581 Views
January 09, 19
スライド概要
Frontier Soft 代表
行動分析学に基づく Scrumの導入 ライフマティックス株式会社 土肥 拓生
今⽇の⽬的 スクラムとは、以下のようなものである。 • 軽量 • 理解が容易 スクラムガイドより • 習得は困難 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 2
今⽇の⽬的 スクラムとは、以下のようなものである。 • 軽量 • 理解が容易 スクラムガイドより • 習得は困難 でも 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 3
土肥 拓生 (Takuo Doi) ライフマティックス株式会社 CTO 国立情報学研究所 特任准教授 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 4
翻訳させて頂きました アジャイルイントロダクション 2018/12/28 バートランド・メイヤー (著) 石川冬樹 (監修) 土肥拓生, 前澤悠太, 末永俊一郎 (翻訳) 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 5
2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 6
CSD研修の感覚をもう1度・・・ 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 7
形式知 行動分析学に基づくScrumの導入 組織論 技術論 自己組織的なScrumチームの目指し方 プログラマのためのScrum 2019/1/9 暗黙知 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 8
点 な 難 困 が 得 習 の m u r c S ? は と 分析学 行動 m u r c S 使った を 学 析 行動分 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 9
Scrumの習得が困難な点 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 10
It depends 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 11
なぜ、It depends? 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 12
It dependsの理由 • 個人はそれぞれ異なる • チームはそれぞれ異なる • 組織はそれぞれ異なる • プロダクトはそれぞれ異なる • プロジェクトの状態はそれぞれ異なる 開発プロセスに従うのでは柔軟さに欠ける 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 13
スクラムは、複雑なプロダクトを開発・提供・ 保守するためのフレームワークである。 スクラムガイドより プロセスやツールよりも個人と対話を アジャイルマニフェストより 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 14
厳格 プロセス (Water Fall) 厳格過ぎて到達できない 何をどう使うと到達できるかは不明 考え方 柔軟 現状の現実解だが 理想は状況に依存するため 習得は困難 手順 厳格 理想 プラクティス (XP) 曖昧過ぎて難しい 柔軟 フレームワーク (Scrum) 2019/1/9 マニフェスト (Agile) 焦点を絞る Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 15
厳格 プロセス (Water Fall) 厳格過ぎて到達できない 何をどう使うと到達できるかは不明 考え方 柔軟 状況を考慮して 理想を探索する手法 = 行動分析学 手順 厳格 理想 プラクティス (XP) 曖昧過ぎて難しい 柔軟 フレームワーク (Scrum) 2019/1/9 マニフェスト (Agile) 焦点を絞る Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 16
行動分析学とは? 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 17
行動分析学 行動分析学は心理学の一つで、目の前の行動をその まま対象とし、行動を変える変数を実験によって探 る方法論をもっています。他の多くの心理学とは異 なり、何かができないときに、その原因を意思の弱 さや能力のせいにはしないところに特徴があります。 出典: 使える行動分析学: じぶん実験のすすめ 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 18
行動 = 死人にはできないこと 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 19
ABC分析 先⾏事象 ⾏動 後続事象 Antecedent Behavior Consequence 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 20
行動随伴性 好子:その行動を強化する刺激 嫌子:その行動を弱化する刺激 後続事象として、 好子が出現すれば、その行動は強化される 好子が消失すれば、その行動は弱化される 嫌子が出現すれば、その行動は弱化される 嫌子が消失すれば、その行動は強化される 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 21
行動随伴性の例 • 先行事象 子どもが駄々をこねている • 行動 怒鳴る • 後続事象 おとなしくなる : 好子 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 22
行動随伴性の例 • 先行事象 会議に参加 • 行動 上司と異なる意見を述べる • 後続事象 上司の顔色が不機嫌になる:嫌子 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 23
行動随伴性の例 • 先行事象 小腹が空いた • 行動 お菓子を食べる • 後続事象 小腹が満たされる:好子 太る:嫌子 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 24
行動随伴性の補足 • ちりも積もれば的な好子、遠い将来の好子の強化 は弱い • 毎日トレーニングすると、3ヶ月後には痩せる • 日々精進すると、昇給する • 必ず好子が出現するよりも、確率的に好子が出現 する方が、その行動を継続させやすい • 嫌子によるマネジメントの方が即時性はあるが、 モチベーション低下を招きやすい 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 25
行動随伴性の利用方法 • 行動に注目する • 原因を性格に求めない • 焦点化 • 標的行動(課題解決につながる行動)を特定する • 標的行動を強化する/弱化する • ABC分析により、標的行動に対して、好子が出現する、 あるいは、嫌子が消失する環境を作る • 標的行動を観察し、計測し、評価する 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 26
