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November 24, 19
スライド概要
学生協働フェスタin東海2019の講演スライド(職員向け)です。
1977年茨城県生まれ|皇學館大学文学部国文学科准教授・図書館司書課程|つくば→スロベニア→伊勢|図書館情報学(文学館・文学散歩・文学アーカイブ・ウィキペディアタウン・学生協働・読書会)|ビブリオバトル普及委員会代表理事(二代目)済|知的資源イニシアティブLibrary of the Year選考委員長|伊勢河崎一箱古本市
岡 野 裕 行 ビ ブ リ オ バ ト ル 普 及 委 員 会 代 表 皇 學 館 大 学 文 学 部 国 文 学 科 准 教 授 協 働 学は 生 も と 職り 員 とあ 教が 員 る 二 〇 一 九 年 十 一 月 二 十 四 日 学 生 協 働 フ ス タ in 東 海 2 0 日1 9
0.自己紹介 ●1977年 ●2000年 ●2003年 ●2006年 ●2011年 ●2013年 ●2015年 茨城県生まれ 図書館情報大学図書館情報学部図書館情報学科 卒業 図書館情報大学大学院情報メディア研究科 情報メディア専攻博士前期課程 修了 筑波大学大学院図書館情報メディア研究科 図書館情報メディア専攻博士後期課程 修了 博士(学術) スロヴェニア共和国リュブリャナ大学文学部 アジア・アフリカ研究科日本研究講座 専任講師(2007年まで) 皇學館大学文学部国文学科 助教(図書館司書課程担当) ビブリオバトル普及委員会 普及委員 知的資源イニシアティブ(IRI)Library of the Year 選考委員 ビブリオバトル普及委員会 理事 兼 東海地区代表 皇學館大学文学部国文学科 准教授(図書館司書課程担当) ビブリオバトル普及委員会 代表理事 (ビブリオバトル・シンポジウムやBibliobattle of the Yearの開催に関わる) ●2016年 ●2019年 皇學館大学附属図書館ふみくら倶楽部 顧問(学生協働団体) 知的資源イニシアティブ(IRI)Library of the Year 担当理事
1.大学図書館における学生協働とは何か 学生協働の目的 ①大学図書館の運営に利用者の視点を取り入れること。 ②学生スタッフの学習・キャリア形成支援を行うこと。 ③学生スタッフを通じて他の学生への学習支援を行うこと。 ※八木澤ちひろ.大学図書館における学生協働について:学生協働まっぷの事例から. カレントアウェアネス・ポータル.no.316,2013-06-20. http://current.ndl.go.jp/ca1795
1.大学図書館における学生協働とは何か 協働・協同・調停の違い ①協働(collaboration) ●自らが属する組織や文化の異なる他者と,一つの目標に向けて 互いにパートナーとしてともに働くこと。 ②協同(cooperation) ●明確な目標や組織を持たない,比較的短期間のインフォーマルな 協力関係のこと。 ③調停(coordination) ●協同よりもフォーマルな関係であり,長期間にわたって特定の 計画を遂行するために,調整的な努力を行う関係のこと。 ※坂本旬.「協働学習」とは何か.生涯学習とキャリアデザイン.vol.5,2008, p.49-57.
1.大学図書館における学生協働とは何か 協働の持つ特徴 ①長期間にわたる関係であること。 ②相互の緊張感が高い関係であること。 ③何らかのリスクは伴うが大きな成果が期待できる関係で あること。 ※坂本旬.「協働学習」とは何か.生涯学習とキャリアデザイン.vol.5,2008, p.49-57.
2.学生協働の当事者は誰か 学生協働は学生と職員の活動なのか? 石川らは以下のように述べている。 その一方で重要なのは,学生や図書館員がこうした大学図書館 活動を「学生協働」としてどのように認識しているのかという 点である。やや厳しい言及となるが,例えば学生は大学図書館 が提供する学生参画型「サービス」の受益者として認識しては いないか。他方で,図書館員は学生アルバイトの「代替者」 として,さらには図書館員の業務の負担軽減や,大学図書館の 実績づくりとして捉えている可能性も否定できないであろう。 ※石川敬史,近藤秀二,安達美奈子,兵賀房代,泉佳代子.大学図書館における 学生協働の意義と課題:十文字学園女子大学ライブラリーサポーターの活動を中心に. 十文字学園女子大学紀要.vol.48,no. 2,2018,p.191-203.
2.学生協働の当事者は誰か 学生協働は学生と職員の活動なのか? 廣田は“学生が主役になるにはどうすればいいのか”という 問いに対し,以下の7点を指摘している。 ①学生が教職員と接する機会を増やす。 ②学生間で協力して行う学習を支援する。 ③学生の主体的な学習を支援する。 ④学習の進み具合をふりかえらせる。 ⑤学習に要する時間を大切にさせる。 ⑥学生に高い期待を寄せる。 ⑦学生の多様性を尊重する。 ※廣田未来.お茶の水女子大学附属図書館の学生支援:ラーニング・コモンズと LiSAプログラム.情報の科学と技術.vol.61,no.12,2011,p.489-494.
