救急災害診療に役立つ暗記メモ集

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April 14, 23

スライド概要

研修医、専攻医のために、救急外来、ICU、さらには災害医療に役立つチップスをゴロ合わせを中心にまとめました。

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中京病院救急科医師 第2救命救急センター長 災害医療センター長 臓器提供委員会委員長 呼吸サポートチーム(RST)委員長 災害対策委員長 統括DMAT 日本救急医学会指導医および専門医 熱傷専門医

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各ページのテキスト
1.

ゴロ合わせでおぼえる 救 急診療 Tips 2020年4月16日更新

2.

良医の条件 DOCTOR Desired & Decisive:熱意と決断力がある Open-minded:広い心で偏見がない Communicate & Collaborate:他科や他職種との連携・ 協力ができる Treat patient with humanity:患者を温かく扱う Organize:統率力がある Regardful:注意深く対処する

3.

問診態度 「あいうえおかきくけこ」 (あい)あいさつ (あい)アイコンタクト:患者さんの目をちゃんと見る (あい)あいづちをうつ(そうなんですか・なるほど・たしかに→愛 のソ・ナ・タ) (う)うなずき:相手のペースに合わせて (え)笑顔 (お)オウム返し:相手の言ったことを適度に繰り返し、要約する。(話をきいてるアピール) (か)感動や驚きの反応 (きく)聞く(Open-ended question)・聴く(傾聴)・訊く(適切な質問) (け)敬意 (こ)肯定:たとえ医学的に間違っていても、患者さんの発言を最初から否定せず、一度は受け入れる。

4.

問診で聴取すべきこと PDASFROS Past history:既往歴 Drug:薬物治療歴 Allergy:アレルギー歴 Social history:社会歴,生活歴 Family history:家族歴 Review Of System:各臓器に関して系統的に症状を問診

5.

患者への説明の基本 SPIKES Setting:場の設定 Perception:患者がどう感じているかを把握 Invitation:患者が何を知りたいのかを把握 Knowledge:情報・知識の共有(整理と教育) Emotions:患者の感情に応答 Strategy & Summary:計画を立てて完了

6.

身体診察のときは忘れずに WIPER Wash hands:(診察前も後も)手洗い Introduce myself : 自己紹介 Position the patient correctly:患者を正しい体位に Expose the patient as needed:衣服を脱がせる Right side of the bed:患者の右側に立つ

7.

意識のみかた AVPU Alert:清明 Voice:呼びかけに反応 Pain:痛みに反応 Unresponsive:無反応 ※GCSの開眼反応(E)だと,E4:自発開眼, E3:呼びかけにより開眼,E2:痛み刺激で開眼,E1 :開眼なし

8.

GCS_M(運動反応)のおぼえかた 1点:体動なし 4点:逃避する 2点:除脳硬直 3点:除皮質硬直 ヤメテ (>_<) オッケー (^o^) 5点:払いのける 6点:指示に従う

9.

神経学的診察 マスター鍵 Motor:運動 Cerebellar:小脳症状 Atrophy:筋萎縮 Autonomic:自律神経 Sensation:感覚 Gait:歩行 Tonus:筋緊張 Intelligence:知能 Involuntary:不随意運動 Reflex:反射

10.

意識障害の鑑別 AIUEOTIPS Alcohol:アルコール中毒 Tumor:腫瘍 Insulin:低血糖 Trauma:外傷 Uremia:尿毒症 Temperature:低体温,高体温 Electrolyte:電解質異常 Infection:感染(髄膜炎など) Encephalopathy:脳症 Psycho:精神疾患 Endocrinopathy:内分泌疾患 Stroke:脳血管障害 Overdose:過量服薬 Seizure:てんかん O2/CO2:低酸素血症,CO2ナル Shock:ショック コーシス

11.

せん妄の誘発因子 DELIRIUM Drugs :新たに始まった内服薬、その増量は? Electrolyte : 脱水の有無は? Naのバランスは? Lack of drugs : アルコールや眠剤を急に中止しなかったか?鎮痛 薬の不足は? Infection : 特に尿路感染、気道感染、軟部組織感染 Reduced sensory input :眼鏡や補聴器あるか? Intracranial disorders : 脳の感染、出血、脳卒中、腫瘍 Urinary tract and fecal disorders : 尿閉や便秘はないか? Myocardial & Pulmonary:心疾患増悪,肺疾患増悪はないか?

