントと融合フォント を提示した時,選択行動に及ぼす影響に関する検証 [植木ら 2020]

14.

ゴルディロックス効果 ゴルディロックス効果 …3段階の選択肢がある時に,人は真ん中の 選択肢を選ぶ傾向にあるという効果 色にも似たような 現象があらわれる のではないか?

15.

仮説 3択の選択肢においてある2種類の色と それらの色の混色の3種類で同時提示されると オレンジの服が 欲しい!

16.

問題点 に影響され, 選択行動における が失われている

17.

実験

18.

実験目的 が消費者の 影響の調査 に及ぼす

19.

混色の選定 今回の実験における混色とは 色相,彩度,明度が他の2色の中間となっている色 または RGBが他の2色のRGBの平均となっている色 混色 混色

20.

実験方法 「Yahoo!クラウドソーシング」 …多くのYahoo!JAPANユーザが存在 タスクをこなすことで手軽に 報酬を入手できる 「Yahoo!クラウドソーシング」を使用 …短期間で多くのデータが集まるため

21.

実験概要 ・問題数 右の選択肢から20問 (3択5問&2択15問) 色相±0 色相+ 3 0 色相+ 6 0 デス ク ト ッ プPC 色相±0 彩度±0 色相+ 2 0 色相+ 4 0 彩度-5 0 彩度-1 0 0 ズボン 色相±0 色相-1 5 色相-3 0 ( R ,G ,B ) = ( 2 2 3 ,2 2 8 ,2 32) ( R ,G ,B ) = ( 1 5 9 ,1 9 0 ,2 16) ( R ,G ,B ) = ( 9 5 ,1 5 2 ,2 0 0) 色相±0 色相+ 4 0 色相+ 8 0 色相±0 色相-3 0 色相-6 0 Y シャ ツ 色相+ 2 5 色相+ 5 0 アイ ス ク リ ーム 女性用 パーカ ー 色相+ 3 5 飲み物 明度-7 0 男性用 パーカ ー 色相±0 ・女性500人 ・男性500人 明度±0 マスク 車 ・問題や配置の順序 ランダム 明度+ 7 0 色相±0 色相-3 5 コップ

22.

実験概要 ・3択の選択肢から対象を選ぶタスクを設計(5問)

23.

実験概要 ・2択の選択肢から対象を選ぶタスクを設計(3×5問)

24.

実験概要 ・2択の選択肢から対象を選ぶタスクを設計(3×5問) 3択で出題された5問とは 5種類の画像群

25.

実験概要 2択を用意した理由 混色である色が他の 2 色 に比べ元々 である可能性がある その商品に混色の色がたまたま である可能性がある オレンジ以外なんか変じゃ ない?? ない?

26.

実験手順 ① 実 験 ペ | ジ に 飛 ぶ ② 手 順 と 注 意 事 項 の 確 認 ③ 実 験 開 始 ④ 20 問 の 質 問 に 答 え る ⑤ ア ン ケ | ト に 答 え る ⑥ 実 験 終 了

27.

実験協力者 不真面目回答者 女性:42人 男性:60人 分析対象者 女性:458人 男性:440人

28.

実験協力者 世代別回答割合

29.

アンケート結果 色相±0 デスクトップ PC x 色相+30 mix 色相±0 色相+60 y 色相+20 黄色: 類似色 x mix 車 彩度±0 ズボン x 色相±0 アイス クリーム x 飲み物 x 色相+25 mix 色相+35 彩度-100 y Yシャツ y (R,G,B)= (223,228,232) (R,G,B)= (159,190,216) (R,G,B)= (95,152,200) x mix y x 色相-35 y y mix 色相±0 女性用 パーカー y mix 明度-70 x 色相+50 色相±0 mix x 明度±0 緑の飲み物の違いが分からない 色相±0 色相-15 色相-30 男性用 パーカー y 彩度-50 mix マスク 色相+40 緑:非類似色 明度+70 mix 色相±0 コップ x 色相+40 色相+80 y 色相-30 mix 色相-60 y

30.

