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June 03, 23
スライド概要
JE6RPM(opr. JH5GHM)での2023年CQ WPX CW参加顛末記
JE6RPM 2023 CQWPX CW SOHP JH5GHM SOAPBOX
コンテスト参加は2021年のCQWW CW以来の1年半ぶり、WPX CWは前回参加 の2019年から4年ぶりとなる。 WPXではひたすら局数を重ねることが肝要なので、ある程度の設備があるな ら設備のグレード向上を画策するより2BSIQを多用する運用方式の方がスコア の向上には有効であることが持論。 2BSIQについては日々の練習からコンテストナンバーに合わせたタイミングの 取り方を体で覚えこませ始めて久しく、ナンバーが固定でないシリアル番号の 場合は “?" の送出とR1/R2の即時の送信切り替え、切り戻しを駆使することで 相手に再送を促しつつタイミングをずらす技巧的(冷静な目でみると不恰好な やり方とも言える)な技を習得。 2
そして昨年の2月に実現させたS&P用のシミュレータを使用し、いわゆる classic SO2R(Run+S&P)を日々の練習として継続的に実施していることでこの 運用形態での送受の切り替えやタイミング取りを自分なりに確立しつつある状 態でのコンテスト参加でもある。局数を伸ばすには2BSIQが有効とは言え、そ れでもレートが落ちてくれば局数(+マルチ)を取りに行かざるを得ず、スコアの 向上を狙うには必須の運用方法。SO2Rでは、RunだけあるいはS&Pだけを実 行するだけよりも両方を同時に実施してそれぞれの隙間時間を有効活用するこ とが局数(+スコア)向上の肝となる。SO2Rについては言葉や概念が先行し、決 定打となる具体的な運用作法が曖昧でネット等からの情報でしっくりするもの を私自身見つけることができず、結局のところ毎日のように練習することで効 率を高めたSO2Rの運用方式を自分なりに確立するしかないのではと考えてい る。 3
この時期のコンディションは、春や秋の頃のハイバンドの北米が日の出前 後に開けて23Z以降は中西部方面だけに落ち着く、という典型的な状況と は一線を画すため運用時間帯の配分を間違えないようにすることが肝要。 そして今回もそれが当てはまった。 4
他のコンテストとは違い、WPXではどんなに1日目が好調でも2日目はそれ ほど伸びないというのも経験的にわかっているのでこのあたりも考慮した 時間配分が定石となる。36時間までの運用となるのでハイバンドの朝の北 米への期待はせず、コンテスト終了間近の2時間は運用しない。そして2日 目の運用開始は06UTC。これだけで8時間の休憩。残りの4時間は1日目の 最後の2時間(22-00Z)と開始2時間後ぐらいからの2時間を想定。コンディ ションによってこれらの時間を多少やりくりすることを織り込んでおく。 5
今回は少し前まで地磁気状態が不安定であったが、安定状態になりつつあ るのとSSN/SFIはいい数字であったこともあり、内心かなりいいコンディ ションになるのではと期待していた。 6
初めて今回使用するアイテムは外部knob。 43インチディスプレイ全体を見ようとすると視 界がリグで遮られるためリグは机の右端に寄ら ざるを得ず。そのためリグ本体のVFOまでの物 理的な距離が遠くなり、S&P時の腕の動作が煩 雑になる。これを解消するために周波数の相対 変更を実施するCATコマンドを直接RS232に注 入する装置を利用。PC(ロギングソフト)を経由 するとリグと同様の操作感覚を得ることはかな り難しい(回転数を少し速くするとCATデータの 抜けが発生して操作に違和感を感じる)。 7
エンコーダにはOMRONの光学式の1000pprの ものを使用し、1回転あたりのステップ数をリ グ内蔵と同じにしてあり、1回転あたり10kHz (10Hzステップ)となる。かなり速く回しても周 波数の抜けはほとんどない。エンコーダとCAT の処理はArduino DUE(84MHz)を使用。2560 MEGA(16MHz)ではエンコーダの割り込み処理 の負担が大きいようで、抜けや処理の中断が頻 繁に発生してしまい、実用的ではない。 8
開始は20mと15mの2BSIQ。ところが、自作したSO2R Neo経由での音声 切り替えが開始直後からメッセージ送出中に意図せず発生し、メッセージ のバッファリング機能が中途半端な状態であることも判明。音声切り替え は相手にナンバーを送る際に相手コール送出後にサイドトーンが聞こえて しまい2BSIQ中の受信音を邪魔されてしまう。バッファリングについては メッセージ送出途中で次のメッセージのバッファリングが効かず送出中の メッセージが中断されてしまう。やむなくバッファリングを期待せず、 メッセージ送出完了を待ってから次のメッセージを送出操作するよう自分 の動作を合わせることで対処。それでも開始からの2時間と少しで210Qと なり、過去のいずれのWPX CWよりもペースがいい状況。しかし計画した 時間配分のため、0206Zにて一旦強制休憩。 9
この時間、まずはSO2R Neoの代役としてYCCC SO2R Box+と WinkeyerUSBに置き換え。そして元々この時間は眠りを入れるよりもバン ドの開け状況や他局がどのバンドにQRVしている、あるいはナンバーから この時点での自分のおおよその立ち位置等を把握。シリアルナンバーから すると、すでにアドバンテージがある模様。 10
WPXではS&PをしなくてもRunによるQSOに応じてマルチも割とリニアに 増えるため、この時点でのコンディションの状況から再開時点でのS&Pは 未だ実施しないこととした。よって再開後も2BSIQ。ただしバンドを15m と10mにして。10mではすでに近場のヨーロッパから呼ばれ、15mではDL あたりから呼ばれる状況。加えて過去カスカスばかりに呼ばれて難儀して いた頻度も思っていたほどでもなく、5月末のコンディションでこの状態だ とかなり期待できると実感。 11
