240622_四万十町地域ビジネススタートアッププログラム_vol.1

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スライド概要

2024年6月22日よりスタートした「四万十町地域ビジネススタートアッププログラム」の第1回の様子をまとめたビジュアルレポート

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高知大学地域協働学部コミュニティデザイン研究室の資料公開用ページ。

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2024年6月 2024年度 地域ビジネススタートアッププログラムin四万十町 Day1 高知大学 ビジュアルレポート 地域協働学部 コミュニティデザイン研究室 写真

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構成 1.プログラム概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.2 2.インプット:地域ビジネスの進め方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.14 ①地域ビジネスの考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.15 ②地域ビジネスのプロセス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.18 ③なぜ、原体験やWHYが重要なのか? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.25 ④テーマの着想観点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.30 ⑤地域ビジネスに取り組むポイント ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.33 3.キーノートスピーチ:守時健 氏 (株式会社パンクチュアル 代表取締役) ・・・・・・・・・・・・・・・・・p.38 4.ワーク:自己理解ワークショップ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.43 5.実施風景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.50 ①オリエンテーションからチェックイン・アイスブレイクの様子 ②インプットの様子 ③キーノートの様子 ④自己理解ワークの様子 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 1

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1.プログラム概要 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved.

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プログラム概要  名称: 地域ビジネススタートアッププログラム in四万十町  回数: 全9回 -6回目以降は、モチベーションとアクションの状況を踏まえて選定予定  期間: 2024年6月22日〜2025年3月22日  主催・運営: 主催:四万十町 運営:高知大学地域協働学部コミュニティデザイン研究室(須藤順研究室) Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 3

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スケジュール 講座回 実施概要 第1回 6/22:地域ビジネス概論&当事者意識の掘り起こし(自分のWill/Why&事業のWhy) 第2回 7/27:顧客の抱える課題を見つけるための観察・リサーチの方法 第3回 8/31:アイデアの生み出し方&コンセプトの作り方 第4回 10/15:試作品・モデルの制作&検証方法 第5回 11/9:デモデイ(アイデア発表・体験イベント) 第6回 12/14 :地域プロモーション&ファンマーケティングの考え方 第7回 1/11 :ビジネスモデル(リーンキャンバス)の設計&ビジネスプランの作り方 第8回 2/1 :ストーリーテリング&クラウドファンディング(資金調達&テストマーケティング)の進め方 第9回 3/22 :最終報告会 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 4

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プログラム構造 ダイアログ インプット アクション 受講生同士が 気づきを深める ゲスト&講師からの インプット アクションの 繰り返し 近況&アクションの共有 経験談&手法の習得 アクションを通じて学ぶ アクションの結果やそこでの 学び、事業アイデア自体のブ ラッシュアップを目的に、受 講生同士が対話を繰り返し、 相互に支え合う関係づくりを 行います。 地域ビジネスの経験豊富なゲ ストの経験談に加え、地域ビ ジネスを形にするための基本 的な手法をワークショップ形 式で学びます。 頭で考えるのではなく、とに かく小さくアクション (行 動)を行い、そこから学びや 気づきをフィードバックして いきます。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 5

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プログラムポイント ①自分らしい地域ビジネスの構築 ②経験豊富なメンター陣によるサポート ③アイデア創造からビジネスモデル構築まで一貫サポート ④学び合う・支え合うコミュニティの形成 ⑤学生による伴走型サポート Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 6

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プログラムゴール 自分の強みや得意なこと、 好きを活かしながら、 自分が心からやりたいと思える 事業を創り出していく 自分・身の回りの人を幸せにする事業創り Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 7

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ゲスト&メンター 守時 健さん 鷲谷 恭子さん 町田 美紀さん 丑田 俊輔さん 株式会社パンクチュアル 代表取締役 株式会社ケイリーパートナーズ 代表取締役/2hours 代表 株式会社VISIONECT 代表取締役 / 株式会社and. 取締役 シェアビレッジ株式会社 / ハバタク株式会社 代表取締役 浅野 聡子さん 瀬戸口 信也さん 須子 善彦さん 原 亮さん 株式会社StoryCrew 代表取締役共同経営者 合同会社 高知カンパーニュブルワリー 代表取締役 マイプロジェクト株式会社 代表取締役 エイチタス株式会社 代表取締役 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 8

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学生メンター 柳原 伊吹 西上 一成 杉田珠夢 高知大学大学院 総合人間自然科 学研究科 地域協働学専攻 2年 高知大学大学院 総合人間自然科 学研究科 地域協働学専攻 1年 高知大学 地域協働学部 地域協働学科 4年 田村 敢 奈良 可南子 小池 乙歌 高知大学 地域協働学部 地域協働学科 4年 高知大学 地域協働学部 地域協働学科 3年 高知大学 人文社会科学部 人文社会科学科 2年 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 9

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学生メンター 松原 彩耶香 竹中 楓 宮田 華菜 高知大学 地域協働学部 地域協働学科 2年 高知大学 地域協働学部 地域協働学科 1年 高知大学 地域協働学部 地域協働学科 1年 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 10

