探究学習に効く「次のアイデア」の発想法 情報エレクトロニクスから学ぶ!

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December 24, 24

スライド概要

探究学習に取り組む高校生に向けた出前講義資料です。情報エレクトロニクスに関わる大学での学びを高校生向けにアレンジして、探求学習への取り組み方を講義しています。

本資料は神奈川工科大学電気電子情報工学科コミュニケーションロボティクス研究室(山崎研)の講義資料です。
神奈川工科大学では地域貢献の一環として無償で各学校への出張講義を実施しています。
出張講義をご希望の学校様はこちらよりお問い合わせください。
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神奈川工科大学 工学部 電気電子情報工学科 コミュニケーションロボティクス研究室。

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各ページのテキスト
1.

電気電子・AI・メカトロニクス高校講座シリーズ 情報エレクトロニクスから学ぶ! 探究学習に効く「次のアイデア」の発想法 神奈川工科大学 工学部 電気電子情報工学科 情報エレクトロニクスコース 准教授 山崎 洋一 [email protected] URL: http://yamalab.com @Yoichi_Yamazaki 1/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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今日の講義内容  探究で何を学ぶのか  次の疑問をもつ  ロボットシステムのしくみ  人のようにはたらくための3つの機能  センサの基本  センサの基本  タッチセンサ  赤外線センサ  次のセンサを考える 3/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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探究で何を学ぶのか(基礎編) 高校生のための探究学習Beginners (神奈川工科大学 研究室ガイド2025) 「網目の細かい」ものの見方・考え方の枠組み・説得力 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com 4/35

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「網目の細かい」もの見方: 知識が見え方を変える① 5/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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「網目の細かい」もの見方: 知識が見え方を変える② 1994年10月1日から1995年3月31日のデータを元に作成 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

6.