12.

脳梗塞か脳出血か? Siriraj score = 2.5×【意識(清明:0点,混濁:1点,半昏睡or昏睡: 2点)】 +2×【頭痛(なし:0点 ,あり: 1点)】 +2×【嘔吐(なし:0点,あり:1点)】 +0.1×【拡張期血圧(mmHg)】 -3×【動脈硬化因子(糖尿病,冠動脈疾患,ASOのいずれかあれ ば:1点)】 -12 スコア>+1⇒脳出血の疑い↑ スコア<-1⇒脳梗塞の疑い↑ (的中率は約90%)

13.

中枢性めまいの否定 HINTS Head Impulse test:験者の鼻を見つめさせたまま,頭位を20度ほど急 速に回転させる.患者の目線が鼻から外れれば異常で,前庭病変が 示唆される.動画↓ https://www.youtube.com/watch?v=4EBwtckFfTo Nystagmus:方向交代性眼振や垂直性眼振は中枢性が示唆される. Test of Skew:座位にすると,垂直方向に眼位がずれる(Skew deviation). 次の3つを満たせば,中枢性めまいはほぼ否定できる 1.HIT異常(末梢性パターン) 2.方向交代性眼振なし 3.Skew deviationなし Stroke 2009; 40: 3504-10

14.

失神の入院適応 CHESS Congestive heart failure:うっ血性心不全(の既往) Ht<30% ECG:心電図異常 Shortness of breath:息切れ Systolic BP:収縮期血圧90未満 ※失神発作で来院した患者が上記のいずれかを満たす場合,7日以 内に重大なイベントが起こる感度が96%,特異度が61%であると 報告されています。

15.

心房細動患者の脳梗塞発症リスク CHADS2スコア Congestive heart failure:心不全の存在 Hypertension:高血圧の存在 Age:年齢75歳以上 DM:糖尿病の存在 Stroke / TIA:脳血管障害/TIAの既往 ※”S”の項目のみ2点,”S”以外は1点 ※2点以上はハイリスクで抗凝固療法の適応とされる

16.

肺塞栓の除外 BREATHS B: Bloody sputum(喀血、血痰) R: Room air SaO2<95% E: Estrogen or hormone(エストロゲンなどのホルモン剤使用) A: Age>50 T: Thrombosis in the past(静脈血栓塞栓症の既往) H: Heart rate>100/min S: Surgery in past 4 weeks(4週間以内の外科手術) 以上の7項目がすべて否定されれば97%肺塞栓でないと言える

17.

痛みの問診 OPQRST Onset:発症時間 Provoke and Palliation of the symptom:増悪因子と軽快因子 例)労作で誘発される胸痛→狭心症? Quality:痛みの質 例)圧迫される感じの胸痛→狭心症?心筋梗塞? 例)ピリピリする胸痛→帯状疱疹の初期? Radiation and Location:放散の有無と部位 例)心筋梗塞の下顎部痛や心窩部痛 Symptoms :随伴症状 例)心窩部痛に随伴するタール便→上部消化管出血? Time:時間因子 例)突然発症の頭痛→SAH?

18.

鑑別診断の列挙法 VINDICATE!!!+P Vascular :血管系 Trauma:外傷 Infection :感染症 Endocrinopathy:内分泌系 Neoplasm:良性・悪性新生物 !atrogenic:医原性 Degenerative !diopathic:特発性 :変性疾患 Intoxication:薬物・毒物中毒 !nheritance:遺伝性 Congenital:先天性 Psychogenic:精神・心因性 Auto-immune:自己免疫・膠原病

19.

アニオンギャップが上昇する病態 KUSSMAL Ketoacidosis:ケトアシドーシス Uremia:尿毒症 Shock:ショック Salycilate:サリチル酸中毒 Methanol:メタノール中毒 Alcohol:アルコール中毒 Lactate:乳酸アシドーシス

20.

