システマティックレビューとメタアナリシス:キーノートレクチャー資料 (4/5)

214 Views

September 06, 24

スライド概要

日本体育・スポーツ・健康学会第74回大会の測定評価部会キーノートレクチャー(2024年8月29日)の発表資料を一部改変しました。

profile-image

西の方の研究者です。

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

(ダウンロード不可)

関連スライド

各ページのテキスト
1.

日本体育・スポーツ・健康学会第74回大会 測定評価/キーノートレクチャー 体育・スポーツ・ 健康科学分野における システマティックレビュー/ メタアナリシス (4) 九州大学大学院医学研究院 附属総合コホートセンター 本田貴紀

2.

メタアナリシス: 概要 ● システマティックレビュー(系統的レビュー) 「明らかにしたいリサーチクエスチョンや課題について、あらかじめ決めた ルールに従い文献を検索して系統的に抽出し、1つ1つの文献についてその 正確性を評価し、総合的にそのリサーチクエスチョンに対する現時点におけ る結論を示すこと」 ● メタアナリシス(メタ分析・メタ解析) 「システマティックレビューに基づき、これまでの研究結果を統合すること。 したがって、システマティックレビューの方法と、既存の研究成果を統計的 に統合する手法を理解する必要がある。」 藤原武男、『メタアナリシス』 疫学の事典 p.375

3.

メタアナリシス: 概要 ● 統合推定: 重み付き平均

4.

メタアナリシス: 概要 ● 非ランダム化研究(観察研究)では統合可能性を十分に考慮すべき。 ✓ システマティックレビューの「バイアスリスクの評価」 ✓ (統計的)異質性の検討 ● 統合しない選択肢も視野にいれる。

5.

メタアナリシス: 効果指標 ● 個別研究のアウトカムが連続量の場合 平均値 標準偏差 サンプルサイズ 曝露群 m1i s1i n1i 非曝露群 m2i s2i n2i 平均差 M𝐷𝑖 = 𝑚𝑖 − 𝑚2𝑖 標準化平均差 ⅆ𝑖 = 𝑚1𝑖 −𝑚2𝑖 𝑚1𝑖 −𝑚2𝑖 , 𝑔𝑖 = 𝑠𝑖 𝑆𝑖 Cohenのd 1− Hedgesのg 3 𝑚1𝑖 −𝑚2𝑖 , Δ𝑖 = 4𝑁𝑖 −9 𝑠2𝑖 GlassのΔ

6.

メタアナリシス: 効果指標 ● 個別研究のアウトカムが2値変数の場合 イベントあり イベントなし サンプルサイズ 曝露群 ai bi n1i 非曝露群 ci di n2i リスク比 𝑅𝑅𝑖 = 𝑎𝑖 Τ𝑛1𝑖 𝑐𝑖 Τ𝑛2𝑖 オッズ比 𝑂𝑅𝑖 = 𝑎𝑖 𝑑𝑖 𝑏𝑖 𝑐𝑖 リスク差 𝑅𝐷 = 比の指標は対数スケールで線形であるため、メタアナリシスでは対数RRや対数ORを用いる 𝑎𝑖 𝑐 − 𝑖 𝑛1𝑖 𝑛2𝑖

7.

メタアナリシス: 原理 ● シンプルなメタアナリシス 逆分散法による固定効果メタアナリシス (対数オッズ比、対数リスク比、対数ハザード比、標準化平均差など幅広く適用できる) 各研究の効果要約値を 𝜃መ𝑖 とすると、 統合効果量 𝜃መ𝐼𝑉 = ただし 𝑤𝑖 = ෡𝑖 ෌ 𝑤𝑖 𝜃 ෌𝑤𝑖 1 ෡𝑖 2 𝑆𝐸 𝜃 , 標準誤差 S𝐸 𝜃መ𝐼𝑉 = :研究i の分散の逆数 1 ෌𝑤𝑖

8.

メタアナリシス: 原理 ● 結果の提示 フォレストプロット 個々の研究の推定値 ■: サンプルサイズ -: 95%信頼区間の範囲 統合推定値 ◇: 点推定値と95%信頼区間 Colditz et al JAMA 1994; https://www.metafor-project.org/doku.php/tips:weights_in_rma.mv_models

9.

メタアナリシス: 原理 ● 結果の提示 フォレストプロット 比の指標は、対数スケールで線形となるため、 1.0を中心に効果量の強さが等距離になるよう 対数軸を用いるのが望ましい。 Colditz et al JAMA 1994; https://www.metafor-project.org/doku.php/tips:weights_in_rma.mv_models

10.

メタアナリシス: 原理 ● どの結果を統合するのか? ✓ 文献ごとに調整因子が異なる ✓ 文献内で複数の解析モデルがあり、調整因子がモデルごとに異なる。 Hemingwayらのフォレストプロット: 解析に含まれた13件の研究の推定値は、 年齢、性別、喫煙、糖尿病、肥満、脂質に 加えて、最大14種類の変数で調整された。 重要な調整因子のセットを事前に決めておく (ROBINS-Eでの推奨) Hemingway et al. Plos Med 2010

11.

メタアナリシス: 原理 ● 理想の研究統合 研究1 PICO(TS) = 研究2 PICO(TS) = 研究3 PICO(TS) = 研究4 PICO(TS) ● 現実の研究統合 研究1 ≒ 研究2 ≒ 研究3 ≒ 研究4 PICO(TS) PICO(TS) PICO(TS) PICO(TS) 60-90歳 男性30% 40-80歳 男性60% 55歳以上 男性70% 35歳以上 男性40% 疾病無 疾病無 高血圧者 軽度高血圧者

12.

メタアナリシス: 原理 ● 固定効果とランダム効果 固定効果: 真の効果は単一の値と考える 各研究の効果量 = 共通効果 + 誤差 ランダム効果: 真の効果そのものにばらつきがあると考える 各研究の効果量 = (平均的効果+ばらつき) + 誤差 Effect ~ N(μ, τ2) 正規分布を仮定

13.

メタアナリシス: 原理 ● DerSimonian-Laird法のランダム効果分析 ′ ෡ ෌ 𝑤 𝑖 𝜃𝑖 መ 統合効果量 𝜃መ𝐷𝐿 = = ′ , 標準誤差 S𝐸 𝜃𝐷𝐿 ෌𝑤 𝑖 ただし 𝑤′𝑖 = 1 ෌𝑤′𝑖 1 ෡𝑖 𝑆𝐸 𝜃 2 + 𝜏ො 2 試験間分散 𝜏Ƹ 2 >0ならば :重みは小さくなり、互いに値が近くなる。 (規模の大きい研究と小さい研究の重みが近づく) :統合効果量の標準誤差が広がる

14.

メタアナリシス: 原理 Colditz et al JAMA 1994; https://www.metafor-project.org/doku.php/tips:weights_in_rma.mv_models

15.

メタアナリシス: 原理 ● 個人的なイメージ ほぼ同質 異質だが統合可能 固定効果分析 ランダム効果分析 異質で統合困難 異質性の原因探索 ・サブグループ解析 ・メタ回帰

16.

ご質問・ご感想・共同研究 etc. E-mail: [email protected] Twitter(X): @pon144 (仮)保健・医療のためのシステマティックレビューとメタアナリシス 2025年初めに大修館書店さまより刊行予定