2.学生協働の当事者は誰か 学生協働は学生と職員の活動なのか? 茂出木は大学図書館職員に求められる能力について, 以下の3点を指摘している。 ①調査力 ●現状を客観的に把握し,他大学や世間の動向を察知すること。 ②構成力 ●課題と問題の切り分けができること。 ③アピール力 ●何が問題でどうすればいいのかを文章にできること。 ※茂出木理子.ラーニング・コモンズと図書館:お茶大図書館改革の裏側を語る. 北海道地区大学図書館職員研究集会記録.no.52,2010,p.3-13.
2.学生協働の当事者は誰か 学生協働は学生と職員の活動なのか? ①石川・廣田・茂出木の論考は,いずれも大学図書館職員を 読み手に想定した文章である。 ②これらは本来の意図する内容である学生協働の論点整理の 記述に加え,学生協働の話題を大学図書館職員の業務と 結びつける視点を強化する働きも含んでいる。 ●協働のあり方が「学生・図書館職員」の関係しか見えてこない。 ●教員や学内の他部署職員,学外団体との連携などが 注目されづらくなる。
2.学生協働の当事者は誰か 学生協働の関係者を増やす ①学生協働は「図書館職員/学生」の二者による活動と 見なされることが多い。 ●実態としても二者間での取り組みが多い。 ②二者関係の場合、以下のような懸念が出てくる。 ●活動の際に、暗黙のうちに上下関係ができてしまう。 ●既存の枠組みや型から抜け出しづらい。 ●大学図書館という空間の制約から離れづらい。 ③上記の関係を基本としながら、学内のさまざまな教員や 学外の協力者にも積極的に関わってもらうこともできる。 ●異なる視点を持ち込める。
2.学生協働の当事者は誰か 三者で取り組む学生協働 ①メリットもデメリットもお互いで共有/分散できる。 ●良いできごとはみんなで共有できる。 ●悪いできごとはみんなに分散できる。 ②学内PR活動や事務的な交渉を教員/職員で分担できる。 ●事前の根回しや活動報告などにおいて、それぞれの得意分野で 動くことができる。 ●活動の予算獲得や学外団体との窓口など、それぞれのできる範囲で 仕事を分担をする。 ③線ではなく、面でものごとを捉えることができる。 ●あらゆる取り組みに広がりを持たせることができる。 ●表向きは全員が主役になりながら、学生たちを前面に押し出す ことができる。
3.学生協働が抱える課題と展望 学生協働を促進するための課題 ①学生支援のために設置された組織や施設でも,日常的に 学生に接触できる場を持っているわけではない。 ②学生との接しやすさに職員ごとの違いがあるならば, 相互の関与を促すための仕組みが必要である。 ●職員・学生間の交流だけではなく,学生・教員間や職員・教員間の 交流のための場と機会づくりも必要となる。
3.学生協働が抱える課題と展望 学生を中心に据えた学生協働のあり方 ①大学図書館における学生協働は,学生が主役の活動で あること。 ●誰と協働関係を結ぶのかは学生自身が決定する。 ②学生協働の取り組みを効果的に進めるに,大学図書館と いう空間の制約から解放する視点を持つこと。 ●いつ・どこで協働をするのかは学生自身が決定する。 ③学生が大学図書館で得た学びの成果を,学外において 応用する方法を探ること。 ●どのような協働をするのかは学生自身が決定する。 ④学生自身が自らの学びとなる協働関係をデザインできる ように,大学図書館職員や大学教員がそのための環境 整備に動くこと。
3.学生協働が抱える課題と展望 学生協働の展望 ①学生協働とは,学生自身が学内外のさまざまな人たちの 活動に触れながら協働関係を結び,新たなつながりと 成果を生み出す場の創出を可能とする関係のデザインを 目的とする。 ●ここでは大学図書館という空間や時間の枠組み,それに関わる人や 組織の制約を超えるような視点が求められる。 ②大学図書館の空間から学外へ出ていく活動は,短期的に 見れば図書館業務との関連性が薄いようにも思えるが, 中長期的な視点から見れば,何らかの形で大学図書館内 での活動にも還元されることになる。
3.学生協働が抱える課題と展望 学生協働の展望 ③学生たちは協働相手とパートナー関係を結ぶことで, 学びの形を自らデザインし直す機会を得られる。 ●学生たちにとってみれば,大学図書館職員や大学教員との関係も, 学びの形を自らデザインする機会となる。 ●さまざまな学生協働によって学生たちが学び取ってきたものは, 大学図書館での日常的な活動の機会を通じて学内へと還元され, 大学教員や大学図書館職員にも影響を与えてくれる。 ●他大学の取り組みやまちの文化の動向を知ること,学生や教職員の 興味・関心を呼び起こすことなど,多様な観点から学生協働の きっかけを見出し,新たな活動を創出していくことができる。 ④学生協働という言葉が意味する範囲を,それに関係する 者たち同士で認識を更新し続ける必要がある。
