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October 27, 26
スライド概要
令和8年8月5日の中医協総会(第654回)の「医薬品の新規薬価収載等」を図解します。新薬10成分13品目の算定方式と加算、マルシロン配合錠の20日処方案、ヌーカラ・ヒフデュラ・デュピクセントの11月1日の薬価引下げ(約3.7〜15%)を整理しました。
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【中医協第654回】8月新薬13品目の薬価と算定のポイント
https://www.daitoku0110.news/p/chuikyo-654-new-drug-prices
病院事務長。急性期から回復期まで多岐にわたる医療機関で勤務。 医事、介護事務、経理、財務、税務、監査、総務、設備、情報システム、地域連携、法人業務まで、幅広い部門で自ら実務を経験し全体を統括。福祉業界の知見やイベント開催経験に加え、課題解決のためにAIエージェントを作成し、法人を支援した実績も多数有する。 【公開資料】主に以下の2テーマでスライド・動画を提供。 1. 令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈など)や施設基準、医療DXの解説 2. AIエージェント(miiboなど)の構築・活用
【中医協速報】8月新薬収載と11月薬価引き下げの全貌 医療機関・薬局が備えるべき「3つの実務インパクト」と政策背景の完全解剖 令和8年8月5日 中央社会保険医療協議会(第654回)総会 決定事項
8月13日施行 1. 新薬13品目の薬価収載 新薬10成分13品目が薬価基準へ収載。 革新的な希少疾病薬への高い加算と、小児適応への評価が特徴。 即時適用 2. マルシロン配合錠の「処方日数例外」 新薬の14日処方制限の例外として、月経困難症治療薬「マルシロン配合錠」の1回処方上限を20日とする特例措置。 11月1日施行 3. ブロックバスター3剤の薬価引き下げ NDBデータに基づき、ヌーカラ、ヒフデュラ、デュピクセントの薬価を期中引下げ(約3.7%~15.0%)。
8月13日収載:新薬10成分13品目の全体像と市場インパクト 13品目 内用薬 7成分10品目 注射薬 2成分2品目 外用薬 1成分1品目 最大のピーク時販売予測 サークリサ皮下注1400mg(多発性骨髄腫) 224億円(ピーク時10年度) 比較薬の1日薬価計算において、特定使用成績調査から算出した平均体重56.80kgを用いる判断が下された。 費用対効果評価の対象 サークリサ皮下注(H1)、 サークリサ皮下注(H1)、マルシロン配合錠(H2) 収載後の費用対効果の分析結果により、将来的な薬価見直しの可能性あり。
イノベーションへの報酬:新作用機序(新規MOA)への高い評価 ウェイリズ錠400mg 持続性及び慢性免疫性血小板減少症 初のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬 有用性加算(I) +35% 市場性加算I +10% ジョエンジャ錠 活性化PI3Kδ症候群(APDS) APDSに対する初の治療薬 有用性加算(I) +40%
原価計算方式のパラドックス:「加算係数0」による上乗せ無効化 基本薬価(原価) + 加算額(有用性+40%等) × 加算係数0(ゼロ判定) = 最終薬価(加算上乗せなし)(上乗せ分が反映されない) 対象薬剤 ジョエンジャ錠(有用性40%、小児10%、市場性10% ⇒ 全て上乗せゼロ) キネレット皮下注(市場性10%、小児5% ⇒ 全て上乗せゼロ) 高い加算評価(有用性・小児等)を獲得しても、算定方式が「原価計算方式」で加算係数が0と判定された場合、実際の薬価には1円も反映されない。
小児医療へのインセンティブ:5成分が小児加算を獲得 規格間調整のみの算定における特例(小児向け新規格) メカニ説明 既収載品と同成分で、小児用の新用量・剤形を追加。 ジャクスタピッドカプセル 小児用2mg +5% サデルガカプセル25mg +5% ゾコーバ錠25mg +5% 新たな臨床試験による検証(小児適応の拡大) メカニ説明 国際共同試験の実施や、低年齢層への適応拡大を評価。 ジョエンジャ錠(日本人小児を含む第III相試験) +10% キネレット皮下注(2歳未満への使用評価) +5% ※両薬剤は加算係数0のため実質的な上乗せなし
処方制限の特例:マルシロン配合錠に認められた「20日ルール」 Rule vs. Exception 原則(14日ルール) 新薬は収載翌月から1年間、原則「1回14日分」が処方上限。(安全性担保のため) 中医協の個別了承に基づく特例緩和 例外(20日処方) 対象:月経困難症治療薬「マルシロン配合錠」(算定薬価:276.90円)に対し、14日ではなく20日の処方上限が示された。
