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November 12, 15
スライド概要
Library of the Year 10周年記念フォーラムの講演スライドです。
1977年茨城県生まれ|皇學館大学文学部国文学科准教授・図書館司書課程|つくば→スロベニア→伊勢|図書館情報学(文学館・文学散歩・文学アーカイブ・ウィキペディアタウン・学生協働・読書会)|ビブリオバトル普及委員会代表理事(二代目)済|知的資源イニシアティブLibrary of the Year選考委員長|伊勢河崎一箱古本市
2015年年11⽉月12⽇日(⽊木) 第17回 図書館総合展 Library of the Year 10周年年記念念フォーラム 10年年間の Library of the Year は 私たちに何を提⽰示してきたのか ―その歩みと意義を記録から振り返る― 皇學館⼤大学⽂文学部国⽂文学科 准教授 岡野 裕⾏行行
本⽇日にプレゼンする内容は 『ライブラリー・リソース・ガイド』の 次号に掲載予定です。
Library of the Year の歩み ★印は大賞受賞機関 ☆印は会場票獲得機関
Library of the Year 2006 (2006年年・第1回) ●主 催:IRI ●企画運営:IRI ●⼀一次選考:7⽉月11⽇日 ●最終選考:11⽉月20⽇日 ●座 ⻑⾧長:⽥田村俊作 ●選考⽅方法:プレゼンターによる互選 ●⿃鳥取県⽴立立図書館(⽥田村俊作)★ ●アカデミーヒルズ六六本⽊木ライブラリー(柳柳与志夫) ●諫早市⽴立立たらみ図書館(⼤大串串夏⾝身) ●農林林⽔水産研究情報総合センター(福林林靖博)
Library of the Year 2006 (2006年年・第1回) 第⼀一次選考通過機関 味の素⾷食の⽂文化センター 芦屋市⽴立立図書館 ◯諫早市⽴立立たらみ図書館 市川市⽴立立中央図書館 岡⼭山県⽴立立図書館 光町⽴立立図書館 つくばみらい市⽴立立図書館 ◯六六本⽊木ライブラリー ◯農林林⽔水産研究情報センター OZONE情報バンク ◯⿃鳥取県⽴立立図書館
Library of the Year 2007 (2007年年・第2回) ●主 催:IRI ●企画運営:IRI ●⼀一次選考:7⽉月13⽇日 ●最終選考:11⽉月9⽇日 ●座 ⻑⾧長:⽥田村俊作 ●選考⽅方法:プレゼンターによる互選 ●⽮矢祭もったいない図書館(柳柳与志夫) ●愛荘町⽴立立愛知川図書館(⼤大串串夏⾝身)★☆ ●静岡市⽴立立御幸町図書館(⻑⾧長⾕谷川豊祐) ●横芝光町⽴立立図書館(宇陀則彦)
Library of the Year 2007 (2007年年・第2回) 第⼀一次選考通過機関 ◯愛荘町⽴立立愛知川図書館 ◯⽮矢祭もったいない図書館 ◯横芝光町⽴立立図書館 上⽥田情報ライブラリー ◯静岡市⽴立立御幸町図書館
Library of the Year 2008 (2008年年・第3回) ●主 催:IRI ●審査員: ●企画運営:IRI ⾼高⼭山正也 ●⼀一次選考:6⽉月24⽇日 ⼩小林林⿇麻実 ●最終選考:11⽉月26⽇日 佐々⽊木秀彦 ●座 ⻑⾧長:⼤大串串夏⾝身 中⾕谷正⼈人 ●候補機関: 岡本真 恵庭市⽴立立図書館(⼤大串串夏⾝身・福林林靖博) 会場票(2) 旅する絵本カーニバル (村井良良⼦子)☆ ジュンク堂書店池袋本店(柳柳与志夫) 千代⽥田区⽴立立千代⽥田図書館(⽵竹内⽐比呂呂也)★
Library of the Year 2008 (2008年年・第3回) 第⼀一次選考通過機関 ◯千代⽥田区⽴立立図書館 ◯ジュンク堂書店池袋本店 ◯旅する絵本カーニバル ◯恵庭市⽴立立図書館 ⻑⾧長崎市⽴立立図書館