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支援内容 ①個別メンタリング/集団メンタリング 活動を進める中での悩みや不安、事業化に向けての課題、事業内容について経験豊富なメンター陣からのサポート が受けられます。 ②プレゼンテーション機会の提供 プログラム内はもちろん、様々なプレゼンテーション機会を提供し、自らのアイデアへのフィードバックや協力者 集めの機会を提供します。 ③地域との関係づくりに向けたコーディネート支援 事業化に向けて地域内の事業者や関係部署を紹介し、事業の現実に向けたコーディネートを行います。 ④活動サポート 高知大学コミュニティデザイン研究室所属の学生が受講生の取り組みをサポートします。 ⑤試作品・モデルの実証実験経費の一部補助 試作品の開発や実証実験に係る経費の一部を補助します。 ⑥オリジナルテキスト『地域ビジネススタートガイドブック』の提供 地域ビジネスに取り組む際に必要となる視点や考え方、アイデアを形にするための各種フレームワークをまとめた オリジナルテキストを無料で提供します。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 11

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大切にしてほしいこと=講座全体を通してのルール ①安心・安全の場をみんなで創ろう ②ありのままの自分を素直に出そう ③仲間・プロジェクトを評価しない ④プロジェクトは変わってOK! ⑤お互いが最大の応援者になる Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 12

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Day1の目標・ゴール 自分を深く理解し、自分のwillと事業のwhyを可視化する & 仲間を深く理解する Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 13

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2.インプット:地域ビジネスの進め方 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved.

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①地域ビジネスの考え方 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved.

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コミュニティ・ビジネスの一般的定義 コミュニティ・ビジネスに関する主要な定義は以下のものがあげられる。 細川信孝(1999) 「地域住民がよい意味で、企業的経営感覚をもち、生活者意識と市民意識のもとに活動する『住民主 体の地域事業』」 本間正明・金子郁容他(2003) ミッション性:コミュニティに貢献するというミッションを持ちその推進を第一目的とする。 非営利追求性:利益最大化を目指していない。 継続的成果 自発的参加 :具体的な成果をあげ、活動が継続して行われる。 :活動に参加する人は自発的に参加している。 非経済的動機による参加: 活動に参加する人の動機は金銭的なものを第一とせず、 むしろ、 生きが い、人に役立つ喜び、コミュニティへの貢献など非経済的なものが主である。 関東経済産業局 コミュニティビジネス/地域コミュニティ 「コミュニティビジネスとは、地域の課題を地域住民が主体的に、ビジネスの手法を用いて解決する 取り組み」 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 細川信孝(1999)『コミュニティ・ビジネス』中央大学出版 本間正明・金子郁容他(2003)『コミュニティ・ビジネスの時代』岩波新書 関東経済産業局 コミュニティビジネス/地域コミュニティ(https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/cb/index.html#cb) 16

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地域ビジネスの要件とポイント 地域ビジネスの要件としては、次の4つが指摘できる。 ① 「地域住民」が主体であること ② 「地域課題解決」を主の目的としていること ③ 「地域資源」を活用すること ④ 持続可能な「事業」として展開されること 加えて、実践を想定した場合、次の3つを意識して取り組むことが大切になる。 ❶課題解決が主要なミッション(目的・動機) 個人的利益の獲得が第一義的な目的ではなく、地域や社会の課題解決を主要なミッションとすること。 ❷機会を見つけ、活用されていない資源を活用し、事業を行う(資源) 根本的(本質的)な問題解決の機会を見つけ出し、活用されていない資源(特に、社会関係資本)や他領域の資源 (人・手法・ノウハウなど)を活用すること。 ❸地域や人・組織とのネットワークを構築し、協働・共創を重視(プロセス) 個人の才能や力だけではなく、仲間や地域、他組織と協働・共創しながら解決を目指し、社会的なインパクトを広 げるために多様な主体と協働すること(コレクティブ・インパクト)。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 17

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②地域ビジネスのプロセス Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved.

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地域ビジネスの構成 地域ビジネスは、「地域課題・社会課題への認知向上、地域や社会のムーブメント醸成」を行うコミュニティデザ イン/ソーシャルデザインと、「事業を通じたソーシャルイノベーション、ローカルイノベーション」を実現するコミ ュニティビジネス/ソーシャルビジネスの2つの構成要素に分けて理解することができる。 コミュニティデザイン/ソーシャルデザインは、地域の中で問題として認識されていない問題に光を当て、周囲に問 題を認識してもらうきっかけづくりや問題解決に取り組むコミュニティを醸成していくことを目指すことになる。 コミュニティビジネス/ソーシャルビジネスは、地域課題の解決を事業として行うアプローチで、多様な主体との 協働を通じて、新たな課題解決の方法を生み出したり、ローコストで課題解決ができる仕組みを構築することを目指 すことになる。 地域ビジネスでは、この二つの取り組みを同時並行で進めていくことが肝要となる。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 19

