2K Views
April 07, 23
スライド概要
「同値性」ではなく「同一性」での比較は、単に Readability だけの問題ではない
https://blog.taniii.com/?p=1289
お問い合わせ・お仕事のご依頼は [email protected] にお願い致します。
情報リテラシー実践 2B レポート課題 2 情報科学科 22140026 谷 知拓 # 目次 0. Approach 1. 機能 2. コーディング上の工夫(Solutions) 3. 動作のフローチャート 4. Code 5. Jupyter での実行結果例 6. 考察と感想 # Approach - 「ヒットアンドブロー」のプログラムを書く. - 言語は, Python を用いる. - クラスを有用に使うことで, 汎用性(e.g. 桁数の可変)と可読性(e.g. 同一性と同値性の使い分け)を向上さ せる. # 機能 - ユーザの指定に応じて桁数を可変にする(1~9) - 乱数で答えを生成するときに, 同じ数字を異なるケタで重複して使わないようにする - 意図しないユーザの入力値によるクラッシュを回避する - 1 つの返り値で, 正解の場合および不正解の場合の両方に対応する(不正解の場合は, ヒット数とブロー数 も返す) # コーディング上の工夫(Solutions) Line 9~14, Features Solutions ユーザの指定に応じて桁数を可変にする hab(hit_and_blow)クラス の初期化時に, ユーザの 42~45 input した桁数を渡し, それに応じてその桁数の乱数 を生成する 17~19 乱数で答えを生成するときに, 同じ数字を 生成した値を, 1 ケタごとのリストにして, 異なるケタで重複して使わないようにする len(numa) == len(set(numa)) の比較を使って, 重複がないか確認する. (set 型のメンバがユニークになることを利用) 重複があった場合, 重複のない値になるまで, 乱数生 成を繰り返す. 51~61 意図しないユーザの入力値によるクラッシ try-except 文と raise を用いることで, 例外処理で ュを回避する あることを明確にし, 可読性を上げた. 1 © Tomohiro Tani / Taniii.com
raise を用いてユーザ定義のエラーとして, 「桁数の入力ミス」と「同じ数字の重複使用入力ミ ス」のエラーを発生させている. これを try-except で拾い, エラーメッセージを出力 した上で, 再度 input を呼び出し, 適切な値が入力さ れるまで繰り返されるようになっている. 22~38, 1 つの返り値で, 正解の場合および不正解 クラス上では, 63~71 の場合の両方に対応する(不正解の場合は, 正解の場合 → bool 型の True を返す ヒット数とブロー数も返す) 不正解の場合 → ヒット数とブロー数を, list 型の連 想配列で返す 呼び出し側では, まず先に厳密評価(同一性の評価 is) で, 参照オブジェクト自体が同一かどうかを判定す る. 次に, 同一でなかった場合は, 「不正解」と判断 し, ヒット数とブロー数が返却されているものとして 処理を続ける. * 「同値性の評価」でなく, 「同一性の評価」を用い ることに注意する. この 2 つは明確に異なっていて, 「同値性の評価」を用いると, 意図しない暗黙の型変 換により, 期待した通りに動かない. # 動作のフローチャート (次のページへつづく) 2 © Tomohiro Tani / Taniii.com
3 © Tomohiro Tani / Taniii.com
# Code
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
"""
レポート課題 2: ヒットアンドブロー(数あてゲーム)のプログラム
"""
import numpy as np
# hab: hit and blow クラス 初期化時に桁数を指定できる
class hab:
def __init__(self, digits):
# 初期化
# ユーザ指定桁数をもとに, 乱数を生成
# 同じ数字が異なるケタに重複して使われないようにする
while True:
num = np.random.randint(10**(digits - 1), 10**digits) # 答えとなる数字
15
# 生成した数字をさらに, 1 ケタずつのリストにする
16
numa = [int(s) for s in str(num)]
17
if len(numa) == len(set(numa)):
18
self.num, self.numa = num, numa
19
break
20
21
22
23
24
25
26
def push_reasoning(self, expect_num):
# ユーザの推理した値を, 真値と比較し, 正解なら True, 不正解なら「ヒット数」「ブロー数」を返す
if self.num == expect_num:
return True
else:
hit, blow = 0, 0 # init 変数の初期化
27
# ユーザの予想値を, 1 ケタずつのリストにする
28
expect_numa = [int(s) for s in str(expect_num)]
29
for i in range(len(self.numa)):
30
if self.numa[i] == expect_numa[i]:
31
# 同じ index に同じ数字のとき, hit +1
32
hit += 1
33
elif self.numa[i] in expect_numa:
34
# 上でなくて, かつ, 配列の中に同じ数字が存在するとき
35
blow += 1
36
else:
37
pass
38
return {"hit": hit, "blow": blow}
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
# 実行段階
# ユーザがケタ数を指定
digits = int(input("ケタ数を指定(1~9)(e.g. 3):"))
# ユーザ指定のケタ数で, インスタンスを生成
inst = hab(digits)
count = 0
while True:
count += 1
# ユーザに, 予想値を入力してもらう
while True:
try:
expect_num = int(input("値を予想({}ケタ): ".format(str(digits))))
54
if len(list(str(expect_num))) != digits:
55
raise ValueError("invalid input - 入力が正しくありません. 再入力してください.")
56
if len(list(str(expect_num))) != len(set(list(str(expect_num)))):
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
72
raise ValueError("invalid input - 同じ数字を繰り返し使うことはできません. 再入力してください.")
except ValueError as e:
print(e)
else:
break
res = inst.push_reasoning(expect_num)
if res is True: # 厳密評価で先に「True」の場合を処理する
print("{}回目で正解!!!".format(str(count)))
break
else:
print("-",str(count) ,"試行目 -")
print("「", str(expect_num), "」")
print("ヒット:", res["hit"])
print("ブロー:", res["blow"])
print("-----------¥n")
4
© Tomohiro Tani / Taniii.com
# Jupyter での実行結果例 ケタ数を指定(1~9)(e.g. 3):3 値を予想(3 ケタ): 1 // 桁数の入力ミス invalid input - 入力が正しくありません. 再入力してください. 値を予想(3 ケタ): 111 // 同じ数字の繰り返しミス invalid input - 同じ数字を繰り返し使うことはできません. 再入力してください. 値を予想(3 ケタ): 123 - 1 試行目 「 123 」 ヒット: 1 ブロー: 1 ----------値を予想(3 ケタ): 142 - 2 試行目 「 142 」 ヒット: 1 ブロー: 0 ----------値を予想(3 ケタ): 135 - 3 試行目 「 135 」 ヒット: 2 ブロー: 0 ----------値を予想(3 ケタ): 678 - 4 試行目 「 678 」 ヒット: 0 ブロー: 1 ----------値を予想(3 ケタ): 136 - 5 試行目 「 136 」 ヒット: 2 ブロー: 0 ----------値を予想(3 ケタ): 137 6 回目で正解!!! # 考察と感想 以前, Python のコーディング規約 PEP8 に『True との比較には, "=="ではなく, 常に"is"を使うこと』とある のを見たときに, その時は, 「より厳密で, 動作のゆらぎを避け, 明示的なコーディングを目指す思想」による ものだろうとしか思わなかったが, 今回, 返り値に, (True) or (False の時は何らかの別の値)という構造で, デー タの受け渡しをしてみて, "is"を使った, 同一性の評価を先にすることで, ものすごく綺麗にコードを書けること が実感でき, 「同値性」と「同一性」の使い分けが, ただ単に Readability の問題だけでなく, コードを書く上 での Hack としても役立つことが身をもって実感できた. 5 © Tomohiro Tani / Taniii.com