Library of the Year 2009 (2009年年・第4回) ●主 催:IRI ●審査員: ●企画運営:IRI ⼩小林林⿇麻実 ●⼀一次選考:6⽉月25⽇日 佐々⽊木秀彦 ●最終選考:11⽉月12⽇日 佐藤達⽣生 ●座 ⻑⾧長:⽷糸賀雅児 新⾕谷迪⼦子 ●候補機関: 千野信浩 渋沢栄⼀一記念念財団実業史研究情報センター (岡本真) 南亮亮⼀一 ⼤大阪市⽴立立中央図書館(⽷糸賀雅児)★☆ 奈奈良良県⽴立立図書情報館(宮川陽⼦子) 会場票
Library of the Year 2009 (2009年年・第4回) 第⼀一次選考通過機関 ◯渋沢栄⼀一記念念財団実業史研究情報センター ◯⼤大阪市⽴立立図書館 ◯奈奈良良県⽴立立図書情報館 エル・ライブラリー 岡⼭山県⽴立立図書館 東京⼥女女⼦子医科⼤大学病院からだ情報館
Library of the Year 2010 (2010年年・第5回) ●主 催:IRI ●審査員: ●企画運営:図書館総合展運営委員会 ⽷糸賀雅児 ●⼀一次選考:6⽉月29⽇日 佐藤潔 ●最終選考:11⽉月26⽇日 佐藤達⽣生 ●座 ⻑⾧長:⽷糸賀雅児 ⼩小林林⿇麻実 ●候補機関: ⼩小出いずみ カーリル(内沼晋太郎郎)★☆ ⽔水⾕谷⻑⾧長志 京都国際マンガミュージアム(岡本明) 会場票 神⼾戸⼤大学附属図書館デジタルアーカイブ事業 (坪井賢⼀一) 【特別賞】置⼾戸町⽣生涯学習情報センター
Library of the Year 2010 (2010年年・第5回) 第⼀一次選考通過機関 ◯京都国際マンガミュージアム 東近江市⽴立立図書館 ◯神⼾戸⼤大学附属図書館デジタルアーカイブ事業 ◯カーリル ゆうき図書館
Library of the Year 2011 (2011年年・第6回) ●主 催:IRI ●審査員: ●企画運営:図書館総合展運営委員会 ⽷糸賀雅児 ●⼀一次選考:6⽉月7⽇日 新⽥田満夫 ●最終選考:11⽉月11⽇日 鳴海雅⼈人 ●座 ⻑⾧長:⽷糸賀雅児 吉本⿓龍龍司 ●候補機関: ⽔水⾕谷⻑⾧長志 ⼩小布施町⽴立立図書館(⼤大串串夏⾝身)★☆ 野末俊⽐比古 東近江市⽴立立図書館(岡野裕⾏行行) 会場票 住み開き(千野信浩) 森ビルによるライブラリー事業(満尾哲広)
Library of the Year 2011 (2011年年・第6回) 第⼀一次選考通過機関 ◯住み開き ◯森ビルによるライブラリー事業 ◯⼩小布施町⽴立立図書館 ⽂文化学園⼤大学図書館 福井県⽴立立図書館 ◯東近江市⽴立立図書館
Library of the Year 2012 (2012年年・第7回) ●主 催:IRI ●審査員: ●企画運営:図書館総合展運営委員会 ⼤大串串夏⾝身 ●⼀一次選考:6⽉月14⽇日 安⽥田清晃 ●最終選考:11⽉月20⽇日 村井良良⼦子 ●座 ⻑⾧長:⼤大串串夏⾝身 林林賢紀 ●候補機関: ⼩小⽥田光宏 ビブリオバトル(岡野裕⾏行行)★ ⼩小林林⿇麻実 saveMLAK(熊⾕谷慎⼀一郎郎) 会場票 三重県⽴立立図書館(⾼高倉⼀一紀) CiNii(野末俊⽐比古)☆
Library of the Year 2012 (2012年年・第7回) 第⼀一次選考通過機関 ◯ビブリオバトル ◯CiNii ⻑⾧長崎市⽴立立図書館 ◯三重県⽴立立図書館 ◯saveMLAK