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地域ビジネスの展開プロセス 成果を出している地域ビジネスの事例では下記のような6つの展開プロセスを丁寧に進めていることが明らかにな っている。事業モデルありきで人を集めたりする活動を展開した取り組みは地域ビジネスでは失敗していると指摘 されている。 地域ビジネスのプロセスとして、「①自分の価値観、想いの種を見つけ出すこと」、「②当事者や現場に足を運 び、その声をありのままに受け止めること」、「③仲間と深くつながり、安心・安全な関係を創り出すこと」、 「④創り出したい世界観をみんなで描くこと」、「⑤課題解決のためのアイデアを創ること」、「⑥仲間と一緒に 小さく始めること」の6つがあるが①が最も重要になる。 地域社会に問題や取り組めるビジネスは多数存在するが、仲間を集めるプロセスでは自分の想いに基づいて取り 組んでいるかによって理解される・応援される・仲間を集める上で大きな差が生まれる。 ① ② ③ Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 自分の価値観、 想いの種を見つけ出すこと 事業の中心となる人物が自分に向き合い、想いを見つけ る点で全てのプロセスの中で最も重要なポイントである。 当事者や現場に足を運び、 実際の現場に出て、自分の想いを他者と共有して本当に その声をありのままに受け止めること 求められている事か確認していく事が重要になる。 仲間と深くつながり、 安心・安全な関係を創り出すこと 地域では必要な人材がいるわけではない。そのため、一 緒に事業に取り組む仲間と信頼形成を行いチームづくり が重要になる。 ④ 共に事業を進めるため、仲間と一緒に、理想の未来や事 創り出したい世界観をみんなで描くこと 業が成功させて実現したいビジョンを考えていく必要が ある。 ⑤ 課題解決のためのアイデアを創ること 考えたビジョンに基づいて実際の課題を解決するための アイデアを形にする事が重要になる。 ⑥ 仲間と一緒に小さく始めること アイデアも最初から取り組み可能な範囲で小さく形にし、 次第に大きな事業に取り組める環境を作っていく必要が ある。 20

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地域ビジネスに取り組む最重要ポイント 地域ビジネスに取り組む上では、「ATI(圧倒的当事者意識)」が最も大切な要素となる。これは、「あなたにその 事業をやる明確で・納得感のある理由があるかどうか」と言うことを意味している。 「ATI(圧倒的当事者意識)」を持つべき理由は、ビジネスそのものは簡単に成果が出ないことが多くやり続けられ るものである必要があるからである。 事業やプロジェクトそのものは、かなり表層的な物であり、背景には取り組みたい理由となる原体験などが隠れて いる。逆に言うと、事業やプロジェクトに取り組みたい原体験が無い場合や思いが強くない場合は「ATI(圧倒的当事 者意識)」を持てない事になるためビジネスアイデアの再検討をした方が良い。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. チカイケ秀夫(2020)『原体験ドリブン〜人生の9割の答えがここにある!〜』光文社をもとに作成 21

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地域ビジネスに取り組む当事者性を高めるには 当事者性を自覚するためには、自分自身の存在意義やなぜその事業に取り組むのかという「Why」を何度も問い続 けることが求められる。 自分自身が現在取り組みたいと考えている事業やプロジェクトについて「Why」を5回以上問いかけると良いとさ れている。 単純な動機以上にその背景に隠れている過去の経験や経験に基づく感情や認識について確認する事で、自分自身が 事業やプロジェクトに取り組む納得感が獲得され、周囲にも自分自身が事業に取り組む理由を語ることができるよう になるとされている。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. チカイケ秀夫(2020)『原体験ドリブン〜人生の9割の答えがここにある!〜』光文社をもとに作成 22

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ゴールデンサークルの視点 ゴールデンサークルは、サービスや製品について伝えるときに 人の行動変容を起こしやすい伝え方を図式化したものであり、 「Why」、「How」、「What」の3つの要素から構成される。 ①Why Whyは自分が本当にしたいことを言語化したものである。好き や強みを探求し、「なぜ私がそれをするのか」、「本当に、私は それがしたいのか」、 「自分の存在意義を感じるか」を深掘り して考える必要がある。 ②How Howはアイデアを具体的な方法に落とし込んだものである。 「自分のアイデアを現実的な価値として社会に届けられる方法は 何か?」という問いかけを繰り返し、最終的に1つの方法に絞り 込む必要がある。 ③What Whatは、Whyを実現するためのアイデアである。自分の好き や強みを踏まえてどんな価値が提供できるか考える必要がある。 私たちは、アイデアを説明する時に「何を(What)」から語り がちであるが、顧客に製品を購入してもらったり、地域ビジネス のように事業を進める上で仲間を作る必要性や地域住民の理解を 得るような行動変容を求める場合は、「なぜ(Why)」に向き合 い、語ることができる必要がある。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. サイモンシネック 優れたリーダーはどうやって行動を促すか (http://www.ted.com /talks /simon_sinek_how_great_leaders_inspire_action?language=ja)をもとに作成 23

