人は見た目が9割とは?メラビアンの法則とノンバーバルコミュニケーション完全解説【竹内一郎・要約】

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July 05, 26

スライド概要

『人は見た目が9割』(竹内一郎・新潮新書)を徹底解説。メラビアンの法則(7-38-55ルール)の正しい理解から、表情・声・仕草・色・間・距離まで、ノンバーバルコミュニケーションの実践法を網羅。第一印象を改善したい方必読の完全ガイドです。

「話の中身さえ良ければ伝わる」——その思い込みが、あなたの伝達力を静かに損なっているかもしれません。100万部超のベストセラー『人は見た目が9割』は、演出家の視点から「言葉以外の93%」の威力を解き明かした一冊です。本記事では、メラビアンの法則の正しい解釈、目・声・仕草・色・間・距離という6つの非言語チャネル、そして明日から使える実践法までを、原著の内容に沿って徹底的に解説します。

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知識の泉 本や論文など、確かな根拠に基づいた知識を、誰にでも届く形に変えて発信しています。心理学、行動科学、組織論、哲学、経済学など、分野を問わず「正しく、深く、面白い」知を探求するのがコンセプトです。 なんとなくのイメージや感覚的な情報ではなく、一次資料や学術研究に立ち返り、エビデンスを丁寧に紐解いた上でスライドにまとめています。一つのテーマにつき、背景理論から実践的な活用法まで、体系的に理解できる構成を心がけています。 「知って終わり」ではなく、「明日から使える」知識を届けることを目指し、これからも様々な分野の本物の知をこの泉から汲み上げ、発信していきます。気になるテーマがあれば、ぜひ覗いてみてください。

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各ページのテキスト
1.

人は見た目が9割 新潮新書・竹内一郎著。ノンバーバル・コミュニケーションの威力を、演出家の視点 から徹底解剖する。言葉は情報のわずか7%しか伝えない——残りの93%は、表情・ 声・仕草・距離・色・間が担っている。 ノンバーバル・コミュニケーション 外見・伝達力・演出

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言葉は7%しか伝えない アメリカの心理学者アルバート・マレービアン博士は、人が他人から受け取る情報(感情や態度など)の割合について次のような実験結果を発表 している。 55% 顔の表情 38% 声の質・大きさ・テンポ 7% 言語(言葉の内容) 視覚的な表情が最大の情報源。目・口・眉の動 声の高低、話すリズム、間の取り方が印象を左 実際に語られる内容が伝達に占める割合は、驚 きが感情の大半を伝える。 右する。 くほど小さい。 つまり、言語(論理)より、それ以外の要素の方が圧倒的に強い。「バーバル・コミュニケーション(言葉による伝達)」より「ノンバーバル・コ ミュニケーション(言葉以外の伝達)」の方が、伝達力が高いのである。活字の本よりマンガの方が圧倒的に売れているのも、「文字だけ」より 「文字と絵の組み合わせ」の方が受け手に理解されやすいからだ。

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外見の威力——討論と「まばたき」 の法則 アメリカ大統領選挙の公開討論では、「まばたきが多いほうが、討論後の勝敗の印象を尋 ねる世論調査では負ける」という法則がある。本来、より客観性の高い主張を、より論理 的に語る人物が場を制するはずだ。ところが現実は逆である。 場を支配できる人物の特徴 場が薄くなる人物の特徴 猛禽のような鋭い眼で討論相手を見 高学歴で知識は豊富、主張は常識的、 据える 論理は平明 低くドスの効いた声でゆっくりしゃ しかし選挙のために「市民に愛される べる 顔」を作っているため迫力がない 学者らしく丁寧に話すことで貫禄と 討論開始後一時間も経つと段々影が薄 迫力に深みが増す くなっていく 声の内容が伝達する内容にマッチし 場の支配力に欠ける ている 「言葉以外の情報」すべてをひっくるめて「見た目」と呼ぶ。内容より「誰が言ったか」 が重要なのである。「伝達力」には能力や人格が問われるが、その能力や人格は「見た目」 によって判断される。端的にいって「外見の威力」はそれほどまでに強力なのだ。