Library of the Year 2013 (2013年年・第8回) ●主 催:IRI ●審査員: ●企画運営:図書館総合展運営委員会 ⼤大串串夏⾝身 ●⼀一次選考:6⽉月25⽇日 ⼭山上昌彦 ●最終選考:10⽉月29⽇日 猪⾕谷千⾹香 ●座 ⻑⾧長:⼤大串串夏⾝身 ⽒氏原茂将 ●候補機関: ⾼高野明彦 伊那市⽴立立図書館(⼩小⽥田光宏)★ ⼭山崎博樹 千代⽥田区⽴立立⽇日⽐比⾕谷図書⽂文化館(⼩小林林⿇麻実) 会場票 ⻑⾧長崎市⽴立立図書館(⾈舟⽥田彰) まち塾@まちライブラリー(千野信浩)☆ 【特別賞】図書館戦争
Library of the Year 2013 (2013年年・第8回) 第⼀一次選考通過機関 ◯まち塾@まちライブラリー ◯⻑⾧長崎市⽴立立図書館 リブライズ ◯⽇日⽐比⾕谷図書⽂文化館 エル・ライブラリー ◯伊那市⽴立立図書館
Library of the Year 2014 (2014年年・第9回) ●主 催:IRI ●審査員: ●企画運営:図書館総合展運営委員会 ⼤大串串夏⾝身 ●⼀一次選考:6⽉月20⽇日 松本吉史 ●最終選考:11⽉月7⽇日 内沼晋太郎郎 ●座 ⻑⾧長:⼤大串串夏⾝身 柴野京⼦子 ●候補機関: 平賀研也 京都府⽴立立総合資料料館(阿児雄之)★ 会場票 海⼠士町中央図書館(天野由貴)☆ Readyfor票 NPO法⼈人情報ステーション「⺠民間図書館」 (礒井純充) 鯖江市図書館「⽂文化の館」(坪内⼀一)
Library of the Year 2014 (2014年年・第9回) 第⼀一次選考通過機関 ◯京都府⽴立立総合資料料館 オガールプロジェクト ◯海⼠士町中央図書館 武雄市図書館 福島県⽴立立図書館「東⽇日本⼤大震災福島県復復興ライブラリー」と 同館職員の活動 ◯鯖江市図書館「⽂文化の館」 ◯NPO法⼈人情報ステーション「⺠民間図書館」 リブライズ
Library of the Year 2015 (2015年年・第10回) ●主 催:IRI ●企画運営:図書館総合展運営委員会 ●⼀一次選考:6⽉月10⽇日 ●最終選考:11⽉月12⽇日 ●座 ⻑⾧長:⼤大串串夏⾝身 ●候補機関: 多治⾒見見市図書館(⼩小嶋智美) くまもと森都プラザ図書館(澁⽥田勝) 塩尻市⽴立立図書館/えんぱーく(平賀研也) B&B(仲俣暁⽣生) ●審査員: ⼤大串串夏⾝身 飯川昭弘 池⾕谷のぞみ 鎌倉幸⼦子 岡直樹 ⼩小野永貴 会場票
Library of the Year 2015 (2015年年・第10回) 第⼀一次選考通過機関 ◯くまもと森都⼼心プラザ図書館 ◯塩尻市⽴立立図書館/えんぱーく ◯多治⾒見見市図書館 千葉葉⼤大学付属図書館/アカデミック・リンク・センター ◯B&B オープンデータに関する図書館の動向
Library of the Year の 受賞傾向の変化 第⼀一期 第1 回(2006)〜~第4回(2009) 公共図書館を中⼼心とした施設・活動に対する評価が⾏行行われていた 時期であり、主に具体的なサービス内容が評価された。 第⼆二期 第5回(2010)〜~第7回(2012) 施設・活動に対する評価に加え、「ウェブサービス」や「場」の 仕組みにも注⽬目が集まった。 第三期 第8回(2013)〜~第10回(2015) 公共図書館を中⼼心とした施設・活動に対する評価が⾏行行われていた 時期だが、特に「公共空間」「公共性」などのキーワードに注⽬目 が集まった。
Library of the Year の 選考基準
Library of the Year の選考基準 ①今後の公共図書館のあり⽅方を⽰示唆する先進的な活動を ⾏行行っている。 ②公⽴立立図書館に限らず、公開された図書館的活動をして いる機関、団体、活動を対象とする。 ③最近の1〜~3年年間程度度の活動を評価対象期間とする。
