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December 18, 20
スライド概要
askTA : 消極的な受講生でも質問可能なオンライン演習講義支援システム
WISS 2020: 第28回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ
明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室
askTA:消極的な受講生でも質問可能な オンライン演習講義支援システム 明治大学大学院 先端数理科学研究科 又吉康綱 中村聡史 2020/12/18 WISS2020 @オンライン
こんな経験ありませんか? • Zo o mで講義や会議が始まるけど、入るのに抵抗がある • 誰が居るか分からない • ど ん な 状 況 か 分 か ら ない • 入 室 し て 目 上 の 人 だ けの 1 対 1 だ と 嫌 だ な • 開 始 前 に 話 さ な い と 気ま ず い 環 境 だっ た ら 嫌 だ な • オンラインで起こりがちな抵抗感に着目 • 大学オンライン演習型プログラミング 講義 受講生-TAでも生じる
askTAとは 受講生が質問を投稿して, TAが対応して,オンラインエディター上 で通話しながら修正と実行をして質問の解決を行うシステム
背景 大学の情報系学部学科で開講されるプログラミング講義 • 必修のプログラミング講義 • 特 に 初 年 次 は , そ の 後 の 講 義 に も つな が る た め 重要 • 落 単 し た ら 卒 業 で き ない • 選択のプログラミング講義 • 卒 業 要 件 の 一 部 の 単 位を 取 得 す る ため に 必 要 • 落 単 し て も 他 の 講 義 でカ バ ー で き る
背景 • 大学の初年次必修のプログラミング教育では, 1 0 0 人以上の受講生 初学者から経験者までに一斉に教える必要がある • 学生ごとにコンピュータの操作やタイピングに対する慣れ, プログラムの理解度の差など,苦手なことが多様である
背景:対面講義であった問題 深刻なTAの人数不足 TA 1 人が複数の受講生を指導 ( 明治の場合: 受講生120名/ TA10 名) 受講生側に起こる問題 • 初歩的な質問をするのが恥ずかしい TA 側に起こる問題 • 受講生に質問されたことが解決できずに困る 共通の問題 • 受講生の質問順番を TAが飛ばしてしまう
背景:新型コロナウイルスの影響 C O V I D - 1 9の影響で, オンライン講義が増加 S N S 上では開催形式やT A 業務のやり方が模索されて いた • Zoom上に質問専用の部屋を作り対応 • Slack上で直接,受講生とTAのやり取りさせた • 受講生のグループに担当のTAを割り当てた 我々は,予習にプログラミングの タイピング課題を課すことで 基本的なタイプミスと質問を減らす t y p i ng . r u n ( h t t p s : / / t y p i n g . r u n ) を 実施する運用を行った typing.run: 初学者のプログラミング学習を支援するプログラムタイピングシステムの提案と実践(sighci189)
背景:オンライン講義中に起こる問題 受講生側:初歩的な質問をしづらい • 閉 鎖 的 な 質 問 部 屋 に 入り に く い こ とで も っ と 顕 著に な る TA 側:回答できる質問か精神的なプレッシャー • 他 の T A に依 頼 す る の が 困難 に な る 共通:受講生の質問が多いときに順番待ちが困難 • 一 定 の ル ー ル や シ ス テム を 設 け な いと 不 可 能 本研究の目的 学生の質問のハードルを下げ,TAのプレッシャー, 順番待ちを円滑にするシステムの実装と実践
関連研究 • 操作やエラーログからつまずいてる学生を発見する [ 市村ら 2 0 1 3 ] • 編集履歴から学生の苦手に応じたフィードバック [ 藤原ら 2 0 1 8 ] • 進捗状況からサポートが必要な学生を把握する [ 井垣ら 2 0 1 3] • 模範解答と比較することでリアルタイムに把握する [ 加藤ら 2 0 1 4 ] オンライン上で,プログラミング演習中の 学生をリアルタイムに支援するシステム
今までの対話フロー 1 . 挙 手 ( 質 問 依頼 ) 受講生 2.向かう 3.質問応答 TA
設計指針 : 対話フロー 受講生 5.質問開始 1.質問投稿 TA 2.質問チェック 3.回答できそうなら 質問回答開始 4.質問順番通知 システム
askTA デモします
デモビデオ
