今さら聞けない! Active Directoryドメインサービス入門

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February 05, 18

スライド概要

Active Directory(Active Directory Domain Services)は、ネットワーク上の情報を一元管理するためのシステムです。

「Active Directoryという言葉は知っているが、具体的な内容は知らない」
「Active Directoryを使っているが、構築したことはない」

という方向けに、Active Directory概要をWindows Server 2016を使って紹介いたします。

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トレノケート株式会社で、Windows ServerとAzureを中心に技術者向けトレーニングを担当

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各ページのテキスト
1.

今さら聞けない! Active Directoryドメインサービス入門 トレノケート株式会社 横山 哲也

2.

横山 哲也 (トレノケート株式会社)  1994年~ ITプロ向けWindows関連教育  1997年 Windows NTイントラネットソリューション  「Windows NT 5.0 Active Directory Serviceの紹介」  マイクロソフトMVP(2003年4月~2019年6月)  だいたいDirectory Servicesで受賞  最近の著書(いずれも日経BP)  ひと目でわかるAzure 基本から学ぶサーバー&ネットワーク構築 改訂新版(著)  グループポリシー逆引きリファレンス厳選98 (監修・共著)  ブログ: ヨコヤマ企画 http://yp.g20k.jp/ 2

3.

アジェンダ 1. Active Directoryドメインサービスとは 2. Active Directoryドメインサービスの基本構造 3. Active Directoryドメインサービスの構築 3

4.

Active Directoryとは  IDおよびアクセス管理機能に対するブランド  米国の商標は形容詞(固有形容詞)  従来のActive Directory = Active Directory Domain Services (ADDS)  ADDSのサーバー = ドメインコントローラー (DC) Window NT以前 Windows NT LAN Manager Window 2000~2003 Active Directory Window Server 2008 Active Directory Domain Services Active Directory なんとかサービス  Azure ADとの直接の関係はない 4

5.

Active Directoryドメインサービスとは  いわゆる「Active Directory」  各種情報の一元管理 = ディレクトリ サービス  情報の格納と検索…LDAP  認証…Kerberos  グループポリシー…実はActive Directoryではない  Active Directoryでない環境(ワークグループ)  コンピューターごとに固有のユーザー/グループを登録  データはSAMデータベースに保存…実体はレジストリ (Security Account Manager) SAM User A User B × Yamada コンピューターごとにユーザー登録 SAM User A User B Yamada 5

6.

Active Directoryドメインサービスとは: 情報の検索  属性を指定して検索 DEMO  属性を指定して検索 6

7.

Active Directoryドメインサービスとは: ディレクトリデータベー ス  Active Directory環境(ドメイン)  サーバー上に共通のユーザー/グループを登録  データはActive Directoryデータベースに保存(NTDS.dit)  データベースを保持するサーバー →ドメインコントローラー(ドメインサーバー) ドメイン コントローラー Yamada NTDS User A User B Yamada 7

8.

Active Directoryドメインサービスとは: オブジェクト  格納する情報…オブジェクト  ユーザー…ユーザーが持つさまざまな情報  氏名、部署、パスワード、セキュリティIDなど  グループ…複数のユーザーをまとめる  グループ名、セキュリティIDなど  コンピューター…コンピューターを識別  組織単位(OU)  登録情報を分類  管理権限の委任(パスワードリセットの権利など)  構成の一元管理(グループポリシー)  共有フォルダー…共有フォルダーの検索用  共有プリンター…共有プリンターの検索用 8

9.

Active Directoryドメインサービスとは: 最近の主な新機能  Windows Server 2012/2012 R2の主な新機能  インストールウィザードの大幅変更  仮想マシン上のドメインコントローラの正式サポート  PowerShellコマンドレット追加  ダイナミック アクセス制御(NTFS)  Windows Server 2016の数少ない新機能  Azure ADサポートの強化  Microsoft Windows Helloのサポート (Microsoft Passport )  Windows Server 2019の新機能  なし 9

10.

Active Directoryドメインサービスとは: Windows Server 2019  新機能なし  機能レベルも増えていない  Windows Server 2008~2016 10

11.

Active Directoryドメインサービスとは: 最近廃止された機能  Windows Server 2003機能レベル  新規に機能レベルを設定できない  既存の機能レベルには接続可能(2019不可)  早いうちになるべく大きな値に昇格すること (Windows Server 2012以上はあまり変わらない) やること: 機能レベルを上げる  FRS(ファイル複製サービス)  2008以前に、2003以下の機能レベルで作った場合  Windows Server 2016でも動作(2019不可)  早いうちにDFSへ移行すること  https://blogs.technet.microsoft.com/jpntsblog/2009/12/04/frs-dfsr-sysvol/ やること: FRSからDFSに移行する 11

12.

Active Directoryドメインサービスとは: 最近廃止された主な機 能  ドメインコントローラーへの昇格画面(Win 2016) 12

13.

Active Directoryドメインサービスの基本構造: ドメイン階層  Active Directory ドメインの論理構造  DNSを利用  ドメイン  ツリー  フォレスト ルート ドメイン jp trainocate corp sales ツリー ツリー フォレスト 13

14.

