282 Views
March 14, 17
スライド概要
EC43で発表した際のスライドを少し変えたものです。
明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室
調理行動からの個性抽出の 可能性に関する検討 土屋駿貴 中村聡史 (明治大学)
料理とは・・ 関心が高くニーズがある 誰もが楽しめるエンタテインメント
関連研究(料理) • 食材の優先度を考慮したビジュアルな料理 レシピ検索インターフェース[塩澤2011] • 食材名とその優先度を考慮した動的な検索 • 食材上に情報を重畳表示する調理支援 システム[鈴木2012] • 調理工程に合わせて食材上に調理方法を CGで提示
関連研究(料理) 多くのユーザに対するものであり • 食材の優先度を考慮したビジュアルな料理 レシピ検索インターフェース[塩澤2011] ユーザごとに対するものではない! • 食材名とその優先度を考慮した動的な検索 • 食材上に情報を重畳表示する調理支援 システム[鈴木2012] • 調理工程に合わせて食材上に調理方法を CGで提示 個性を考慮することで ユーザごとに適した支援が可能
料理に関する個性 人によって異なる楽しみ方 • 食べる側:調味料などのちょい足し • 作る側 :調理方法(味付け・盛り付け) におけるこだわり
応用例 • 調味料使用量の個性を料理レシピに対して 反映させる • 作った料理の満足度向上 • 自分の個性に似たレシピの検索 • レシピ投稿者の個性分類 .
応用例 • 調理行動中の個性分析 • 調理動作におけるコツの発見 • レシピにおける曖昧表現の判断基準を定式化 きつね色・あめ色 塩胡椒少々 ひたひたの水 さっと茹でる
視線情報 • 視線情報の可視化・共有による感性 インタラクション支援[藤本2003] • 自動車運転時において,人により注視する部分が 異なっていることを確認 • 視線情報の分析に基づく調理行動理解に 向けて[井上2015] • 視線情報に基づいた調理動作の識別 調理行為においても視線に 個性が現れるのではないか
目的 調理行為中に現れる 個性について明らかにする { 調味料使用量:個人を判別することが可能か 視線情報 :調理行動ごとに個人差があるか
実験(概要) • 被験者:普段から料理を行う大学生7名 • 内容 • 料理 :2種類の料理を1人それぞれ4回作って もらう :誰でも簡単に短い時間で作れる 調理工程、使用している調味料が似ている 野菜炒め 炒飯
実験(取得データ) • 調味料使用量 • 計測器具を使用せずに調理 • 料理の前後で電子秤を用いて 0.01g単位で計測しその差を記録 前 後 • 視界の主観的映像と視線情報 • メガネ型ウェアラブル視線検出装置 「Tobii Pro Glasses 2」 を使用して録画 Tobii Pro Glasses 2 協力者の視点(赤丸)
調味料使用量(料理ごとの調味料) • 野菜炒め (例)協力者Aの結果 • 塩,胡椒,醤油,料理酒,油 野菜炒め 1回目 2回目 3回目 4回目 • 塩 0.60g 1.10g 0.77g 1.46g 胡椒 0.17g 0.10g 0.16g 0.24g 醤油 4.25g 11.02g 10.05g 11.94g 料理酒 4.65g 26.81g 19.70g 12.96g 油 4.49g 6.34g 6.03g 10.33g 炒飯 • 塩,胡椒,醤油,鶏がらスープの素,油 炒飯 1回目 2回目 3回目 4回目 塩 0.12g 0.32g 0.61g 0.35g 胡椒 0.08g 0.08g 0.08g 0.06g 醤油 8.98g 5.38g 7.70g 7.39g 鶏がら 1.47g 1.81g 1.44g 1.09g 油 32.52g 28.72g 20.49g 20.02g
