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January 22, 24
スライド概要
明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室
優柔不断度合いを 再現可能なタスクの設計と 視線情報を用いた 後押し手法の評価 明治大学 小松原達哉 中村聡史
背景 選択研究 人々は日常の中で数多くの選択を行なっている • 人の選択行動について多様に研究されている • 選択タスク中の閲覧行動や,決定後の印象などさまざまな検証 1
背景 選択タスク 我々の過去の実験において用いた選択タスクで 選択理由として • 「過去に行ったことがあるから」 • 「普段からその料理を食べるから」 →実験協力者ごとに悩みやすさが異なる 他人におすすめの観光地を 回答するタスク 小松原 達哉, 中村 聡史. 視線計測による興味推定を用いた優柔不断な選択者を後押しするシステムの提案, 第14回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム,2022. 2
背景 選択タスク 画像情報の統制 • 画質の差異 • 既視感のある画像 これらを避けて 選択肢となる情報を 選定する必要がある 使用したい年賀状のデザインを回答するタスク 3
背景 選択タスク 過去に行われている選択に関する研究において 1種類の選択タスクのみや選択肢の数が少ない選択タスクで 実験を行なっているものは多い(Spinksら 2015 など) →複数種類の選択タスク間での悩ましさの統一 →バリエーションのある選択肢情報の検討 Spinks, J., Mortimer, D., Lost in the crowd? Using eye-tracking to investigate the effect of complexity on attribute non-attendance in discrete choice experiments, BMC Medical Informatics and Decision Making, 2015 4
本研究での問題と目的 問題 実験協力者を一律に 悩ませるタスクの設計は難しい 目的 選択実験での使用に適した 悩ませる選択タスクの設計 5
タスク設計 条件と手法 • 実験協力者個人の知識経験による影響の低減 • 選択タスクの種類を増やしやすくする • 選択肢を増やしやすくする 生成AIに着目 6
タスク設計 生成AI AIによって生成される 言語情報:人間の書く文章と大差ない(Sadasvianら 2023) 画像情報:架空の存在でも写実的に描写可能 生成AIを用いて実験協力者の知識や経験に左右されにくい 架空の選択肢情報を生成する →本研究ではchatGPTのGPT4を使用 Sadasivan, V. S., Kumar, A., Balasubramanian, S., Wang, W., and Feizi, S. "Can AI-Generated Text be Reliably Detected?" arXiv (2023). 7
タスク設計 選択肢情報 過去の実験で用いた選択肢では 簡単な情報のみであると優柔不断な人でも早期に意思決定ができる 画像情報+数点の情報を用いる 今回のタスクでは • 画像情報 • 名前 • 数値情報(レビュー点,時間) • 短文情報 8
タスク設計 1.選択タスクの題材決定 設問分の問題作成 料理を選ぶ にフォーカス とある駅で友人と食事をすることになったあなたは 近所のレストラン10ヶ所を調べました. すると,それぞれの店のレビュー点数や価格帯 駅からの所要時間がわかりました. この中からどこに行きますか? 9
タスク設計 2.選択肢の文字情報生成 レストランの選択肢 ・レストラン名 ・店の特徴 ・レビュー点数 ・価格帯 ・駅からの所要時間 10
タスク設計 3.画像生成 前提条件 • プロンプトの店において提供されている商品を 紹介する画像を生成してください • 価格帯に合わせて見栄えを調整してください プロンプト • コージーカフェ・レトロ • 徒歩2分 • 価格帯:¥950~¥1450 • レトロな雰囲気の中で手作り感溢れる パンケーキとコーヒーを提供するカフェ。 11
タスク設計 Restaurant Spot Souvenir Movie 架空のレストランから 友人と行きたい箇所を決定 架空の旅行に行った際の 訪れる観光地を決定 架空の国へ旅行に行った際の 家族へのお土産を決定 空き時間に視聴する 架空の映画を決定 12
実験 AIによって生成した選択タスクを用いて 提案システムを利用しながらの選択実験 設計した選択タスクを用いて選択実験を行えるか 実験協力者がどのように選択タスクに取り組むか 13