有機リン中毒の症状 SLUDGE BAM Salivation:唾液分泌 Lachrymation:流涙 Urination:尿失禁 Diarrhea:下痢 GI upset:消化管運動亢進 Emesis:嘔吐 Bronchorrhea:気道分泌亢進 Bradycardia:徐脈 Abdominal pain:腹痛 Miosis:縮瞳 Muscle fasciculation:筋攣縮

21.

血中エタノール濃度の推定 ~浸透圧ギャップを用いた計算~ • 浸透圧ギャップ=実測浸透圧-(2Na+BUN/2.8+血糖値/18) • 浸透圧ギャップ×4.6=エタノール濃度(mg/dl) – – – – – – – 30~50mg/dl:爽快期 50~100mg/dl:弱度酩酊(興奮期) 100~150mg/dl:軽度酩酊(1度酩酊) 150~250mg/dl:中等度酩酊(2度酩酊) 250~350mg/dl:強度酩酊(3度酩酊) 350~450mg/dl:泥酔期(4度酩酊) 450~mg/dl:昏睡期 ※一般病院の検査室ではエタノール血中濃度を測定できない場合がほとんどですが, 血漿浸透圧とNa,BUN,血糖から推定できます。 アルコール濃度が思ったよりも低ければ,意識障害の原因として,頭部外傷などアル コール以外のものが隠れているかもしれないので注意が必要です。

22.

アルコール依存症の問診 CAGE Cut down:お酒をやめようと思ったことがありますか? Annoyed:飲酒を批判されて腹が立ったことはありますか? Guilty:飲酒をすることに対して罪悪感はありますか? Eye opener:朝酒や迎え酒をしたことがありますか? ※2項目以上あてはまると,アルコール依存症の疑いが強くなります.

23.

感染巣の検索 ABCDE2 & P3S Abscess:膿瘍(肝,脾,腎) Prostatitis:前立腺炎 Bone:脊椎炎 Pneumonia:肺炎 Cholangitis:胆管炎 Pyelonephritis:腎盂腎炎 Decubitus:褥瘡 Sinusitis:副鼻腔炎 Endocarditis:心内膜炎 Encephalitis:脳炎・髄膜炎

24.

咽頭炎を診る際の4つのポイント Centor criteria 1.発熱(38℃以上) 2.白苔の付着 3.有痛性の前頸部リンパ節腫脹 4.咳がない 3つ以上あてはまれば細菌性咽頭炎(多くはA群β 溶連菌)を疑い、抗菌薬を投与する。 Cooper RJ; Hoffman JR; Bartlett JG; et al. Ann Intern Med 2001 20;134(6):509-17.

25.

マスク換気困難の予測 MOANS Mask seal:ひげ,出血などマスクフィットを妨げるものの存在 Obesity:肥満 Obstruction:上気道閉塞,異物 Age:55歳以上(年齢とともに歯↓,肺疾患↑) No teeth:歯がない Stiffness:気道抵抗↑(喘息,肺気腫,肺水腫など) Snoring:いびきをかく人,SAS(睡眠時無呼吸)

26.

挿管困難の予測 LEMON L:Look externally 「外表面を観察」 髭、義歯、顔面の外傷、肥満など E:Evaluate 3-3-2 rule 「3-3-2の法則による評価」 開口3横指、頤‐舌骨3横指、口腔底‐甲状軟骨が2横指あるか M:Mallampati 「マランパチ分類による評価」 O:Obstruction 「閉塞はあるか?」 炎症、外傷、腫瘍などによる上気道閉塞はあるか? N:Neck mobility 「頚部の可動性は?」

27.

鎮静前の準備 SOAPIER S: Suction 吸引 O: Oxygen 酸素 A: Airway stuff 気道確保器具 P: Pharmacy stuff 薬剤 I: IV line 静脈ライン E: Equipment モニター機器 R: Rescue 急変時物品

28.

肺炎重症度 CURB65 □ Confusion:昏迷 □ Urea:BUN≧21mg/dl □ Respiration:呼吸数≧30/分 □ Blood Pressure:収縮期血圧<90 mmHg or 拡張期血圧<60 mmHg □ 65:年齢≧65 点数 死亡率 0点 1点 2点 3点 4点 5点 0.7% 3% 3% 17% 41% 57% Defining community acquired pneumonia severity on presentation to hospital: an international derivation and validation study. Thorax 2003 58(5): 377-82.

