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December 05, 24

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株式会社ビッグツリーテクノロジー&コンサルティング リサーチセンター

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自律的な量子誤り訂正符号 2024年11月29日 株式会社ビッグツリーテクノロジー&コンサルティング 東京オフィス(本社) 〒108-0073 東京都港区三田3-13-16 三田43MTビル12F 札幌オフィス 〒060-0004 北海道札幌市中央区北4条西6-1 毎日札幌会館9F ベトナムオフィス 7th Floor, Mercury Building, No.444 Hoang Hoa Tham Street, Thuy Khue ward, Tay Ho District, Hanoi city シリコンバレーインキュベーションセンター 3350 Scott Blvd. #29 Santa Clara, CA 95054

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量子コンピュータ • 量子力学の原理に基づいて計算を行うコンピュータ – • • 量子重ね合わせ、量子もつれを活用 いくつかの問題を古典コンピュータより高速に解ける – 量子化学計算を高速・正確に行うことで創薬や材料開発に役立てる – RSA暗号を現実的な時間で解けるようになり、既存暗号が危殆化する 現実問題への応用には100万qubit程度必要と見積もられるが、 現在は1000qubit程度(IBM)、エラー率も高い – 今はNISQ(Noisy Intermediate-Scale QC)の時代 – 将来的にFTQC(Fault-Tolerant QC)を目指す 誤り耐性量子コンピュータの早期実現に向けた取り組み | NTT技術ジャーナル Copyright © 2024 BTC Corporation All Rights Reserved. 2

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NISQとFTQC • NISQ • FTQC – 1000qubit程度 – 100万qubit以上 – 計算中にエラーが発生 – 計算中のエラーは量子誤り訂正で回避 – 浅めの量子回路+古典コンピュータで エラーの影響を避けながら計算する – 誤り訂正を行いながら所望の量子回路を実行 誤り訂正 Making Quantum Error Correction practical | Q-CTRL M. Cerezo et al., Nat. Rev. Phys. (2021). – 理論的な優位性の証明なし – 既存アルゴリズムより高速なことが理論的に保障 – 実計算もPoC程度 – 実現までのハードルが高い FTQCの実現やFTQCアルゴリズム開発にシフトし始めている Copyright © 2024 BTC Corporation All Rights Reserved. 3

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量子誤り訂正符号 複数qubitを使って冗長性を持たせることで情報を保護 ② ① ⑤ ①符号化 複数qubitで 1qubitを表現 ②ゲート操作 符号化した状態 に対して演算 ③ ④ ③エラー検出 符号化した状態 を壊さないよう 測定 ④エラー位置推定 測定値からエラー 箇所を推定 で測定 なら3番目が 反転: Copyright © 2024 BTC Corporation All Rights Reserved. ⑤エラー訂正 推定した場所の エラーを訂正 4

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誤り訂正符号の連接 • 複数の符号を組み合わせてより性能の良い符号を構成 • 例: Shor code bit flip code + phase flip code M. Nielsen and I. Chuang, Cambridge University Press (2000 ) • エラーの種類 Bit flip code Phase flip code Shor code ビット反転 ○ × ○ 位相反転 × ○ ○ 閾値定理:物理的なエラー確率が閾値以下なら、連接回数を増やして論理的なエラー確率を 任意に小さくできる Copyright © 2024 BTC Corporation All Rights Reserved. 5

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自律的な量子誤り訂正符号 • 量子誤り訂正は高速・高精度に行われる必要がある – 時間経過につれデコヒーレンスが生じる – 超伝導型だとコヒーレンス時間が100μs,QECの1サイクルが1μs程度 • 適応的な操作を行わずに誤り訂正できないか? →自律的な量子誤り訂正 • 測定の代わりに符号化した状態に落ちていくような散逸を用いる – 散逸の導入のしやすさから光学系の研究が多い Z. Wang et al., Phys. Rev. X (2022). Copyright © 2024 BTC Corporation All Rights Reserved. 6

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本研究の目的 • • 自律的な量子誤り訂正符号での連接は? – qubit系の典型的な符号の自律的バージョンへの拡張は一般論あり – 光学系+qubit系は一例のみ – 自律的な量子誤り訂正全体では連接の一般論はない 一般論の展開に向けて、光学系+qubit系の連接符号の別例を調べる Copyright © 2024 BTC Corporation All Rights Reserved. 7

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自律的な量子誤り訂正符号の記述 • 散逸を含む量子系の時間発展:Lindblad方程式 ゲート操作 散逸 :密度行列(状態ベクトルを一般化したもの) cf.) Schrödinger方程式 • 定常状態: を満たすような状態 ⇔ 十分時間が経った後に実現する状態 – 定常状態がqubit構造を持つなら定常状態を使って量子計算ができる! – エラーが発生しても十分時間が経てば定常状態に緩和 →エラーが自律的に訂正される Copyright © 2024 BTC Corporation All Rights Reserved. 8

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自律的な量子誤り訂正符号の例 • 自律的なbit flip code :符号空間への射影 • photonic cat code :光子を一個消す演算子 としたとき 位相反転 が定常状態 を自律的に訂正 Copyright © 2024 BTC Corporation All Rights Reserved. 9

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自律的な量子誤り訂正符号の連接 • bit flip code + photonic cat code – 内側の各qubitを自律的に訂正する散逸 + 外側の散逸を内側の論理演算で書き換え で書き換え : がcat codeでの に対応 が定常状態→符号化はできてる Copyright © 2024 BTC Corporation All Rights Reserved. 10

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誤り耐性の確認 • • ビット反転 – 解析的に解くのは厳しそう – 数値的に解くにも、 のせいで計算コストが高い shifted Fock-basis法を用いてqubit系の符号に変換 ( – • がある場合の時間発展を解きたい が十分大きいとき) 1000~次元→8次元まで削減 フィデリティ で初期状態と時間発展後の状態の近さを評価 Copyright © 2024 BTC Corporation All Rights Reserved. 11

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数値計算結果 黄線:連接なしのphotonic cat code + ビット反転 連接なし:ビット反転により初期状態が破壊 連接あり:フィデリティが下げ止まり →ビット反転が自律的に訂正 Copyright © 2024 BTC Corporation All Rights Reserved. 12

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まとめ • 先行研究とは別の連接した自律的な量子誤り訂正符号を構成した • 連接により誤り耐性が向上したことを確認した 展望 • 一般論への拡張 – 一般的な連接方法 – 閾値定理の拡張 • 連接した場合のゲート操作方法 • 実際の物理系に即した誤り耐性の評価 Copyright © 2024 BTC Corporation All Rights Reserved. 13