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1.

入試問題解説 第 11 回:積 の 極 限 を 積 分 へ 2001 年 筑 波 大 理 系 前 期

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入試問題解説 問題 (1) x > 0 に対して,次の不等式を示せ。 x¡ x2 < log(1 + x) < x 2 (2) f(x) を 0 ≦ x ≦ 1 で連続で,f(x) ≧ 0 を満たす関数とする。 1 1 2 n 1 1 an = #1 + f # ;; #1 + f # ;; Ý #1 + f # ;; ; n n n n n n Z1 I= f(x) dx 0 とおくとき, lim an = eI であることを示せ。 n!1 (2001 筑波大理系前期) ■ 本問の学習テーマ・目的 関数 f の式は与えられていません。それでも,f が連続で非負であることから,区分求 積法と最大値による評価を組み合わせれば極限を決められます。結論の eI から log an を考え,(1) を用いて区分求積の和との差を押さえる流れを身につけましょう。 指針 / アプローチ ▼ (1) を差の評価として読む 0 ≦ x ¡ log(1 + x) ≦ x2 ▼ an の対数を取る と読 2 み替え,log(1 + x) を x と比べ たときの差を押さえます。 ▼ 誤差を和全体で評価する I 右辺が e なので,まず log an ! I を示します。積は対数を取るこ とで和に変わります。 f の最大値を M とし,2 次の項 を n 個加えても 0 に近づくこと を示します。 解答 (1) x ≧ 0 に対して p(x) = x ¡ log(1 + x),q(x) = log(1 + x) ¡ x + (*1) x2 とおく。 2 (*1) 示したい二つの不 p(0) = q(0) = 0 であり,x > 0 のとき p0 (x) = x > 0; 1+x q0 (x) = 等式を,それぞれ「差 が正である」という形 に直しています。 x2 >0 1+x である。よって,p; q は x ≧ 0 で増加し,x > 0 のとき p(x) > p(0) = 0,q(x) > q(0) = 0 である。したがって,x > 0 に対して x¡ x2 < log(1 + x) < x 2 が成り立つ。また,x = 0 では両側で等号が成り立つので,x ≧ 0 に対して x¡ x2 ≦ log(1 + x) ≦ x 2 と書ける。 ÝÝ ① (証明終わり) --- 1 --- © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止

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入試問題解説 (2) n 1 k 1 P k f # ; とおき,Sn = f # ; とする。uk ≧ 0 で n n n k=1 n n u2k P (*2) あるから各因子は正であり,log an = log(1 + uk ) と書ける。①より uk ¡ ≦ 2 k=1 log(1 + uk ) ≦ uk であるから,これを k = 1; 2; : : : ; n について加えると 1 ≦ k ≦ n に対して uk = Sn ¡ 2 n 1 P k # ; f ≦ log an ≦ Sn n 2n 2 k=1 なので,指数を外して I と比較できる形にし ます。 ÝÝ ② となる。f は 0 ≦ x ≦ 1 で連続であるから最大値 M をもち,0 ≦ f(x) ≦ M である。(*3) n P (*2) 結論の右辺が eI 2 k よって f # ; ≦ nM2 であり,②から n k=1 (*3) k や n によらな い共通の上限を置くた めに,閉区間上の連続 性を使っています。 M2 ≦ log an ≦ Sn ÝÝ ③ 2n Z1 M2 (*4) を満たす。 ③において,区分求積法により Sn ! f(x) dx = I であり, !0で 2n 0 あるから,両端はいずれも I に近づく。したがって,はさみうちの原理により log an ! I と Sn ¡ なる。ゆえに lim an = lim e n!1 log an n!1 =e 答案記載上の注意点 本問では, 「log(1 + u) は u に近い」と述べるだけでは論証になりません。(1) から得られる 不等式を用い,log an を区分求積の和ではさむところまで書きます。 ▼ ポイント 1:積を対数によって和に直す k 1 f # ; ≧ 1 であるから,an > 0 であり,log an を考えられます。そのうえ n n で積を和に直し,log an ! I を示す方針を明確にします。 各因子は 1 + ▼ ポイント 2:はさみうちの両端を I に近づける n P k=1 f# 2 M2 k ; ≦ nM2 と評価します。そのうえで Sn ¡ ≦ n 2n log an ≦ Sn とまとめれば,両端が I に近づくことが明確になります。 解説 1. (1) の左側は何のためにあるのか (1) を移項すると,x ≧ 0 に対して 0 ≦ x ¡ log(1 + x) ≦ --- 2 --- x2 2 M2 以下であり,n 2n 2 項分の差の合計も M2 以下です。 2n I (証明終わり) 連続性から最大値 M を置き, (*4) 1 項ごとの差は ÝÝ ④ © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止