29.

市中肺炎重症度 A-DROP Age:男性≧70歳,女性≧75歳 Dehydration:脱水(BUN≧21mg/dl) Respiration:SpO2<90%(PaO2<60) Orientation:意識障害 Pressure:収縮期血圧≦90mmHg 3/5:重症・・・入院が必要 >4/5:超重症・・・ICU入院が必要 ※ショックになっていれば1項目のみでも超重症と する

30.

院内肺炎重症度 I-ROAD Immunodeficiency:悪性腫瘍など免疫不全 状態 Respiration:SpO2>90%となるのにFiO2> 0.35を要する Orientation:意識障害 Age:男性≧70歳,女性≧75歳 Dehydration:脱水 ➾3/5以上あれば重症(死亡率40%)

31.

壊死性筋膜炎の診断スコア LRINEC score Laboratory Risk Indicator for NECrotizing fasciitis WBC:>25000→ 2点,15000~25000→ 1点 CRP(mg/dl):≧15→ 4点,<15→ 0点 Hb(g/dl):<11→ 2点, 11~13.5→ 1点, >13.5→ 0点 Cre(mg/dl):>1.6→ 2点,≦1.6→ 0点 Na(mEq/l):<135→ 2点,≧135→ 0点 Glucose(mg/dl):≧180→ 1点,<180→ 0点 合計≧6点で壊死性筋膜炎の疑い↑(感度・特異度ともに90%以上) 出典:Crit Care Med 2004 (32); 1535-42.

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小児熱傷患者のTSS簡易診断 P-DRILS Pyrexia:>39℃ Diarrhea:下痢などの消化器症状 Rash:紅斑 Irritability:不機嫌(意識低下含む) Leukopenia:リンパ球低下 Shock:血圧低下などショック徴候 3/6以上でTSSの疑い↑ ブドウ球菌に対する抗菌薬(CEZ or 抗MRSA薬)+毒素抑制 のためのCLDM+免疫グロブリン投与

33.

クリティカルコロナイゼーションと バイオフィルムの診断 NERDS Nonhealing wound:治癒しない創 Exudative wound:滲出液の多い創 Red and bleeding wound:赤く出血しやすい創 Debris in the wound:創内の壊死組織 Smell from the wound:創から悪臭がする これらが当てはまり,表面に白い膜(いわゆるバイオフィルム)が 張っている場合は,膜を物理的に除去し,ハチミツなどのバイオ フィルム抑制薬を外用する。

34.

主なグラム陰性菌 PEK HaM SPACE • Proteus • E. coli • Klebsiella pneumoniae • Haemophilus influenzae • Moraxella catarrhalis • • • • • Serratia Pseudomonas Acinetobacter Citrobacter Enterobacter •尿路感染の三大起炎菌 •だいたいは1st セフェムが効く •上気道炎の起炎菌* •だいたいは2nd セフェムが効く *Haemophilusは小児の髄膜炎でも有名 •医療関連or日和見感染の起炎菌 •PとAは抗緑膿菌薬が必要 •S,C,Eも3rd以上のセフェムじゃな いと効かない

35.

おぼえておきたい耐性グラム陰性菌 ESBL, BLNAR, MBL ESBL: Extended Spectrum of Beta Lactamase – 基質拡張型βラクタマーゼ – 大腸菌をはじめとする"PEK"が獲得する耐性機序 – ペニシリナーゼだけでなくセファロスポリナーゼ活性を有するので,ペニシリン系もセフェム系も効 かない – カルバペネムを使う BLNAR:Beta-Lactamase Negative Ampicillin Resistance – βラクタマーゼを産生しないのに,アンピシリン耐性 – Haemophilus influenzaeの耐性機序 – CTXあるいはCTRXを使う MBL:Metallo Beta-Lactamase – カルバペネムでさえも分解してしまう強力なβラクタマーゼ – キノロンかST合剤を使うが,これらでさえ耐性のこともある

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人工呼吸器早期離脱のための ABCDE bundle Awake:1日1度は鎮静を切り、患者を覚ます Breathing:自発呼吸トライアルを積極的に Coordination:AとBの協調 Choise of sedation:適切な鎮静薬の選択 Delirium monitoring and management:せん妄のモ ニタリング(RASS,CAM-ICU)と管理 Early mobility and exercise:早期リハビリ

37.