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目・声・仕草が語るもの 目は口よりも雄弁 声のトーンと早口の心理 アクションの大きさと印象 男が「怒った」といいながら目が笑っている場 演出家が「緊張している」シーンを作るとき、 アクションが大きい人物は感情表現が豊かで声 合、怒っていない。逆に「怒っていない」とい まず声のトーンを高くする(「うわずる」状 も大きく、人の関心を自分に向けようとする。 いながら目が怒っている場合は怒っている。目 態)。アメリカではアナウンサーは低い声を出 しかし日本人の場合、過度なオーバーアクショ は口よりも雄弁に語っている。売れるマンガ家 すよう指導される——低い声には相手を和ませ ンは「薄っぺらい感じ」「底の浅い印象」を与 の作品は主人公の目に力がある。女性はアイ・ る効果がある。早口には不安や恐怖が隠されて える。アクションの大きい人は他人の感情を理 コンタクトの時間が長く、話しているときより いる。人は興奮・緊張すると話のスピードが速 解したり細やかな心配りをしたりするのが苦手 聞いているときの方が相手を見ている時間が長 くなりがちだ。声帯は筋肉であり、ボイストレ なことが多い。有能で人望のある人物は、でき い。 ーニングで変えられる。「声で損をしている人 るだけ動きをとらせ、動きに自信を漲らせる工 は、学歴で損をしている人より遥かに多い」。 夫をする。

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嘘・シンクロニー・緊張のサイン シンクロニー傾向(同調傾向) 相手に打ち解けてくると、人は仕草が似てくる。腕を組んだり、足を 組んだり——これを「シンクロニー傾向(同調傾向)」あるいは「姿勢 反響」という。打ち解けた親しい相手には、手の動き・姿勢・頷き方 まで似てくる。「繰り返す」「頷く」「相槌を打つ」などのサインが現れ る。また「同意の頷き」は過不足なく行われるべきで、「頷かない」の も否定なら「頷き過ぎ」も実は否定であることが多い。 緊張のアクション・サイン 電話をしながら手遊びをするのは緊張の表れ。逆に、緊張が解けたサ インの代表が「上着を脱ぐ」こと。落語家はこの動作を意識的に利用 している——枕を終え話が流れ始めると羽織を脱ぎ始め、その瞬間に客 も打ち解けた気持ちになれる。「上着のボタンを外す」「ネクタイを緩 める」なども同様のリラックス表現である。 嘘をつくときの仕草の違い 普通の人は嘘をつくとき必ず不安になり、その不安は仕草となって表 れる。男は嘘をついた時、目をそらす。やましい気持ちが目に表れる からだ。ところが女が嘘をついた時は、相手をじっと見つめて取り繕 おうとする。つまり女がじっと見つめた時は本来怪しいのだ。一般に 男より女の方が勘が鋭いといわれている——女は男の嘘を見破る「勘」 を持っている。社会的に立場の弱い女性は、相手がどう思っているか が大事であり、相手の本心を見抜く勘が磨かれるのである。中途入社 で仕事のできない人が社内の世渡りは割に上手かったりするのも同じ 原理だ。

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髭・サングラス・前髪——小道具が語る 心理 髭——コンプレックスの表れ 演出家は「髭」を基本的に「コンプレックスの表れ」と見る。「自分を実際よりも上に見せた い」心理が髭に表れ、周囲に威圧感を与える働きがある。逆にいえば、そうした「小細工」を しないと周囲を威圧できないという意識がどこかにある。自由業の人やアーティストに髭をた くわえている人が多いのは「俺は普通のサラリーマンじゃない」という気持ちの表れ。髭はそ もそも「威厳」の表現であった。 サングラス——底を見せない戦略 サングラスには「自分の内面を覗かれることなく、相手を観察しようという気持ち」が隠され ている。ヤクザは「能力の全て」を知られたくないからサングラスをする——「底」を知られな いことで相手に威圧感を与える。「この人には見えている以上の何かがあるのではないか」と思 わせれば成功だ。芸能人が外出時にかけるのは「自分の素性を知られたくない」から。小道具 でコンプレックスを隠すことで、かえって目立たせてしまう逆説もある。 前髪——恋愛観と自己表現 額を出しているか隠しているかで印象が大きく変わる。前髪を垂らすと若く見え、上げると大 人びて見える。反対に額をきちんと見せている女性はキャリア志向が強い。男も同様で、前髪 を上げると「男っぽい」。ジャニーズ系の男の子は基本的に前髪を垂らしている——かわいらし さ・優しさを「売り」にしているからだ。髪型は恋愛観とくっついてくる。