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入試問題解説 となります。右側の不等式 log(1 + x) ≦ x だけを使うと,(2) では log an ≦ Sn までしか 分かりません。これでは log an が Sn からどれだけ離れているかを判断できません。左側の x2 x2 ≦ log(1 + x) があることで,その差を 以下に押さえられます。つまり,(1) の 2 2 2 次の項は飾りではなく,(2) で誤差を処理するための項です。 x¡ 2. eI から方針を逆算する 目標は an ! eI ですが,積 an と積分 I を直接比べるのは困難です。そこで,指数 関数を外して log an ! I を目標にします。対数を取ると積が和に変わり,log an = n k k 1 1 P f # ;; となります。一方,I に近づく和は Sn = f # ; です。した n n n n k=1 k=1 がって,この二つの和の差が 0 に近づくことを示せばよいと分かります。結論の形,対数,区 n P log #1 + 分求積法,(1) の不等式がこの順に結びついています。 3. 非負性と連続性の役割を分けて考える f(x) ≧ 0 は,uk ≧ 0 として ① を適用するために使います。f は 0 をとりうるので,uk = 0 の場合も含めるため,① は x ≧ 0 の形で用いています。また,各因子が正となるので an の 対数を取れます。連続性は別の二つの場面で使います。一つは Sn ! I を区分求積法で示す場 面,もう一つは f の値を M 以下に一括して押さえる場面です。関数 f の式が分からなくて も,問題文の条件から得られるこれらの性質だけで証明が進みます。 4. 1 項ではなく,n 項分を見積もる M2 M なので,④から 1 項ごとの差は 以下です。しかし,(2) で扱うのは n 項の和 n 2n 2 です。1=n は 0 に近づいても,それを n 個加えると 1 になるため, 「各項の差が 0 に近づく」 M2 だけでは不十分です。本問では,n 項分を加えた差も 以下となるため,初めて全体の差 2n が 0 に近づくといえます。1 次の項は区分求積として残り,2 次の項は和を取っても消えると uk ≦ いう違いを,不等式で確かめているわけです。 5. 本問の結論を別の積に使う 以下では,積の記号 Y(*5) (*5) n Y bk = b1 b2 Ýbn を を用います。本問の結論は Z1 n Y f(x) dx k 1 #1 + f # ;; = e 0 lim n!1 k=1 n n k=1 表します。 ÝÝ ⑤ と書けます。ここで必要なのは,f が 0 ≦ x ≦ 1 で連続かつ非負であることです。f が多項 式である必要はなく,対数を含む関数でも条件を満たせば同じ結果を使えます。ただし,実際 の問題では積全体が最初から ⑤ の形になっているとは限りません。直接処理できる部分を先 に分け,残った部分から 1 k と を見つける必要があります。 n n --- 3 --- © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止

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入試問題解説 補充問題 次の極限を求めよ。 n Y n+k+1 1 2n S1 + log k n!1 k=1 n n+k n+k lim 指針 / アプローチ ▼ 積を二つに分ける ▼ 残りを本問の形に直す n+k+1 の積は隣り合う分母 n+k 2n = log log n+k と分子が消えます。まず,正確に 計算できる部分を処理します。 2 ▼ 本問の仮定を確かめる と変 k 1+ n 形し,対応する関数 f を定めま f が 0 ≦ x ≦ 1 で連続かつ非負 であることを示して ⑤ を使い,二 つの積の極限を掛け合わせます。 す。 解答 (*6) 一つ目は正確に約 求める積を An とする。積を二つに分けると (*6) 分でき,二つ目には本 問の結論を適用でき ます。 n n Y Y 1 2n n+k+1 <$ k< S1 + log An = $ n n + k n +k k=1 k=1 である。第 1 の積は n Y n+k+1 n+2 n+3 2n + 1 2n + 1 = ¢ Ý = ¡! 2 n + 1 n + 2 2n n+1 n + k k=1 ÝÝ ⑥ 2 2 とおく。1 ≦ ≦ 2 より f(x) ≧ 0 で 1+x 1+x k 2n = f # ; であるから,⑤より第 2 の積は あり,f は連続である。(*7) また,log n n+k となる。次に,0 ≦ x ≦ 1 で f(x) = log Z1 e 0 log 2 dx 1+x (*7) ここでは関数 f を自分で定めているた め,連続性と非負性も 解答中で示します。 に近づく。ここで Z1 0 log 1 2 dx = log 2 ¡ [(1 + x) log(1 + x) ¡ (1 + x)]0 = 1 ¡ log 2 1+x であるから,第 2 の積の極限は e1¡log 2 = e である。(*8) 二つの積がともに収束するので,⑥ 2 と合わせて lim An = 2 ¢ n!1 e =e 2 答案記載上の注意点 補充問題では,本問の結論を使う部分と,それ以外の計算を分けて書きます。対応する関数を 定めたら,その連続性と非負性も答案に明記します。 ▼ ポイント 1:二つの積への分解を明記する --- 4 --- © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止 (*8) elog 2 = 2 を用い て指数を整理し,第 1 の積の極限と合わせ ます。

