1.2K Views
October 18, 25
スライド概要
2025-10-18 Rails Girls Sapporo 2nd で発表した資料
tomio2480 です
情報技術系の勉強会と コミュニティ文化 技術の学びを軸としたサード・プレイス 25/10/18 #railsgirlssapporo / Shota Nishihara @tomio2480
$ whoami ❖ Shota Nishihara @tomio2480 ❖ 週 3 日 × 5 時間だけリモートで生成 AI と戯れる仕事をしています ✓ ✓ 高校教諭(電)→セキュリティ人材育成→ →開発組織支援+専門学校講師(AI:Python基礎)→開発組織支援(技術広報的な) →生成 AI を利用した関連事業の手伝い 情報処理学会 会誌編集委員ではある https://www.ipsj.or.jp/magazine/magazine.html ❖ 北海道旭川市 で生きのこりをかけている ✓ 旭川 18 年→北見 4 年→富良野 5 年→(東京)小平 2 年半→今:旭川 4 年目 ❖ ゆるい勉強会(旭川),FuraIT(富良野),Co-KoNPIle(小平) に大体いる 2
昨日は富良野で FuraIT(ふらいと) でした ❖ これから話をする勉強会文化の一例 ✓ もくもく会 = みんなそれぞれ作業に取り組む ✓ LT = 5 分(程度)の発表をみんなでやる ✓ 地元の人もいれば遠方からの人もいる ✓ 今回はサイバーセキュリティ,電子工作あたりがテーマ 3
0. “コミュニティ” ってなんですか? 4
志が同じ + 利害が一致 = “コミュニティ” ❖ 集まればコミュニティ...... ではない ✓ 同じ電車に乗った人たちを “コミュニティ” とは呼ばない ❖ 技術系コミュニティは “技術を学ぶ”,“技術が好き” でつながる ✓ 技術を学ばない,技術が好きでない人は,趣旨に合わない ■ 逆に言えば大体みんな技術が好きで知りたくて来てる ❖ 特定の誰か(個人/企業等)に利益を偏らせない ✓ Give and Take の精神をみんなで守ろう 5
1. そもそも “勉強会” は何をするんですか 6
“勉強会” ではこういうことをしている ❖ ❖ ❖ ❖ ❖ ❖ 発表会 もくもく会 読書会・輪読会 動画上映会 ハンズオン カンファレンス などなど...... これらの終了後に懇親会が設けられることもある 現地開催 or オンライン開催 or ハイブリッド(両方) が掛け合わさる 7
発表会 ❖ 発表ネタをみんなで持ち寄って発表し合う ✓ 会によるが,肩肘張らず自由に話せることがほとんど ❖ 短時間( 5 分が多い)の発表形式 = LT(Lightning Talk) ❖ ✓ (以下会場後方のベテラン向け懐かし昔話) ❖ LT 日本国内第一位例は YARPC 19101, 第二例目は北海道(札幌) ✓ 2001年9月22日 の Let’s Linux in Hokkaido 2021,この 6 日後に札幌で Linux Conference 2021 ✓ Let’s Linux in Hokkaido 2021 は今日の会場の前身である「札幌市デジタル創造プラザ」開催 8
発表会 ❖ 発表ネタをみんなで持ち寄って発表し合う ✓ 会によるが,肩肘張らず自由に話せることがほとんど ❖ 短時間( 5 分が多い)の発表形式 = LT(Lightning Talk) ❖ よくある誤解 : 偉い人/すごい人じゃないと話してはならない ✓ そんなことはない (以下会場後方のベテラン向け懐かし昔話) ❖ LT 日本国内第一位例は YARPC 19101, 第二例目は北海道(札幌) ✓ 2001年9月22日 の Let’s Linux in Hokkaido 2021,この 6 日後に札幌で Linux Conference 2021 ✓ Let’s Linux in Hokkaido 2021 は今日の会場の前身である「札幌市デジタル創造プラザ」開催 9
