4.8K Views
February 08, 24
スライド概要
とある勉強会でのお話
アジャイルとは何か Ichitani Toshihiro 市⾕聡啓 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
市⾕ 聡啓 Ichitani Toshihiro DX,新価値創出の伴⾛⽀援 (株式会社レッドジャーニー) ・チーム、事業、組織への「アジャイル」導⼊、伴⾛⽀援 ・新規事業開発、プロダクト開発の⽀援(仮説検証型アジャイル開発) 特に専⾨は 「仮説検証、アジャイル開発、組織アジャイル」 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 2
Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 3
そもそも「アジャイル」とは︖ Photo credit: Colin_K on VisualHunt
おそらくよく聞くフレーズ 柔軟・変化に 対応できる 速い 改善 チーム ワーク Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 5
ネガとしてよく聞くのは 計画しない 会議多すぎ (悪く⾔うと無責任) (儀式的な会議が多い) 教条主義 現場だけが 楽しそう (謎の原理原則が多い) (悪く⾔うと幼稚) Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 6
アジャイルとは 2001年に⽣み出された⾔葉 ソフトウェア開発の世界で実践を 積み重ねてきた探索と適応の⽅法 であり、あり⽅ (つまり、概念として既に検証済) Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
“アジャイル” の源流をたどる (肌感) FDD Crystal XP スクラム トヨタ ⽣産⽅式 プロダクト⽂脈 ASD パターン The New New Product Development Game ソフトウェア⽂脈 リーン ソフトウェア 開発 DSDM アジャイル カンバン リーン 顧客開発 組織 アジャイル リーン スタートアップ DevOps Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. ⼤規模 アジャイル 仮説検証型 アジャイル開発
Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
噛み砕くと︖ ①プロセスやツールよりも個⼈と対話を プロセスとかツールを活⽤するのは良いが形式に従うあまり、 ⼈そのものや対話を後回しにして上⼿くいくはずがない ②包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを 網羅的に分析したり、それを⽂書することも必要ではあるが、 結果(アウトプット)、成果(アウトカム)こそを重視しよう Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 10
噛み砕くと︖ ③契約交渉よりも顧客との協調を 事前の取り決めを厳格に適⽤する姿勢よりも、 協⼒して問題解決にあたる⽅がより良い成果になりうる ④計画に従うことよりも変化への対応を 事前に計画を練っておくことは必要なことだがそれに固執せず 事実として現れたことに適応する⽅がより価値に到達しうる Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 11
ということを実現する考え⽅ 透明性(⾒える化) 検査 状況をよく捉えて やることを分かる ようにする 取り組んでみて その過程と結果を 評価する 適応 評価に基づき次に 取り組むべきことを 適切に判断する Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 12
チームによる 協働 協⼒して 結果を出す アウトプットへの フォーカス 1〜4週間 結果を確認し フィードバック を得る 直近の 計画作り 協働と成果に 繋げる仮説の⽴案 「次」を より良くする 判断を⾏う Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 広く深く フィードバック を集める 13
実際の⾏動、現実のアウトプットによって、 具体的な学びを得ることができる。 この学びでもって、次の⾏動やアウトプットを より成果に近づけられる仮説や計画を⽴てる。 (つまり、チーム⾃⾝もアウトプットも改善、変更する) この繰り返しによって、成果を引き出す試み。 こうした複雑な動き(フィードバックサイクル)を 実現するために専⾨性を持ったメンバーで チームで事にあたる(ゆえにマインドセットも期待する) まとめると、”本質に向き合い続ける⼒” Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 14