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ゴールデンサークルの構成要素の詳細 ①Why(なぜ私が?) Whyの観点では、自分が本当にしたいことを言語化し、好きや強みを探索していく。深ぼる上では、「なぜ私がそ れをするのか?」、「本当に、私はそれがしたいのか?」、「本当に、それは自分(組織)の存在意義に通じること なのか?」などを自分自身が組織で取り組む場合は組織メンバー間で確認をしていく必要がある。 Whyの観点は3つの項目の中で最も重要である。成熟した世界では新しい物を作るだけでは価値が生まれない時代 になっているとされる。それは、作る人そのものがどの様な世界感を目指してプロダクトを作ったかによって消費者 は購入や応援するかの意思決定をするためである。 ②How(どのように提供する?) アイデアの種をもとに、問いと対話で深掘りし、最終的に1つに絞っていく必要がある。どうやって自分のアイデ アを現実的な価値として社会に届けられるかを検討する。 WhatとWhyを何度も行き来しながら、「顧客に届ける方法は適切か?」、「どの様に届けるか?」、「顧客に届 くまでのプロセスはどの様な構造になっているか」についても考える必要がある。 ③What(どんな価値を?) 自分の好きや強みを組み合わせて、自分らしいアイデアの種を探索していく。自分を活かしてどんな価値を提供で きるかという視点で考えていく。対して、自分に無い技術や知識は無理に獲得するよりも自分の思いに共感する存在 を味方にしていくなどしてアイデアを形作ると良い。 アイデアが原体験に基づいており、伝えたい価値を伝えられる形態になっているか、アイデアは適切かを何度も問 いかけて形にする。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 斎藤徹(2024)『小さくはじめよう:自分らしい事業を手づくりできる「マイクロ起業」メソッド』 ディスカヴァー・トゥエンティワン.pp.24-27. 24

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③なぜ、原体験やWhyが重要なのか? Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved.

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志ファーストの事業とは? 自分の原体験やWhyを表出化した自分の志に基づく事 業は簡単には社会価値にはならない。 社会価値は、自分の志と社会・市場のニーズが重なる 境界線部分に生まれる事が明らかになっている。 そのため、自分の志部分の原体験やWhyについて事業 の形にするだけでは不十分であり自己満足なものになっ てしまう可能性も存在する。 重要なのは社会・市場のニーズについて耳を傾けなが らも自分の原体験やWhyにあたる自分の志に基づく事業 を展開し両者のバランスを取ることができる事業を見つ ける事である。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 山口高弘(2015)『アイデア・メーカー:今までにない発想を生み出しビジネスモデルを設計する教科書&問題集』東洋経済新報社 26

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地域での取り組みの成長曲線 地域ビジネスなどの社会課題解決を目的にしている事 業は、社会・市場のニーズが存在していない可能性も高 い。そのため、努力をすれば成長していくというような 本来理想にしている成長イメージ通りに成果は出ないと されている。 取り組みや事業は評価されない、売れないどころか結 果が出ずに否定される可能性も存在する。こうした地域 ビジネスなどの事業の成長はJカーブとして表現されてお り、だんだん成果が出ることは少なく、ある日突然大き く成果が生まれるとされている。そのため、成果が出な い間も事業に取り組み続けることが重要になってくる。 取り組み続けられる事業は、自分の志にあたる原体験 やWhyに基づくものでないと厳しくなってくる。そのた め、自分の志について向き合うことが重要なのである。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 山口高弘(2015)『アイデア・メーカー:今までにない発想を生み出しビジネスモデルを設計する教科書&問題集』東洋経済新報社 27

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エフェクチュエーション 原体験やWhyの重要性を考える上で参考になる考え方として「エフェクチュエーション」が存在している。これは 熟達した起業家の行動様式の共通点を整理したものである。その主要な要素は、 ①「手中の鳥」の原則、②「許容可能な損失」の原則、③「レモネード」の原則、④「クレイジーキルト」の原則 の4つが存在している。 エフェクチュエーションの考え方は、従来の事業を作るために必要な考え方とされていたコーゼーションの思考様 式と反対の思考様式を取ることが明らかになっている。自身や自社に資源が少ない状況ではエフェクチュエーション の思考様式を採用し、事業のためにアクションをしていく事が求められる。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. サラス・サラスバシー(2015)『エフェクチュエーション 市場創造の実行理論』碩学舎 28

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エフェクチュエーションの最重要ポイント 4つの原則で最も重要な原則が、「手中の鳥の原則」である。優れた起業家は自分が持っている手段からスタート して可能な結果をデザインすると言われている。この手段とは「自分は誰か」、「何を知っているか」「誰を知って いるか」からスタートすると言われており、原体験を軸として自分の持っている、周囲にある資源を活用してビジネ スを進めていく事が指摘されている。 手元にある手段を用いて事業に取り組む事によって無理なく事業を始める事ができる点や、実際に行動を起こすこ とによって人や機会に出会う事から、新たな手段や新たな目的が生まれ、事業を拡大させていくことができるとされ る。つまり、遠い世界を変えるよりも、手元にある物を活用する、また自分自身にまずは目を向けて自分の原体験や Whyについて深ぼる事やこれまでの人生経験を踏まえて知っている人や知っていることについて考えていくことが重 要になる。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. サラス・サラスバシー(2015)『エフェクチュエーション 市場創造の実行理論』碩学舎 29

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④テーマの着想観点 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved.