Library of the Year の選考基準は どのように考えられたのか ①公共図書館の今後の方向性を考える上でヒントとなる活動を積極的に 発掘したいと考えたこと。 ②発掘するプロセスの中で、IRI(NPO法人知的資源イニシアティブ) およびLTF(図書館コンサルティング・タスクフォース)のメンバー間 で、今後の公共図書館のあり方について積極的かつ具体的な議論の場を 持ちたいと考えたこと。 ③IRIの議論と見解を広く関係者・国民一般に提示し、対話を通じて今後の 公共図書館の方向性を明らかにしたいと考えたこと。 ④公共図書館の今後の方向性に対して示唆を与える活動は、公共図書館界 の外にもあると考えたこと。 ※田村俊作「Library of the Year:良い図書館を良いと言う」『カレントアウェアネス』 No.297,2008-09.http://current.ndl.go.jp/ca1669
Library of the Year の選考基準は どのように考えられたのか ①発掘 ●過去1〜~3年年くらいの取り組みから、注⽬目すべき事例例を 掬い上げること。 ●Library of the Yearという仕組みを設けることで、 選考委員や⼀一般の⼈人たちに、「全国各地の図書館的な 活動のなかから、⾯面⽩白い取り組みを探し出そう」という 動機づけが⽣生まれることになる。
Library of the Year の選考基準は どのように考えられたのか ②議論論 ●選考委員同⼠士のクローズドな議論論のなかで、注⽬目すべき 事例例を納得の⾏行行く形に⾔言語化し、共通理理解をつくり上げて いくこと。 ●「図書館的な活動の⾯面⽩白い取り組み」というものを、 感覚的なレベルに留留めることなく、他者に説明できる形で 伝わる⾔言葉葉を探す必要性が⽣生まれてくる。
Library of the Year の選考基準は どのように考えられたのか ③対話 ●注⽬目すべき事例例をオープンな最終選考会の場で取り上げる ことで、さらに視点を広げ、その⾒見見解を公のものとして いくこと。 ●「⼤大賞を決める」という仕組みを設けることにより、より 良良い意⾒見見が出てくるようなしかけとなっている。
Library of the Year の選考基準は どのように考えられたのか ④⽰示唆 ●最終選考会でのプレゼンおよび、審査員の講評などの やり取りを通じて、先進的な事例例を未来の公共図書館に 通⽤用するようなより⼀一般化した形へと整理理していくこと。 ●公⽴立立図書館以外の機関や団体などを含む「図書館的活動」 というように枠を⼤大きくすることで、公共図書館の可能性 をより良良い⽅方向へと広げられる可能性が⽣生まれてくる。
Library of the Year の 受賞に至るまで
Library of the Year を受賞するまで ⻑⾧長崎市⽴立立図書館の事例例① 第3回(2008年年) ⺠民間企業の資⾦金金とノウハウを利利⽤用するPFI⽅方式で2008年年 1⽉月5⽇日に開館した。効率率率的な運営を考慮した設計によって、 ⾼高いコストパフォーマンスを実現し、⼊入館者は1⽇日平均 5,000⼈人を記録する。オーソドックスな図書館サービスを 志向し、原爆資料料、地域資料料や外国語資料料の収集に⼒力力を 注いでいる。これからの⼤大型公共図書館のモデルとして Library of the Yearに推薦する。 ↓ 候補機関となるが落落選
