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June 25, 26
スライド概要
以下のnoteをスライド資料にしました。
https://note.com/tsunobuchi/n/nc64337d0f925
弁理士・博士(理学)/弁理士法人レクシード・テックパートナー
TRAINING DIGEST AI 時代の 特許調査 「探す仕事」から 「判断を支える仕事」へ 特許調査の実務と AI 活用の極意に関する研修会 内容を、 note 記事向けの読みやすさでスライド化 PDF 配布用スライド
KEY MESSAGE AI で下がるのは、 作業コスト。 AI で上がるのは、 目的設計の価値。 検索・要約・分類は速くなる。 その分、専門家には「何を調べるべきか」と「どう 判断につなげるか」が問われる。 特許調査の実務と AI 活用の極意| 2
特許調査は「検索」では終わらない 検索結果を納品するだけでは、依頼者の意思決定には届かない。 検索 条件に合う文献を データベースから取り出す → 調査 課題を理解し、根拠を集め、 判断できる形に整える 依頼者が欲しいのは「文献リスト」ではなく、次の一手の根拠 特許調査の実務と AI 活用の極意| 3
特許調査の基本フローは 4 ステップ AI を入れても、実務の骨格は変わらない。 01 何を探すか 目的・判断基準 を決める → 02 検索式作成 分類とキーワード を設計 → 03 読む 文献を選別・評価 する → 最重要は、入口の「何を探すか」 ここが曖昧だと、 AI は「それらしい文献」を大量に返すだけになる。 特許調査の実務と AI 活用の極意| 4 04 まとめる 判断に使える成果 物へ
ゴールから逆算して調査を設計する 最終成果物を先に決めると、必要な情報が見えてくる。 最終判断 侵害・無効・出願 必要文献 検討対象特許 先行技術 ← 成果物 クレームチャート 報告書 ← 「最後に何を言いたいか」から、 探すべき文献と検索範囲が決まる。 特許調査の実務と AI 活用の極意| 5 入口設計 目的・観点・基準 ← 検索式 分類 × キーワード ←
AI AS TOOL AI はシェフではない。 高性能な調理器具である。 材料を切り、混ぜ、加熱し、盛り付けることはで きる。 しかし、何を作り、誰に出し、どんな味にするか は人が決める。 人の役割:目的・手順・判断基準・出力形式という 「レシピ」を設計する 特許調査の実務と AI 活用の極意| 6
検索の基本は「分類」と「キーワード」の掛け合わせ AI を使っても、検索範囲を説明できる設計が必要。 特許分類 IPC / FI / CPC / F ターム 同じ観点は OR 箸 OR はし OR 食事用具 特許調査の実務と AI 活用の極意| 7 × キーワード 構成・機能・効果・類義 語 異なる観点は AND 箸 AND 磁石 AND 浮上
例:磁石で箸の先端を浮かせる製品 予備検索は「何が特徴なのか」を見極めるためにも使う。 外延:食事用具・箸 構成:箸・箸置き 特徴:磁石・反発力 機能:先端浮上・非接触 ↓ 「先端が浮く」だけでは既存技術かもしれない。 論点は「磁石で浮かせる」ことに移る。 予備検索 → 従来技術の把握 → 差分の特定 → 検索観点の再設計 特許調査の実務と AI 活用の極意| 8
再現率と適合率は、目的によって重みが変わる 広げれば見逃しは減るがノイズが増え、絞れば効率は上がるが漏れが増える。 再現率重視 適合率重視 クリアランス調査 侵害予防調査 競合の重要特許を見逃したくない 無効資料調査 先行技術のピンポイント探索 特定記載のある文献を探したい 広く拾う 特許調査の実務と AI 活用の極意| 9 バランスは 調査目的で決める 鋭く絞る