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テーマ着想の視点 テーマ着想は、「思い・志・夢」という自分起点のも のと、「顧客・自社・競合」などの他社や周囲環境起点 の2つの視点から考えることができる。 1つ目は、「思い・志・夢」という自らの体験や想い (原体験)から発想することである。 この場合、自信の過去について「Why」を問いかけて 深ぼり、「思い」について明確化していく必要がある。 2つ目は、「顧客・自社・競合」などの市場状況から「 人の不満」、「世の中の動きや課題」、「既存の社会起 業の事例」、「自分の経験や社会の技術・資源を活かす 観点」などから発想することができる。 この場合も「Why」を問いかけてなぜその事業に興味 を持ったか問いかける必要がある。また、その課題感が 自信の思い込みではなく顧客の困りごとであることを確 認するために実際の顧客の声を聞く必要もある。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 炭谷俊樹(2010)『ゼロからはじめる社会起業』日本能率協会マネジメントセンター 31

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テーマ選択の視点 テーマを思いついた場合、「社会問題の重要度」や 「自分の適応度」からテーマを選択すべきかを判断する と良いとされている。 社会問題の重要度の観点については、社会価値と成長 性の2軸から考えることができる。 社会価値は、「問題の深刻性」や「解決した時の波及 効果」から考えると良いとされている。 成長性は、「問題を抱える人の増加可能性」や「問題 そのものが深刻化する可能性」から考えると良いとされ ている。 自分の適応度の観点については、経験・資源と自分の 価値観・目標の2軸から考えることができる。 経験・資源は、「自分の経験が生きる分野か」や「自 分の所属する組織の技術の適用可能性」から考えると良 いとされている。 自分の価値観・目標は、「自分が大切にしている価値 観・目標と合っているか」や「心の底からやりたいと思 えるか」などの観点から考えると良いとされている。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 炭谷俊樹(2010)『ゼロからはじめる社会起業』日本能率協会マネジメントセンター 32

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⑤地域ビジネスに取り組むポイント Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved.

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地域ビジネスに取り組むポイント①:経済的価値と社会的価値のバランス 地域ビジネスに取り組む上では経済的価値と社会的価値のバランスを取る必要があると言われている。 地域ビジネスは地域住民が主体であることや課題解決を目的にすること、地域資源を活用する取り組みである。そ のため経済的価値に傾倒してしまうと地域ビジネスの必要性が無くなったり、地域住民から理解が得られなくなって しまう。一方社会的価値に傾倒してしまうと事業性が無いために継続性の観点で問題を抱える可能性も出てしまう。 重要なのは事業として成り立たせるために経済的価値を実現しながら、そこで生まれた価値を社会的価値として還 元していくような両者のバランスを取った事業が展開される事が望ましい。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 34

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地域ビジネスに取り組むポイント②:自分たちの活動がどのレイヤーか意識する 地域ビジネスで取り組む要素としては攻めの活動と守りの活動が存在している。〈経済的価値〉と〈社会的価値〉 は似た要素ではあるが、「守りの活動」は、地域内の生活支援活動やコミュニティ支援活動など利益を上げるよりは 事業として持続できる状態を維持しながら地域内の生活全般を支える事業を指す。「攻めの活動」は、地域経済など の活性化を図るために外貨獲得を狙うような価値創造活動を指す。「守りの活動」と「攻めの活動」のどちらに基づ いて事業を取り組んでいるかを意識する必要がある。 意識しない場合、事業運営を行う上で「守り」の活動で経済的価値を追求し過ぎることや「攻め」の活動で継続性 の視点に意識が行き過ぎ、経済的価値が生めていない状況になってしまうなど意思決定として失敗が生じる可能性が あるため意識する必要がある。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 図司直也(2014)『地域サポート人材による農山村再生』岩波新書 35

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地域ビジネスに取り組むポイント③:必要なチームを組織する(巻き込む) 地域ビジネスに取り組む上では、必要なチームを組織する視点が重要となる。 ビジネスに取り組む上では1人で取り組まなければならないように考えがちであるが、地域ビジネスなどの資源が 乏しい環境では情報・人材にも限界がある。苦手な要素があれば協力を得られるようなパートナーを見つける、集め るという視点も重要になる。 地域ビジネスに求められる役割として下記の10個の役割が必要になるとされており、1人で複数務めながらも分担 できるように仲間集めができると良い。 情報を収集する人 土台を作る人 イノベーションを 実現する人 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. ①人類学者 本質的な課題を探り当てる人 ②実験者 アイデアの有効性や問題点を見つける人 ③花粉の運び手 異なる業界の情報を自分たちの領域に持ち込む人 ④ハードル選手 取り組みを阻む様々な障壁を飛び越えていく人材 ⑤コラボレーター 多様な人や組織をまとめ取り組みを促進する人 ⑥監督 関係者を集め強みを活かしながらチーム作りを行う人 ⑦経験デザイナー 潜在的な顧客ニーズを見抜き、顧客の課題解決や満足度を最大化する存在。 ⑧舞台装置家 メンバーが力を発揮できるように環境を整える人 ⑨介護人 人々に寄り添う役割を担う存在 ⑩語り部 自分達の世界観をストーリーとして届ける人 Kelley, T. and Littman, J. (2005) The Ten Faces of Innovation: IDEO’ s Strategies for Beating the Devil’ s Advocate & Driving Creativity Throughout Your Organization, New York: Doubleday. ( 鈴木主税訳『イノベ ーションの達人 !:発想する会社をつくる 10 の人材』早川書房 , 2006) 36