Library of the Year を受賞するまで ⻑⾧長崎市⽴立立図書館の事例例② 第7回(2012年) 図書館PFIの5例目であるが、そのなかでは最大規模であり、そのような 規模でのPFIの可能性を立証した。運営にあたって民間事業者からの提案 として、自動貸出機、自動閉架書庫、返却本の自動仕分機の導入など最新 の機械化を行なった。これによって、本館160万冊、分館・分室60万冊、 計220万冊の貸出・返却業務の効率化、安定化を果たした。広範な市民 サービスを展開しつつ、本館がビジネス街という好立地にあるため、 おしゃれなレストランを含め、利用者の来館時間のピークが12時〜14時 と17時〜18時であるなど、本館来館者数が年間100万人を超える新しい 都市型図書館の好ましい像を確立した。 ↓ 候補機関となるが落選
Library of the Year を受賞するまで ⻑⾧長崎市⽴立立図書館の事例例③ 第8回(2013年年) 地域の課題として「がん情報サービス」を取り上げ、県・市 の⾏行行政担当部課、医療療機関などと協⼒力力して展開してきた事業 (がん情報コーナーの設置、レファレンスの充実、がんに 関する講演会など)が、市⺠民はもとより県・市医療療機関から も⾼高い評価を得ている点が評価されました。 ↓ 優秀賞を受賞
Library of the Year を 選ぶ人たち
Library of the Year の「選ぶ⼈人」 ①選考委員 ●第⼀一次選考会・第⼆二次選考会を通じて、優秀賞4機関(最終 選考会に選出される機関)を直接的に選ぶ⼈人たち。 ●審査員とプレゼンターを選ぶ⽴立立場にもある。 ●選考委員がプレゼンターを兼ねて最終選考回の舞台に上がる こともあるが、その多くは表には現れず、ほとんどは陰の 存在としてLibrary of the Yearに関わる。 ●メンバーの追加や退任もあるが、顔ぶれが⼤大きく変化する わけではなく、基本的には継続的に活動に関わっている。 ●座⻑⾧長を除き、最終選考会での審査員を引き受けることはない ため、⼤大賞を決めるための投票権を持つこともない。
Library of the Year の「選ぶ⼈人」 ②審査員 ●⼤大賞機関を選ぶために1票の投票権を有する⼈人たち。 ●年年度度によって⼈人数は異異なるが、各回とも5・6⼈人によって 構成される。 ●メンバーの選出にあたっては、できる限り異異なる⽴立立場にいる 者(図書館総合展運営委員会、学識識経験者、前年年度度⼤大賞受賞 機関の代表者、現場経験者など)、なるべく異異なる年年齢層の 者(特に若若⼿手のメンバーを意識識的に⼊入れる)、男⼥女女の割合の バランスなど、さまざまな要因が踏まえられる。 ●選考委員に選ばれることで、最終選考会で公に登場する。
Library of the Year の「選ぶ⼈人」 ③プレゼンター ●候補機関が優秀賞として選ばれた理理由や、その年年の⼤大賞に 推すために、最終選考会でのプレゼンを担当する⼈人たちの こと。 ●候補機関とゆかりがある⼈人が選ばれることが多いが、 プレゼン準備のために候補機関に⼀一度度は⾜足を運ぶ必要が あるため、予算の都合上、なるべく近場の⼈人が選ばれる ケースもある。 ●⼆二次選考が終わり、最終選考会に残った機関が確定次第 に、即座に⼈人選される。
Library of the Year の「選ぶ⼈人」 ④来場者(会場票) ●第3回(2008)から導⼊入されている仕組みで、最終選考会 の会場に来場した⼈人たちによる会場票⽅方式になった。 ●過去のLibrary of the Yearでは、最終的に1票差で⼤大賞が 決まることも実際あり、ギリギリのところで最終的な評価 が分かれるポイントとなる票でもある。 ●第3回(2008)のみ、会場票が2票となっていた。
