視線に追随したエフェクト重畳によるデジタルコンテンツの体験拡張手法の提案

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September 23, 16

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明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

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各ページのテキスト
1.

視線に追随したエフェクト重畳による デジタルコンテンツの体験拡張手法の 提案 山浦 祐明(明治大学 総合数理学部 B3) 田村 柾優紀(明治大学 総合数理学部) 中村 聡史(明治大学 )

2.

背景 デジタルコンテンツに演出を付与することで、 面白さを増幅することができる [香川 2010]

3.

関連研究 [松田ら 2015]

4.

関連研究 エフェクト自体が意味を持つため 汎用性に乏しい [田村ら 2015]

5.

関連研究 事前にフォーカスのあった 画像を用意するのは手間がかかる 任意のコンテンツには利用できない 遅延によりコンテンツに 集中できなくなる [岡谷ら 2009]

6.

本研究の目的 シンプルなエフェクトをコンテンツに重畳し、 視聴体験の拡張を目指す 見やすさを損なわない 遅延を発生させない

7.

人間の視野特性 視野 中心視野 対象をはっきりと知覚 周辺視野 周辺をぼんやりと知覚 ディスプレイ上で視野を再現することで 印象の増幅が行えるのでは?

8.

提案手法 ぼかし エフェクト

9.

提案手法

10.

実装 ・視線検出モジュール -Tobii EyeXを用いて取得した視線 データをコンテンツ提示モジュール に送信 ・コンテンツ提示モジュール -Processing ・ GLSLを用いてコンテンツに エフェクトを重畳し、ディスプレイに表示 GLSLを用いることで高速な 画像処理が可能に

11.

デモ

12.

視聴体験拡張に関する評価実験 目的は達成できているのか? 検証項目 1. エフェクトにより印象が増幅されるのか 2. 見やすさは損なわれなかったか 3. 遅延は発生しなかったか

13.

視聴体験拡張に関する評価実験 Retro-Game カテゴリ New-Game カテゴリ Landscape カテゴリ • 対象は18~21歳の大学生8名 • 4人ずつ2つの実験群に分割 • エフェクト有・無の動画を交互に視聴し アンケートに回答

14.

アンケート内容 感情 -楽しさ、驚き 印象 -2から+2までの5段階の リッカート尺度 -臨場感、立体感 生理的印象 -見やすさ、集中度合い 度合いを5段階で評価

15.

感情に関するアンケート結果 Retro-Gameカテゴリ:平均 New-Gameカテゴリ:平均 2 2 1 1 0 0 -1 -1 -2 -2 安 心 楽 し さ 嫌 悪 興 奮 :エフェクト無 驚 き 苛 立 ち 関 心 :エフェクト有 安 心 楽 し さ 嫌 悪 :エフェクト無 興 奮 驚 き 苛 立 ち :エフェクト有 Landscapeカテゴリ:平均 2 1 大きな相関は みられなかった 0 -1 -2 安 心 楽 し さ 嫌 悪 :エフェクト無 興 奮 驚 き :エフェクト有 苛 立 ち 関 心 関 心

16.

印象に関するアンケート結果 Retro-Gameカテゴリ:平均 New-Gameカテゴリ:平均 2 2 1 1 0 0 -1 -1 -2 -2 立体感 没入感 臨場感 緊張感 立体感 没入感 エフェクトを重畳することで 印象が増幅された Landscapeカテゴリ:平均 :エフェクト無 :エフェクト有 :エフェクト無 臨場感 緊張感 :エフェクト有 2 1 全ての評価値が 上昇、または同等 0 -1 -2 立体感 没入感 :エフェクト無 臨場感 :エフェクト有 緊張感

17.

生理的印象に関するアンケート結果 Retro-Gameカテゴリ:平均 心地よい 見え易い New-Gameカテゴリ:平均 集中できる 2 2 1 1 0 0 -1 -1 -2 不快 見え辛い 散漫になる -2 心地よい 見え易い 集中できる 不快 見え辛い 散漫になる エフェクト重畳により 生理的印象が悪化した Landscapeカテゴリ:平均 :エフェクト無 心地よい :エフェクト無 :エフェクト有 見え易い 集中できる 2 8つの評価値が 減少 1 0 -1 -2 :エフェクト有 不快 見え辛い :エフェクト無 散漫になる :エフェクト有

18.

考察 • エフェクトにより -生理的印象が悪化した -印象を増幅できた • 遅れを感じたというコメントなし -遅延の発生を抑制できた

19.

考察 • 風景映像にエフェクトを重畳することで 集中度合いが上昇 -視線と関係性がある? -低解像度の画像を用意し、一部を動的に高解像度に することで無意識的にユーザの視線を誘導 [畑ら 2014] 視線ログを可視化することで 関係性を見出す

20.

視線に関する調査実験 Retro-Game New-Game Landscape • 対象は18~21歳の大学生8名 • 4人ずつ2つの実験群に分割 • エフェクト有・無の動画を交互に視聴し 視線ログを計測

21.

視線ログのヒートマップ Retro-Game New-Game Landscape 視線が中心部に集中する エフェクト重畳前 傾向にあった Retro-Game New-Game エフェクト重畳後 Landscape

22.

集中度合いと視線の関係性 •風景映像にエフェクトを重畳することで 集中度合いが上昇し、視線が中心部に 集中した エフェクトを重畳することで より風景動画に集中することが出来た

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Retro-Gameへの適用例

24.

New-Gameへの適用例

25.

Landscapeへの適用例

26.

オープンキャンパスでの知見 得られたフィードバック • • • • 臨場感、立体感が増した 実用化されたら使ってみたい 不快な感覚はあまりなかった あまりエフェクトを感じない エフェクトをどう感じるかには 人によって大きく変わっていた

27.

今後の展望 •ゲームコンテンツをプレイ時にエフェクトを 重畳した際、体験が拡張されるか調査 •視聴体験を拡張しつつ見やすさを損なわな いシステムの開発 •色の彩度、明度に着目したエフェクトの実装

28.

まとめ •視線に追随したエフェクト重畳により 視聴体験を拡張するシステムの提案と実装 -生理的印象が悪化したが、印象は増幅した •エフェクトがユーザに及ぼす効果を調査し、 その有用性と問題点を検証した