34.5K Views
September 11, 24
スライド概要
PdMO勉強会でお話したこと
PdMO プロダクトマネジメントを 変える仕組み (MVP版) Ichitani Toshihiro 市⾕ 聡啓 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
市⾕ 聡啓 Ichitani Toshihiro チーム、部署、事業、組織でのアジャイル適応⽀援 (株式会社レッドジャーニー) 特に専⾨は 「仮説検証、アジャイル開発、組織アジャイル」 この数年の取り組み ⾏政でのアジャイル、⼤企業DX・組織変⾰ (製造・製薬ほか多数) 地域DX (地域企業のコミュニティ) Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 2
Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 3
9.4 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
本⽇のテーマ 組織にどのようにして “プロダクトマネジメント” を 宿すのか Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
このお話における プロダクトマネジメントとは︖ "プロダクトのライフサイクル全体を通じて、 「顧客価値」と「ビジネス⽬標」の達成を 持続させる営みのこと” ⼈の成⻑と同じように、プロダクトにも、ライフサイクルの 段階(導⼊〜成⻑〜成熟〜衰退)が存在する 各段階において⽬的 (顧客価値、ビジネス⽬標) を果たせるよう、 必要な活動(企画、開発、運⽤、マーケティング…)を⾏う Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
このお話では どんな組織を想定しているか︖ ①⽐較的規模が⼤きい ②プロダクトマネジメント の知⾒が育っていない プロダクトチームやプロダクトの 「デジタルプロダクト」の運営経験が テーマが「複数」存在している 乏しい。または⼈によってムラがある ③曲がりなりにも 事業が継続できている 事業継続のための「最適化」が 進んでおり判断や⾏動を変えにくい Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
事業価値向上、事業創出がミッション になっている組織のイメージ 伝統的な事業会社 における新規事業部署 これまでは「デジタルがメインでは なかった事業組織」 成功経験は「Sales Led Growth」 事業的成功を果たした プロダクトベンチャー 伝統ある事業部⾨ における新価値創出 デジタルメインではあるが 0→1→10→100の経験者が限られている プロダクト開発が ガラパゴス化している 数年以上、事業が継続できており 運営の型が体制・役割・プロセス・ルール等 を通じて確⽴されている Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
状況的難易度が ⾼い プロダクトづくりを余計に難しくする ⽅針制約が 強い 経験スキル不⾜ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
コーチングや メンタリングで何とか なる領域 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
⼀定の “組織論” が必要になる領域 コーチングや メンタリングで何とか なる領域 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
「プラクティスの習熟」は必要な過程だが それ⾃体は⽬的ではない 「構造的な課題」に対して、 「新たな仕組み」をつくる ことで、対応する (解決すべきは構造的な課題であるということからぶらさない) Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
新たな仕組み = PdMO プロダクトマネジメントオフィス Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 13
PdMO (プロダクトマネジメントオフィス) の基本構造 PdMO 専⾨メンバー PO/PjM/PdM/企画者 (アジャイル、特定技術、PM) (適宜チームメンバーも) PdMO 推進メンバー プロダクトマネジメントオフィス テーマA テーマB テーマB Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. … New テーマ 14
イベント 2〜4週間に1回開催。状況の同期、課題の検出・対策、 全体戦略の調整と整合を⾏う 役割 PdMO推進メンバー︓PdMO⾃体 の運営を⾏う事務局的な存在 PO/PjM/PdM/企画者︓各テーマの 推進者 ※役割の呼び名は組織によって異なる ※現実的にはPDだけではなくPJも対象になる 現場・チーム 専⾨メンバー︓各テーマにとって 具体的なプロダクトづくりや運営 ※プロダクトマネジメント、AIや特定の技術、 アジャイルなどの経験者/メンター/コーチ等 ※専⾨メンバーを各テーマに張り付けるのでは なく、PdMO側に集める を⾏っているチーム 横断的に必要な専⾨性の保有者 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
PdMOの基本機能 ① ③ ② 状況同期と検査適応 ノウハウ共有と整備 戦略と実⾏の整合 各テーマの状況の同期を相互に⾏ い、課題やリスクの検出とその 対応策を検討し、必要に応じて 専⾨メンバーが伴⾛⽀援まで⾏う 対応策についてはその後継続的に 検査適応を⾏う 各テーマから課題だけではなく 各テーマの共通戦略(⽅針)を 適時ダウンロードし、かつ現場で の実践から戦略側を適応する。 戦略と実⾏(現場)の⼀致および 相互の検査適応による質的向上を 推進する。 ④ 学びを抽出し、相互に共有する。 また、集まった学びを整理し、 全チームで利⽤可能な状態に 整備する。全体として不⾜する ナレッジの補完も⾏う。 ⑥ ⑤ メンバーの教育 ⽀援者マネジメント 新テーマの⽣成 各チームの新メンバーに対して ベースナレッジの学習⽀援を⾏う 初期参加時点だけではなく、各 専⾨メンバーは社内外から集める ため、混成となりやすい。 専⾨メンバーが各テーマの⽬的や 各テーマを俯瞰することでテーマ 間のホワイトスペースや各テーマ の探索/成果を踏まえた新たな仮説 チームの状況に応じて、追加⽀援 なども適宜⾏う。 都度時点における優先事項を理解 できるよう補完する (“⼿段”に囚われないように) の設定を⾏う。 つまり既存テーマの⽀援だけでは なく、新テーマを⽣成する Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 16
①状況同期と検査適応 2週間単位 ふりかえりむきなりシート プロダクトゴール・ スプリントゴールとその結果 得られた学び 夜も眠れない問題 隔週のPdMOイベントで各テーマの状況を共有 Miroなどで事前に可視化しておき、イベントでは “異常値” や “ノウハウ候補” 、”チームのキャパを 超える課題やリスク” にフォーカスした対話を⾏う ※当然テーマ数が増えるとイベントの時間も⻑くなる。 適宜テーマ間の⽂脈などによって分割を⾏う。 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
②ノウハウの共有と整備 各チームのふりかえり結果を 集めてふりかえりのふりかえり を実施する ふりかえりのふりかえりでは、 各テーマ間の共通の課題や ノウハウ候補の検出を⾏う また、ふりかえり結果から、 チームのポジ要素、ネガ要素を ⾒出し、必要な対応を取る Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