関連研究 選択行動に関する研究 ・ 選択肢数が多くなるほど選択時間が長くなった [吉田 2007] 〜 〜 〜

31.

関連研究 選択行動に関する研究 ・ PCでは真ん中に配置された選択肢が,mobile端末では右 側に配置された選択肢が選ばれやすい傾向にあった [植木ら 2020] 〜 〜 〜 〜 〜 〜

32.

分析 に関して分析を行う

33.

実験結果(選択率) 実験の結果,混色の選択肢が選ばれやすい ということはなかった -4.28% +0.28% 2択 21.19% 39.28% 39.53% 2択 37.83% 41.13% 21.04% 3択 18.57% 35.00% 46.43% 3択 32.03% 41.41% 26.56% -3.09% -2.64% 2択 29.33% 42.67% 28.00% 2択 44.19% 39.14% 16.67% 3択 38.89% 39.58% 21.53% 3択 46.72% 36.50% 16.79% -10.76% +3.02% 2択 44.36% 34.07% 21.57% 2択 44.69% 37.28% 18.02% 3択 47.37% 23.31% 29.32% 3択 37.31% 40.30% 22.39%

34.

実験結果(選択率) 類似色が含まれている場合,3択は2択の時 に比べ非類似色に選択が誘導される +7.52% +12.28% 2択 17.20% 37.90% 44.89% 2択 43.75% 31.77% 24.48% 3択 17.93% 29.66% 52.41% 3択 56.03% 20.57% 23.40% +9.81% +17.76% 2択 29.85% 32.03% 38.13% 2択 43.66% 38.03% 18.31% 3択 39.66% 21.55% 38.79% 3択 61.42% 19.69% 18.90%

35.

実験結果(選択率) 「 」という 仮説とは異なる結果が得られた

36.

考察(選択率) ・女性は色に注目して選択行動を行っている [蘇ら 2009] ・男性と女性では色の見え方が異なる可能性がある [Abramovら 2012] これらのことから我々は と考え性別ごとの分析を行った

37.

実験結果(選択率:女性) 女性の中には混色を選ぶ人が多い +6.16% +2.32% 2択 28.71% 38.91% 32.38% 2択 37.31% 40.47% 22.22% 3択 23.94% 45.07% 30.99% 3択 35.35% 42.79% 21.86% +3.06% +6.04% 2択 32.18% 42.96% 24.86% 2択 42.94% 42.80% 14.27% 3択 37.17% 46.02% 16.81% 3択 40.93% 48.84% 10.23% -0.39% +3.26% 2択 44.60% 34.70% 20.70% 2択 43.14% 37.25% 19.61% 3択 43.93% 34.31% 21.76% 3択 40.08% 40.51% 19.41%

38.

実験結果(選択率:女性) カイ二乗検定をおこなった 混色 混色以外 2択 1667回 2542回 3択 575回 770回 p < 0.05

39.

実験結果(選択率:女性) 「 」という 仮説と同様の結果が得られた

40.

実験結果(選択率:男性) 男性の中には混色を選ぶ人が少ない -3.31% -0.79% 2択 16.90% 37.98% 45.12% 2択 34.22% 38.64% 27.14% 3択 15.11% 34.67% 50.22% 3択 35.98% 37.85% 26.17% -2.26% -4.47% 2択 26.18% 40.98% 32.85% 2択 39.29% 36.23% 24.48% 3択 32.34% 38.72% 28.94% 3択 41.20% 31.76% 27.04% -14.51% -5.56% 2択 39.62% 33.81% 26.57% 2択 43.08% 36.44% 20.48% 3択 47.81% 19.30% 32.89% 3択 43.14% 30.88% 25.98%

41.

実験結果(選択率:男性) カイ二乗検定をおこなった 混色 混色以外 2択 1457回 2446回 3択 431回 908回 p < 0.01

42.

