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December 04, 24
スライド概要
松江オープンソースラボにて開催された、PdM Runners Conference基調講演の資料です。
株式会社アジャイルウェア 代表取締役CEO
Runners Conference 目の前で困っているお客様に愛されるプロダクトを育てる Lychee Redmineの成長戦略 株式会社アジャイルウェア 代表取締役CEO 川端 光義
NAHAマラソン第38回大会で走ってきました 同じ日に 松江城 マラソンでしたね
01 会社紹介
会社紹介 会社名 株式会社アジャイルウェア 代表 代表取締役CEO 川端 光義 従業員数 63名(2024年11月現在) 設立 2012年6月1日(現在13期目) 売上高 10億225万円(2023年12月期) 事業内容 ウェルビーイングサービス「KIWI GO」の開発・提供 議事録サービス「GIJI」の開発・提供 システム開発事業アジャイル開発によるシステム構築 (主要開発言語:Ruby / Ruby on Rails、JavaScript) 主要取引先 株式会社オージス総研 環境機器株式会社 株式会社JR東日本情報システム 株式会社JVCケンウッド TYPICA株式会社 大日本印刷株式会社 テクマトリックス株式会社 東京海上日動システムズ株式会社 株式会社東芝 東洋電装株式会社 パナソニックITS株式会社 パナソニックインフォメーションシステムズ株式会社 株式会社FUJI フューチャー株式会社 古野電気株式会社 (五十音順) 受託開発実績 コーヒー生産者と自家焙煎事業者をつなぐオンラインプラ ットフォーム『TYPICA(ティピカ) 』 IoTを用いたリアルタイムに監視できる害虫・害獣遠隔モニ タリングシステム 臓器移植システム開発 NHK向けリアルタイムデータ処理開発 所在地 大阪本社 大阪市中央区谷町1-3-12 天満橋リーフビル8F 東京オフィス 東京都港区芝公園1-8-20 H¹O芝公園1204 プロジェクト管理ツール「Lychee Redmine」の開発・提供
もうすぐ13周年を迎えます
事業紹介 NE W! ! アセスメントと キャリア コンサルティング 従業員のストレス軽減と モチベーション向上 導入20社突破 有益率94.1%
02 主力事業Lychee Redmineについて
今年で Lychee Redmine 10周年を迎えました
今では、7,000社を超える企業の プロジェクト管理を支えるツールに成長
Lychee Redmineは OSSのRedmineがベースになったツール
2014年の誕生から10年… たった4個のプラグインからスタート
売上の8割をLycheeが支えています アジャイルウェアの売上推移 10億突破 12億 1200000000 10億 1000000000 8億 800000000 6億 600000000 4億 400000000 2億 200000000 0 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 (2024年1月時点のデータ)
03 Lychee Redmineの誕生
Lychee Redmineで10億売ろう! プロジェクト管理ツールでシェアをとろう! と思っていたわけではありません…
あくまで “目の前で困っているお客様に寄り添った結果“
創業当時はRuby受託案件がメイン (今もやめてないです) Ruby製 OSSプロジェクト管理ツール「Redmine」の 開発案件がくるように
キッカケは住友電装様からの依頼 のプラグインを 作ってください! 住友電装 原口様 (目の前で困っているお客様) よろこんで! アジャイルウェア
Lychee Redmineの誕生 プラグイン開発 1次開発が終わり 無事プラグインリリース 開発 2次開発へ進むことに
Lychee Redmineの誕生秘話 なるほど… Redmineでのタスク管理と MS Projectでの進捗管理を MS ProjectとRedmineを連携できなくて困っててねー シームレスにしたいんだな… 原口様 ほう、それならRedmineで MS Projectのように進捗管理をするのはどうですか? 川端 おぉ、いいですね!それ売れると思うから 著作権あげるよ。パッケージにして売ったら? 原口様 川端 おお…確かに。 そのかわり安くしてねー。 原口様 川端
こうしてLychee Redmineは誕生しました
今振り返ってみると はじめてのお客様でもある原口様がOSSに理解があった Redmine本家のバグ修正のための開発費も出してくださった 目の前のお客様に寄り添ったことで生まれた ガントチャートがたまたまマジョリティ層に刺さった (リリース時にPMFできていた) 理解のあるお客様との出会いは幸運だったなと思います。
04 Lychee Redmineを どう成長させたか?
Lychee Redmineが成長できた背景 目の前のお客様が本当に欲しい機能をアジャイル開発でスピーディーに提供 ガントチャートだけではなく、リリースを重ねてお客様が求める機能を開発。 アジャイル開発で3ヶ月以内に納品。内製によりスピードを維持できた。 受託開発で開発スポンサーを獲得 投資せずに売上を確保。 投資によるマイナスからのスタートではないので、会社としても余裕が生まれた。 ものづくりをしている企業に刺さる機能の開発 Lychee Redmineの「プロジェクトレポート」および「リソースマネジメント」機能は、 ものづくりをしている企業からの要望を受けて開発されたため、 他の企業にも自然と広がった。
Lychee Redmineが成長できた背景 ユーザーの課題を解決する 新しい課題、要望の 解決リクエスト 機能を受託開発をする(スポンサー) ユーザーの課題を解決し 価値が向上し続けた 同じ課題を抱えていた 納品する (3ヶ月以内) Lycheeに組み込む ユーザーが増える アップデートでユーザーの課題を解決!