Active Directoryドメインサービスの基本構造: ドメイン名  DNSを利用  インターネット接続不要 ドメイン名変更は面倒で高リスク → 間違えるとフォレスト破壊  推奨: インターネットドメイン名のサブドメイン  例: corp.trainocate.jp サブドメイン インターネットドメイン名  非推奨: 独自トップレベルドメイン  例: trainocate.internal 独自トップレベルドメイン  注意  .localはマルチキャストDNSで使用(RFC6762)  Macintosh/Windows 10がマルチキャストDNSを使用 14

15.

Active Directoryドメインサービスの基本構造: 論理構造と物理構 造  論理構造  ドメイン  コンテナ  組織単位(OU) 営業 東京 - 管理上の単位 - グループポリシーなど 大阪  物理構造  ドメインコントローラー  サイト サイト サイト - 最小単位はサブネット - 複製の最適化 - ログオンの最適化 「LAN接続環境 = サイト」が一般的 サイトを設定しなくても運用は可能 15

16.

Active Directoryドメインサービスの構築: 構築の手順  Active Directoryドメインサービスの構築 →ドメインコントローラーの構築(昇格)  構築の手順 1. Active Directoryドメインサービス役割の追加 以下のいずれか - サーバーマネージャー - PowerShell コマンドレット Install-WindowsFeature –name AD-Domain-Services 2. Active Directoryドメインサービス構成ウィザード 以下のいずれか - DC昇格ウィザード 詳細インストールオプションの廃止(2012から) - PowerShell コマンドレット 16

17.

Active Directoryドメインサービスの構築: 構築ツール  無人インストール  PowerShellコマンドレットでオプションを指定  構成ウィザードの出力も同様  DCPROMO.exe コマンドの廃止  対話的操作は不可  サーバーマネージャまたはPowerShellで昇格  無人インストールは可能(互換性のため) 17

18.

Active Directoryドメインサービスの構築: 機能レベル  機能レベル  旧DCとの互換性維持→Active Directoryの新機能を制限  フォレストの機能レベル ≦ ドメインの機能レベル  ドメイン作成時に指定するか、作成後に上げる →原則として下げることはできない Windows Server 2016 Windows Server 2012 R2 Windows Server 2012 この辺になると ほとんど違いがない (少しは違う) Windows Server 2008 R2 Windows Server 2008 Windows Server 2003 18

19.

Active Directoryドメインサービスの構築:ドメイン機能レベル  ドメインの機能レベル  ドメインコントローラーのOSバージョンを制限 ドメインコントローラーのOS ≧ ドメインの機能レベル ドメイン コントローラ ドメイン 機能レベル Windows Server 2003 Windows Server 2008 Windows Server 2008 R2 Windows Server 2012 Windows Server 2012 R2 Windows Server 2016 Windows Server 2003 2008 2008R2 2012 2012R2 2016 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ たいていの場合、機能レベルは可能な限り上げればよい 19

20.

Active Directoryドメインサービスの構築: フォレスト機能レベ ル  フォレストの機能レベル  ドメインの機能レベルを制限 ドメインの機能レベル ≧ フォレストの機能レベル ドメイン 機能レベル フォレスト 機能レベル Windows Server 2003 Windows Server 2008 Windows Server 2008 R2 Windows Server 2012 Windows Server 2012 R2 Windows Server 2016 Windows Server 2003 2008 2008R2 2012 2012R2 2016 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ たいていの場合、機能レベルは可能な限り上げればよい 20

21.

Active Directoryドメインサービスの構築: グローバルカタログ  グローバルカタログ(GC)  フォレスト内にある全情報のサブセット ドメイン  他のドメインから よく参照される情報を収集  追加・変更が可能  ベストプラクティス シングルドメインでは 全DCをGCにする GC ★ 21

22.

Active Directoryドメインサービスの構築: GC検索  検索先の指定 検索先の指定 DEMO  ドメインを指定して検索  GCを使った検索 22

23.

Active Directoryドメインサービスの構築: マルチマスター複製  読み書き可能なドメインコントローラー(RWDC)  相互複製(マルチマスターレプリケーション)  どのDCが破損しても機能障害にならない  衝突を避ける仕組み  属性単位の複製  同一サイト内では変更をトリガーに複製(15秒待機)  衝突の自動解消  属性の衝突 LostAndFound 1. バージョン(変更回数) 2. 更新時刻 3. GUID  コンテナ削除とオブジェクト作成…LostAndFound移動  同一名オブジェクトの同時作成…一方が名前変更 23

24.

Active Directoryドメインサービスの構築: RODCの選択  読み取り専用ドメインコントローラー(RODC)  他のRWDCからデータベースを複製  指定したアカウントだけパスワードを保存=盗難対策  ドメインとサーバーの管理者を分離=未経験管理者対策  多くの制約  サイトに1台  非対応アプリケーションあり 複製 例:Exchange 複製 複製 読み書き可能 (RWDC) 読み書き可能 (RWDC) 読み取り専用 (RODC) RODC本来の目的は物理セキュリティリスクと未経験管理者対応 24

25.