なぜ「20日」なのか?:用法・用量と包装規格の完全な一致 The Dosing & Packaging Blueprint 用法(連続投与サイクル) 24日~最大80日の連続服用 4日間の休薬 28日周期よりも長期間連続投与する方が、疼痛日数を減少させるとの報告に基づく。 + 包装(最小交付単位) 最小単位が20錠入りのPTPシート1枚。 24日以上の連続投与が必要 + 最小単位が20錠シート = 処方上限を「20日(1シート)」とする合理性。 ※国内第III相試験でも同用法での安全性が確認済み
処方時の要注意ポイント:既存LEP配合剤との運用比較 Diagnostic Matrix 比較項目 既存のLEP配合剤 新薬 対象薬剤 ルナベル、ヤーズ、ジェミーナ、アリッサ マルシロン配合錠 基本投与サイクル 28日を1周期 24日~80日連続投与+4日休薬 新薬収載時の処方上限 30日処方 20日処方 EMRアラート設定の推奨:同じ月経困難症治療薬のLEP配合剤であっても、マルシロンのみ新薬期間中の処方日数「20日」となるため、電子カルテ上の上限設定と現場への周知が不可欠。
11月1日適用の期中薬価引き下げ:NDBデータ主導の価格調整 3月 NDBデータ(レセプト情報)の抽出・分析 8月5日 中医協総会にて対象3成分8品目の薬価引き下げを決定 11月1日 新薬価の適用(引下げ実行) 約3か月の猶予期間の設定 医療機関や薬局の在庫管理への影響を最小限に抑えるための措置。11月1日を境に請求価格が変わるため、採用薬リストと医事システムの早急なアップデートが必要。
引下げのトリガー:効能追加に伴う「2つの再算定ルール」 市場拡大再算定(ヌーカラ、ヒフデュラ) 新たな効能追加(副鼻腔炎、多発根神経炎など) AND 年間販売額350億円超 AND 基準年間販売額の2倍以上 ⇒ 想定を大きく上回る売上拡大による価格調整 持続可能性特例価格調整(デュピクセント) 新たな効能追加(慢性閉塞性肺疾患 / COPD) AND 年間販売額1,500億円超 AND 基準年間販売額の1.3倍以上 ⇒ 巨額の販売規模に達した医薬品に対する医療保険財政保護のための特例
財務インパクト診断:3剤の改定薬価と引下げ率 薬剤名 現行薬価 改定薬価 引下げ率 ヌーカラ皮下注100mg 159,891円 143,766円 約10.1%減 ヒフデュラ配合皮下注 634,797円 539,577円 約15.0%減 デュピクセント皮下注300mg 53,493円 51,515円 約3.7%減 緩和要因(デュピクセント) 巨額売上で持続可能性特例の対象となるも、「希少疾病(10%)」および「小児適応(5%)」の効能追加に係る補正加算が相殺材料として適用され、引下げ率が約3.7%に留まった。
政策の全体像:イノベーションの推進と制度の持続可能性の両立 価値への投資(Accelerating Access) 新規MOAへの手厚い有用性加算(BTK、PI3Kδ阻害薬) 小児医療拡充に対する明確なインセンティブ 財政の防衛(Defending the Budget) 原価計算方式における「加算係数0」による厳格なコスト統制 NDBデータを活用した、巨額売上ブロックバスターの迅速な期中引下げ 令和8年8月5日の中医協決定は、「希少・小児領域の開拓」に報いる一方で、成功した薬剤の「想定外の売上拡大」からは迅速に利益を回収する、メリハリの効いたハイブリッド政策である。
現場が直ちに実行すべき3つのアクション Task 1: システムマスターの更新(8/13対応) 8月13日付の新薬13品目の医事・電子カルテシステムへのマスタ登録。(ジョエンジャ等の高額薬剤の算定漏れ防止) Task 2: EMRアラートの個別設定(即時対応) 「マルシロン配合錠」に対する「1回20日分」上限のアラート設定。(既存のLEP配合剤[30日]との混同による処方・調剤過誤の防止) Task 3: 在庫評価と請求システムの切り替え(11/1対応) ヌーカラ、ヒフデュラ、デュピクセントの3剤における、11月1日を跨ぐ在庫管理と新薬価での請求切り替え準備。
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第654回) 資料:総-2-1、総-2-2、総-2-3 開催日:令和8年8月5日 本資料は、中医協総会にて示された「案」および「収載予定」の資料に基づき、実務上のインパクトを整理・要約したものです。実際の運用・算定に際しては、必ず後日発出される正式な議事録および厚生労働省の告示をご確認ください。