調味料使用量(調味料使用量の平均) 野菜炒め 協力者A 協力者B 協力者C 協力者D 協力者E 協力者F 協力者G 塩 0.98 g 2.44 g 1.25 g 0.33 g 0.99 g 1.73 g 1.24 g 胡椒 0.17 g 0.19 g 0.53 g 0.10 g 0.38 g 0.33 g 0.15 g 醤油 9.32 g 11.95 g 9.23 g 12.46 g 17.95 g 10.18 g 9.87 g 料理酒 16.03 g 15.14 g 37.84 g 23.39 g 21.32 g 19.08 g 19.9 g 油 6.80 g 6.67 g 14.80 g 8.84 g 9.65 g 10.54 g 1.17 g 炒飯 協力者A 協力者B 協力者C 協力者D 協力者E 協力者F 協力者G 塩 0.35 g 1.13 g 0.57 g 0.40 g 0.60 g 1.35 g 1.13 g 胡椒 0.08 g 0.23 g 0.35 g 0.14 g 0.25 g 0.25 g 0.12 g 醤油 7.36 g 6.83 g 2.75 g 10.30 g 10.92 g 6.26 g 5.11 g 鶏がら 1.45 g 2.39 g 2.06 g 1.84 g 2.01 g 2.31 g 1.19 g 油 25.44 g 10.62 g 15.34 g 15.32 g 18.03 g 13.31 g 3.38 g
調味料使用量(調味料使用量の分散) 野菜炒め 協力者A 協力者B 協力者C 協力者D 協力者E 協力者F 協力者G 塩 0.14 0.77 0.50 0.01 0.27 0.21 0.49 胡椒 0.00 0.01 0.11 0.00 0.03 0.01 0.01 醤油 12.00 29.36 4.05 6.99 62.56 38.50 5.30 料理酒 89.54 53.64 255.42 84.47 30.84 33.19 59.63 油 6.20 6.69 141.70 16.83 18.49 17.83 0.11 炒飯 協力者A 協力者B 協力者C 協力者D 協力者E 協力者F 協力者G 塩 0.04 0.03 0.04 0.00 0.01 0.15 0.25 胡椒 0.00 0.03 0.03 0.00 0.00 0.00 0.00 醤油 2.22 0.70 0.44 5.97 90.58 3.17 2.04 鶏がら 油 38.25 16.94 121.17 9.61 13.91 5.82 1.37 0.09 0.59 1.03 0.29 0.34 0.22 0.04
調味料使用量(調味料使用量の標準偏差) 野菜炒め 協力者A 協力者B 協力者C 協力者D 協力者E 協力者F 協力者G 塩 0.38 0.88 0.71 0.10 0.52 0.46 0.70 胡椒 0.06 0.11 0.33 0.06 0.16 0.10 0.07 醤油 3.46 5.42 2.01 2.64 7.91 6.21 2.30 料理酒 9.46 7.32 15.98 9.19 5.55 5.76 7.72 油 2.49 2.59 11.9 4.10 4.30 4.22 0.33 炒飯 協力者A 協力者B 協力者C 協力者D 協力者E 協力者F 協力者G 塩 0.20 0.19 0.20 0.05 0.10 0.38 0.50 胡椒 0.01 0.16 0.17 0.04 0.03 0.04 0.03 醤油 1.49 0.83 0.66 2.44 9.52 1.78 1.43 鶏がら 油 6.19 4.12 11.01 3.10 3.73 2.41 1.17 0.29 0.77 1.02 0.54 0.58 0.47 0.20
調味料使用量(個性について検証) • SVMを用いて検証 炒飯での 野菜炒めでの7人分の 調味料使用量 調味料使用量 協力者A 1回目 協力者A 2回目 ・・・ 協力者G 4回目 協力者X 分類器
調味料使用量(個性について検証) • 使用するデータ:使用した調味料が異なる部分 があるため2種類用意 元データ 野菜炒め 塩 胡椒 醤油 料理酒 油 協力者A 0.60g 0.17g 4.25g 4.65g 4.49g ①6次元(異なる調味料を含む) 野菜炒め 塩 胡椒 醤油 料理酒 油 鶏がら 協力者A 0.60g 0.17g 4.25g 4.65g 4.49g 0.00g ②4次元(異なる調味料を除く) 野菜炒め 塩 胡椒 醤油 油 協力者A 0.60 g 0.17 g 9.25 g 4.49 g
