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November 02, 19
スライド概要
第6回 関西日曜数学 友の会
https://kansai-sunday-math.connpass.com/event/150313/
回転群のはなしをしました #kanmath06 - usami-k 数学日記
https://usami-k.hatenadiary.jp/entry/2019/11/02/233536
https://usami-k.github.io/
回転群のはなし 宇佐見 公輔 第 6 回 関西日曜数学 友の会 1/17 宇佐見 公輔 回転群のはなし
最近の趣味数学 関西日曜数学 友の会: Generalized Onsager algebras(第 5 回 / 2019 年 8 月) ルート系とディンキン図形(第 4 回 / 2019 年 4 月) 日曜数学会: リー代数の計算の楽しみ(マスパーティ / 2019 年 10 月) 関西すうがく徒のつどい: 行列の指数関数(第 12 回 / 2019 年 10 月) 執筆参加: 数学デイズ大阪編:低次元のリー代数をみる(Kindle 版発売中) 2/17 宇佐見 公輔 回転群のはなし
2 次元回転行列 2 次元平面 R2 を考えます。 ある点を、原点を中心として反時計回りに角度 t だけ回転させる 作用は、次の行列であらわされます。 Definition R(t) := cos t − sin t sin t cos t 3/17 宇佐見 公輔 回転群のはなし
2 次元回転行列の積 Proposition 2 次元回転行列について次が成り立ちます。 R(t1 )R(t2 ) = R(t1 + t2 ) これは計算すれば確認できます。 4/17 宇佐見 公輔 回転群のはなし
2 次元の回転群 R(t1 )R(t2 ) = R(t1 + t2 ) という関係から、 SO(2) := {R(t) | t ∈ R} が可換群であることが分かります。 Proposition 積で閉じている:R(t1 )R(t2 ) ∈ SO(2) 結合法則:R(t1 )(R(t2 )R(t3 )) = (R(t1 )R(t2 ))R(t3 ) 交換法則:R(t1 )R(t2 ) = R(t2 )R(t1 ) 単位元:R(0) は単位元 逆元:R(t) の逆元は R(−t) 5/17 宇佐見 公輔 回転群のはなし
無限小の回転 回転角 t を「無限小」にとることを考えます。つまり、 1 2 1 t + t4 − · · · 2! 4! 1 3 1 sin t = t − t + t 5 − · · · 3! 5! cos t = 1 − のうち、2 次以上の項を無視することを考えます。すると、 1 −t 1 0 0 −1 = +t R(t) = t 1 0 1 1 0 となります。 6/17 宇佐見 公輔 回転群のはなし
無限小回転の生成行列 先ほどの観察から、次の行列が重要そうに見えてきます。 0 −1 J := 1 0 これを使って、R(t) は以下のように書けます。 0 −1 +t + O(t 2 ) R(t) = 0 1 1 0 1 0 = I + tJ + O(t 2 ) 7/17 宇佐見 公輔 回転群のはなし
行列の指数関数 Definition 行列 X の指数関数を次のように定義します。 exp X := ∞ X 1 k 1 1 1 X = I + X + X2 + X3 + · · · + Xk + · · · k! 2! 3! k! k=0 (これについては、第 12 回 関西すうがく徒のつどいで話しました) 8/17 宇佐見 公輔 回転群のはなし
回転行列と指数関数 R(t) = I + tJ + O(t 2 ) と述べましたが、実は指数関数を使って次 のように書けます。 Proposition 回転行列 R(t) は次のように書けます。 R(t) = exp(tJ ) = I + tJ + 1 1 1 (tJ )2 + (tJ )3 + · · · + (tJ )k + · · · 2! 3! k! 9/17 宇佐見 公輔 回転群のはなし
指数関数と三角関数 回転行列は R(t) = (cos t)I + (sin t)J とも書けるので、以下が分 かります。 Proposition 次が成り立ちます。 exp(tJ ) = (cos t)I + (sin t)J 10/17 宇佐見 公輔 回転群のはなし
3 次元の回転 3 次元空間 R3 での回転はもう少し複雑になります。 2 次元の場合は、原点を通る回転軸(回転面に対して垂直な直線) がひとつだけでした。2 次元の回転は回転角という 1 パラメータ であらわせました。 3 次元の場合は、原点を通る回転軸がひとつではありません。回 転軸の向きを決めるためにパラメータを 2 つ使うため、回転角と 合わせて 3 つのパラメータが必要になります。 11/17 宇佐見 公輔 回転群のはなし
3 次元回転行列 Definition 第 1 軸、第 2 軸、第 3 軸のまわりの回転行列 1 0 0 cos t 0 sin t R1 (t) := 0 cos t − sin t R2 (t) := 0 1 0 0 sin t cos t − sin t 0 cos t cos t − sin t 0 R3 (t) := sin t cos t 0 0 0 1 12/17 宇佐見 公輔 回転群のはなし
3 次元の回転の行列表示 3 次元の回転をひとつの行列で具体的に書こうとすると、少しや やこしい式になります。 しかし、3 次元の回転は R1 (t), R2 (t), R3 (t) の積であらわすこと ができます。 そのため、この 3 つの回転行列をおさえることで 3 次元の回転群 の本質を知ることができます。 13/17 宇佐見 公輔 回転群のはなし
再び無限小の回転 回転角 t の「無限小」を考えます(t の 2 次以上を無視) 。 1 −t 0 1 0 0 0 −1 0 R3 (t) = t 1 0 = 0 1 0 + t 1 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0 0 = I + tJ3 (J3 をそのように定義する) 14/17 宇佐見 公輔 回転群のはなし
再び回転行列と指数関数 Proposition 回転行列 R1 (t), R2 (t), R3 (t) は次のように書けます。 R1 (t) = exp(tJ1 ), R2 (t) = exp(tJ2 ), R3 (t) = exp(tJ3 ) ここで 0 0 J1 := 0 0 0 1 0 −1 , 0 0 J2 := 0 −1 0 1 0 0 , 0 0 0 J3 := 1 0 −1 0 0 0 0 0 15/17 宇佐見 公輔 回転群のはなし
3 次元回転の生成行列の関係 Proposition J1 , J2 , J3 の間には次の関係があります。 [J1 , J2 ] = −J3 [J2 , J3 ] = −J1 [J3 , J1 ] = −J2 (ここで [X , Y ] := XY − YX ) 16/17 宇佐見 公輔 回転群のはなし
さらなる話題 回転行列は、簡単な形の行列から指数関数で生成される 生成行列には、交代子積によってリー代数の構造がある そのリー代数を調べることで回転群のことがわかる 17/17 宇佐見 公輔 回転群のはなし