本質に向き合い続けるってどういうことよ︖ …もう少し掘り下げてみましょう Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 15
アジャイルへの期待 ビジネスの アジリティ (変化への適応性) を上げる 変化に適応できる 組織になる 本質に 向き合い 続ける⼒ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. ⾃律性の⾼い 働き⽅を得る 16
アジャイルへの期待 = 不確実性への対応 ビジネスの アジリティ 取り巻く状況 が ”不確実” 変化に適応できる 組織になる やることが ”不確実” (予めの正解があるわけではない) (変化への適応性) を上げる 本質に 向き合い 続ける⼒ “不確実” な状況 でも動ける Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. ⾃律性の⾼い 働き⽅を得る 17
“不確実性” に対して取りうるスタンス ロバスト レジリエンス 変化しない強さ 変化に対応する 変化に適応する 従来のやり⽅を堅守 変化を受け⽌めて、 変化を受け⽌めて、 するスタンス 従来通りのことができる 従来以上の価値提供ができる (変わらないようにする) ように戻る (復元⼒) ように変える Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. アンチフラジャイル
どのスタンスが有効なのか︖ その結果はソフトウェア開発が 先に辿り着いている Photo credit: Leo P. Hidalgo (@yompyz) on VisualHunt / CC BY-NC-SA
堅牢性でも、回復性でも、⼿に負えない ロバスト レジリエンス 確実性を事前に上げる (ウォーター ソフトウェア開発的には耐障害性や フォール) では対処ができなくなった ・⼈が何を求めているか分からない (複雑性、曖昧性) ・複雑曖昧ゆえに計画が⽴たない (予測不可能) 回復性は常に問われてきた 広い意味では「改善」も範疇に⼊る。 どれも必要な概念だが不確実性には 「対処」⽌まり Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 20
そもそも “不確実性” を “発⾒” として捉えると「機会」になる 事前に予⾒できなかったものであり、 踏み込んで分かった⼿がかりに他ならない アンチフラジャイル アジャイルとは機会を捉える ための動き⽅といえる Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 21
アンチフラジャイルであるためには︖ チームや組織で「上意下達を⾼速で回す」 ことではない 「価値が発⽣する前線」 (顧客との接点つまり現場) で情報を得て、その情報をいかに活かせるか つまり、チームや組織が「⾃⼰組織化」 している状態を⽬指すこと Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 22
「⾃⼰組織化」とは… 外からの指⽰や制御を受けることなく、内部の相互 作⽤を通じて、⾃発的に秩序や構造を形作る状態 要するに、 「⾃分たちで考え、⾃分たちで動く」 こと そのためにプロセスやマインドセットを整える アジャイルはそのための「型」と⾔える Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 23
「⾃⼰組織化」したチームや組織の特徴 機敏さと柔軟さ 効率性・⽣産性 判断や⾏動が即時に 近づき、かつ⽬の前 の事実に対応できる 実現すべきことに直接 的に作⽤するため効率 が良い エンゲージメント ⾃律と責任を備えた 集団ゆえ、モチベート されている 創造性への期待 意志決定の質 価値の発⽣源のそばで 多様なアイデアが試⾏ 錯誤される 事実をもとにした判断 を即時にかつチームで ⽅向性を揃えて⾏える Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 24
これが本当に実現できるとしたら… どんな業務でも活きると思いませんか Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 25
より向いているのは、 ⽬の前の展開が速く(動きがあり) 判断の適時適切さが求められる (型のみで戦えない) 仕事。つまり、 ・マーケティング、セールス ・ソフトウェア開発、プロダクト開発 ・カスタマーサクセス など、事前に分かっている情報だけで全てを決定 できない領域 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 26
あまり向いていないのは … ルーチンワーク(事前にやることが全て決まっている) 「ライン仕事」のような領域︖ ただ、ルーチンワークでも、ルーチンワークそのもの をどう改善するのか︖は、正解ありきの仕事ではない Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 27