調味料使用量(個性について検証) • 使用するデータ:使用した調味料が異なる部分 があるため2種類用意 元データ 野菜炒め 塩 胡椒 醤油 料理酒 油 協力者A 0.60g 0.17g 4.25g 4.65g 4.49g ①6次元(異なる調味料を含む) 野菜炒め 塩 胡椒 醤油 料理酒 油 鶏がら 協力者A 0.18g 0.60 0.17g 0.17 0.17g 4.25 0.08g 4.65 0.14g 4.49 0.00 0.00g ②4次元(異なる調味料を除く) 野菜炒め 塩 胡椒 醤油 油 協力者A 0.18g 0.60 0.17g 0.17 0.17g 9.25 0.14g 4.49
調味料使用量(個性について検証) • 使用するデータ:使用した調味料が異なる部分 があるため2種類用意 元データ 野菜炒め 塩 胡椒 醤油 料理酒 油 協力者A 0.60g 0.17g 4.25g 4.65g 4.49g ①6次元(異なる調味料を含む) 野菜炒め 塩 胡椒 醤油 料理酒 油 鶏がら 協力者A 0.18g 0.60 0.17g 0.17 0.17g 4.25 0.08g 4.65 0.14g 4.49 0.00 0.00g ②4次元(異なる調味料を除く) 調味料ごとの最大値で正規化 野菜炒め 塩 胡椒 醤油 油 協力者A 0.18g 0.60 0.17g 0.17 0.17g 9.25 0.14g 4.49
協力者ごとの適合率・再現率 6次元 野菜炒め 適 再 炒飯 適 4次元 再 野菜炒め 適 再 炒飯 適 再 協A 0.25 0.75 0.00 0.00 協A 0.17 0.25 0.00 0.00 協B 0.00 0.00 0.00 0.00 協B 0.00 0.00 0.00 0.00 協C 0.00 0.00 0.00 0.00 協C 0.43 0.75 0.00 0.00 協D 0.50 0.00 0.57 1.00 協D 0.40 0.50 0.31 1.00 協E 1.00 0.25 1.00 0.50 協E 1.00 0.25 0.67 0.50 協F 0.27 0.75 0.00 0.00 協F 0.60 1.00 0.50 0.25 協G 0.00 0.00 0.22 1.00 協G 1.00 0.25 0.57 1.00
調味料使用量(全体結果) 学習データ 野菜炒め 炒飯 6次元 25.00% 35.71% 4次元 39.29% 39.29% • ランダムで判定した場合の確率 1/7=14% • 学習データは少なかったがランダムの確率を 超える • 学習データを増やすことで精度が向上すると 期待
調味料使用量(考察) 学習データ 野菜炒め 炒飯 6次元 25.00% 35.71% 4次元 39.29% 39.29% • 学習と評価の料理が異なっていてもランダム の値を超す 料理に関わらず調味料使用量に 個性が現れる可能性
視線情報 • 録画された映像を元に主観的に分析 • 「炒める」行為中の視線に差が見られた
視線情報(1分間あたりに視線を外した回数) 野菜炒め 炒飯 協力者A 0.93回 1.15回 協力者B 1.45回 1.62回 協力者C 1.79回 2.45回 協力者D 2.54回 2.31回 協力者E 1.08回 2.19回 協力者F 1.27回 1.01回 協力者G 1.40回 1.50回
視線情報(映像) 視線を外す回数の少ない協力者A
視線情報(映像) 視線を外す回数の多い協力者D
視線情報(考察) • 視線を外す人 • 準備している食材と調味料に視線を向け, 次の工程を意識 • 視線を外さない人 • 炒めている食材を注視し,食材の様子を確認 「炒める」行為中以外に差は見られなかった • 課題 • 複数料理における視線分析 • 視線の移動量などからの定量的分析
まとめ • 調理行為における個性及び自分らしさの分析 • 調理実験を行い、その際の調味料使用量、 主観的映像と視線情報、客観的映像を取得 • 調味料使用量と「炒める」行為における視線 に個性が現れる傾向を確認 [今後の展開] • 協力者の人数と実験回数を増やす • 他の料理についても実験を行う • 具体的な応用について検討