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May 19, 24
スライド概要
株式会社ブランドデザイン 代表取締役。食品会社、広告会社を経て、2003年に名古屋工業大学大学院 産業戦略工学専攻 准教授に着任。その後、名古屋工業大学 産学官金連携機構 特任教授、厚労省所管 職業能力開発総合大学校 教授を経て2019年6月より現職。デミング賞審査委員会委員、日本品質奨励賞審査委員、㈱安川電機 社外取締役、㈱ジェイテクト 社外取締役を務める。専門はブランドマネジメント、主戦場は「事業開発」。企業の事業価値創造プロジェクトや幹部人財育成など企業指導多数。主な著書として『日本品質管理学会選書9 ブランドマネジメント:究極的なありたい姿が組織能力を更に高める』(日本規格協会)、『理想追求型QCストーリー』(日科技連出版社)など。
認知行動療法の考え方を援用した 組織風土改革 加藤雄一郎 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 1
問題意識 組織は、個の集合 個人レベルの意識改革なくして 組織風土は醸成されない いかに個の意識に働きかけるか BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 2
改革の道筋 組織風土改革 組織全体でルールを共有 行動ルールが変革された人数の増加 個人の行動ルール変革(=意識改革) BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 3
いかにして「個」に働きかけるか BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 4
人の行動は 「行動を引き起こすルール」 を変容しなければ変わらない。 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 5
意識改革とは 思考の根底に横たわる 価値判断ルールを変革すること BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 6
しかし、多くの場合 行動ルールは潜在化、或いは 意識化されていない。 つまり、「暗黙知」になっている。 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 7
意識変革は (1)暗黙化したルールの顕在化 (2)相応しいルールへの適正化 によってもたらされる 認知行動療法の援用 行動変容の源を「認知構造」に求める医療技術 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 8
日常的な例で考えてみましょう BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 9
行動の違いが生じる理由は何か <行動A> <行動B> 扉が開くなり おかまいなしに乗車する 降りる人を待ち その後、乗車する なぜ、 このような行動の違いが 生じるのでしょうか? <状況> 駅のホーム。電車が流れてくる。 扉の向こうには、降りようとする人が多く見られる。 扉が開いた… BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 10
ルールの違いが、行動の違いを引き起こす <行動A> <行動B> 扉が開くなり おかまいなしに乗車する 降りる人を待ち その後、乗車する ルールが違う <ルールA> <ルールB> 着席は 早い乗車が モノを言う 乗る人は 降りる人を 待つべきだ <状況> 駅のホーム。電車が流れてくる。 扉の向こうには、降りようとする人が多く見られる。 扉が開いた… BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 11
似て非なる「行動療法」の場合 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 12
行動そのものの変容を促す療法 <行動A> <行動B> × ○ 扉が開くなり おかまいなしに乗車する 降りる人を待ち その後、乗車する <ルールA> 着席は 早い乗車が モノを言う <ルールB> ルールには 注目しない 乗る人は 降りる人を 待つべきだ <状況> 駅のホーム。電車が流れてくる。 扉の向こうには、降りようとする人が多く見られる。 扉が開いた… BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 13
行動のみに目を向けて 変容を促すことの限界 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 14
状況が変われば・・・ <行動A> <行動B> × ○ 扉が開くなり おかまいなしに乗車する 降りる人を待ち その後、乗車する 矯正された行動は状況に無関係なため・・ <状況> レストラン。偉い人と一緒の会食。 お腹が減った。 自分が注文していた食べ物が先に出てきた・・・ BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 15
状況が変われば・・・役に立たない <行動A> <行動B> × ○ 扉が開くなり おかまいなしに乗車する 降りる人を待ち その後、乗車する 再び似たような不具合行動が現れる。 さきの矯正された行動は、この状況において何の役にも立たない。 <状況> レストラン。偉い人と一緒の会食。 お腹が減った。 自分が注文していた食べ物が先に出てきた・・・ BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 16
行動のみに着目した矯正は 数多くの場面をカバーしなければならない たとえば法令順守マニュアルの場合 留意すべきケースの増大に伴い マニュアルのページ数は年々増えて膨大化 うんざり。。組織は疲弊する(*_*) BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 17
一方で イノベイティブな企業ほど 法令順守マニュアルはシンプル なぜか? BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 18