Active Directoryドメインサービスの構築: DCの停止  ドメインコントローラーの停止  ディレクトリサービス復元モードで起動 - ユーザー名: Administrator - パスワード: ディレクトリサービス復元モード用 - バックアップからのデーターベースのリストアなど  再起動可能なドメインコントローラー  Active Directoryドメインサービスの停止 NET STOP NTDS - データベースファイルのメンテナンス・移動など DEMO  ディレクトリデータベースの保守 サーバーの再起動なしにデータベース保守が可能 25

26.

Active Directoryドメインサービスの構築: フォルダーの場所  データベース…Active Directoryデータベース  C:\Windows\NTDS  ログ…障害から回復するために使用  C:\Windows\NTDS  SYSVOL…グループポリシーで使用するファイル  C:\Windows\SYSVOL Active Directoryデータベースのあるディスク装置は キャッシュが無効化されるので、専用ディスクに配置 データベースとログの移動はNTDSUTILツールを利用 26

27.

Active Directoryドメインサービスの構築: ユーザー  ユーザーアカウント  管理者が作成  3種類の名前  識別名(DN)  表示名  ログオン名 - UPN - SAMアカウント名 DEMO  プロパティ変更  識別名変更 27

28.

Active Directoryドメインサービスの構築: コンピューター  コンピューターアカウント  ドメイン参加時に自動生成  4種類の名前  識別名(DN)  表示名  NetBIOS名  DNS名 28

29.

Active Directoryドメインサービスの構築: パスワードポリシー  原則はドメインに1種類  複雑なパスワード - 英大文字、英小文字、数字、記号から3種類以上 - ユーザー名を含まない  7文字以上  パスワード有効期限の既定値は変更の予定予定 - 現行: 42日 - 将来: なし  変更禁止期間…1日  パスワード履歴…24回 →0:禁止期間なし →0:履歴なし  きめ細かなパスワードポリシー  Windows Server 2008以降  グローバルグループまたはユーザー単位 29

30.

まとめ 1. Active Directoryドメインサービスとは  情報(オブジェクト)の一元管理 2. Active Directoryドメインサービスの基本構造  ドメイン、ドメインツリー、フォレスト  コンテナ、OU  ドメインコントローラー、サイト 3. Active Directoryドメインサービスの構築  ウィザード、PowerShell コマンドレット  機能レベル  グローバルカタログサーバー  マルチマスター複製とRODC  フォルダーの場所  アカウント管理 30

31.

付録: Azure AD・ADDS・Azure ADDS 31

32.

付録: Azure ADとADDS Azure AD  目的…Azure上でのID管理  アクセス許可…ロールベース  認証プロトコル  OAuth 2.0  OpenID Connect 1.0 ADDS (Active Directory Domain Services)  目的…オンプレミスのID管理と認証  アクセス許可…ロールベース(グループを流用)  認証プロトコル  NTLMv2  Kerberos v5 32

33.

付録: Azure ADとAzure ADDS Azure AD  Azureのディレクトリサービスの基本  Azureユーザーの管理  認証プロトコル  OAuth 2.0  OpenID Connect 1.0 Azure ADDS  Azureのディレクトリサービスのオプション  AzureユーザーとAzure ADDSの自動同期  認証プロトコル  NTLMv2  Kerberos v5 33

34.

付録: ADDSとAzure ADDS ADDS  オンプレミス  Azure ADへ同期可能 (AD Connect経由) Azure ADDS  Azureのディレクトリサービスのオプション  Azure ADから同期可能(標準機能)  ドメイン・フォレスト管理不可(OU管理可能) 共通機能  認証プロトコル  NTLMv2  Kerberos v5  グループポリシー Azure ADDS 標準機能 Azure AD ADDS AD Connect

35.

付録: Azure ADDSの用途  Azure上でADDSドメイン機能が欲しい  フェールオーバークラスターの構築  複数サーバーの統合管理  Windows Server構築インフラとして必要  仮想マシンは高い (ドメインコントローラーを持ちたくない)  社内システムを安価に構築したい  ただし、Azureとの高速ネットワークは高価 35

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参考資料 36

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トレノケートのサービス紹介  http://www.trainocate.co.jp/  Active Directory関連のコース  Active Directory最小構成実践  Windows Server 2016関連のコース  Windows Server 2016システム管理基礎(前編)  Windows Server 2016システム管理基礎(後編)  マイクロソフト認定コース(MSU)  Windows Server 2016 のインストール、ストレージと コンピュート(#23740)  Windows Server 2016 のネットワーク (#23741)  Windows Server 2016 の ID (#23742) 37

38.

参考図書  プロが教えるWindows Server 2012システム管理 横山哲也 監修・共著 アスキーメディアワークス(Kindle版あり)  グループポリシー逆引きリファレンス厳選98 横山哲也 監修・共著 日経BP(Kindle版あり)  ひと目でわかるActive Directory Windows Server 2016版 Yokota Lab.著 日経BP(Kindle版あり)  実践Active Directory逆引きリファレンス (Windowsサーバ構築ガイドシリーズ) 横山哲也 監修・共著 毎日コミュニケーションズ(版元品切) 38