行動随伴性によるマネジメント例 積極性のない部下ばっかりで、会議を開いてもだん まりで、時間だけが過ぎていってしまう。このよう な会社の状況を何とかしたい。 先⾏事象 会議中 ⾏動 ⾃分の意⾒を⾔う 後続事象 上司が嫌な顔をする 同僚があざわらう 意⾒が理由なく却下 細かい指摘ばっかり あなたならどうしますか? 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 27
行動分析学を使ったScrum 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 28
Scrumがうまく機能しないのは どんなとき? 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 29
Scrum 役割 プロダクトオーナー 開発チーム スクラムマスター イベント スプリントプランニング デイリースクラム スプリントレビュー レトロスペクティブ 作成物 プロダクトバックログ スプリントバックログ インクリメント Scrumが機能しないのは、 • イベントの運営がうまくいかない • 作成物に問題があるか 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 30
スプリントプランニングがいつも時間超過してしま う。短い時間で終わらせるように、何度も指摘して いるが、変わらない。 ユーザストーリーの内容について議論する 時間をかけてプランニングポーカーを提⽰する ⼀度、合意した内容を蒸し返す 先⾏事象 ストーリーの理解が曖昧 ⾏動 後続事象 議論する ストーリーを理解:好⼦ バックログリファインメントを導⼊ 先⾏事象 ⾏動 ストーリーを理解 議論する (弱化) 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 後続事象 31
レトロスペクティブを実施しているが、チーム内に やることに懐疑的な意見が多い。当然、有意義な議 論にもならず、作業の改善もあまり進まない。 他人を批判する 発言することが少ない 改善につながる結論を出さない 否定的な表現を使う 表情が暗い 先⾏事象 レトロスペクティブ中 ⾏動 後続事象 発⾔する 怪訝な顔をされる 発⾔後、必ず拍⼿するルールを導⼊ 先⾏事象 ⾏動 レトロスペクティブ中 発⾔する (強化) 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 後続事象 拍⼿してもらう:好⼦ 32
レトロスペクティブを実施しているが、チーム内に やることに懐疑的な意見が多い。当然、有意義な議 論にもならず、作業の改善もあまり進まない。 他人を批判する 発言することが少ない 改善につながる結論を出さない 否定的な表現を使う 表情が暗い レトロスペクティブにドーナツを出す 先⾏事象 ⾏動 ドーナツを⾷べる 笑顔になる 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 後続事象 33
スプリントバックログの見積りがいつも不適切で、 スプリント内でストーリーを完了させられない。 見積りを多く提示する 先⾏事象 プランニング中 仕掛りのストーリーを残す ⾏動 後続事象 ⾒積を多く提⽰する プロダクトオーナー喜ぶ (好⼦) スプリントの終わりで落 胆する (嫌⼦) プロダクトオーナーの評価の差分を 数値化し可視化 先⾏事象 ⾏動 後続事象 プランニング中 ⾒積を多く提⽰する(弱化) 差分のスコアの改善(好⼦) 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 34
エンジニアのスキルが低く、インクリメントの品質 が悪い。特に、よくデグレしているとクライアント からクレームが入る。 回帰テストを実施する テストコードを書く コードレビューを実施する 先⾏事象 実装中 ⾏動 後続事象 テストコードを書く プロダクトコードに避け る時間が減る (嫌⼦) バグが発⽣したら検知で きる(好⼦) カバレッジや、ミューテーションスコア などを計測、可視化する 先⾏事象 ⾏動 実装中 テストコードを書く 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 後続事象 数値化された安⼼感を確 認できる(好⼦) 35
Scrumと行動分析学 行動分析学に基づく改善案は仮説 Scrumの課題となる標的行動の変化が見られない場合 には、改善案を再検討する スプリントに基づく、フィードバックループと非常 に相性がよい 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 36
Lifematicsでの適用例 意欲に満ちたセンスあるエンジニアと仕事がしたい 「意欲に満ちた」って? 「センスある」って? 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 37
求めていたのは 「技術を学ぶ」 行動が多い人 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 38
学びを記録 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 39
学びを評価 2018/10 – 2018/12 で学びの記録に数値化し、 上位5人を忘年会で表彰さらに、5人からくじびきで当 たった1人に、賞品を贈呈 毎週、誰がどんなものを学んだのかをメールで通知 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 40
行動分析学的なIt depends • 個人の好子/嫌子は異なる • チームで発生する後続事象は異なる • 組織で発生する後続事象は異なる • プロダクトにより標的行動が異なる • プロジェクトの状態により標的行動が異なる 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 41
Scrumが機能しない原因となる 標的行動を特定し、 個人の好子/嫌子を考慮して、 後続事象をデザインすればよい 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 42
厳格 プロセス (Water Fall) 厳格過ぎて到達できない 何をどう使うと到達できるかは不明 考え方 柔軟 手順 厳格 理想 プラクティス (XP) 行動分析学による整理と仮説検証 柔軟 フレームワーク (Scrum) 2019/1/9 曖昧過ぎて難しい マニフェスト (Agile) 焦点を絞る Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 43
行動分析学的な思考を 使ってみてください 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 44
2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 45
Any Questions? 2019/1/9 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 46