人工呼吸管理中の鎮静レベル評価 RASS +4:好戦的,暴力的 +3:非常に興奮,事故抜去 +2:興奮,頻繁な非意図的運動 +1:落ち着きがない,そわそわ 0:覚醒し,落ち着いている -1:傾眠,呼びかけに10秒以上開眼 -2:軽い鎮静,呼びかけに10秒未満開眼 -3:中等度鎮静,アイコンタクトなし -4:深い鎮静,呼びかけに無反応,刺激に反応 -5:昏睡,刺激にも無反応 ※0~-2を目標にする

38.

人工呼吸器のアラーム対応 DOPE Displacement:挿管チューブの位置異常はないか? Obstruction:挿管チューブが閉塞していないか? Pneumothorax:気胸になってないか? Equipment failure:人工呼吸器自体に異常がないか? (特に回路外れがないか?)

39.

抜管前にチェック WEANS NOW Wake up:覚醒している Electrolyte:電解質正常 Acidosis & Alkalosis:重篤なアシドーシスやアルカローシスがない Nutrition:栄養状態が良好である Secretion:気道分泌物が多くない・汚くない Neuromuscular:神経筋機能に問題がない Oxygenation:肺の酸素化能が十分である Work of breath:努力性呼吸がない

40.

腎代替療法の適応 AIUEO Acidosis:pH<7.2または症候性(血圧低下etc.)アシドーシス Intoxication:カフェイン、テオフィリン、サリチル酸などの中毒 Uremia:尿毒症(BUN>100mg/dLは目安となる) Electrolyte:電解質異常(特に高K血症) Overload:溢水

41.

心停止の原因 6H&5T Hypovolemia:循環血液量減少 Toxin:毒物(薬物中毒) Hypoxia:低酸素症 Tamponade:心タンポナーデ Hydrogen ion:アシドーシス Tension pneumothorax:緊張 Hyper-/hypokalemia:高/低カ 性気胸 リウム血症 Thrombosis:血栓症 Hypoglycemia:低血糖 Trauma:外傷 Hypothermia:低体温

42.

心停止の原因 ~6H5Tがおぼえにくい人へ~ Acidosis:アシドーシス Bleeding:出血 Cardiac tamponade:心タンポナーデ Drug:中毒 Embolism:肺塞栓 Freezing:低体温 Gas:低酸素 Hyper/Hypokalemia:高/低カリウム血症 Infarction:心筋梗塞 Jam:緊張性気胸

43.

ショックの分類 Hypo-DOC Hypovolemic shock:循環血液量減少性ショック 出血性ショック,熱傷,膵炎,脱水など Distributive shock:血流分布性ショック 敗血症性ショック,アナフィラキシーショック,神経原性ショック Obstructive shock:閉塞性ショック 緊張性気胸,心タンポナーデ,肺塞栓 Cardiogenic shock:心原性ショック 急性心筋梗塞,心筋炎など

44.

ショックの分類 Hypo-DOC Hypovolemic shock:循環血液量減少性ショック 出血性ショック,熱傷,膵炎,脱水など Distributive shock:血流分布性ショック 敗血症性ショック,アナフィラキシーショック,神経原性ショック Obstructive shock:閉塞性ショック 緊張性気胸,心タンポナーデ,肺塞栓 Cardiogenic shock:心原性ショック 急性心筋梗塞,心筋炎など

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徐脈+ショックで想起すべき病態 SHOCK Spinal:脊髄損傷による神経原性ショック Hypothyroid:甲状腺機能低下 Osborn:J波→低体温症 Cardiogenic:特に下壁梗塞は徐脈+ショックになる K:高カリウム血症

46.