Library of the Year の「選ぶ⼈人」 ⑤寄付者(READYFOR票) ●第9回(2014)のみ導⼊入された投票の仕組みで、会場票と 並んで⼀一般からの投票の機会となっている。 ●クラウドファンディングサービスであるREADYFORで活動 資⾦金金を募り、寄付をしてくれた⼀一般の⼈人に投票の権利利を拡充 するために考案された。 ●従来は⼀一般からの投票は当⽇日の来場者による会場票のみで あり、READYFOR票の設置による投票機会の増加は、最終的 な結果に⼀一般からの評価が⼊入る余地が増えることになった。
Library of the Year の「選ぶ⼈人」 ⑥推薦者 ●Library of the Yearでは、基本的に選考委員が候補機関を 出すが、選考委員だけでは全国各地の取り組みをフォロー できないため、⼀一般からの推薦も受け付けている。 ●「良良い図書館」を探す活動はみんなに取り組んでほしい ことであり、選考委員も気づかなかったさまざまな図書館 活動を掬い上げるためにも、このような広範な事例例を収集 する仕組みが必要となる。 ●最終選考会には、⼀一般推薦機関からのものが毎年年いくつか 選ばれているので、その影響⼒力力は決して⼩小さくはない。
Library of the Year の選考対象とは 「まな板の鯉」になること Library of the Yearでは、まず第⼀一次選考候補をひろく公募する。⾃自薦も あれば他薦もある。事実、ぼくがディレクターを務める川⼝口市メディア セブンも2011年年には⼀一次選考を通過していたそうだが、当時はまったく 知らず、今回審査員を引き受けるにあたってはじめて知ったぐらいだ。 ⼀一次選考から絞り込まれた4〜~5つの候補は優秀賞となり、図書館総合展で の公開選考会に臨臨むこととなるのだが、ここで活動をプレゼンテーション するのも、関係者ではない。プレゼンターが⾃自らの推す候補を7分ほどで 紹介し、それを審査員と会場で審査する。まな板の鯉とはまさにこのこと で、活動主体の⾃自⼰己評価が⼊入り込む隙間がなく、団体票も機能しない設計 となっているのは好ましい。 ※⽒氏原茂将「Library of the Year 2013が投げかけるヒント」『マガジン航』 2013-‐‑‒11-‐‑‒25.http://magazine-‐‑‒k.jp/2013/11/25/library-‐‑‒of-‐‑‒the-‐‑‒year-‐‑‒2013/
Library of the Year への批判 「選考過程が不不透明」 ↓ 第9回(2014)以降降は、第⼀一次選考の結果を 途中経過として公にする⽅方針に変更更している。
選考過程の公開による Library of the Year の審査への影響 ボクが審査員を依頼されたのは、4つの優秀賞・⼤大賞候補が プレスリリースされた直後の9⽉月末だった。ボクはこの4件 ではなく、その前の8件に遡り、その選定理理由を読み、 さらに知り得る情報を加えて3つのグループに分けて考えた。 LoY委員会メンバーが選択にあたって論論議したであろう “先進性”の視点を読み解き、ボク⾃自⾝身の考える“これからの 図書館”の視点とたたかわせ、重ね合わせたかったからだ。 ※平賀研也「Library of the Year 2014が投げかけたもの」2014-‐‑‒11-‐‑‒08. https://www.facebook.com/kenya.hiraga/posts/740269646051744