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地域ビジネスに取り組むポイント④:できるだけ地域内での経済循環を生み出す 地域内での経済循環について考える上で参考になる考 え方が「漏れバケツ理論」である。 これは地域から外に出ていくお金のことをバケツから 漏れていく水に例え、地域内でのお金が循環するために は穴を特定する必要があることを指摘している。 従来は、地域に観光や投資を通じてお金を入れれば豊 かになると考えられていたが、どんなに投資を行なって も地域が一向に活性化しないケースが多々あることから このモデルが提案された。 経済循環を生み出すには3つのポイントがある。 ①地元調達率を高める ②地元生産率を高める ③地元の中でお金が回る仕組みを意識する 経済循環を行うか、行わないかでは、仮に同じ1万円 の売り上げを上げた場合でも域内消費20%と域内消費 80%では4倍ほど経済効果に差が出ることも指摘されてい る。 枝廣淳子(2017)『地元経済を創りなおす』岩波書店. Piugging the leaks(https://web.archive.org/web/20180904171200/http://www.pluggingtheleaks.org/). Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 37

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3.キーノートスピーチ :守時健 氏 (株式会社パンクチュアル 代表取締役) Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved.

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キーノートスピーチ:守時健 氏 (株式会社パンクチュアル 代表取締役)  プロフィール 株式会社パンクチュアル 代表取締役 守時健 地方創生請負人。高知県須崎市の市役所職員としてゆるキャラ「しんじょう君」を誕生させ、'16年にゆるキャラ グランプリ王者に輝く。 その後、須崎市のふるさと納税をSNS&ゆるキャラ戦略で1000倍に増やし、地域活性に貢献。2020年市役所を独立 し、株式会社パンクチュアルを設立。SNSマーケティングを使った特産品の情報発信を仕掛ける。著書に「日本一バ ズる公務員」(扶桑社)がある。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 39

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キーノートスピーチ:守時健 氏 (株式会社パンクチュアル 代表取締役) 守時氏のキーノートスピーチでは、①これまでの人生 のストーリー、②会社で始めた事業、③近年行っている 活動への思いの3つの観点から共有が行われた。 ①これまでの人生ストーリー 守時氏は、現在株式会社パンクチュアルの代表取締役 を務めているが、学生時代は、勉強ができない生徒だっ たことや高校時代の反省から自身で勉強を行い22歳から 大学生になったこと、その後公務員として働いてきたこ となど順風満帆ではない人生を歩んだ事が共有された。 須崎市役所に就職したのは、大学生の続きができそう だと考えたことがきっかけだったと言う。職員時代に須 崎市への貢献の方法を考え、自身がフォロワー数の多い アカウントを持っていることとゆるキャラブームだった 所に目を付け事業を開始した。その結果、ゆるキャラグ ランプリで「しんじょう君」を優勝させた事や34億円の ふるさと納税を獲得した事が共有された。 しかし、異動のある自治体職員がSNS事業を行うこと の難しさや、有名人となったことによる誹謗中傷、ワー ク・ライフ・バランスの乱れなどから入院する事となっ た。その際、「頑張っても、上手くいってもいかなくて も、大した人生送れなくてもいつか死ぬわ」と感じ、今 の心情を市長に相談したところ、退庁を提案され、退庁 することを決心し会社を作ることを決めたことなど、こ れまでの人生ストーリーの共有が行われた。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 40

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キーノートスピーチ:守時健 氏 (株式会社パンクチュアル 代表取締役) ②会社で始めた事業 株式会社パンクチュアルはふるさと納税を中心にした 地域商社を目的として設立された。創業時はコロナ化で あったことから地元で魚が売れず廃業する漁師が出てい る状況であった。 そこで、しんじょう君のグッズサイトを改修し、地域 産品の販売準備を進め、他の人気キャラクターの運営を 行なっている人や人気ブロガーと連携して、地域や漁師 の現状を発信し、地域で余っていた魚を売り切ることに 成功した。結果、令和2年度高知県地場産業大賞 奨励賞 と特別賞を受賞し、初年度で年商10億円を達成するなど 創業間もない状況から売上、社会的インパクト両方をも たらしている。 ③近年行っている活動への想い 会社では、「東京より楽しい仕事」を社訓として掲げ 事業を行っている。「町おこし=ダサい」という概念を 変えること、1円も交付金を無駄にしない、域外にお金 を出さないという思いを軸として、受託自治体に必ず営 業所を設置してその地域に住んでもらうということなど こだわりを持って事業を進めていることが共有された。 講演を通じて、あたりまえになっている風潮に疑問を 向け、自分の過去の経験や得意なことなど持っている経 験やスキルを資源として活用して地域ビジネスを展開す る方法が共有された。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 41