良いプロンプトは、業務フローを言葉にしたもの 特殊な言い回しより、専門家の判断プロセスを分解することが大切。 目的 何を判断 したいか + 対象 技術・企業 期間・国 + 判断基準 関連文献と みなす条件 + 手順 予備検索から 報告まで + 出力 表・図解・ チャート まず AI に「最良のアウトプットを得るためのプロンプト」を作らせる 一度で全工程を任せず、観点整理 → 検索式 → スクリーニング → 比較評価 → 報告書化に分け て確認する。 特許調査の実務と AI 活用の極意| 10
スクリーニングは、 AI 任せではなく「観点ガイド」で制御する 人が暗黙に行う判断を、 AI が使える基準に落とす。 AI に読ませる前に決めること 観点 評価する記載 対象物 箸・食事用具に関する記載 特徴 磁石・磁力・反発力の記載 機能 先端を浮かせる/非接触の記載 範囲 請求項中心か、全文中心か 特許調査の実務と AI 活用の極意| 11 AI は「関連 / 非関連」を 判断する前に、 どの特徴を見ればよいか を知らなければならない。 人は曖昧でも読める。 AI には再現可能な基準が必要。
COMMUNICATION 正確なだけでは、 使われない。 文献番号が並ぶ Excel や複雑なバブルチャートだ けでは、研究・事業・経営層に価値が伝わりにく い。 • 重要技術を一枚図にする • 競合ごとの強みを比較する • 課題と解決手段をマトリクス化する • 後から質問できる情報の場を作る 伝達力は、 AI 活用で大きく伸ばせる価値領域 特許調査の実務と AI 活用の極意| 12
価値の基準は「工数」から「意思決定への貢献」へ AI で作業時間が短くなるほど、価値の説明はアウトカム中心になる。 従来 何時間作業したか 何件読んだか どれだけ検索したか これから → 価値 = 判断の質 × 事業インパクト • 重大な侵害リスクを避ける • 競合の重要特許に早く気づく • 研究投資・出願戦略の方向性を決める 検索結果の納品ではなく、次の一手の提案へ 特許調査の実務と AI 活用の極意| 13
SPECIALIST ROLE 弁理士・知財担当者は、 技術・法律・ビジネスの橋渡し役。 特許調査の実務と AI 活用の極意| 14 調査を起点に、侵害予防、無効対応、 出願戦略、鑑定、訴訟支援へつなげる。
LEARNING AI 時代ほど、 基礎力が問われる。 AI の出力をそのまま使うだけでは、検索式・文献 読解・請求項解釈の力は育たない。 AI で出す → 説明させる → 不足を見つ → 基準化する ける ベテランの暗黙知を、プロンプトやガイドラインとして再現 可能にする。 特許調査の実務と AI 活用の極意| 15
導入は、公開情報の小さなテーマから始める 重要案件にいきなり投入せず、得意・不得意を検証する。 Phase 1 公開情報で試す 企業 URL +公開特許 PDF 先行技術候補・競合分析 → Phase 2 業務フロー化 観点整理、検索式、 スクリーニングを分解 → Phase 3 成果物化 一枚図・比較スライド・ クレームチャートを標準化 確認ポイント:機密性、契約上の制約、データ管理方針、ハルシネーション、人による最終確認。 まずは「安全に試せる案件」で、自組織の型を作る 特許調査の実務と AI 活用の極意| 16
実務に落とすための 30 日アクション AI を導入するのではなく、業務の型を更新する。 1 公開情報だけの 競合分析を 1 件試す 2 検索式の最低標準を 分類 × キーワードにする 4 一枚図・比較表の 報告テンプレートを作る 5 AI 利用ポリシーと 確認責任を明確化する 目的は「 AI を使った」という実績づくりではない。 調査結果が次の判断につながる状態を、組織として再現できるようにすること。 特許調査の実務と AI 活用の極意| 17 3 スクリーニング観点を 案件ごとに言語化する
TAKEAWAYS AI 時代の競争力は、 「問いを設計する力」にある。 検索から始めず、目的と判断基準から始める。 AI には作業ではなく、業務フローと評価基準を渡す。 報告は正確性だけでなく、伝達力を設計する。 専門家の価値は、次の一手を提案できることにある。 出典: 2026-06-24 「特許調査の実務と AI 活用の極意に関する研修会」要約・書き起こしをもとに再構成。逐語録ではありません。