自ら足を運んで訪問企業数は約3,000社 (コロナ前) 全国のお客様に直接ヒアリング
訪問企業数は約3,000社(コロナ前) 自らお客様の元へ足を運び、 ”週3日9社以上と商談” 売るのではなく、課題のヒアリング→解決方法の提案 既存お客様とも積極的に商談 プロジェクト管理が成功するための課題ヒアリング&提案を継続。 お客様に成功体験を積み重ねてもらい、お客様満足度を高め、 自然とカスタマーサクセスができている状態に。
定期的にお客様の声を拾う取り組み Lychee Redmineユーザーコミュニティイベントは、 今年で9回目の開催
気がつけばプラグインは4個→43個に お客様の要望をカタチにしたサービスとなりました。
目の前で困っているお客様が抱える課題を解決する 『お客様が欲しい機能』をつくることに注力 特にガントチャートを強化 製品に強みができる 強みを求めている人に 自然と広がっていく
売るため・儲けるためじゃなく、 目の前で困っている人の 役に立つものを作りたい
05 人が中心の 『アジャイル開発』との出会い
アジャイルウェアのプロダクトは すべてアジャイル開発で 作っています
なぜアジャイル開発なのか? IT業界は残業・休日出勤当たり前でエンジニアが疲弊していた お客様は大切にされているが、エンジニアは大切にされていなかった 目の前の身近なメンバーほど大切にするべきだと思っていた
お客様第一になりすぎないよう 持続可能な開発が大事
アジャイル開発のプラクティス 週40時間(8時間×5日)
週40時間のプラクティスが生み出す価値 モチベーション高く、集中力を維持して 継続的にリリースを繰り返せる
アジャイル開発を実践する中で気づいたこと プロダクトを作っているのは“人”
従業員の満足感・幸福感が高まれば お客様にいいサービスを届けられる
特に私が共感した手法が XP(eXtream Programming) 5つの価値 コミュニ ケーション シンプル フィード バック 勇気 尊重 19のプラクティス 共同のプラクティス 反復 ・共通の用語 ・開けた作業空間・回顧(頻繁な振り返り) 開発のプラクティス テスト駆動開発 ・ペアプログラミング・リファクタリング ソースコードの共同所有・継続的インテグレーション ・YAGNI 管理者のプラクティス 責任の受け入れ ・援護・四半期毎の見直し ・ミラー ・持続可能なペース 顧客のプラクティス ストーリーの作成 ・リリース計画・受け入れテスト・短期リリース
アジャイル開発のエッセンスは 経営にも活かせる
アジャイルウェアでは週休3日制(隔週)を導入 2022年8月スタート 年間休日153日 給料そのまま リフレッシュできる水曜日に設定 第2・第4水曜日
その他にも働く環境を整えています
こんなこと言うとりますが、 過去のアジャイルウェアは...
数年前まで離職率が今より高かったんです 平均残業時間 離職率 27.4h 30 残業時間 25 20 20 15 15 10 10 5 5 0 0 離職率 15.4% 15.9h 14.8% 17.3h 10.5h 12.2% 6.8% 2016 2018 11.9h 2020 2022 4.5% 2023 離職率 10%減 🎉
離職率が高かった頃のアジャイルウェア スキル至上主義 どの職種においても、自分よりできる人を採用する方針だった 成果が見えることに重きを置くようになり、相対評価をしていた 「よりできる人」 「できるエンジニア」を評価することになる 採用後に「なんで僕よりできないの?」と厳しい態度が出てしまうことも… 働きづらさは人間関係を悪化させ、チームの空気もよくない状態に 結果、退職者を出してしまうことも
アジャイルウェアは 創業当時から文鎮型組織 階層を最小限に抑えた文鎮型組織
離職率が高かった頃のアジャイルウェア 文鎮型組織であるが故に 『怒る』ではなく『叱れる』のは自分だけ 変化が早いIT業界において、 『早く成長しないと置いていかれる』という感覚があった 『社員一人ひとりを成長させていかないと』と思い込んでいた 社員が『顧客や会社に目を向けていない振る舞い』や 『自分のことしか考えていない振る舞い』を見ると、たまに厳しく接していた
より成果が上がるチーム・会社に なっていくために 育てようと思っていた社員がやめてしまっては元も子もないので 「教育」と「育成」を方針に掲げる 相対評価をやめて、社員を大切にしようという考えになった どんな人でも活躍できる組織を目指してさまざまな取り組みを実施
06 お客様に愛されるプロダクトを育てるための 人を大切にする経営
人を大切にする経営学会(五方良し)
「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞 受賞企業
人を大切にする経営学会経営 人財塾修了&書籍出版 2023年度、6期生として 「やり方」ではなく「あり方」を学び、書籍も出版しました トートバッグに 入っています!