もくもく会 ❖ とりあえず集まって各々 “黙々と” 作業する ✓ といいつつお話 OK のところもあ ❖ 最初に作業の宣言,終わりに成果発表をするのが標準 ✓ ゆるい会もそれなりにあり↑をやらないパターンもある (以下会場後方のベテラン向け懐かし昔話) ❖ もくもく会 は 2007-10-24 pha さんによるものよりも前に存在しているっぽい ✓ https://pha.hateblo.jp/entry/20071024/1193152680 ✓ 北海道の事例は 2010-05-05 札幌iPhone開発懇談会(@プロント 札幌駅北口店)っぽい 10
読書会・輪読会 ❖ 1 冊の本をみんなで読む会 ✓ 当番を決めて,ある区間を担当して解説する方式 ■ 技術書とかに多い,定期開催で読み進める ✓ みんなで同じ本を持ってきて,そこで読みながら感想会 ■ 雑誌とかに多い,発刊されたら集まるなど ❖ みんなが勝手に本を持ってきて感想を交換する ✓ 自由きままなブックトーク的な感じ ビブリオバトルもそうだけど,分野問わず広く取られる形を踏襲する 11
動画上映会 ❖ 公開されている技術系の動画をみんなで見る ✓ Watch Party 的な感じ ✓ 大きなカンファレンスのセッションの公開動画などを見る ■ 非公開動画だけど勉強会なら再生 OK している例もある ❖ 遠方開催の勉強会等の配信をみんなで見る ”サテライト” もある ✓ Zoom 等双方向だと別々の会場から発表がされることもある 12
ハンズオン ❖ 全員で手を動かして体験する ✓ プログラミングやツールの設定などをみんなでやる ✓ 詳しい人から教わる形式,ドキュメントをなぞるなど様々 ❖ 見る,聞く,だけでなく実際にやってみる ✓ 環境の差異等で躓いたときにもさっと解決できることも多い 13
カンファレンス ❖ 発表,ハンズオン,展示ブースなどで構成される大きな会 ✓ 小さくても 50 名以上はくるかも ■ 北海道だと 100 名前後,東京だと 400 名からくらい ✓ 会によってはセッションは公募して選考がある ❖ 企業などからスポンサーを募って資金を集めることもある ✓ そういうのなしでチケットで賄うには支出が大きくなりがち ✓ そうなると採用だったり,製品紹介だったりがある 14
懇親会 ❖ そのイベントであったことをネタに交流できる ✓ 飲食を伴うことが多い ✓ 飲食を伴わない場合は交流会と呼ばれる感じがする ✓ 質問したいことや Slack で話したことの続きなど ❖ 「懇親会が本番」という言説もあるが...... ✓ 懇親会の前の勉強会が本番なのは間違いない ✓ 懇親会参加はつらいよ...... の人も安心してほしい 15
勉強会の形式は自由 一般的な形式によらないものもある.自由に開催しよう💪 ❖ 事例 1 : 付箋に話題を書いて貼ってみんなで選ぶ ✓ 司会は最後に来た人,全員が付箋に話せることを書く ❖ 事例 2 : 期間を決めてその中で非同期に同じことをする ✓ 今日は技術ブログ書く Day です.みんな書きましょう!とか いずれも技術の学びをねらうもの.雰囲気が変わるとネタも変わる. 16
2. 会のねらいによって雰囲気もいろいろ 17
イメージしている雰囲気はどうですか? ❖ いわゆる “セミナー” のイメージだとだいぶズレがあるかも ✓ そんなにお堅い勉強会はあんまりない ✓ ゴリゴリの営利目的の会が少ないからかもしれない ■ 営利目的を禁ずる会から特定製品のユーザー会まで様々 ❖ 雰囲気としては同好会をイメージしたほうが近い ✓ 業務で仕方なく来ている人はかなり少ない ✓ こと北海道については業務参加自体が少なめかもしれない? 18