すべての仕事や組織が必ずしもアジャイルを ⽬指すわけではない ⼀⽅で、それぞれの仕事が理想とおく状態 に向けてはアジャイルのアプローチになる 適時適切な 判断が必要 な仕事 ルーチン ワーク 現状 現状 アジャイル (適応的) に取り組む アジャイル な状態 アジャイル (適応的) に取り組む 理想的 な状態 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 28
アジャイル ☓ アジャイルの4象限 4 2 アジャイル ではない 対象 アジャイル にする アジャイル ある理想に向かって ではない アジャイルに取り組む 1 3 アジャイルに向けて アジャイルに向けて アジャイルに取り組む ⼀気に取り組む アジャイルにする アジャイルではない 移⾏アプローチ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
アジャイルとは、Doであり、Beである アジャイル ではない 2 4 ある理想に向かって 結果が⾒えている 範囲の改善しか アジャイルに取り組む ⾏われない 対象 3 1 アジャイル にする アジャイルに向けて “⼆度と取り組まない” アジャイルに取り組む など、烙印的失敗と アジャイルにする アジャイルではない 隣り合わせ 移⾏アプローチ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
どのようにアジャイルを適⽤するのか︖ アジャイル・ハウス 3F 2F 1F 基礎 組織運営のための「アジャイル」 (組織⾃体で探索と適応が可能となるために) 探索と適応のための「アジャイル」 (既存事業の質向上、新規事業の創出のために) チームで仕事するための「アジャイル」 (状況を⾒えるようにして⼀緒に取り組めるように) アジャイルマインドの理解 (「協働」のメンタリティを得る) Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
どのようにアジャイルを適⽤するのか︖ アジャイル・ハウス 3F 2F 1F 基礎 組織運営のための「アジャイル」 (組織⾃体で探索と適応が可能となるために) 探索と適応のための「アジャイル」 (既存事業の質向上、新規事業の創出のために) チームで仕事するための「アジャイル」 (状況を⾒えるようにして⼀緒に取り組めるように) アジャイルマインドの理解 (「協働」のメンタリティを得る) Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
アジャイルの基本は「回転」 仕事の結果(アウトプット)から次に何を 成すべきかを学ぶ。また⾃分たちの⾏動 ⾃体の⾒直しを⾏う 結果からの 適応 短い期間の中で仕事を進める。そのために 必要な状況共有と適宜コミュニケーション を重ねる 状況を踏まえ ⽅向性の判断 変化への適応 短い期間での 実⾏動 ⾃分たちを取り巻く環境と置かれている状況 を⾒て、適切な⽅向性を⾒出す 計画作り ⽅向性に基づき次の短い期間(1-2週間)で それぞれが取り組むべきことを決める 単にやること合わせではなく、それぞれの ⼈の状態や関⼼の合わせも⾏う
アジャイルの基本は「回転」であり「チーム」 適応の回転を効果的に得ていくためには、⾃律性が期待される。 アジャイルではチームで取り組むことによって⾃律性を⾼めていく。 ⾃⼰判断 ⾃⼰学習 ⾃律的なチーム いちいち誰かの意思決定を仰ぐ必要がない 状況をみて⾃分たちで適切な判断ができる ⾃分たち⾃⾝で必要な学びを獲得し、 活⽤していく 協働の関係 協⼒して物事にあたることが前提 それゆえに⼈数の総和以上の⼒を引き出せる
どのようにアジャイルを適⽤するのか︖ アジャイル・ハウス 3F 2F 1F 基礎 組織運営のための「アジャイル」 (組織⾃体で探索と適応が可能となるために) 探索と適応のための「アジャイル」 (既存事業の質向上、新規事業の創出のために) チームで仕事するための「アジャイル」 (状況を⾒えるようにして⼀緒に取り組めるように) アジャイルマインドの理解 (「協働」のメンタリティを得る) Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
探索と適応のための組織能⼒ 仮説検証とアジャイル 選択の幅最⼤ (セットベース) 検証 計画 仮説⽴案 (モデル化) 価値探索 スプリント プランニング 検証 (正しいものを探す) 評価 仮説検証 選択肢を⼗分に 広げた後に絞る MVP特定 開発計画 (リリースプラ ンニング) 選択の振れ幅最⼩ (ポイントベース) スプリント 開発 アジャイル開発 (正しくつくる) スプリント レトロスペク ティブ MVP検証 スプリント レビュー アジャイル 構想を早く形にして フィードバックを得る 次の価値探索へ
具体的な⽅法については また次回に︕ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.