実験結果(選択率:男性) 「 」という 仮説とは異なる結果が得られた

43.

考察(選択率) 男女で色の ピンクだ や が異なる可能性 赤だ

44.

実験結果(選択率) 類似色が含まれている場合,3択は2択の時に比べ 非類似色に選択が誘導される

45.

実験結果(選択率:女性) カイ二乗検定をおこなった 非類似色 2択 1096回 女性 3択 496回 類似色 1565回 449回 p < 0.01 男性 非類似色 2択 1114回 3択 492回 p < 0.01 類似色 1583回 369回

46.

関連研究 選択行動に関する研究 ・サイネージ型自動販売機の商品選択におけるポップアウト の有用性に関する検証 [Hosoyaら 2019]

47.

関連研究 選択行動に関する研究 ・サイネージ型自動販売機の商品選択におけるポップアウト の有用性に関する検証 [Hosoyaら 2019] ポップアウトされた商品が選択されやすい

48.

実験結果(選択率) と似た現象

49.

考察(選択率) 男女ともに大きな影響を受けている しかし 男性の方が大きな影響を受けている

50.

考察(選択率) 男女ともに大きな影響を受けている しかし 男性の方が大きな影響を受けている 女性の方が色の変化に気づきやすい

51.

実験結果(選択時間) 二択と三択では三択の方が平均選択時間が長くなる 男性 2択:2287ms 3択:2854ms 3500 3000 選択時間(ms) 女性 2択:2264ms 3択:2736ms 2500 2854 2736 2287 2264 2000 1500 1000 500 0 女性 男性 二択 三択

52.

実験結果(選択時間:女性) 女性の中には混色の商品の選択肢を選ぶ際は 選択時間が長くなる傾向にある人が多い

53.

実験結果(選択時間:男性) 男性の中にも混色の商品の選択肢を選ぶ際は 選択時間が長くなる傾向にある人が多い 選択時間 6455ms 6538ms 5997ms 選択時間 5831ms 6336ms 5975ms 選択時間 6479ms 6356ms 7147ms 選択時間 5095ms 5294ms 4884ms 選択時間 5674ms 5922ms 5556ms 選択時間 5114ms 5570ms 5450ms

54.

実験結果(選択時間) 類似色の商品が存在する場合でも混色の商品は 選択時間が長くなる傾向にある 選択時間 5875ms 6550ms 5950ms 選択時間 5714ms 6839ms 5460ms 選択時間 5810ms 5953ms 6287ms 選択時間 5754ms 6193ms 6867ms 選択時間 5947ms 6627ms 5822ms 選択時間 5732ms 6558ms 5897ms 選択時間 5003ms 6408ms 5868ms 選択時間 5484ms 5959ms 5417ms

55.

考察(選択時間) 混色の選択肢の選択時間が長い 選択に悩むほど混色を選択する 可能性が高くなる?

56.

実験結果(選択位置) 女性:真ん中に配置された選択肢が最も選ばれやすい 男性:真ん中と右に配置された選択肢が選ばれやすい

57.

実験結果(選択位置) 女性:混色は真ん中に配置されたときが最も選ばれ やすかった

58.

実験結果(選択位置) 男性:右に混色が配置されたときが最も選ばれやす かった

59.

考察(選択位置) 混色を右に配置すると男女差がなくなる?

60.

今後の展望 男女の選択率の違いの原因の調査 複数色使用しているロゴやキャラクター でも同様の結果が得られるかどうか

61.

Qどの車を購入したいですか?

62.

Qどの車を購入したいですか? 皆さんの選択は 誘導されていなかったでしょうか??

63.

まとめ 研究の目的 ・選択行動における公平性を保つ 背景 ・選択行動に商品の色が関係している可能性 実験の目的 ・商品の色が消費者の選択行動に及ぼす影響の調査 仮説 ・3択の選択肢では混合色が選ばれやすい 結果 ・男性:混色選びにくい ・女性:混色選びやすい