askTA h t t ps:/ /askta. n kmr . i o/wi ss2020/ Ch r o me/Fi r efox 推奨
askTA
askTA
運用 • 場所 : 明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科の 学部1 年必修 プログラミング演習Ⅰ( 2020 年6-7月全12講義) • 人数 : 受講生111名 / TA 9 名 ( うち1 名は主著) • 授業ツール : R e mo Co nf er ence h t t ps: // r emo. co/ 1 クラスあたり( 60名ほど) 受講生 : 4 人1 組15グループ TA : 3 ~4 人 演習時間にaskTAを8回 運用
運用中のダッシュボード画面
結果 • 総質問回数 3 6 7 回 • 1 回以上質問した人数 6 1 名 ( 受講生の55 %)
結果 利用状況 受講生がTAを待った時間( 分) • 1分以内(180件/49%) • 5分以内(288件/78%) TA が対応した時間( 分) • 5分以内(103件/28%) • 20分以内(302件/82%) 極端に長時間は,休憩時間などの中断時間も含む
結果 ステータス遷移の可視化
結果 ステータス遷移の可視化 受講生キャンセル TA 保留 TA 対応終了 TA 対応開始 受講生質問投稿 時間 線が長くて傾きが緩やかなほど,ステータス変化の経過時間が長い
結果 ステータス遷移の可視化 TA1人=1色 3 . T A 対応終了 質問が集中した時間帯や T A の忙しさがわかる 2 . T A 対応開始 少ない待ちで長時間,指導していることがわかる 1 . 学生質問投稿 ※論文未掲載の図のため公開用のスライドに全8回分掲載
結果 受講生アンケート 運用終了後に5段階評価式( -2~2) アンケートに回答(受講生 5 4名) 質問項目 Q1 使った満足度はどうですか Q2 「TAに質問すること」に対する抵抗感が減りましたか Q3 プログラミングの授業で今後も使用したいですか 平均 1.58 0.91 1.66 自由記述 • 「オンライン質問しにくい不安が解消された」 「実行できるのが助かった」「プログラムの共有 が良かった」 • 「概要を書くのが難しかった」「初めて使うときに戸惑った」
結果 TAアンケート 運用終了後に5段階評価式( -2~2) アンケートに回答( TA8名) 質問項目 Q4 使った満足度はどうですか Q5 プログラミングの授業で今後も使用したいですか 平均 1.25 1.63 自由記述 • 「待ち状況の一覧表示が良かった」 • 「対面授業よりも見えやすく俯瞰できエラーを見つけやすい」 • 「自分が理解していない問題の質問は飛ばせた」 • 「継続して同じ学生をみれない」「質問内容がわからない」
結果 まとめ • 受講生の55%が使用,367件の質問,広く利用された • ほとんどの質問は1分以内にT Aが対応し,20分以内には指導終了 • 通知機能が有効に働き,順番管理が適切に行えていた • アンケート結果より受講生とT Aの双方から高い評価 • 「 質 問 の 不 安 解 消 」 「指 導 が や り やす い 」
議論 副次的な効果 R e m o が 1 7 0 分 ダ ウ ン し て も 問 題 な く T A 業 務 が 続行 で き た ( 5 1 件 の 質 問 ) 質問内容を俯瞰的に講師が確認でき, 全体向けのヒントを掲示できた
議論 オンライン特有の指導 受講生とTAの指導時間が長くなる傾向があったように感じた • 身 振 り 手 振 り 表 情 が ない た め 意 思 疎通 に 時 間 が かか っ た か ら か? • 対面時よりも多くのTAが必要か? 気軽に質問できる ことでTAに頼りきる人を多くしてしまわないか • 対 面 講 義 で も 見 ら れ るた め , 現 状 は問 題 な い と 考え る • た だ , 対 面 が 持 っ て いる 柔 軟 性 は 考慮 し た ほ う がい い • 例)「二重配列が分かってない人は, TA〇〇さんが最初から説明します~」
まとめ オンライン上での学生と TAの質問ハードルを下げるために, 学生の質問しにくさ /TAの心的負担/ 順番待ち に着目し, 質問をシステムに投稿する askTA を実装し,運用した アンケート結果や自由記述で良好な結果が得られた • 心 的 負 担 を 下 げ れ て いる こ と が 示 唆さ れ た • 提 案 手 法 に 対 す る ポ ジテ ィ ブ な 自 由記 述 が 多 く 得ら れ た 今後の展望 • 対面講義に導入することによる効果の検証 講義等で使ってみたい方は中村までご連絡ください https://askta.nkmr.io/wiss2020/