弊社も様々な取り組みを行っています! 入社式 誕生日ケーキ 社員旅行 運動会 感謝カード交換 家族参加OKのBBQ
なぜ社内交流を活発にしているのか 社員同士が仲良くなることで、気軽の相談・仕事がしやすくなる チームの垣根を超えた交流が生まれる そして何より… いいプロダクト・いいサービスを生むためには、 お客様やプロダクトのために真剣に話し合い、 言いたいことを言い合える関係づくりが必要
その他にも社員のケア 業務品質をアップさせる取組みも実施 不定期で外部メンター、社内の担当メンターと月1回以上の1on1 週1回のフィードバック会を実施 月1回のチームふりかえり実施 全社員向けの「タスク管理研修」の実施 ペアワーク・モブワークの推奨
さまざまな変化を経て、 退職した社員たちが帰ってきてくれた
旅のはじまり会(新年会) 事業計画発表会
アジャイルウェア版経営計画書『ジャーニーブック』 (属人化していた、これまでの経験や価値観を言語化)
ジャーニーマップ
経営方針を元に自分たちで考えてもらう仕組み モチベーション高く取り組める目標を 自分たちで立てる 各チームのジャーニーを作成
各チームのジャーニー(1年の方針と目標) 開発チーム CSチーム 営業チーム マーケチーム
人を大切にする経営を続けることで、 きっとお客様にもいいプロダクトを 届けられるようになるはず!
07 Lychee Redmineのこれから
この先今までのやり方で成長し続けるのは、厳しいと感じています。
今までのやり方では厳しいと思った理由 今までは個別のカスタマイズにも対応し“機能”で支援してきたが、 今後、機能での差別化は図れないと思っている。 今のやり方では全てのお客様を支援できないと感じた テスト自動化 無理をすると社員も疲弊しちゃうからね。
“より深くお客様に寄り添った支援” で差別化する方向に舵を切ります。
Lychee Redmineの方向性 目の前のお客様に 深く寄り添って伴走する お客様のプロジェクトの成功に向け、手厚いフォローをします。 価値提供できる相手に、しっかりと価値を提供することを重視します。
Lychee Redmineの方向性 まず目の前で困っている お客様に向き合う 売上や会社規模、利用年数に関わらず、 目の前のお客様の課題を解決します。
Lychee Redmineの方向性 “プロダクト”と“人”で 価値を提供する お客様が抱える課題を深く理解し、解決策を ご提案するコンサルタントのような存在を目指しています。 単なるツールのサポートにとどまらず、 『なぜ工数管理を行うのか』といった目的にまで寄り 添い、お客様のチームや組織がプロジェクト管理を楽しく進められるよう支援いたします。 また、ビジネスメンバーだけではなく、開発メンバーもお客様の声に耳を傾けます。
お客様を大切にし、 使い続けてもらうことが、 サービスの本質 だと思っています。
どういうお客様を親身になって支援できるかを 認識することが大事 市場における自社の立ち位置を知る ニッチな強みを持つ(汎用的になろうとしない) 目の前のお客様を見ていればおのずと見えてくる
まとめ プロダクトを作っているのは“人” 従業員の満足感・幸福感が高まれば お客様にいいサービスを届けられる。 お客様に愛されるプロダクトを育てるための「人を大切にする経営」 まずは社員を大切にすることから。 モチベーション高く取り組めるよう会社が支援する 自分たちの目標は自分たちで立てる。 お客様に使い続けてもらうことがサービスの本質 社員を大切にすることで、社員もお客様を大切に考え、お客様もプロダクトを愛してくれる というように、どんどん良い循環が生まれると考えます。
さまざまな要素からいいサービスを作る 良いサービス いい社風 人を大切にする経営 いいチーム チームジャーニー お客様に深く 寄り添った支援
お客様に寄り添い続けて、 それを広げていけば、 そのうち世界を変えられるかもしれない
Rubyも、 「楽しさ」と「実用性」を大切にしている言語。 Matzがプログラマに寄り添い、開発し続ける中でコミュニ ティが活発になり、気づけば世界に愛される言語になった のではないか、と思います。
長距離走は努力し続けること。 自分と戦い続ける面が強いです。 努力し続けられるかどうか、 が重要だと思います。
ご静聴ありがとうございました!!