SIGHCI192_slide_松山直人_負荷の高いタスクの並列提示によるタスク遂行への負荷軽減に関する手法の提案

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March 16, 21

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明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

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第192回HCI研究会 | 2021.03.16 負荷の高いタスクの並列提示による タスク遂行への負荷軽減に関する手法の提案 松山直人(明治大学 中村聡史(明治大学) 先端数理科学研究科 1年)

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背景 ひとは日常生活で様々なタスクを抱えている 例)英単語を覚える、ダイエットのためにジョギングをするなど 時間や負荷、優先度などによってタスクを後回しにしてしまう タスクを消化しきれず蓄積してしまう 2

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背景:タスク管理 このような問題の解決のために、タスク管理ツールを使っている • 2008年のMicrosoftの調査において、日本では54%が少なくとも1つ以上の タスク管理ツールを使っている • Google Keepは、2021年2月現在Google Play上でのべ10億回以上ダウンロード 興味の低さによる他事優先によってタスクを先延ばしにする[藤田 2015] タスクをリマインドするだけでは ユーザのモチベーションを向上させられるとは言い難い 3

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関連研究:認知的負荷の軽減 • 心理的不応期(PRP)に着目[Ruiz 2013] • 2つのタスクを用意 • タスクを呼び出すのにかかるキー操作回数を変化させる文字識別課題 • 呼び出しにかかるキー操作回数が1回の音程識別課題 • タスクを行う順序に影響するかを調査 • 呼び出し条件が多い文字識別課題より、呼び出し条件の軽い音程識別課題 を先に取り組むことが明らかになった 2つのタスクのうち 認知的負荷の小さい方を先に実行することが明らかになっている 5

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関連研究:認知的負荷の軽減 • 心理的不応期(PRP)に着目 • 2つのタスクを用意 • タスクを呼び出すのにかかるキー操作回数を変化させる文字識別課題 • 呼び出しにかかるキー操作回数が1回の音程識別課題 日常的なタスクにおいても • タスクを行う順序に影響するかを調査 応用できるのではないか? • 呼び出し条件が多い文字認識課題より、呼び出し条件の軽い音程識別課題 を先に取り組むことが明らかになった 2つのタスクのうち 認知的負荷の小さい方を先に実行することが明らかになっている 6

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目的 遂行すべきタスクの負荷を軽減しモチベーションを向上させることで タスクの後回しを防ぐ! 7

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提案手法 遂行すべきタスクよりも負荷の大きいタスクを並列提示 「風呂掃除」の時間です! このタスクは「筋トレ」より も負荷の小さいタスクです。 確認 遂行すべきタスクの負荷を小さく感じさせ タスクへのモチベーションを向上させる! 8

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提案手法:対象とするタスク 単純タスク 毎日繰り返す単純タスク 複合タスク • 書類を提出する • 英単語を覚える • 論文を書く • ゴミ出しを行う • 風呂掃除をする • 発表会のために練習する 一回の作業で終わり 繰り返し行うために すぐに終わるものではなく 比較的負荷が小さい 負荷が想像しやすい 負荷や締め切りは様々 9

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提案手法:対象とするタスク 単純タスク 毎日繰り返す単純タスク 複合タスク • 書類を提出する • 英単語を覚える • 論文を書く • ゴミ出しを行う • 風呂掃除をする • 発表会のために練習する 一回の作業で終わり 繰り返し行うために すぐに終わるものではなく 比較的負荷が小さい 負荷が想像しやすい 負荷や締め切りは様々 負荷があまり小さくなく、負荷を想像しやすい 毎日繰り返し行う単純タスクを対象とする 10

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実験 負荷の大きいタスクの提示によって 遂行すべきタスクの達成度にどのような影響が出るか • 提案手法と比較手法で比較 • 達成度合いにもとづいて分析 • 実験協力者は10代〜20代の9名 (男性:4名 女性:5名) 比較手法 提案手法 11