エコーによるショックの迅速な鑑別 RUSH Rapid Ultrasound in SHock • PUMP – – – – – 心臓を見る(長軸,短軸,4チャンバー,剣状突起下) 心臓収縮性,心嚢液の有無,右室拡大の有無を見る 心室壁運動低下→Cardiogenic shock 右室拡大→肺塞栓によるObstructive shock 心嚢液貯留→心タンポナーデによるObstructive shock • TANK – IVCを見る – IVC<2cmで呼吸性変動率>50%→Hypovolemic shockか Distributive shock – IVC>2cmで呼吸性変動率<50%→Cardiogenic shockか Obstructive shock • PIPE – 大血管を見る – 腹部大動脈瘤(AAA),大動脈解離,深部静脈血栓(DVT)を探す

47.

急性虫垂炎診断のためのAlvaradoスコア MANTRELS Migration of pain:痛みの移動(1点) Anorexia:食思不振(1点) Nausea:嘔気 Tenderness in RLQ:右下腹部の圧痛(2点) Rebound pain:反跳痛(1点) Elevated temperature:発熱(1点) Leucocytosis:白血球増多(2点) Shift of WBC to the left:白血球左方移動 1-4点:低リスク(虫垂炎確率30%) 5,6点:中リスク(虫垂炎確率66%) 7-10点:高リスク(虫垂炎確率93%)

48.

急性腹症のCT読影 ABDOMINAL Air:遊離ガス Bowel(=腸管):全結腸と虫垂 Dirty fat:脂肪濃度上昇 Obturator:閉鎖孔ヘルニア Mune(=むね):肺、心臓 Ischemia(=虚血):腸管虚血(腸管絞扼) Nephro:腎・尿管 Artery:大動脈、SMA解離・塞栓 Lady's:婦人科疾患

49.

救急隊からの情報伝達 MIST Mechanism(受傷機転):車vs車の衝突事故です。 Injury site(受傷部位):頭部と胸部を受傷して います。 Sign(バイタルサイン):意識JCS30,橈骨動脈触 知、脈拍120です。 Treatment(処置):全脊柱固定と10ℓリザー バーマスクにて酸素投与を行っています。

50.

医療コミュニケーションツール SBAR Situation(=状況変化):「血圧が下がってきました」 Background(=背景):「血胸に対するドレナージを おこなっていますが、1時間で1500ccの出血があります」 Assessment(=評価):「胸腔内出血によるショック におちいっていると考えます」 Request or Recommendation(=要請or推奨): 「開胸止血をすべきと思います」

51.

病歴聴取項目 AMPLE Allergy:アレルギー歴 Medication:服用中の薬品 Past history & Pregnancy:既往歴と妊娠歴 Last meal:最終食事時刻 Event:受傷機転

52.

外傷初期診療のprimary survey ABCDE Airway:気道 Breathing:呼吸 Circulation:循環 Dysfunction of CNS:中枢神経障害 Exposure & Environment:脱衣と体温管理

53.

Primary surveyにおける循環の評価 SHOCK & FIX-C Skin:皮膚が冷たく湿ってないか? HR:脈が弱くて速くなってないか? Outer bleeding:活動性外出血はないか? CRT:CRTは2秒以下か? Ketsuatsu:血圧は下がってないか? FAST:エコー IV:静脈路確保と輸液反応性 Xp:胸部X線,骨盤X線 Compression:圧迫止血

54.

Primary surveyにおける致死的胸部外傷 TAFな3X Tamponade:心タンポナーデ Airway obstruction:気道閉塞 Flail chest:フレイルチェスト tension pneumothoraX:緊張性気胸 open pneumothoraX:開放性気胸 massive hemothoraX:大量血胸

55.

見逃しに注意を要する胸部外傷 PATBED2X+骨折 Pulmonary contusion:肺挫傷 Aortic injury:大動脈損傷 Tracheal injury:気管/気管支損傷 Blunt cardiac injury:鈍的心損傷 Esophageal injury:食道損傷 Diaphragmatic injury:横隔膜損傷 pneumothoraX:気胸 hemothoraX:血胸

56.

軽症頭部外傷でも頭部CTを撮影すべき場合 MASH-VAC Memory:記憶喪失がある Alcohol:アルコール(or 薬物)を飲んでいる Seizure:けいれんがある Headache:頭痛がある Vomiting:嘔吐がある Age>60:年齢60歳以上 Clavicle:鎖骨より上に創がある 参考文献:Micelle J. H. et al. Indications for computed tomography in patients with minor head injury. N Engl J Med 2000; 343: 100-5.