これまでの研究 メガネ型アイトラッキングデバイスによる視線計測から興味推定を行い 意思決定の後押しをしてくれるシステム メガネ型 アイトラッキングデバイス 選択肢 推薦 注視された選択肢の分析 小松原 達哉, 中村 聡史. 視線計測による興味推定を用いた優柔不断な選択者を後押しするシステムの提案, 第14回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム,2022. 14
実験 • 実験協力者は設問文に従って 制限時間3分で選択を行った • 選択肢はiPadで閲覧 システム →残り時間が1分になったタイミングで 正面PC画面に推薦提示 実験の様子 画面上での推薦 15
実験 実験の流れ システムの推薦による影響を調査するため 4つのタスク中2つを推薦なしで行った 実験工程 16
実験 決定後に記述や7段階で 行った選択に対して回答するアンケートを実施 • 選択肢の決定理由 • 回答の制限時間について • 選択後の満足度 など 17
結果 アンケート「その選択肢に決定した理由」への回答 推薦なし36件中28件において 選択肢の情報を比較して決定していた • 「駅近で値段も安く,評価も悪くなかったため」(Restaurant) • 「海に行くこととパーティーが好きなので移動時間は他の観光地と比較して長いですが 魅力的なので選択しました.」(Spot) 架空の選択条件に対しての対応も可能 • 「ベリーが有名な場所ということで,ジャムが一番素材を感じられると思ったから」 (Souvenir) 18
結果 選択率 それぞれの選択タスクにおける選択回数 →RestaurantやSouvenirでは選択率に偏りが見られた →SpotとMovieでは多くの選択肢が選ばれていた Restaurant Souvenir Spot Movie 6回以上選ばれた選択肢 1 1 1 0 ⼀回も選ばれなかった選択肢 4 4 1 2 19
結果 システムの影響 アンケート項目への回答 Q3 Q4 Q5 Q6 Q7 Q8 全体 3.26 4.17 5.61 3.06 3.51 4.21 推薦なし 2.94 4.08 5.56 2.94 3.72 4.28 推薦あり 3.58 4.25 5.67 3.17 3.31 4.14 Q「今回の選択に悩まされましたか」 推薦ありの方が悩まなかったと回答 Q「回答時間についてどう思いましたか」 推薦ありの方が長く感じたと回答 20
結果 システムの影響 Q「回答時間についてどう思いましたか」(1: 足りない~7:長い) Restaurant Souvenir Spot Movie 全体 4.61 4.28 3.94 3.83 推薦なし 4.40 4.20 4.25 3.38 推薦あり 4.88 4.38 3.70 4.20 Spot選択意外において 推薦ありの方が回答の制限時間を長いと回答している 21
考察 選択肢情報 選択肢の情報を吟味した後に意思決定しているケースが多い 選択肢情報について より一長一短な調整などを施すことで選択率を調整できる可能性 • 金額が安いが移動時間が長い • 物珍しい選択肢だがレビューが高い 22
考察 選択肢情報 RestaurantとSouvenirにて選択率が偏った • 「友人と行くレストランを決定」 を尋ねる問題文 • 「家族に買うお土産を決定」 →対象者が自分でない選択では無難なものを選びやすい 一長一短なだけでなくバランスの取れた選択肢情報の必要性 23
考察 システムの影響 各設問と推薦の有無による関係 選択タスクに限らず推薦ありにおいて悩まなかったと回答されやすい Spot選択意外で制限時間を長く感じた 多くの場合において 推薦によって悩みを減らし 意思決定を早めた システムによって意思決定が後押しされた 24
考察 各設問と推薦の有無による関係 Spot選択タスクのみ制限時間への印象は変化せず Spot選択タスクのみ 他のタスクより文字の情報量が多かった (場所概要,移動時間,所要時間,ユーザ評価) ↓ 付加されている情報を読むことに時間がかかった結果 25
今後の展望 選択タスクにおける問題 タスクの難易度に関する定義付け それに伴う自動的な選択タスクの難易度調整 システムの実用性 選択結果について購入したり時間を費やす場合の システムの影響の調査 26
優柔不断度合いを再現可能なタスクの設計 と 目的 選択実験で使用する 「悩ませるタスク」の設計 実験 設計した選択タスクを 推薦システムの実験で使用 まとめ 視線情報を用いた後押し手法の評価 手法 生成AIを用いて 架空の選択肢情報を生成 結果 • 生成された選択タスクを 用いたことによって 選択肢情報が詳しく 比較検討されていた • 推薦システムによる 後押しの効果も見られた 27