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実験:手法 比較手法 提案手法 12

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実験:タスク設計 • 毎日継続するタスクを対象に、15分程度のタスクを4つ用意 • 並列提示用のタスクを別に7つ用意 遂行するタスク(以下、遂行タスク) mikanで英単語を15分間テストする 並列提示用タスク(以下、比較タスク) 基本情報技術者試験の過去問を15分間解く 食器洗いを15分間行う 部屋の掃除を15分間する トイレ掃除を15分間行う ジャックナイフ(V字腹筋)を15分間する GIGAZINEで記事を15分間閲覧する ジョギングを15分間行う 日本経済新聞の記事を15分間閲覧する スクワットを15分間する 英語の関連研究を15分間探す 13

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実験:流れ 神山ら[2019]の手法を参考 • 通知を確認したらタスクを実施→30分後に通知されるアンケートに回答 • この流れを1日4タスク、計14日間実施 14

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実験:流れ 実験開始前 7日目終了後 実験終了後 • 積極度・負荷の大きさを−2〜+2の5段階で評価 • 実験開始前・7日目終了後・実験終了後 • タスクに慣れた状態で評価してもらうため 15

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実験:アンケート タスクの確認から30分後にアンケートを通知 神山ら[2019]の手法を参考 • すぐ取り組んだ • 少し経ってから取り組んだ • あとでやる • 今日はやらない これらを合計したものを 達成率として評価 16

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結果:30分以内の達成率 100% 90% 80% 達成率 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 比較手法 すぐ取り組んだ 提案手法 少し経ってから取り組んだ 手法間に差は見られなかった 18

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結果:タスク間の負荷の差と達成率 100% 90% 80% 達成率 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% -4 4 3 2 1 0 -1 -2 -3 遂行タスクの主観的負荷と比較タスクの主観的負荷の差 負荷の差=遂行タスクの負荷 – 比較タスクの負荷 19

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結果:タスク間の負荷の差と達成率 100% 90% 遂行タスク 遂行タスク 80% <比較タスク >比較タスク 達成率 70% 60% 50% 40% 30% 比較手法の達成率 20% 10% 0% -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 遂行タスクの主観的負荷と比較タスクの主観的負荷の差 20

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結果:タスク間の負荷の差と達成率 100% 90% 80% 達成率 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 比較タスクの負荷が遂行タスクの負荷より大きくなるにつれ 0% -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 比較手法より達成率が高くなっている 遂行タスクの主観的負荷と比較タスクの主観的負荷の差 21

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結果:タスク間の負荷の差と達成率 100% 90% 80% 達成率 70% 60% 50% 40% 30% 20% 比較タスクの負荷が遂行タスクの負荷と 10% 0% ほぼ同じまたは小さいとき -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 遂行タスクの主観的負荷と比較タスクの主観的負荷の差 比較手法より達成率が低くなっている 22

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結果:比較手法と比べた達成率の増減 達成率 比較タスク(1) 比較タスク(2) 比較タスク(3) 比較タスク(4) 比較タスク(5) 比較タスク(6) 比較タスク(7) 遂行タスク① +23.7% +45.9% +20.9% -4.1% +1.5% +8.4% +12.6% 遂行タスク② +5.0% +5.0% -2.1% -11.7% +5.0% +5.0% -0.6% 遂行タスク③ +18.1% -1.3% -23.6% -19.4% -31.9% -6.9% -28.3% 遂行タスク④ -6.4% +39.5% -43.9% +6.1% +13.3% +11.7% -10.5% 遂行タスク 達成率が向上した比較タスク ①mikanで英単語を15分間テストする (1)基本情報技術者試験の過去問を15分間解く (2)食器洗いを15分間行う (3)トイレ掃除を15分間行う (6)日本経済新聞の記事を15分間閲覧する (7)英語の関連研究を15分間探す ③GIGAZINEで記事を15分間閲覧する (1)基本情報技術者試験の過去問を15分間解く ④スクワットを15分間する (2)食器洗いを15分間行う (4)ジャックナイフ(V字腹筋)を15分間する (5)ジョギングを15分間行う (6)日本経済新聞の記事を15分間閲覧する 23