57.

外傷診療における忘れ物チェック FIXES Finger or tube to every orifice:直腸診はやっ たか?カテーテル(尿道・胃管)を入れ忘れてないか? Iv & Im:抗菌薬や破傷風対策を忘れてないか? Xp:放射線検査にぬかりはないか? ECG:心電図をとり忘れてないか? Splint:シーネ固定すべき部位はないか?

58.

Primary surveyにおける胸部X線読影 CHEST Contusion:広範な肺挫傷 Hemothorax:大量血胸 Extra air:陽圧換気をおこなう場合はわずかな皮下 気腫や気胸などにも注意 rib fractureS:フレイルチェストをきたしうる多発 肋骨骨折 Tubes:チューブ類の位置確認

59.

Secondary surveyにおける胸部X線読影 「気胸縦横骨軟チュー(キキョウタテヨココツナンチュー)」 気管・気管支:偏位などないか? 胸腔・肺実質:肺挫傷などないか? 縦隔:縦隔拡大(8cm以上)はないか? 横隔膜:横隔膜ヘルニアは? Deep sulcus sign? 骨:肋骨,鎖骨,肩甲骨,上腕骨,胸椎の骨折はないか? 軟部:皮下気腫などないか? チューブ:チューブ類は適切に挿入されているか?

60.

四肢外傷のファーストエイド RICE Rest:安静 Icing:冷却 Compression:圧迫 Elevation:挙上

61.

骨盤X線読影 ~10のポイント~ • 全体像(2つ) 1.左右対称性(腰椎棘突起の位置) 2.腸骨の大きさ・高さの対称性 • 前方要素(3つ) 3.恥骨・坐骨骨折 4.閉鎖孔の左右差 5.恥骨結合離開(≧2.5cm) • 後方要素(4つ) 6.L5横突起骨折 7.腸骨骨折 8.仙腸関節離開 9.仙骨骨折(左右仙骨裂孔の比較) • 10.臼蓋骨折

62.

頸椎側面像のみかた 「ABCDを見て3×7=21」 Alignment:4つのカーブが滑らかかどうかをチェッ ク Bone:ひとつずつ骨の輪郭を追う(椎体、棘突起、横 突起、pedicle、lamina) Cartilage(軟骨):椎間板、椎間関節をチェック a) Distance of soft tissue(軟部組織の距離) a) 環椎と歯突起前面間距離(Atlanto-Axial distance):成人≦3mm以下、小児≦5mm以下 b) 後咽頭間隙(retropharyngeal space):C2~4 b) レベルで成人/小児≦7mm以下 c) 後喉頭間隙(retrolaryngeal space):C6レベル で成人≦22mm、小児≦14mm以下 3×7=21(22) とおぼえる (3→7→22:C1→C3→C6) c)

63.

外傷診療における3段階CT読影 第一段階(FACT)~迅速に読む(3分以内)~ ⚫ 頭部:Midline shift⇒緊急開頭術の要否を判断 ⚫ 胸部:①大動脈損傷に伴う縦隔血腫 ②心嚢液貯留 ③広範な肺挫 傷 ④気胸 ⚫ 腹部:腹腔内出血の有無 ⚫ 骨盤・後腹膜:下から上に向かって読む ⚫ 実質臓器損傷:肝・脾・腎・膵臓+腸間膜血腫 第二段階 ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ~適切に見逃さず読む~ 血腫:少量の頭蓋内血腫、頸部血腫、少量血胸、軟部組織血腫 Extravasation:TAEの要否を判断 腹部Free air:消化管穿孔 MPR:頸椎骨折、顔面骨骨折 第三段階 ~念には念を入れて~ ⚫ 放射線診断医への読影依頼

64.

外傷患者の治療方針決定の際に考慮すべき ABCDEFGS Age:年齢 Bleeding:出血部位と数、量、速度 Coagulopathy:凝固障害(頭部外傷に合併しやすい) Drug & past history:抗血小板薬、抗凝固薬、肝硬変 Event:受傷機転 Form:損傷形態(肝損傷なら被膜破綻あるかどうかetc.) GCS:意識レベル、神経学的予後 Shock:ショックの有無、輸液反応性

65.