Library of the Year の審査員およびプレゼンター回数 ⽒氏名 審査員回数 プレゼンター回数 合計 担当回 1 ⼤大串串夏⾝身 6 4 10 1, 2, 3, 6, 7, 8, 9, 10 2 ⼩小林林⿇麻実 4 1 5 3, 4, 5, 7, 8 3 柳柳与志夫 2 3 5 1, 2, 3 4 ⽷糸賀雅児 2 1 3 4, 5, 6 5 福林林靖博 1 2 3 1, 3 6 千野信浩 1 2 3 4, 6, 8 7 佐々⽊木秀彦 2 0 2 3, 4 8 佐藤達⽣生 2 0 2 4, 5 9 ⽔水⾕谷⻑⾧長志 2 0 2 5, 6 10 ⽥田村俊作 1 1 2 1
Library of the Year への関わり⽅方 受賞機関の関係者、プレゼンター、審査員の いずれの⽴立立場も担当したことがある者 ●⼩小林林⿇麻実 ⽒氏 ●平賀研也 ⽒氏 ●内沼晋太郎郎 ⽒氏
審査員の立場から Library of the Year の 審査基準を捉えてみると
Library of the Year の 審査員の特徴 ①個々の候補機関についてコメントを述べるのではなく、 審査員としての評価基準を簡潔に述べたもの。 ②すべての候補機関についてのコメントを順に述べていく もの。 ③投票した機関のみに⾔言及することで、投票した候補機関 をほのめかしてしまったもの。
Library of the Year の 審査員の特徴 第6回(2011年年) ●鳴海雅⼈人⽒氏「リアルな場所として空間の魅⼒力力があるかどうか」 ●野末俊⽐比古⽒氏「我々⼈人間が育っていく場として機能しているか」 ●吉本⿓龍龍司⽒氏「場としてのコミュニティがつくれるかどうか」 ●⽔水⾕谷⻑⾧長志⽒氏「どういう⾵風にしたいか(コンセプト)、⾔言葉葉として 伝えること(メッセージ)、形に⾒見見えるしくみ(デザイン)と いう三つが連動しているか」
Library of the Year の 審査員の特徴 第7回(2012年年) ●林林賢紀⽒氏「誰に対しての活動なのかを意識識しているか」 ●村井良良⼦子⽒氏「みんなが幸せになれるような今後の可能性を 感じられるか」
Library of the Year の 審査員の特徴 第8回(2013年年) ●⽒氏原茂将⽒氏「本の形になっていない、形になりえない知という ものにどのように関わっているのか」 ●⾼高野明彦⽒氏「図書館側から何らかのブレイクスルーとなるもの をつくれているか」 ●⼭山崎博樹⽒氏「地域に対してどれだけの活性化を図っていけるか、 そして真似ができるか」
Library of the Year の 審査員の特徴 第9回(2014年年) ●平賀研也⽒氏「オープン(これからの図書館や知をめぐる活動)や コラーニング(共に学ぶ、共につくる、共に知る)が実現できて いるか」 ●内沼晋太郎郎⽒氏「先進事例例になっているか」
Library of the Year の 大賞を狙うには
Library of the Year の ⼤大賞を狙うには ●「どうすれば大賞が取れるか?」に対する答えはない。 ●「それでも何かできることは?」という視点になるならば、 何かしらできることはあるはずだろう。 ●それは図書館のサービスを徹底的に見つめなおし、その 取り組みが利用者にとってどういったメリットをもたらす のか、どのような価値を生み出しているを考えてみること だろう。
Library of the Year の 意義を考える