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色のメッセージ——見た目を支配する色彩心理 色もまた、ノンバーバル・コミュニケーションにおける大きな要素である。人間は目以外でも色を感じる——三重苦で有名なヘレン・ケラー女史は 視力を失っていたが、色を感じることができた。 色のイメージ一覧 赤——攻撃的・火・勇気・愛国心・怒り・血・危険 青——清い・朗らか・冷静・内気・悲哀・失望 黄——親切・陽気・不快・日光 緑——平和・新鮮・若さ・繁栄 オレンジ——元気・騒々しい・実り 紫——威厳・孤独・勝利・権威・熱情・追憶 白——優美・上品・冷たい・純潔・無邪気・希望 黒——厳粛・深遠・神秘・悲しみ・夜・死・邪悪 色の実用的な力 道路標識では「赤」は禁止、「黄」は注意。舞台では夜のシーンに 「青」の光を使う——青は「月光」の色だ。芝居で国民党支持者には緑 の衣装を、共産党支持者には赤の衣装を着せることで、くどくどと説 明せずとも観客は登場人物の立場を理解した。 目立つ色・捨て色・タブー色 コカ・コーラの赤は「パーソナルカラー」の成功例。食品業界では青 がタブー色——同じするめを赤い袋と青い袋で売ると後者が売れ残っ た。「捨て色」という概念もある——赤やオレンジを引き立てる黒を商 品の中に混ぜておくことで、人気薄の黒に引き立てられた赤やオレン ジを客は選ぶ。明るい色の部屋で遊んだ子供の知能指数は12点上昇 し、白黒茶の部屋では14点も下がったという実験結果もある。

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化粧——自信・身だしなみ・変身の道 具 役者にとってのメイク 役者にとってメイクは「自分以外のもの になる」重要な手段。経験の浅い演劇学 校の学生には「濃いメイク」が有効——大 胆になるために、自信を付けるために、 メイクは機能する。普段着で練習する時 はそうでもないが、白衣を着せると途端 に医師に見えてくる。医師風の歩き方・ 所作・話し方に変わっていく。 厚化粧と自信の関係 日本のメイクは「身だしなみ」 「ファンデーションと口紅」というメイ クの女性は、自分を美しく見せたいと思 っているのではない。身だしなみとして 「恥ずかしくない状態」を作っているだ け——このメイクの中には「世間体意識」 がある。日本のメイクは美を追求するだ けでなく、社会の要請としての化粧とい う側面を持つ。 役者でなくても厚化粧の女性は自信たっぷりに振る舞うことが多い。テレビに登場する一 代で財を築いた女性社長にこの種の人が多い——それは「自分以外の人間」になっている からだ。服装によって人格の一部が変わることは当然と考えられる。制服を着るというこ とは没個人になることであり、匿名性が高くなる。ユニフォームを着たときは着ないとき より長い間電気ショックを与えたという実験結果が示すように、没個人になった方が攻撃 性が高まる。

9.

マンガの伝達力——ノンバーバルの極致 『美少女戦士セーラームーン』や『ドラゴンボール』は、日本の首相より遥かに知名度が高い。その最大の理由 は伝達力の高さである。日本のマンガ家は表現技法の練磨に貪欲だ。 台詞の大小——ルールを知らなくても伝わ る 著者が原作を担当した麻雀マンガ『哲也 雀聖と呼ば れた男』は、主な読者層がほとんど麻雀のルールを知 らない少年誌に連載された。台湾・韓国・香港でも翻 訳され、それらの国では日本以上に読者は麻雀に疎 い。それでも理解できた理由のひとつが「台詞の大 小」——「役満」のときは迫力ある大文字で「九連宝 燈!!」と叫び、点の低い手のときには小さな文字で控 えめに「中のみ」と宣言させる。ルールがわからなく ても「大変な決定打が飛び出した」「大した事なさそ うだ」と読者は理解できる。 構図——カメラワークの技術 マンガ家は映画でいうなら演出の他にカメラマンの仕 事もできなければならない。ヒロインが横にいる男の 子に向かって「好きです」と台詞を吐いても読者は嬉 しくない——構図的には読者に向かって台詞を吐かな ければならない。すると読者は自分に言われたようで 「悪い気がしない」。「観客を意識して取り込む」のが マンガの構図術だ。絵は上手なのに面白くないマンガ は、紙の上でのノンバーバル・コミュニケーションが 有効にできていないからだ。 白黒と水墨画の伝統 マンガは大衆向けの娯楽だから出来るだけ安価に流通 させたい——そこで白黒が主流になった。東洋には水 墨画の伝統があり、墨一色で描かれた芸術を評価・鑑 賞する土壌を持っていた。オールカラーのマンガは 「もたもたする」感じがある——マンガは読むテンポ が大事で、コマの中のポイント部分は描き込んでも周 辺は適度に端折った方が、読者は自分流の「読むリズ ム」を作りやすい。タチキリ(ページの外側にはみ出 して描く技法)も伝達力を高める手法のひとつだ。

