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November 25, 24
スライド概要
WHOは2000年代からデジタルヘルスの普及によるUniersal Health Coverageの推進について研究してきており、その評価手法も確立してきました。7分野23指標による評価が公開されていますが、日本は先進国としては総合成熟度3と低評価に終わっています。指摘された問題点を一つずつ検討し成熟度を高める努力が必要と思います。
1970年生まれ。マイコン少年として育ち、1995年に医師免許取得。以後、血液内科で修練すると同時にインターネット、情報システムに興味を持ち医療情報学の研究を始める。 医療分野のオープンソースソフトウェア、医療情報標準規格について研究、医療DX教育にも携わってきた。
Global Digital Health Monitorにおける日本のデジ タルヘルスの評価と課題 小林慎治
https://digitalhealthmonitor.org/
Agenda • 「デジタル敗戦」 • WHOのデジタルヘルス戦略 • Global Digital Health Monitorにおける日本の評価と課題
デジタル敗戦
デジタル敗戦 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd113000.html
COVID-19での「デジタル敗戦」 • 感染対策としての行政のデジタル化の遅れ • 感染症法での届け出がFAXであったことが象徴的に捉えられる。 • 地方自治体と国の情報共有・集約が初期にうまくいっていなかった。 • COCOAの不具合放置 • HER-SYSなどへの不満 • 日本(文化)のデジタル化の遅れ? • はんこ • FAX • DXを嫌う文化? • 日本医療の性質?
https://www.nytimes.com/2020/07/13/upshot/coronavirus-response-fax-
FAX廃止しただけでDXですか? 報告書にはんこ押して 報告書にサインして スキャンして FAXで送信 PDFを作成して 提出完了 メールに添付して送付 印刷して保管
COVID-19による10万人あたり累積死亡 https://ourworldindata.org/covid-deaths#cumulative-confirmed-deaths-per-million-people
日本のデジタルヘルスは遅れているのか? • 評価基準・尺度は何か? • FAXだけで評価していいのか? • 電子カルテの普及率? • 比較対象はどの国か? • 北米とヨーロッパはデジタルヘルス先進国とされていることが多いが、 取り組まれている内容も異なる。アメリカでも州による違いもあり、 カナダはさらに違う。ヨーロッパも各国で異なる。 • どこを改善すればいいのか? • 政策としての優先順位をどのようにつけていくか。 • 何を目的としてデジタルヘルスを進めていくのか。
WHO Digital Health • WHOは2000年代よりデジタルヘルス について研究を進め、Universal Health Coverage達成のために低中所 得国のデジタルヘルスを戦略的に推進 してきた。 • 国のリーダーシップと効率よい投資計 画を重視 • 以下の2文献は必読。 • Global strategy on digital health 2020-2025 • https://www.who.int/publications /i/it em/9789240020924 • Digital Implementation Investment Guide (DIIG): Integrating Digital Interventions into Health Programmes • https://www.who.int/publications /i/it em/9789240010567
https://monitor.digitalhealthmonitor.org/map
https://monitor.digitalhealthmonitor.org/country_profile/JPN
GDHM: Country summary(Japan) • In the case of Japan, it is difficult to say government approval because the Ministry of Health, Labor and Welfare, the Ministry of Economy, Trade and Industry, the Ministry of Internal Affairs and Communications, and the Cabinet Office are all involved. In addition, the medical care system and the insurance system, which is related to revenue for the field, are on opposite sides, with the field responsible for more than half of the services and the government wanting to lower costs. Academia also has its own position, and opinions are divided, making it difficult to accurately understand the current situation. I have described the situation in academia as one of equality • 日本の場合、厚生労働省、経済産業省、総務 省、内閣府がすべて関与しているため、本調 査で政府の承認をえるのは困難です。 • さらに、現場にとっての収益に関連する医療 制度と保険制度は、サービスの半分以上を現 場が担当し、政府がコストを下げたいという 逆の立場にあります。医学会も自身の立場を 持っており、意見は分かれているため、現状 を正確に理解するのは難しいです。私は学術 的立場で書かれた状況を公平性の意味でとり あげております。 https://monitor.digitalhealthmonitor.org/country_profile/JPN
GDHMで低評価されていた分野と課題 • Leadership and governance, Strategy and investment • デジタルヘルスを所掌する省庁が分散し、一貫した戦略がない • 医療DX推進本部、医療 DX の推進に関する工程表、2023年5月 • Gender consideration • Legislation, Policy and Compliance • 公衆衛生目的での越境データについての総合的ルール策定 • Workforce • 公共セクターでのデジタルヘルス専門人材のキャリアパスが無い • Standard and interoperability, Infrastructure, Service and application • 国家的な診療情報交換、データ活用をする基盤が無いこと • マイナポータル事業が進めば改善するであろう。 • マイナンバー、HPKI、医療等ID
まとめ • WHOは2000年代よりデジタルヘルスを推進し、その普及のた め評価手法について研究してきた。GDHMはその研究成果の一 つであり、7分野23指標で客観的に国のデジタルヘルスの成熟 度を評価して公開している。 • 日本のデジタルヘルスはGDHMで3と先進国としては低い評価 をされている。 • 低評価されている指標を改善していくには産官学での協力が必 要であり、本学会も果たすべき役割は大きいと考える。