「考え方の枠組み」の例: 山崎研究室で何ができるようになるのか? できないことができるようになる やりたいことができるようになる ゼミで身につくスキル 剛柔相済 ・技術は力、アイデアは技 ・技術力×アイデア =つくれるもの 電子サイコロ ・トラブルシューティング ・システムの考え方 ・「問題箇所」を切り分ける 研究のススメ方 論文の読み方・書き方 ・旅程を決める 西を目指して歩かない ・「卒研⇔卒論」のススメ ・論文のアウトライン ・タイトルのつけ方 ・読者の気持ちを考える ・結論が先 NYの超エリートビジネスマン ・論文のピラミッド ・タイトルの重要性 ・SPIN:説得できるストーリ ・論文の書き方10か条 ・問題設定を明確に ・自分の仕事を中心に ・実験環境・手順を詳細に ・参考文献は引用 ・メッセージを明確にして文を書く あ!どうしたらいいかわからない →「見る・聞く・試す」 試すときは 説明する力 「マイコンができる」って? アイデアの出し方 ハッカソン ・「カンタンな例」をかんがえる ・数え上げて評価する ・共通するルールをみつける プレゼン力=説得する力 ・10人のお客さん ・視覚的に示す 「おなかすいた」では料理は来ない ・主述を対応させた簡潔な短文を ・意味が一つになるように ・主観を排除し、客観的な表現を 「超すげぇ」はNG ・著者が特定できないよう ・敵を作る表現を避ける 7/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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「考え方の枠組み」の例: あ!どうしたら良いかわからない! → どうせ『見る』『聞く』『試す』だな 論文・本・ネットで調べる 見る マニュアルを読む 知ってる人に聞く 聞く 誰かに助けてもらう 試す 「カンタンな例」 をかんがえる 数え上げて 比較・評価する 共通するルール をみつける 8/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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「説得力」を持たせるには: あ!○ ○をやりたい! → 相手のニーズに応えればよいのだな SPIN: 営業のための4つの質問 S: 状況を把握 P: 問題を明確する I: 予測させる N: 解決に必要なもの 研究の流れ 背景 問題設定 先行研究 → 未解決の課題 提案 9/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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「説得力」を持たせるには: 論文の構成 Structure of Paper 読むとき: トップダウン 書く時:ボトムアップ タイトル Title 要旨 Abstract reading: top-down 1. 2. はじめに Introduction N. writing: bottom up おわりに Conclusion 3. ... N-1. 先行研究・技術背景, 提案手法,評価実験,… previous work, technical background, proposed method, evaluation experiment… 参考文献 Reference 付録 Appendix 1. はじめに 背景 問題設定 3 内容の概要 (実験結果の前まで) : 5 N. おわりに 目次 :1~2 内容のまとめ (実験結果,考察まで) 5 展望 : 3 ← 分量の目安 10 : 8 Point! 論文を効率的に読む・書くためには,論文の基本構成を理解しておく必要があります。論文は上図のよう なピラミッド構造が基本。ピラミッドの上の階層は下の階層の内容のエッセンスであり,下の階層は上の 階層の論拠を担保する内容になります。 読むときは,上からトップダウン的に読み進めると,素早く内容を把握することができます。書くときは, 10/35 ピラミッドの下からボトムアップ的に書き進めると取り組みやすいでしょう。 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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探究で何を学ぶのか(発展編) 「次の疑問」をもつ 「網目の細かい」ものの見方・考え方の枠組み・説得力 一巡してから 「次の疑問」を 考えると 疑問・ トライ&エラーが レベルアップ! 11/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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次のアイデアを生み出す「考え方の枠組み」 RameshのIdea Hexagon X↑ 技術に着目して列挙する: ハンマーで打てる対象をすべて探す X nXet X 逆のことをする X++ 形容詞を追加する X+Y 異なる概念を 融合する Xd 別の次元に 一般化する X↓ 対象に着目して列挙する: 釘を打てる技術をすべて探す 12/35 Photo by Joi Ito 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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3つの機能 例:ボールを蹴る <人の場合> 目で 頭で判断し 筋肉を動かす 知覚 判断 行動 センサ コンピュータ アクチュエータ カメラで コンピュータで モータを ボールをとらえ 判断し 動かす ボールをとらえ <ロボットの場合> 14/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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センサのイメージ センサとは人の感覚の相当するもの 人の感覚 触角 視覚 聴覚 嗅覚 味覚 前庭感覚 運動感覚 カメラ 赤外線・超音波 マイク ガスセンサ 味覚センサ 加速度センサ ジャイロ ポテンショ エンコーダ センサ タッチセンサ 15/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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センサの基本 センサ:測定対象を検知し信号に変換するもの 外界 測定対象からの入力 センサ 出力信号 電圧など 時刻t 連続値信号(アナログ) 電圧など High Low 時刻t 2値信号(デジタル) 16/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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タッチセンサ:すべてのセンサの基本! 検知のしくみ タッチセンサ ①何を検知? ※接触すると ONになって通電する ➩ 接触 ②どんなしくみ? ➩ スイッチ 例) 出力される信号 電圧 マイクロスイッチ タクトスイッチ ※接触すると ONになって通電する High Low 時刻t 17/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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赤外線センサ:フォトリフレクタ フォトリフレクタのしくみ 赤外線センサ フォト フォト トランジスタ ダイオード 赤外線LED ①どんなしくみ? ➩ 発光部:赤外線LED(IR-LED) 赤外線 受光部:フォトトランジスタ フォトダイオード LED 決まった方向に 電流を流すと発光する フォトトランジスタ 赤外線光を受けると 決まった方向に電流が流れる 発光素子と受光素子をペアで用いる 例) 検知のしくみ フォトリフレクタ PSDセンサ 物 体 ※PSD: Position Sensitive Device 反射光を利用して検知 18/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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neXtを考える① X++ : 形容詞を加える X++ : 形容詞を加える 既存のXに質的な側面を追加してコンセプトを強化する 例)安い、速い、軽い、細かい … …など 例)フォトリフレクタ +「細かい」 … 反射光の強さに着目して2値から多値へ分解能を上げる 色 距離 物 体 近い 白地 黒線 (光を反射) (光を吸収) 白の方が反射光が強い 物 体 遠い 近い方が反射光が強い 19/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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neXtを考える② Xd : 別の次元に拡張する Xd : 別の次元へ一般化する 既存の概念Xを新しい次元に拡張する 時間要素、空間的な次元、別の現象 … … など 例)フォトリフレクタの2次元平面への拡張 光学マウスのイメージセンサ 机 ① LED光の反射強度で凹凸を検出 フォトダイオード フォトダイオードを格子状に配置 ②強度パターンの変化で動きを検知 20/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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neXtを考える② Xd : 別の次元に拡張する Xd : 3次元への拡張 LiDAR 21/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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測定の基本(2)測定対象 長さ・形状 LiDER Visualization of LIDAR data(Kushleyev , 2011) https://youtu.be/nXlqv_k4P8Q 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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neXtを考える③ X↑ : 技術に着目して列挙 ハンマーで打てる対象をすべて探す X↑ : 技術に着目して列挙する ハンマーで打てる対象をすべて探す 例)赤外線で測れるものを列挙すると 色 距離 温度 低 温 近い 白地 黒線 (光を反射) (光を吸収) 白の方が反射光が強い 物 体 高 温 遠い 近い方が反射光が強い 高温の方が熱放射が強い 23/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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neXtを考える④ X↓:対象に着目して列挙 X↓ : 対象に着目して列挙する 釘を打てる技術をすべて探す 釘を打てる技術をすべて探す 例)「波」を用いた距離の測定 フォトリフレクタ ミリ波レーダー 物 体 ミリ波の反射周波数 赤外線の反射強度 超音波センサ 音源方向検知 物 体 超音波の反射時間 音波の時間・周波数差 24/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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発展:neXtを考える①+④ Xd +X↓:音源方向検知 視覚による距離の認識 視覚による距離の認識 左右の聞こえ方の差を利用し 音源の方向を知覚 右目の見え方 (2D) 左目の見え方 (2D) 両眼の視差を利用し奥行きを知覚して 立体的に認識(3D) 複数のマイクの音情報の差を 利用し音源の方向を知覚 25/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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neXtを考える⑤ X :逆のことをする X : 逆のことをする 正反対のことを発想してみる 例)赤外線を「知覚」ではなく「行動」に使う:リモコン 送受信の原理:明滅パターンで信号を送信 t リモコン側 (発光部) 受信側 (受光部) 参考:モールス信号 26/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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neXtを考える⑥ X+Y :異なる概念を融合する X+Y : 異なる概念を融合する 例)Pepperの目 RGBカメラ 赤外線カメラ 赤外線LEDマトリックス 27/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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ヒューマンインタフェースの例: Microsoft Kinect 29/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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おまけ リンクの順運動学② 深度センサによるモーションセンシング  カメラ画像と深度センサの情報から 骨格情報学習データに基づき関節点を認識 30/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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おまけ リンクの順運動学② 関節角の求め方 ひじの角度は 肩・ひじ・手の3点がつくる ベクトルのなす角として計算できる 31/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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角度の計算例 左図の2つの点A(x1, y1),点B(x2, y2)が与え られたとき、ベクトル a , b のなす角θを 求めなさい。 y y2 B y1 θ b x2 O A a x1 x 32/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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次のアイデアを生み出す「考え方の枠組み」 RameshのIdea Hexagon X↑ X+Y 技術に着目して拡張 異なる概念を 融合する Xd X nXet X 逆のことをする X++ 形容詞を追加 別の次元に 一般化 X↓ 対象に着目して 列挙 33/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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今日のまとめ  探究で何を学ぶのか  次の疑問をもつ  ロボットシステムのしくみ  人のようにはたらくための3つの機能  センサの基本  センサの基本  タッチセンサ  赤外線センサ  次のセンサを考える 34/35 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

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センサーに反応しない手袋 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

33.

探究のその先:世界で活躍する大学生になろう Laval Virtual 2023 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

34.

探究のその先:世界で活躍する大学生になろう Laval Virtual Awards Ceremony 2023 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com

35.

Laval Virtual 2023参加レポート プレス・リリース 電気電子情報工学科 山崎研究室 yamalab.com