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「間」の力——沈黙が伝える 話し手が間を 置く 想像力が喚起 される 一体感が生ま れる 「間違い」「間に合う」「間抜け」「間が悪い」「間が良い」——日本語には間の大切さを教える言葉がたくさんある。役者に「一間置いてください」と言うことがある。役者がゆっくり息をすれば、 その時間が間になり、観客は次にどういう台詞が出てくるのだろうと気持ちを乗り出して聞きに来る。喋りの上手さは、間の上手さと言い換えてもよい。 二種類の「間」 通常の間(約2秒)——次の展開への期待を生む 長い間(5秒以上)——受け手の想像力を最大限に喚起する 間のないしゃべりと間のあるおしゃべりは、散文と韻文の違いである。間があることで、話し 手と観客は一体になれる。切れ字と同じように、話芸の間は長過ぎても短か過ぎてもいけな い。お年寄りが多ければ間はたっぷりとり、若者が多い場合は短くなる傾向がある。 沈黙の伝達力 沈黙している間、何らかの「情報」が伝わることはない。何も情報を伝えない時間が「通じ合 えるきっかけ」を作るのである。より多くの情報をより早く伝えることが現代社会では求めら れる。だが、その逆を行く教師に生徒は心を開く——何も情報を伝えない、最も効率の悪い方法 の中に、実は強い伝達力を持った要素が潜んでいるのだ。「伝える技術」の最大の目的は、「好 き・好かれる」の関係をつくることである。

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距離と空間——心理的距離の科学 相手との距離は「心理的距離」でもある。アメリカの文化人類学者エドワード・ホールは「八つの距離帯」という考え方を提案した。 密接距離(0〜45cm) 夫婦や恋人の距離。触れようと思えば相手に触れられる。「触れら れてもいい」と意思表示している状態。 1 2 社会距離(120〜360cm) 「仕事上の付き合い」の距離。ビジネスの場で自然に保たれる間 合い。 個体距離(45〜120cm) 3 「友人同士」の距離。どちらか一方が片手を伸ばせば届く距離か ら、双方が手を伸ばして届く距離の間。異性・同性を問わない距 離感。 4 公衆距離(360cm以上) ほとんど無関係という距離。舞台と客席の関係もここに当たる。 舞台を演出する時でも、役者間の物理的な距離は基本的に心理的な距離と考える。敵対する二人はテーブルを挟んで向かい合って座る。人間には縄張り (自分のテリトリー)があるため、狭い事務所で多くの人数が働いているとストレスで思った以上に疲れる。男子トイレで一番奥の便器が最も好まれるの も、縄張り意識の表れである。リーダーの席は、全員を見渡せる位置が常道だ。

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日本と欧米——コミュニケーション文 化の違い 欧米流——「わからせる」文化 ノンバーバル・コミュニケーションという 研究領域は主にアメリカで発達している。 アメリカ人は挨拶をするとき握手を大事に し、愛情表現のキスを忘れない。驚いた時 にはことさら両手を広げ、自分の感情を人 に伝えようとする。ヨーロッパでは都市国 家や商人社会が早い時期に発達し、自分の 立場を明らかにし意思を表示しなければ自 分の権利も危うくなった。自説を主張する ための論理学・修辞学は必須の学問であっ た。「相手に、わからせ、自分を通す」の がヨーロッパ流。アメリカは多民族国家だ から「相手にわかってもらわなければ自分 の権利も危うい」という意識が強い。 日本流——「察する」文化 「お互いに、語らずに、察する」のが日本 流。農耕民族は基本的に強い自己主張をし ない——大人しく控えめな基本性格ができて いく。儒教の「謙譲の美徳」が入って来なく ても、謙遜をする国民性は持っていた。欧米 では自分の長所を並べ立て「売り込む」こ とは恥ではないが、日本では今でも必須と 考える人は少ない。京都の「ぶぶ漬け」の ように、直接言わずにサインで伝える習慣も ある。「言葉を交わさなくても、目と目が合 えば理解しあえる」のは文化程度の高い人 同士のコミュニケーションとされる。「キリ スト教の伝統では永遠こそが大事だが、日 本では瞬間というものがもつ意味は大きい」 ——諸行無常が日本人の根幹をなす心性であ る。