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キーノートスピーチ:守時健 氏 (株式会社パンクチュアル 代表取締役) 守時氏の講演後は講演内容やこれまでの経歴や事業につい て、受講生からの質問が行われた。 Q:様々な地域で活動されているが、地域には様々な特色が あるなかで、それらをどのように吸収・発信しているのか。 また、活動はどのように決めているのか。 A:総合職として取り組んでいる。いろんな地域でいろんな 課題解決法が存在する。いろんな課題解決が必要かつそれを 学ぶことを重要視しており、最終的な判断は自分自身がして いるが、現場で様々な経験を通して意思決定できる社員を育 てる事を目指している。 Q:四万十町からふるさと納税支援依頼はきているか。 A:来ていない。モデルとして学ばせていただいた過去があ る。高知県はふるさと納税がとても強い。理由は、自治体職 員同士の情報交換を月1でやっていて、それが要因になってい るから。今後は増やしていこうかと考えている。 上記のように守時氏の事業や事業の背景にある想いについ て質問が行われた。地域ビジネスに取り組む上で、先輩起業 家の知見を自分に取り入れようと意欲的に質問やメモをとる 受講生の姿が印象的であった。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 42

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4.ワーク:自己理解ワークショップ Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved.

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マイプロジェクトとは 地域ビジネスは「自分を知る」 から始める必要があり 、自己理解のためにマイプロジェクトワークを行う。 マイプロジェクトとは、自分に基づいた(My)「何か を、プロジェクトの形にして(Pjt)やってみる」ことか ら始まる、自分や世の中の変化の物語である。自らの経験 の中から、自分のミッションを生み出していくことを重要 視する。 マイプロジェクトは、2005年頃、慶應SFCの井上英之 ゼミにより始まった教育手法で、「時代や社会のせいにせ ず、未来の社会は自分(達)の一歩から変えられる」「ひ とり、の力は意外と大きい。すべての人は、誰かを”代表” している」という実体験を全ての人に持ってもらうことを 目的に開発された。 現在は、ソーシャルイノベーション創出や起業家育成、 チームビルディング、組織開発、リーダーシップ開発、ま ちづくり、地域活性化、被災地支援、教育現場やキャリア 教育など様々な領域でその有効性が広がりを見せている。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 44

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マイプロジェクトの進め方と使用するツール マイプロジェクトワークの進め方は、5つのプロセス で進められる。 ①自分の想いを感じ、頭と心からシートに出す ②マイストーリーを語り合い、自分と仲間を理解する ③「行動」として第一歩を踏み出す ④仲間を創る:学習仲間、行動仲間、評価仲間 ⑤行動し、学び、気づきを仲間とシェアし、高め合う ここで重要になるのは、語って作り出したプロジェク トを一度行うことである。行動に起こすことでそれが自 分にとってどのような意味を持つか再度自分に向き合う ことができる。 マイプロワークを進める上では、①と②を進めるため に自分の人生について振り返るMe編と③以降のプロセス を進める自分に基づいたアクションを起こすプロジェク ト編が存在している。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 45

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マイプロジェクトを実施する上でのポイント①:自己認識の必要性 マイプロジェクトはワークプロセスを通じて自己認識 を高めていくことが重要になる。 自己認識とは 、「 自分自身のことを明確に理解する 力」とされており、「私が本当にしたいこと、こだわっ ていることはなんだろう」、「私が人より多く経験した ことは何か?強みとなる知見は何か」、「私はこのアイ デアを本当にしたいと思っているだろうか」という点に 気づいていくことで得られる。 自己認識は、「内的自己認識(自分の観点から自分自 身を理解する)」・「外的自己認識(他者の視点から自 分自身を理解する)」の2つの視点から高められる。 高めるためには、自分を深掘りするのではなく、自分 について深く知ることが大切になる。ここで知るとは自 分についての情報・事実を集めて様々な側面の自分を知 ることを意味する。 また、一人で内省しないこと、反すうしないことが重 要になる。自己認識をする上では過去の失敗から自分を 否定することが起きる場合もあるが、それは認識を高め るのではなく自己否定を繰り返すことで認識することか ら遠ざかることや、精神的に病む可能性や自殺につなが る可能性もあるため注意が必要になる。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. ターシャ・ユーリック(2019)『Insight : いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力』英字出版 46 ハーバード・ビジネス・レビュー編集部(2019)『セルフ・アウェアネス』ダイヤモンド社

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マイプロジェクトを実施する上でのポイント②:セルフ・コンコーダント・ゴール セルフ・コンコーダント・ゴールとは、「心の奥底に ある個人的な信念や強い関心から追求される目的や目標 のこと」とされている。 この目標を達成するためには、「できること」の背景 に隠れている「したいこと」について深く考えていく事 が必要になる。ただし、「したいこと」についてアクシ ョンを行ってみてその背景に隠れている「本当にしたい こと」、「本当に本当にしたいこと」を見出していくこ とが特に重要なポイントになる。 通常の目標の立て方をし続けると、できることの羅列 になってしまうため注意が必要になる。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 斉藤徹(2024)『小さくはじめよう:自分らしい事業を手づくりできる「マイクロ起 業」メソッド』 ディスカヴァー・トゥエンティワン, pp.42-. タル・ベン・シャッハー(2015)『ハーバードの人生を変える授業』 大和書房 47