「前に出ているからすごい人」は絶対ではな い ❖ 技術系勉強会において “すごい” かどうかは関係ない ✓ とはいえ「親しき仲にも礼儀あり」レベルのリスペクト必須 ✓ お互いにフラットで,技術を軸にした関係なだけ ✓ “すごい” から話せるのではなく,前に出たから話せる ❖ 「あなたの経験はあなたにしか話せない」 ✓ 例え入門書をなぞった話でも,経験は唯一無二 ✓ あやふやな情報を断定して話せとは言っていない ■ “そう認識したこと”,”経験したこと” が事実 19
集まる人たちの属性大分類は大体こんな感じ ❖ 技術分野に制限のない趣味的な集まり ❖ OSS 関連 ❖ 営利企業関連 ✓ 特定製品のユーザーコミュニティ(Developer Relations) ✓ 会社の採用に関する会,会社情報を発信する会 これらに特定地域と紐づくか否かが掛け合わさる 研究関連,起業等を見据えたビジネス関連のコミュニティは今回割愛 20
技術分野に制限のない趣味的な集まり ❖ 特定技術以外での括り,あるいは括りなし ✓ 地域,学生/エンジニア,初心者,性別...... ✓ 技術分野以外での括りを持ちながら,ふんわり技術で括る ❖ 技術分野に制限のない趣味的な集まりのねらいの代表的なもの ✓ 極めて多様 ✓ 交流,モチベーション維持,情報交換,飲み会,切磋琢磨...... ✓ 多くの場合,温度感やねらいは主催の人に引っ張られる 21
OSS(Open Source Software) 関連 ❖ Open Source Software ✓ ライセンスに合致する形で利用や再配布等が許されている ✓ Ruby, Ruby on Rails, PHP, Linux, Arduino…… 意外とたくさん ❖ OSS コミュニティのねらいで代表的なもの ✓ 開発者同士,利用者同士,開発者と利用者の交流 ✓ 開発に関する議論 ✓ 利用者拡大に向けた情報発信 22
営利企業関連 ❖ 企業が主催する勉強会,ミートアップ,カンファレンス ✓ スポンサーではなく企業が主催でイベントを開催する ✓ 企業内エンジニアによる製品や開発事例の発表が多い ❖ 営利企業関連のコミュニティで の代表的な ねらい ✓ 採用に係るブランディングの認知拡大 ✓ 製品や受託開発の営業につなげたい ✓ 開発者向け自社製品の利用者拡大 ■ Deverloper Relation,カスタマーサクセス 23
ねらいは緩やかに混ざり合っている ❖ どういうイベントならどういうねらいかははっきりしていない ✓ 例 1) 地域の括りだがセキュリティの話が多いコミュニティ ✓ 例 2) 企業主催だがその OSS における主要なコミュニティ ✓ 例 3) ゆるそうな感じだけど仕事の相談をするコミュニティ ❖ このあたりは見極めがかなり難しい ✓ 参加したことのある知り合いをあたる ✓ SNS の様子をみる ✓ イベント募集ページの書きっぷりから判断する 24
3. イベントその場限りではもったいない 25
勉強会で聞いたことを身につける ❖ インプットはアウトプットとセットにするとお得 ✓ SNS に感想を逐次投稿する ✓ 勉強会終了後にブログで内容をまとめる ✓ 別の機会にこういう勉強をしたと雑談する,発表する ❖ 完全に正確な情報を目指すとつらいので適度に検証する ✓ 知識や統計情報は別の資料を引きながら書くと尚よい ✓ 引用もなく断定すると,誤った情報の流布に加担してまずい ✓ 「調べた結果こう理解した」「自分の環境ではこうだった」 26
勉強会でのつながりを続けていく ❖ コミュニティ参加はイベントだけではない ✓ 無理にとはいわないが,つながっておくとよい ✓ Slack, Discord, LINE Open Chat などのオンライン環境 ✓ SNS でのゆるやかなつながり ❖ 自分と同じ方向の興味を持つ人の情報が流れてくる日常を作る ✓ 勉強会情報,新しい技術の情報,いい書籍の情報...... ✓ 他の人がどう苦悩して,どう楽しんでいるのかが見える ■ みんなすごいな...... と尻込みしてしまわないのもコツ 27
