音楽聴取時のコミュニケーション手法の提案

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September 25, 18

スライド概要

HISシンポジウム2018で発表したスライドです。

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明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

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各ページのテキスト
1.

音楽聴取時の コミュニケーション手法の 提案 明治大学大学院 先端数理科学研究科 修士2年 大野直紀 中村聡史

2.

背景:コミュニケーションの問題 • コミュニケーションは難しい! • コミュニケーションが苦手と感じる人 は58%(JCB調べ) • 複数の人の前で話すのが苦手 …74.6% • 始めて会う人と話すことが苦手…63.4% コミュニケーション時に緊張してしまう

3.

背景:音楽聴取による影響 • 音楽聴取による効果は多数知られている • 音楽聴取で緊張がほぐれる • 音楽聴取で気分を高められる 音楽を聴きながらコミュニケーション 緊張をほぐしつつ コミュニケーションを行える!

4.

背景:新しい音楽聴取 • 耳介を塞がないタイプの音楽聴取手法 • 骨伝導ヘッドフォン • 片耳イヤフォン • 分割磁界供給型骨伝導による常時装着音響 デバイス[暦本,2018] 自身の好みの音楽を常時聴取しながら 生活を送ることができる!! 将来的にそのような世界になる!!

5.

背景:音楽聴取しながらの会話 Aさんの 好きな楽曲 Bさんの 好きな楽曲

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背景:音楽聴取しながらの会話

7.

背景:音楽聴取しながらの会話 独立した音楽聴取による コミュニケーションの変化は不明!

8.

背景:音楽による会話の操作

9.

背景:音楽による会話の操作 音楽の組み合わせによって コミュニケーションの支援が可能?

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目的 独立した音楽聴取による コミュニケーション支援環境の実現 • 独立した音楽聴取によるコミュニケーション の影響調査 • 独立した音楽聴取によるコミュニケーション 支援手法の確立

11.

仮説 ①聴取する音楽の速さによって 発話の速度が変化するのでは? ②聴取する音楽の速さの不一致によって 会話の間の取り方が変化するのでは?

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実験①:目的 • 音楽を聴取することによって 人の発話速度が変化するのか? • 実験協力者:20代の男子大学生4名

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実験①:概要 ①ヘッドフォンでメトロノームを再生 ②計算問題に回答 ③文章を音読 聴取してもらったテンポ パターン1 パターン2 1回目 120 132 2回目 60 68 3回目 132 120 4回目 68 60

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実験①:概要 ①ヘッドフォンでメトロノームを再生 ②計算問題に回答 ③文章を音読 • • • • • 坊ちゃん 吾輩は猫である 女学生 トロッコ 注文の多い料理店

15.

実験①:分析手法 • 発話速度を算出 • 音読時間を発話した音の数で割った数値 • 高速群,低速群で比較 パターン1 パターン2 1回目 120 132 2回目 60 68 3回目 132 120 4回目 68 60

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実験①:分析手法 • 発話速度を算出 • 音読時間を発話した音の数で割った数値 • 高速群,低速群で比較 パターン1 パターン2 1回目 120 132 2回目 60 68 3回目 132 120 4回目 68 60

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実験①:分析手法 • 発話速度を算出 • 音読時間を発話した音の数で割った数値 • 高速群,低速群で比較 パターン1 パターン2 1回目 120 132 2回目 60 68 3回目 132 120 4回目 68 60

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実験①:結果 協力者A 協力者B 協力者C 協力者D 平均 高速群 6.140 9.020 8.123 7.427 7.677 低速群 6.690 8.636 8.220 7.575 7.780

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実験①:結果 協力者A 協力者B 協力者C 協力者D 平均 高速群 6.140 9.020 8.123 7.427 7.677 高速群,低速群で 大きな変化はない 低速群 6.690 8.636 8.220 7.575 7.780

20.

仮説 ①聴取する音楽の速さによって 会話の速度が変化するのでは? ②聴取する音楽の速さの不一致によって 会話の間の取り方が変化するのでは?

21.

仮説 ①聴取する音楽の速さによって 会話の速度が変化するのでは? →変化は起きない ②聴取する音楽の速さの不一致によって 会話の間の取り方が変化するのでは?

22.

実験②:概要 • 聴取するテンポが一致する場合と 異なる場合でコミュニケーションの 間の取り方に変化はあるのか? • 実験協力者:4組(8名) • 18~20歳の男性

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実験②:実験概要 • 面識のある2者間でテンポを聴取しなが ら会話を4回行ってもらう • 会話が十分に取得できるようタスクを用意 • お互いに片耳にイヤフォンを装着し, テンポを聴取させる BPMが同じ パターン BPMが異なる パターン パターン1 パターン2 パターン3 パターン4 実験協力者A 112 60 60 112 実験協力者B 112 60 112 60

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実験②:タスク • 指定したテーマの上位5位を決める • ディズニーキャラクタといえば • 旅行したい県といえば • ファーストフード店といえば • 東京の有名な場所といえば • 日本人が好きな食事といえば • 1分間のシンキングタイム→ 結果を突き合わせて会話

25.

実験②:分析 • 重複発話回数を手動でカウント • 回数を会話時間で割ったものを 重複発話割合として表示 発話者A 発話者B 発話 発話 発話 時間経過 発話 発話

26.

実験②:分析 • 重複発話回数を手動でカウント • 回数を会話時間で割ったものを 重複発話割合として表示 発話者A 発話者B 発話 発話 発話 時間経過 発話 発話

27.

実験②:結果 テンポ一致 グループ1 グループ2 グループ3 グループ4 平均 テンポ不一致 BPM 重複発話割合 60-60 0.008 60-112 0.035 112-112 0.023 112-60 0.038 60-60 0.060 60-112 0.096 112-112 0.013 112-60 0.080 60-60 0.029 60-112 0.067 112-112 0.055 112-60 0.100 60-60 0.010 60-112 0.034 112-112 0.043 112-60 0.066 0.030 BPM 重複発話割合 0.065

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実験②:結果 • テンポが異なる場合の重複発話回数が, テンポが一致する場合より上昇 • 有意差あり(p<.05) 相互に聴取する曲のテンポによって 間の取り方が変化!

29.

仮説 ①聴取する音楽の速さによって 発話の速度が変化するのでは? →変化は起きない ②聴取する音楽の速さの不一致によって 会話の間の取り方が変化するのでは?

30.

仮説 ①聴取する音楽の速さによって 発話の速度が変化するのでは? →変化は起きない ②聴取する音楽の速さの不一致によって 会話の間の取り方が変化するのでは? →不一致の場合,重複発話が増加

31.

考察 • テンポの不一致によって重複発話が増加 • コミュニケーションはお互いの聴取する テンポによって影響を受ける! 相互に聴取する曲によって 会話が変化する!!

32.

考察 • テンポの不一致によって重複発話が増加 • 重複会話が多いと会話が盛り上がる [藤井1994] 相互に聴取する曲のテンポによって 会話の盛り上がりを操作可能?

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まとめ • 独立した音楽聴取によるコミュニケーション 支援環境の実現 • テンポによって発話の速さが変化しない • テンポの一致,不一致によって 会話の間の取り方が変化 [今後の課題] • さらなる実験協力者の増加 • 重複会話の増加 • 調による変化の解明 • 実際のシステム作成