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マイプロジェクトを実施する上でのポイント③:Will/beingへこだわり 私たちが日々行っている活動は社会での役割や期待され ている「Must(やるべきこと)」、これまでの人生の流れ から得られたスキル・経験「やれること(Can)」、心の 中に秘めている情熱や想い「やりたいこと(Will)」の3つ から構成されている。 私たちは仕事や学校、日々の生活の中から、「Must(や るべきこと)」と「やれること(Can)」が形作られるよ うになってくる。一方で「Will(やりたいこと)」は向き 合わずに捨ててしまうような事象が起きてしまう。 マイプロジェクトでは、 「Must(やるべきこと)」と 「やれること(Can)」などで行っている活動から一旦離 れ、自分自身がこれまで取り組みたいと思っていたことや 夢・志について再度向き合い、これまで諦めていた活動に 向き合いプロジェクトにすることを重要視している。 マイプロの一連のプロセスではWillに向き合うだけでは なく、自分のWillだと思ってしまっているMustやCanに気 づき、Willに向き合うことも重要なポイントになる。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 48

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自己理解ワークショップ:マイプロワークMe編  目的・ねらい マイプロジェクトシートのMe編の共有を行い、マイプロジェクトを一緒に取り組む受講生について理解を深める ことや、他者を理解することを通じて自分との違いに気づく中で自己理解・自己認識を高める事を目的とする。  ワークプロセス・時間 Step❶ マイプロシートのMe編の共有(10分) Step❷ Me編共有者の気になった点に質問(5分) Step❸ 共有者へのコメントや質問を記載した メッセージカードを準備・交換する Step❹ ❶~❸をチームメンバー数繰り返す  使用フレーム マイプロジェクトシート(Me編) Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 49

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5.実施風景 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved.

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チェックイン・アイスブレイクの様子 はじめに、四万十町役場人材育成推進センター所 長の川上より挨拶をし、本講座への期待について 共有された 集まった受講生は、全員の顔がある程度見えるよう にスライドに向かってアーチ状に着席した チェックインでは、「名前、所属、今の気持ち、講 座への期待」を1人ずつ共有した アイスブレイクでは、A4用紙を8つ折りにして、 各枠に趣味や好きなもの(こと)を書いた 書いた紙を持って、全員が対面に立ち、5分間でお 互いのことを紹介し合う時間を3回行なった 自分の好きなお酒や音楽バンドのこと、海外旅行に ついてなど、自由にお互いのことを紹介した Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 51

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インプットの様子 インプットは、テーブルでグループをつくり20分程 度行なった 講師が国内外の主要研究をベースに、事例なども挟 みながら行われた 受講生は、これまでの経験とインプットの内容を照 らし合わせながら理解している様子であった 学生メンターと一緒にインプットを聞く受講生の 様子 受講生は、資料に書き込みながら、熱心に聞いて いるところが印象的であった メモ用紙やノートブックを持参して、書いている受 講生の様子 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 52

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キーノート:守時氏の講演の様子 守時氏のキーノートを聞く受講生の様子 守時氏は自身の経歴や須崎市での活動、現在の会社 での活動などが紹介された 受講生は、成功談だけでなく、その裏であった苦悩 などについて興味深く聞いていた 受講生からの質問時間も設けられ、現在の活動や 今後の活動に関する質問が出された 守時氏は「地域課題を発見するためのシステムづ くり」「四万十町での活動の期待」などを語った 講師との対話も行われ、“丁寧な地域への理解の重 要性”についてなどが語られた Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 53

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ワーク:自己理解ワークショップの様子 受講生と学生メンターを4~5人のグループに分け て行われた 語り手は聞き手に自身の資料を見てもらいながら、 自己紹介やライフヒストリーを語った これまでに、自分がイキイキした瞬間や辛かった経 験などをグラフや写真を通して語られた 語り手に質問をする時間も取られ、その時の経験 から得たことなどが質問として出ていた 共有後には、感想やもっと聞きたかったことなどが 書かれたメッセージカードを一人一人に渡した 写真差し替え なかには、資料などにメモを取りながら、語り手の ことを知ろうとしている受講生もいた Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 54

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問い合わせ先 四万十町役場人材育成推進センター 担当:中井智之・吉村愛 〒786-0008 高知県高岡郡四万十町榊山町3番7号 E-mail:103060@town.shimanto.lg.jp TEL:0880-22-3163 FAX:0880-22-3345 高知大学地域協働学部コミュニティデザイン研究室(須藤順研究室) 担当:准教授 〒780-8520 須藤順 高知県高知市曙町2-5-1総合研究棟1階 Web:https://www.communitydesign-kochi.jp/ E-mail:j.suto@kochi-u.ac.jp TEL:088-888-8077 FAX:088-888-8043 ※本講座に関する問い合わせは上記までお願いいたします。 ※本資料の無断での配布、外部組織や個人への配布・閲覧、及び二次使用は、固く禁止させて頂きます。 Copyright © 2024 Jun SUTO All Rights Reserved. 55