Library of the Year の意義 ①「良良い図書館を良良いと⾔言う」ことで先進的な取り組みを 知らしめ、図書館にかかわる⼈人たちが真似るための きっかけを提供すること。 ②知識識の収集、保存、公開のノウハウを共有し、それらを 資源として再活⽤用し、知識識の再⽣生産を促していくこと。 ③本に限定されない知識識の全体性をとらえ、知識識の⽣生産と 発信を⾏行行って公にしていくこと。 ※⽒氏原茂将「Library of the Year 2013が投げかけるヒント」『マガジン航』 2013-‐‑‒11-‐‑‒25. http://magazine-‐‑‒k.jp/2013/11/25/library-‐‑‒of-‐‑‒the-‐‑‒year-‐‑‒2013/
Library of the Year の意義 図書館に対する賞は、「学習へのアクセス賞」のように、賞⾦金金が 図書館振興にとって無視できないものとなることもあれば、 顕著な実績の承認、有識識者による優秀性の評価、図書館を外部に PRする絶好の機会、といったさまざまな効果を持つこともできる。 賞の持つ意義を理理解し、活かす知恵と⼯工夫があれば、こうした賞は 図書館界の発展にとって効果的な⼿手段となるに違いない。 ※田村俊作「Library of the Year:良い図書館を良いと言う」『カレントアウェアネス』 No.297,2008-09.http://current.ndl.go.jp/ca1669
Library of the Year の意義 ①外部評価による事業の承認をする。 ②外部評価による優秀性の評価をする。 ③「良良い」取り組みを⾔言語化する。 ④「良良い」図書館の存在を公に周知する。 ⑤⼈人々の知識識の再⽣生産を促す。 ⑥図書館活動におけるノウハウを共有する。 ⑦図書館のPR活動に寄与する。 ⑧⼈人々に「良良い」図書館を探す動機づけを促す。 ⑨「良良い」図書館を⽬目指すきっかけを与える。 ⑩「良良い」図書館について考えるきっかけを与える。
Library of the Year の意義 ●ビブリオバトルはゲームという形式を取りながら、「⾯面⽩白い本」を シンプルに「⾯面⽩白い」と話すことを促す仕組み。 ●Library of the Yearはそれを「良良い図書館」をシンプルに「良良い」 と⾔言い続ける仕組み。 ●ビブリオバトルは「書評」という⾏行行為を⾝身近なものに変えてきた。 ●この10年年間でLibrary of the Yearは「図書館評」を⾝身近なものへと 変えてきている。 ●「図書館について語る」という⾏行行為がもっと世の中に広まれば、 そこに新しい図書館のあり⽅方が⾒見見えてくる。
Library of the Year の成果を 活かす世の中に ●私たちに求められているのは、Library of the Yearが提⽰示 した論論点を活かすための「知恵と⼯工夫」である。 ●それは毎年年のLibrary of the Yearが終了了した後に、私たち みんなに突きつけられた宿題である。 ※毎年年の受賞理理由を振り返ってみればトレンドが分かる。 ●図書館職員も利利⽤用者も、私たちみんなが「知恵と⼯工夫」に ついて話し合いながら適切切な⾔言葉葉を探り、これから先の 未来の図書館のことを話題にしていけると良良い。
Library of the Year の成果を 活かす世の中に ●「今後の公共図書館のあり⽅方を⽰示唆する」活動のその先に ある「知恵と⼯工夫」には、正解と呼べるものはない。 ●そこに必要となるのは、「正しい」でも「⼀一番」でもなく、 シンプルに「良良い」と⾔言うことであり、「良良い」と呼べる 図書館的活動を探すこと。 ※「⼀一等賞」や「⽇日本⼀一」ではない。 ●これは今後の図書館に関わっていく私たち⼀一⼈人ひとりが、 考え続け、探し続けなければならないことだろう。 ●「良良い」と呼べるような図書館活動のヒントは、⾝身近な ところでも、旅先でも⾒見見つけることができるはずである。