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結果:比較手法と比べた達成率の増減 達成率 比較タスク(1) 比較タスク(2) 比較タスク(3) 比較タスク(4) 比較タスク(5) 比較タスク(6) 比較タスク(7) 遂行タスク① +23.7% +45.9% +20.9% -4.1% +1.5% +8.4% +12.6% 遂行タスク② +5.0% +5.0% -2.1% -11.7% +5.0% +5.0% -0.6% 遂行タスク③ +18.1% -1.3% -23.6% -19.4% -31.9% -6.9% -28.3% 遂行タスク④ -6.4% +39.5% -43.9% +6.1% +13.3% +11.7% -10.5% 遂行タスク 達成率が向上した比較タスク ①mikanで英単語を15分間テストする 課題・ 学習系 (1)基本情報技術者試験の過去問を15分間解く (2)食器洗いを15分間行う (3)トイレ掃除を15分間行う (6)日本経済新聞の記事を15分間閲覧する (7)英語の関連研究を15分間探す ③GIGAZINEで記事を15分間閲覧する 課題系 (1)基本情報技術者試験の過去問を15分間解く 身体を 動かす系 (2)食器洗いを15分間行う (4)ジャックナイフ(V字腹筋)を15分間する (5)ジョギングを15分間行う (6)日本経済新聞の記事を15分間閲覧する ④スクワットを15分間する 24

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結果:比較手法と比べた達成率の増減 達成率 比較タスク(1) 比較タスク(2) 比較タスク(3) 比較タスク(4) 比較タスク(5) 比較タスク(6) 比較タスク(7) 遂行タスク① +23.7% +45.9% +20.9% -4.1% +1.5% +8.4% +12.6% 遂行タスク② +5.0% +5.0% -2.1% -11.7% +5.0% +5.0% -0.6% 遂行タスク③ +18.1% -1.3% -23.6% -19.4% -31.9% -6.9% -28.3% 遂行タスク④ -6.4% +39.5% -43.9% +6.1% +13.3% +11.7% -10.5% 同じ系統のタスクを提示した際に 達成率が向上した比較タスク 遂行タスク (1)基本情報技術者試験の過去問を15分間解く 比較手法より達成率が向上しやすい (2)食器洗いを15分間行う (3)トイレ掃除を15分間行う (6)日本経済新聞の記事を15分間閲覧する (7)英語の関連研究を15分間探す ①mikanで英単語を15分間テストする 課題・ 学習系 ③GIGAZINEで記事を15分間閲覧する 課題系 (1)基本情報技術者試験の過去問を15分間解く 身体を 動かす系 (2)食器洗いを15分間行う (4)ジャックナイフ(V字腹筋)を15分間する (5)ジョギングを15分間行う (6)日本経済新聞の記事を15分間閲覧する ④スクワットを15分間する 25

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考察 負荷が遂行タスク<比較タスクになるほど達成率が高くなる様子が確認 • 遂行タスクと比較タスクの差を実感しやすくなったため • 差が小さくなるとその差を実感できなくなり、達成率が下がった 同じような系統のタスクを提示した際に達成率が向上していた • タスク同士の差異を実感しやすいのでは • 異なる系統のタスクだと内容に違いがありすぎてうまく比較が行えない 28

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考察 遂行タスク<比較タスクになるほど達成率が高くなる様子が確認 • 遂行タスクと比較タスクの差を実感しやすくなったため • 差が小さくなるとその差を実感できなくなり、達成率が下がった 主観的負荷のより大きいタスクの提示や 同じ系統のタスクの提示によって 似た系統のタスクを提示した際に達成率が向上していた タスク遂行を促すことができる • 同じような系統のタスクであるとタスク同士の差異を実感しやすいのでは • 異なる系統のタスクだと内容に違いがありすぎてうまく比較が行えない 29

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展望 • 実験協力者がより馴染みやすく、義務感の高いタスクを対象に実験 • ユーザに遂行タスクの負荷の軽減を促す通知やUIの工夫を行い、 システムを実装 • ユーザにシステムを使用してもらう長期実験を行う 32

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まとめ 背景 目的 日々継続するタスクでも後回しにしてしまうことは多い 遂行すべきタスクの負荷を軽減しモチベーションを向上させることで タスクの後回しを防ぐ 手法 遂行すべきタスクよりも負荷の大きいタスクを並列提示 実験 負荷の大きいタスクの提示が遂行タスクへの達成率に影響するかを調査 結果 主観的負荷の差が多くなり、似た系統のタスクを提示することで達成率が向上 展望 実験協力者がより馴染みやすく、義務感の高いタスクを対象に実験 ユーザに遂行タスクの負荷の軽減を促す通知やUIの工夫を行いシステムを実装 33