小児体重とバイタルサイン 簡便記憶法 1歳 3歳 6歳 体重 kg 呼吸数 /分 10 30 15 20 25 20 心拍数 /分 100 90 80 収縮期血圧 mmHg 80 90 100

66.

こどものチューブサイズ ➢挿管チューブサイズ(mm)=4.0+年齢÷4 ↑この数値をAとする ➢気管吸引チューブ(Fr)=A×2 ➢挿管チューブ深さ(cm)=A×3 ➢胸腔ドレーンサイズ(Fr)=A×4

67.

早期死体現象 ◆2時間:下顎硬直,死斑出現 ◆8時間:四肢硬直,死斑固定 ◆12時間:死後硬直ピーク,角膜混濁

68.

感度と特異度 SpPin & SnNOUT(スピンとスナウト) • 特異度(Specificity; Sp)が高い検査が陽性 (Positive)であれば,確定診断(rule IN)に役 立つ • 感度(Sensitivity; Sn)が高い検査が陰性 (Negative)であれば,除外診断(rule OUT) に役立つ

69.

災害時初動の原則 すしあんじょうほうようばしょ <す>(災害モードに)スイッチ・オン <し>指揮命令系統の確立:本部設置、本部長宣言 <あん>安全確保:まず自分→次に現場→最後に生存者 <じょう>情報伝達手段確保:衛星電話、無線など <ほう>報告:状況を伝える <よう>要請:各所に応援を求める <ばしょ>場所の確保:本部、トリアージ、重症度別エリア

70.

災害時診療の原則 CSCATTT Command & Control:指揮命令系統の確立 Safety:安全確保(Self自分→Scene現場→Survivor生存者 の順) Communication:連絡手段・情報収集手段の確保 Assessment:被災状況の把握 Triage:トリアージ Treatment:安定化のための治療・処置 Transport:転送

71.

災害現場状況の伝達のしかた METHANE My call name, major accident:自分の所属・名前を言い、 「大事故です」と伝える Exact location:正確な場所 Type of accident:爆発、テロ、航空機事故など事故の種類 Hazard:危険物(燃料流出、有毒ガス、野次馬など) Access:現場への進入経路 Number of casualties:傷病者数 Emergency services:救急車、消防車などの参集状況

72.

院内被災状況の把握 かんしょくはらいぶ <かん>患者情報:重症度別患者数、人工呼吸器使用患者数、 担送・護送・独歩別患者数など <しょく>職員情報:負傷者数、勤務可能者数など <は>破損状況:倒壊のおそれのある場所が院内にないか? <らい>ライフライン状況:電気,ガス,水道 <ぶ>部門別状況:放射線部,検査部,薬剤部,栄養課など

73.

DMAT活動拠点本部の立ち上げ HeLP SCREAM Hello:病院長,支援DMATへの挨拶 Location:本部,DMAT待機場所の確保 Part:役割分担 Safety:安全確認 Communication:衛星回線,無線など接続 Report:都道府県庁本部への連絡,EMIS入力 Equipment:ホワイトボード,PC,周辺地図など本部器材の準備 Assessment:被災状況の把握 METHANE:ライフライン,道路状況など情報収集

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DMAT活動拠点本部でやること HeLP DMAT Hello:支援DMATの登録 Liaison:消防,自衛隊,都道府県,周辺病院との協力(リエゾン) Plan:作戦(医療資源投入順位,域外搬送,災害拠点など) Direction:支援DMATに派遣先を指示 METHANE:被災状況など情報収集 Allocation:医療資源の再分配 Transceiver:各所との連絡方法確立

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本部活動中に心がけること REMEMBER Report regularly:定期的に連絡する・させる Equipment:資機材で足りないものはないか Medical needs:医療ニーズは満たせているか Effect:活動による効果が得られているか Meeting:ミーテイングによる情報共有がなされているか Balance:支援DMATのバランスは保たれているか Ending:活動終了に向けた長期戦略 Reassess:繰り返し再評価

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本部撤収と引き継ぎ THANK Timely:適切な時期に Hand over:引継ぎ Appoint:次の医療班の選任 Number:必要な医療班の数を伝える Kind of medical needs:どのような医療ニーズが高い かを伝える