4.学生協働の形を更新する 更新のためのアイデアを得る ①国立国会図書館のカレントアウェアネス・ポータルなどを 参考にして、図書館業界の最新の動向を確認する。 ●カレントアウェアネス・ポータル https://current.ndl.go.jp/ ②「全国学生協働サミット」や「学生協働フェスタ」など、 他大学の事例を知る機会に積極的に参加する。 ●他大学の優良な事例は積極的に真似をする。 ●自大学ではどのように展開できるかを、学生とともにその方法を 考える。
4.学生協働の形を更新する 学生協働の形を更新する ①一見すると大学図書館の通常業務には関係がなさそうな ことにも、団体として積極的に取り組んでみる。 ●皇學館大学ふみくら倶楽部の事例には、「ウィキペディアタウン」 「一箱古本市」「ブックピクニック」などがある。 ●三重県教育委員会、市町立図書館、少女まんが館TAKI1735、 伊勢河崎商人館などの機関・施設との連携を行っている。 ②地域との交流は大学へも活動実績として報告しやすく、 大学図書館に還元されるものも少なくない。 ●団体のPR活動にもなる。 ③学生メンバーの特技を披露してもらったり、その特技を 活用した図書館サービスを考える。 ●事務的・技術的なところを教職員がフォローする。
4.学生協働の形を更新する 大学図書館を飛び出す役割 ①図書館職員は、業務として学生たちの学外活動には 簡単には出られない。 ●学生たちは学外活動の一環として、地域に出ていくことも多い。 ●本に関わる活動の場合、学生たちに協力を依頼されることが多い。 ●大学図書館の名目で学生が前面に出ていけば、教職員もそれに ついていかざるを得ない。 ②大学図書館の学生協働団体が地域活動に出ていくと、 「本好きの学生さんたちが活動に協力してくれている」と 周りから見られ始める。 ●さらに、「◯◯大学の図書館さんが協力してくれている」という 印象にも変わっていく。 ●学生の活動を通じて、大学図書館のPR活動にもなっていく。
4.学生協働の形を更新する 学生と教員、他部署職員との関係をつくる ①教員の研究・教育業績に乗っかる形で、教員が行う活動を 大学図書館の学生協働活動のひとつに位置づけてもらう。 ●研究・教育活動の場所として、大学図書館を利用してもらう。 ●学生協働団体と一緒になって研究・教育活動を行ってもらう。 ②大学の広報活動にもつなげていく。 ●学生に動いてもらうことで、教育的効果もPRに含めてみる。 ●PR活動は学外向けのだけではなく、学内向けという意味もある。 学内的なPRにも積極的に用いていく。
4.学生協働の形を更新する 学生協働団体PRを考える ①公式ユニフォームを制作する。 ●自分でも身につけたいと思うもの。 ●かわいさやかっこよさなどを大事にする。 ②公式キャラクターを制作する。 ●お金の許す限り、オリジナルのグッズを制作する。 ●皇學館大学の場合、地域振興活動のための年度ごとの特別予算が 学内に用意されており、その予算を利用している。 ●学内の予算を得ることで、大学が公式に承認した形にする。 ③支障のない範囲で個人名を出してしまう。 ●学生個人に承諾は必要となるが、活動していることをPRの材料に してもらうため、できるだけ名前を出す機会にする。
4.学生協働の形を更新する 発表をする ①活動内容のアウトプットを意識する。 ●他大学の学生や、先輩・後輩の存在を意識してもらう。 ●大学生は4年間のサイクルで活動から離れてしまう。 ●毎年必ず代替りが行われ、メンバーに変動がある。 ●先輩を乗り越えること、後輩に伝えたいことを明確にする。 ●時間の流れとともに、受け取る側から与える側へと立ち位置が 変わる。 ②自分たちの団体の活動歴を残すことを意識する。 ●冊子をつくる。 ●SNSやブログのアカウントを取得し、随時更新を行う。 ③大学が立地するそれぞれの地域社会・文化を意識する。 ●地域活動をそれぞれの地域のなかでPRしていく。
4.学生協働の形を更新する 教員が関わる仕組みを考える ①教員が図書館サービスに関わる余地をつくる。 ●選書の展示 ●教員の学外活動の報告会 ②図書館はインプット/アウトプットの場である。 ●学生だけではなく、教員や職員にとっても。
5.学生協働でできること 学生とどのように向き合うか ①学生との相互作用の機会を得る。 ●学生協働は学生とともに学び合う機会であることを理解し、 新しい取り組みを共に創造していく。 ●学生協働という機会は、教員として学生と遊ぶための口実である。 ②学生・職員・教員が共に学び合いの機会とする。 ●学生たちと関わることで、学生たちから教わることも多い。 ●学業期を卒業してしまった教職員は、既に当事者にはなれないが、 見守る人になることはできる。 ●学生時代を過ぎてしまったからこそ、自分自身が学生時代に はまれなかった/知らなかったことに対しても、距離を取って 冷静に眺めることができる。 ●学生たちとふれあうことを通して、大学図書館の活用方法や、 本や学問との関わり方を再考する。