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入試問題解説 各 k に対する二つの因子を別々に処理するため,最初に積全体を二つの積へ分けます。第 1 2n + 1 と正確に計算します。 n+1 の積は途中の因子が消える様子まで書き, ▼ ポイント 2:本問の仮定まで示す 2 と置いたら,0 ≦ x ≦ 1 における連続性と非負性まで示します。特に, 1+x 2 1 ≦ 1 + x ≦ 2 から ≧ 1 となるため,f(x) ≧ 0 です。 1+x f(x) = log ▼ ポイント 3:指数を最後まで整理する e1¡log 2 のまま止めず,e1¡log 2 = e e = と整理します。第 1 の積の極限 2 と掛け合わ 2 elog 2 せ,答を e までまとめます。 補充問題の解説 1. 一つの積に二つの処理が含まれている n+k+1 は,k を一つ進めると分母と次の分子が一致するため,積を展開すれ n+k 1 k ば正確に約分できます。第 2 の因子は 1 + f # ; の形に直せるため,本問の結論を使いま n n 第 1 の因子 す。積全体を無理に一つの型へ押し込むのではなく,正確に処理できる部分と本問の結論を使 う部分を切り分けることが,この補充問題の一手です。 2. 対数の中の 2 には役割がある 2 ≧ 0 となります。したがって,対数の中の 1+x 2 は,本問の非負性の条件を満たすために働いています。また,この関数の積分は 1 ¡ log 2 0 ≦ x ≦ 1 では 1 ≦ 1 + x ≦ 2 なので,log なので,第 2 の積の極限は e1¡log 2 = e=2 です。これに第 1 の積の極限 2 を掛けると,答は e になります。 3. 正確な計算を優先し,本問を検算にも使う 第 1 の因子は n+k+1 1 = 1+ n n+k Z1 1 適用しても,極限は e 0 1 + x dx 1 k 1+ n とも書けるため,f(x) = 1 として本問を 1+x = elog 2 = 2 と求められます。ただし,この部分は積を展 開すれば有限の n の段階で正確に計算できるため,本解では約分を優先しました。本問の結論 に帰着できるかを見ることと,より直接的な処理を選ぶことは別です。両方の見方が一致する ことで,計算の確認にもなります。 --- 5 --- © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止

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入試問題解説 ■ 復習のポイント 本問と補充問題では,次の点をまとめて確認しましょう。 ★★★★★ 対数で積を和に変える:eI から log an ! I を目標に定める ★★★★★ 不等式を差の評価として読む:0 ≦ x ¡ log(1 + x) ≦ x2 を使う 2 ★★★★★ 誤差を和全体で押さえる:1 項の評価で止めず,n 項分を加えた差を評価 する ★★★★☆ 条件の役割を分ける:非負性は対数と不等式,連続性は区分求積と最大値 に使う ★★★★☆ 本問の形を見つける: 1 k と を取り出し,対応する関数の連続性と非 n n 負性まで示す ★★★☆☆ 異なる処理を切り分ける:正確に計算できる積と,本問の結論を使う積に 分ける ★★★☆☆ 最後まで式を整理する:指数を簡単にし,二つの極限を掛け合わせて答を まとめる --- 6 --- © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止