SO2R Neoの代役となったSO2R Box+とWinkeyerUSBにより期待通りの動 作となり、問題は解消できた。これで送出のタイミングやサイドトーンに 煩わされることなく2BSIQに集中できる。ちなみにリグ側でサイドトーン を落とすという手もあるが、キーボード入力によるCW送出もあり、サイド トーン無しではキーの打ち間違い等に気付けないのでこの方式は自身の運 用では実施しない。 12
万全の環境となったことで、さらにひたすら2BSIQ。waterfallからは10m の若干の閑散さが気になりつつもEF8を含め結構深いところからも呼ばれ る。それでも12Zを回ると10mであまり呼ばれなくなったため、10mを 20mに変更し、20mと15mで2BSIQ。ハイバンドが好調ではあってもやは り20mは手堅い。15mは12Zぐらいから東海岸に呼ばれ始め、結局1日目が 終了する朝までEuと北米が同時にQSO可能な状態。 13
1930Zぐらいからは2BSIQでの15mを40mに切り替え。しかし20mへの 40mからのカブりが激しく、20m側のレートが落ちる。これによって 2BSIQでの40mのQSO数の比重が上がらざるを得なくなったが、ポイント のレート換算だとローバンドを続けるのに見合うかどうか微妙な状況。カ ブりによる効率低下を考慮し、64Qで40mは一旦撤退。再び20mと15mで 2BSIQとなり、次の休憩となる2230Zまで継続。レートは20Zを回るまで 100Q/h前後を維持。 14
1日目終了時点の2230ZでS&P無しの2BSIQのみで1823Q(dupe込み)。1日 目は計20時間の運用となる。UYBやGRXのナンバーを聞いてみるとそこそ こアドバンテージがある模様で、ここまでの運用戦略としては悪くはない ように思えた。 15
2日目は06Zより。2日目のこの時間は開けてはいても経験的にあまり呼ば れないので再開時はS&P。なのでclassic SO2R。Runは15m、S&Pは20m と10m。WPXはassisted/non-assistedが同じ部門になったためRBNも取り 込むJG1VGXのAR clusterに接続。以前はそうでもなかったように思うが、 今回はRBNに載らない局がそこそこいるようでclusterからのバンドマップ はあまりアテにならない。よってwaterfallのスジを見ながら順番に探す。 今回導入した外部knobの本格的な出番でもある。2日目にもなると出てい る局の多くがすでにQSO済みなこともあり、ニューマルチかどうかに関わ らず未QSOならすぐさま呼ぶ。classic SO2Rの練習効果かと思うが、この やり方で手間取ることはほとんどなかった。バンドを変えつつclassic SO2Rを継続。 16
10mでは10Zすぎからショートパスと思しきPYやCNとQSO。6エリアでは 東日本に比べて真北より西側方向に位置するPYの領域が大きいためこのパ スがより有効な模様。12Z過ぎには大西洋(西アフリカ)のCR3と。1230Zす ぎには10mに見切りをつけて20mと15mでの2BSIQ。これによって毎時ご とのレートで70〜120Q/hに改善。17Z少し前からの正味1時間でWPX CW での自身の最高レートを更新(126Q/h)。夜明けに近づくにつれ、取りこぼ した中長距離のEuを少しでも刈り取るために40mにも比重をかけつつ 2BSIQ。40mからのカブりはこの時はR1とR2を入れ替えることで回避。 17
5/28 10Z頃の日照領域との オーバーレイ。九州からだと 0°の方位角(真北)より左側の 南米の領域が東日本より大き く、一見してもショートパス が有効と思える。 18
20Zを回るといずれのバンドも極東地域が主戦場から外れ始めたためかあ まり呼ばれなくなる。シングルオペでの運用時間は最大36時間で22Zには 終了となるため、classic SO2Rや2BSIQを織り交ぜてできる限り局数を取 りに行く。19Z以降UYBはRBNに載らなくなったためすでに終了している模 様。 19
22Zに終了した時点で最後に送出したナンバーが2937で、dupe抜きでは 2885Q。減点率がいつも以上に多そうな気もするが、最終的には2800Q 前後を見込む。減点率が低ければJAのSOHPのレコード更新も期待できる がその自信はあまりない。 20
終わってみれば20mでのQSO数が最も多いが、15mとほとんど変わらな い。また、10mのQSO数も多い。過去のJAでのSOHPの上位局のバンド内 訳と比較すると「特異」とも言えそうな結果となった。にもかかわらず、 暫定のスコアや総QSO数は過去の自身のものを大きく引き離した。個人的 な印象では過去参加したWPX CWの中でもコンディションは良い方かと思 う。今回の自身の局数の伸びそのものは2BSIQによるものが大きいと考え ていて、2BSIQの有効性の確信はさらに大きくなった。 21
ロギングソフト上での暫定結果(数値はdupe抜き) 22
シリアルナンバーが使用されるコンテストでのレートは上がりにくいが、 2BSIQが功を奏したようで4QSO/minが38回、5QSO/minが1回。 ここでのTotal QSOsの数字はdupe抜き。しかし、レートはいずれもdupe 込み。 Pounce(S&P)によるQSO数は全体の6%程度。 23
RunのみのQSO(dupe抜き)についての統計情報 24
S&PのみのQSO(dupe抜き)についての統計情報 25
RunとS&PをあわせたQSO(dupe抜き)についての統計情報 26
毎分ごとのQSO数(dupe込み)(SH5を利用して作成) 27
バンドごとの各エンティティとの時間によるQSO状況(20mと15m) 28
バンドごとの各エンティティとの時間によるQSO状況(40mと10m) 29