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相性の科学——類似性と相補性 類似性(Similarity) 「相性のいい二人」を作る第一の条件。性・年齢・出身地・出身 校・体格・服の好み・職業・性格・血液型・星座・趣味……類似性の 材料はいくらでもある。十個見つける頃には二人の心理的距離は相 当縮まっている。趣味のサークルなどは同好の士で集まるからまと まりやすい。職場の飲み会でテレビや野球などの他愛もない話をす る効用のひとつも、互いの類似性を確認することで相性をよくしてい るのだ。実は相性というものは、ある種の思い込みだったりする。 相補性(Complementarity) 「破れ鍋に綴じ蓋」の関係——お互いの長所と短所が補完し合い、二 人合わせて一人前という関係。映画や演劇に「バディ物」と呼ばれ るジャンルがある。性格や境遇の異なる二人が何らかの理由で一緒 に生活したり旅をしたりする。最初は互いに憎み合い反発しあう が、やがて目標達成のために心を通わせ、最後には理解し合い、と もに成長する物語だ。「伝える技術」の最大の目的は「好き・好かれ る」の関係をつくることであり、類似性と相補性はその基盤とな る。 介護福祉士を目指す学生が集まる福祉学科の授業でも「共通点を10個見つける」メソッドを使ったところ、実習の現場ですぐに使えると 評判がよかった。

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タイミング・嗅覚・温度——見落とされがちな伝達要素 タイミング——呼吸を合わせる 技術 話しかけるタイミングの悪い人が増え た。ネット社会では相手の都合を考え なくてもよく、自分の都合のいい時に 「伝達」が済んでしまう。その結果、 相手の様子を読むトレーニングを積ま なくなり、相手の呼吸に合わせるとい う感覚がなくなっていく。「間違い」 「間に合う」「間抜け」「間が悪い」 ——日本語には間の大切さを教える言 葉がたくさんある。タイミングという 概念は「自分中心」の人には必要な い。 嗅覚——記憶と恋愛をつなぐ感 覚 私たちの五感を考えると、視覚が最も 情報量が多く、嗅覚の情報量は最も少 ないと考えられる。だが嗅覚は人間の 感覚のとても深い部分と結びついてい る。中学生時代に同級生の女の子がリ ンスを使い始めた——その匂いが女の 子の匂いであり、初恋の記憶である。 近しい関係になれば、自然とお互いが 自分の匂いを相手に知られてもいい距 離になる。嗅覚もまたノンバーバル・ コミュニケーションの重要な要素だ。 温度——興奮と感情の演出 舞台や映画などで重要な役割を果たし ているが意外と気づかれない要素が 「温度」である。祭りや暴動のシーン は夏場で演出されることが多い。飛び 散る汗や筋肉の盛り上がった裸が画面 に躍動感を溢れさせる。暑いとき、人 は興奮する——温度は感情と直結した ノンバーバルな要素なのだ。

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まとめ——「見た目」を磨くことが最大の 投資である 行きつけの飲み屋の女将は「お客さんがどういう人かは、一目見れば大体判りますよ」という。こういう人 は言葉に騙されない——というより、たくさん騙されて、人を見る目を養ったのである。 結局、鍍金がはがれる「話し方」を勉強するより、一生使える「見栄え」を身につけた方が得だとも思 う。 を制する 93% 言語は7%。残りの93%——表情・声・仕草・距離・色・間——を意識的に磨くことが伝達力の本質だ。 外見は人格を変える 服装・メイク・髭・サングラス・前髪——小道具が心理を変え、立ち居振る舞いを変え、ひいては人格 の一部さえも変える。 間と沈黙の力 何も伝えない沈黙の中に最大の伝達力が潜む。「好き・好かれる」関係をつくることが、伝える技術の 最大の目的である。 文化的土壌を知る 「わからせる」欧米流と「察する」日本流。自文化のコミュニケーション様式を知った上で、ノンバー バルの技術を意識的に活用せよ。