4. 勉強会とかコミュニティの探し方 28
めちゃくちゃな量のイベントが存在する ❖ 勉強会の参加者募集は概ね以下で行われる ✓ 小規模から中規模の勉強会 ■ connpass SNS とか Slack を ■ doorkeeper 見ていると, みんなが気にしてる ✓ 中規模から大規模のカンファレンス イベント情報が流れて ■ 独自の公式サイト くるのでよい ■ fortee(フォルテ) ❖ 大規模だと有料の傾向がありチケットを別サイトで買うことも 29
見ておくべき情報 ❖ はじめてで不安だったら知り合いが参加しているか見よう ✓ 内容だけで行くかどうか決めるのがいいかもだけど心配だし ✓ 運営が信用できるか,一緒に参加できる人がいるかは重要 ❖ SNS やブログ等での報告がないか探そう ✓ とはいえ鵜呑みにしていいわけじゃない ✓ それを元に知り合いにどうかを訊いてみるとか ❖ あと場所とか金額とか免責事項的や CoC などの取り決めとか....... 30
人数の多い少ないは参加姿勢に影響する ❖ 人数が多いとふんわり聞いて帰ってくるだけができる ✓ いきなり交流は怖い,聞きたい話じゃなかったら帰りたいなど ✓ 人数が多いと紛れることができ,自分に視線が集中しない ✓ 大きめのカンファレンスがいいかも ❖ 人数が多くないと一人ひとりとしっかり話せる ✓ それなりに交流してしっかり話をしてきたい ✓ 全体人数が多いと人気者の取り合いになることもしばしば ✓ 小さめのコミュニティとか,地域のカンファレンスがいいかも 31
他の人の会に参加するのが馴染まなければ ❖ 自分で主催することもできる ✓ 公募するのが怖ければ知り合いだけでやるのがよい ✓ 会場費がしんどければ公民館やオンラインで開くとよい ✓ ネタがなければ本,ドキュメント,ブログなどを読めばよい ❖ 社会の圧力に負けずイベントの主の目的を見失わない ✓ 学びが一番ならばひとり開催の勉強会も大成功 ✓ 交流がねらいなのであればふたりいれば大成功 ✓ 外の評価に惑わされず,自分が向き合いたいことに向き合おう 32
X. 北海道で技術系勉強会を満喫しよう 33
北海道各地で勉強会は開かれている ❖ 札幌 ❖ 北見 ❖ 旭川 ❖ 富良野 ❖ 千歳 ❖ 函館 ❖ 釧路 各地域の人たちが 技術と戯れている 34
技術と向き合える勉強会は自由 ❖ やり方もいろいろ,ねらいもいろいろ,のめりこみ方もいろいろ ✓ 技術が好きで集まる人たちの会もいい会 ✓ キャリアや会社のことを考えて開かれる会もいい会 ✓ それぞれ大事にしたい良さがある ❖ 勉強会で得たものを点から線へ,線から面へ ✓ 技術の知識や開発の悩みを起点に集まった人たち ✓ みんなが自分のペースで楽しんでいる,がんばっている ✓ 学びやつながりがいつ効いてくるか,楽しみにして暮らそう 35
旭川と富良野とオホーツクにも来てください ❖ TechRAMEN Conference ✓ https://techramenconf.net/2025/ ❖ ゆるい勉強会 ✓ https://asahikawa.connpass.com/ ❖ FuraIT ✓ https://furait.connpass.com/ ❖ Okhotsk DEW Community ✓ https://x.com/okhotskdewc 36
情報技術系の勉強会と コミュニティ文化 技術の学びを軸としたサード・プレイス 25/10/18 #railsgirlssapporo / Shota Nishihara @tomio2480