ALS患者のための自身の手書きを残しコミュニケーションに利用可能とするWebサービスの実現

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January 24, 23

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明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

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各ページのテキスト
1.

ALS患者のための自身の手書きを残し コミュニケーションに利用可能とする Webサービスの実現 明治大学 3年 古賀壮、中村聡史 / 株式会社ワコム 掛晃幸、石丸築 1

2.

背景 きんいしゅくせいそくさくこうかしょう 筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者は徐々に筋肉が衰えていき徐々 に字を書くのが困難になる コンピュータ上でのフォントを利用した文字より手書きに温か みを感じる人が多い ALSの患者さんから、字が書けなくなる前に手書き文字を保存 して手書き文章画像を生成するシステムの開発依頼を受けた 2

3.

目的 ALSの患者さん向けに自身の手書き文字を保存し、保存した手書き を利用して手書き文章画像を生成するシステムの実現 3

4.

実現するシステムのイメージ図 4

5.

関連研究 おてがみ: 個人の手書き文字フォントを用いたコミュニケーション システム[高村ら, 2013] 手書きフォントを利用してコミュニケーションをするシステム 高村将大, 小川剛史ほか. おてがみ: 個人の手書き文字フォントを用いたコミュニケーションシステム. 研究報告グル ープウェアとネットワークサービス (GN), Vol. 2013, No. 18, pp. 1–7, 2013 5

6.

手書きフォント生成アプリ iFontMaker (iPad用アプリ) 手書き文字を登録してフォントファイルを作る 様々なアプリケーションで使えるが、同じ文字が複数回登場した ときに全て同じ形になってしまう 6

7.

手法 - データの蓄積 ALSの患者が症状が悪化する前に手書き文字を保存 症状が悪化しても事前に保存した手書き文字を元に手書きの文章画 像を生成することができるようにする 7

8.

手法 - 手書き文字の平均化 字の各ストロークをフーリエ展開し、 曲線を数式化[中村ら, 2016] 機械による生成っぽさをなくすために 平均化に使う各文字を加重平均[田村ら, 2020] 中村聡史, 鈴木正明, 小松孝徳. ひらがなの平均手書き文字は綺麗. 情報処理学会論文誌, Vol. 57, No. 12, pp. 2599–2609, 2016 田村洸希, 中村聡史. ひとを騙す手書き自動生成手法の提案と実装. 情報処理学会 研究会報告ヒューマンコンピュータ インタラクション(HCI), Vol. 2020-HCI-186, pp. 1–8, 2020 8

9.

手法 - 文字の配置 文字の配置には、文字の形状を考慮したアルゴリズムを使う 例えば縦長の字は下揃えに、横長の字は中央揃えに x, yなどを入れ替えて縦書きにも対応 9

10.

ALSの患者のためのシステム実現 目的を達成するシステムの実現にあたり、複数の試作と、フィード バックをもらうことを繰り返した 10

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試作1 iPhoneのアプリケーションとしてUnityで実装 手軽に字を登録できる 11

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試作1 - フィードバック ポジティブなフィードバック iPhoneから使えるのが便利 ネガティブなフィードバック 長時間ペンを持って手書きをすることに対する抵抗 ローカルでデータを持っているネイティブアプリケーションなの でデータの管理に課題 データ移行やバックアップの問題 12

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試作2 Webベースで実装 13

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試作2 - フィードバック ポジティブなフィードバック スマホから字をなぞって登録できるのは使いやすい サーバにデータが保存されるためバックアップの手間がない ネガティブなフィードバック 字の登録リストがあることによる威圧感がある 背景画像やレイアウトの自由度が欲しい 14

15.

tegaki.fun Webベースで実装 字の登録リストは廃止(ただし必要な字はまとめて登録できる) 背景画像やレイアウトの自由度をあげた 他者の字も平均化に組み込むように 少ない字の登録数でバリエーションを出すことを可能に UIの改善 15

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デモ https://tegaki.fun で利用できます。 ぜひお試しください。 16

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フィードバック 試作よりさらに使いやすくなった 実際にクリスマスカードを複数の知人に向け作成および送信 ←私達が頂いた クリスマスカード 17

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考察 ALSの患者さん向けの試作を、フィードバックと改善のループによ り、利用可能性の高いものを実現 サービスとして公開したため、これから様々な患者さんに利用して もらい、よりよくする予定 18

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展望 設定項目を減らしてシンプルに 字の登録を容易に 漢字のへんとつくりを別々に登録し、組み合わせて利用 紙に書いた手書きを写真に撮り登録する仕組みの実現 手書きのデータベースをAPIとして公開することで他の人もアプリ を作成可能に 19

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まとめ ALSの患者さんのための手書き文字生成Webアプリケーションを実 装 試作を繰り返し使いやすさを改善 ALSの患者さんの利用可能なものを実現 20

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予備スライド 21

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関連研究 - ALS患者のテキスト入力 コミュニケーション・エイドのためのかな-漢字変換法について[井 上ら, 1989] ALSの患者が少ない操作で文章作成を行う方法の提案 井上倫夫, 小林康浩, 加納尚之, 井上公明ほか. コミュニケーション・エイドのためのかな-漢字変換法について. 情報 処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション (HCI), Vol. 1989, No. 72 (1989-HI-026), pp. 1–8, 1989 22