ルールに着目すれば様々な行動に適用できる <行動A> <行動B> 扉が開くなり おかまいなしに乗車する 降りる人を待ち その後、乗車する <ルールA> <ルールB> 優先すべきは 自分の欲求 優先すべきは 周囲との「和」 <状況> 駅のホーム。電車が流れてくる。 扉の向こうには、降りようとする人が多く見られる。 扉が開いた・・・ <行動A> <行動B> 皿が置かれるなり おかまいなしに食べ始める 相手の食べ物を待ち 全員が揃ってから食べ始める <ルールA> <ルールB> 優先すべきは 自分の欲求 優先すべきは 周囲との「和」 <状況> レストラン。偉い人と一緒の会食。 お腹が減った。 自分が注文していた食べ物が先に出てきた・・・ BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 19
個々の行動を正すのではなく 多くの行動に適用可能な 「より絞り込まれたルール」の共有 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 20
では 顧客価値創造を推進する上で チームで共有すべき 「ルール(価値基準)」は何か? BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 21
認知行動療法の考え方を援用した 気づきシートの基本フォーマット 加藤雄一郎 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 22
気づきシートの基本フォーマット 氏名: テーマ: について <これまでの行動> <新たに発現した行動> 右記に対し、今までどういう 行動を取っていたか 新たにどのような行動を 取るようになったか <旧ルール> <新ルール> なぜ、今まで そのような行動を 取ってきたのか 何がそのような 新たな行動を 生み出す理由になったか 新ルールが旧ルールにリバウンドしないよう 肝に銘じておくべきことは何か <上記のルール変容を堅持すべき理由> BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 23
Step1 行動の変化 氏名: テーマ: <これまでの行動> <旧ルール> について <新たに発現した行動> <新ルール> <上記のルール変容を堅持すべき理由> まず着眼していただきたいことは、行動上の変化(Befor/After)です。「本活動を通じて、ご自分がどう いう行動を取るようになったか/チームがどういう行動を取るようになったか」を考えてみてください。そ れに対し、「それに対し、これまでのご自分はどういう行動を取りがちだったか/本活動の初期において チームはどういう行動を取りがちだったか」についても考えてみてください。 なお、ここで書くべきは「意識」ではなく、「行動」です。発話内容や具体的な検討行動の中身など、客観 的な描写を心がけてください。ここに「本人にしかわからない心の意識レベル」を書くと、次頁との区別が つかなくなりますので注意してください。 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 24
Step2 新たな行動を引き起こした「ルールの変化」 氏名: テーマ: <これまでの行動> <旧ルール> について <新たに発現した行動> <新ルール> <上記のルール変容を堅持すべき理由> このボックスに記述すべきは「前述の行動の背後にある考えや価値観」です。「何を是として前出の行動を 取るようになったのか?」 という問いに答えてみてください。 別の言い方としては、「前出の新たな行動を取るようになった背景として、どのような価値基準の変容が あったといえるか?」「新しい行動を取るようになったのは、なんの重要性に気づいたからなのか?」「そ の一方で、これまでの行動は、暗黙のうちにどのようなルールに囚われていたと言えそうか?」といった問 いかけ文章になります。 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 25
Step3 リバウンドさせないための歯止め 氏名: テーマ: <これまでの行動> <旧ルール> について <新たに発現した行動> <新ルール> <上記のルール変容を堅持すべき理由> せっかくルール変容によって新たな行動が表出しても、普段の環境に戻ると元に戻ってしまいかねません。 最後に締めくくるべきは、〔旧ルール→新ルール〕の変化を揺るぎないものにするための「歯止め」です。 「なぜ、旧ルールを破棄しなければならないのか?」「新ルールを堅持しなければならない理由は何か?」 という問いに答えてみてください。これがご自分のなかで顕在化していなければ、気づかぬうちに元に戻る ことでしょう。 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 26
Step4 最後に主題を明記しましょう 氏名: テーマ: <これまでの行動> <旧ルール> について <新たに発現した行動> <新ルール> <上記のルール変容を堅持すべき理由> 最後に「このシートは何について書かれたものなのか?」というトピックを明記してください。一つのシー トは、一つのトピックです。したがって、あなたが思うトピックの数だけ、シート枚数が存在することにな ります。 極論すれば、あなたが回答するシート枚数は、1年間にわたる本活動を通じてあなたが学んだ質量に相当し ます。いたずらにシート枚数を増やす必要がありませんが、「本活動が自分にどれだけの学びをもたらした のか」ということを意識して、気づきシートを作成してみてください。 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 27
みなさんから集められた気づきシートは、 私が責任をもって集約します。 そして、「私たちの価値創造観」に仕立て上げて みなさんにフィードバックします。 みなさんが熱心に考えてくれれば、 それだけフィードバックが豊かになります。 きっと、楽しんでいただけると思います(^^) ぜひ、取り組んでみてください。 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 28
さあ、やってみよう 学びの成果は、気づきシートの枚数に表れる = 「〇〇について」という、トピックの数 あなたは気づきシートを何枚書けるかな? BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand
氏名: テーマ: について <これまでの行動> ② <新たに発現した行動> ① <旧ルール> ③ <新ルール> ③ ④ <上記のルール変容を堅持すべき理由>