②ノウハウの共有と整備 PdMOの成果物とは、 ①具体的なテーマの実現 であり (プロダクトの成⽴、プロダクトの発展) ②新たなケイパビリティの実現 (新ケイパを宿したチーム、個⼈の創出) “新たな価値” 2つの成果物 “新たなケイパ” Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
③戦略と実⾏の整合 経営⼈材 より⼤きな意思決定を必要とする場合は 経営の意図 事業に関係する経営⼈材をPdMOイベント に寄せて、適宜の判断を⾏う 事業戦略(⽅針) 実⾏ベース での対話 現場の意図と 実⾏過程と結果 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
③戦略と実⾏の整合 この観点での要所は、いかに事実をもとに意思決定をはやく⾏うか。 階層型組織のままでは速度が上がらない。ゆえに、階層型から離れた PdMOという「場」をつくる。 但し、より本質は現場に権限を 寄せることにある いかに机上・想像ではなく、 実際の顧客の声やデータに 基づく判断を早く⾏えるかが 突き詰めていく対象である ※権限を現場に寄せる Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
③戦略と実⾏の整合 森 ⽊ チームは⾃分たちの「⽊」を⾒ているが、 全体性(森)が⾒えない、そもそも無い、こともある PdMOが実現することは「森も⾒る、⽊も⾒る」 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
﹅ 扱うのは、より不確実性の⾼い領域である チームにとっても未経験の⾼難度な取り組みである それゆえにチームの外からただ助⾔を⾏うだけでは 状況を乗り越えられない (評論家は不要) ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ PdMOメンバーが現場に⼊り、Oneチームで臨む からこそ、突破⼝が開ける Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
④メンバーの教育 テーマA テーマA PdMO 専⾨メンバー PdMO 新加⼊に限らず チーム⾃体の弱点や 不⾜の学習⽀援 推進メンバー PdMOにも不⾜ 新メンバーの 参画時⽀援 するケイパビリティ は外部から召喚 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
この外部⽀援者の協⼒が要所でありかつリスクにもなりえる 外部からの参⼊だけに、内部の事情・制約への感度が弱く 期待のすれちがいが起きやすい Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
⑤⽀援者マネジメント 専⾨メンバーはケイパビリティ補完が主任務のため、時として ⽬的⽬標と⼿段の間の優先度判断がun tになることがある 事業 レベル チーム レベル ゆえに、事業レベル、チームレベルで活動の意図と⽅針が分かるもの を整備し、適宜専⾨メンバーのふりかえり、むきなおりに活⽤する fi Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
⑥新テーマの⽣成 各テーマを横断、俯瞰し、新テーマの創出を⾏う。 あるいは新テーマを確⽴させるための仮説を⽴案する。 テーマA テーマB テーマC … New テーマ テーマの顔ぶれから新テーマを組成する テーマA テーマB テーマC … New テーマ 逆に進⾏テーマの状況から、その活動停⽌も判断する (ポートフォリオ・マネジメント) Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
…結局のところ、PdMOを ⼀⾔で表現すると︖ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 28
PdMOは「消防署」のイメージ PdMO 各テーマ⽀援 通常は各テーマの状態把握 につとめ、アクションが 必要な状況かを⾒極める 課題解決や解決⽀援が 必要になったところで 適宜に直接介⼊したり、 外からの⽀援を⾏う Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 29
チームとしての動きが求められ、かつ ⾼い機動性が期待されるのがPdMOゆえに PdMO⾃体こそ 「アジャイル」であること (PdMOの運営をアジャイルにする) Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 30
…でも、ここで⾔っていることって、 ”マネージャー” (管理職) の役割でしょう︖ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 31
「PdMO」は、 新たなマネジメントチームにあたる プロダクトづくりに 必要な技術や判断基準は 多様化している 全部1⼈で担うのに無理がある︕ PdMOで、⼀つの「マネジメントチーム」となる マネジメント機能をチームとして担う (PdMO⾃体が「バックログ」を持ち、チームで動く) Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
おわりに Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 33
階層型 ネットワーク型 組織階層を超えて必要な⼈ 同⼠が有機的に繋がる 多くの組織は「階層型」である ⼀⽅、新たな取り組みを始めるには 部⾨や職能を横断した動きが前提 (“既存事業に最適化した階層型” では tしない) fi Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
「階層型」からいきなり 「ネットワーク型」に いけるわけではない 組織内に2つのシステムを 宿すのがコッター先⽣の主張 https://www.amazon.co.jp/dp/4478028370/ …でも、それってどうやるの︖︖ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
階層型からネットワーク型への 現実的な「移⾏型」が必要 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 36
”中間的⽣成的組織” 中間的︓経営と現場の両者を繋ぐ ⽣成的︓型ありきではなく必要性ありき Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
PdMOは、 組織の「芯」になりうる Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 38
不確実性に臨む ケイパビリティ 組織知を⾒出す 仕組み Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
認知変容の 拠点 チームによる マネジメント Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
事業・組織変容の「起点」が 新たな組織への「踏み⽯」になる 次の組織の”型” Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
Minimum Viable Center 実⽤的最⼩限の ”芯” Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
Our Journey Continues ! Photo on Visual hunt