不確実性を飼い慣らす 〜アンチフラジャイル型のプロダクトマネジメント〜

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June 19, 23

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正しいものを正しくつくるシリーズ

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1.

正しいものを正しくつくる 不確実性を飼い慣らす 〜 アンチフラジャイル型プロダクトマネジメント 〜 Ichitani Toshihiro 市⾕聡啓 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

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市⾕ 聡啓 Ichitani Toshihiro 「正しいものを正しくつくる」⽀援、 「組織を芯からアジャイルにする」⽀援 (株式会社レッドジャーニー) 特に専⾨は 「仮説検証、アジャイル開発、組織アジャイル」 過去のスライド https://www.docswell.com/user/papanda Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 2

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6.17 Release ! https://www.amazon.co.jp/dp/ 4297135531/

4.

⽇本の組織を数年間 巡り巡って分かったこと Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

5.

伝統的な⼤組織であっても 若く⼩さな組織であっても 世の中に価値を届けるための さがす・かえる 探索適応 のcapabilityが 圧倒的に必要 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

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探索適応とは︖ かえる (1) 問いをたてる 適応 (5) 結果を確認し 理解する 仮説⽴て検証し判断・実⾏する 探索と適応の サイクル (4) (3) 検証を 実施する 仮説検証の 計画づくり Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. (2) 問いに対する 仮説を⽴てる さがす 探索

7.

組織・事業として何に応えて いくことが価値となるのか︖ 社会との対話をやり直す必要がある さがす 探索 社会・環境 組織・事業 適応 かえる Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

8.

やり直す︖ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

9.

われわれが直⾯しているのは 1980年代から連綿と培われて きた “最適化” の呪縛 Photo credit: Daryl DeHart on VisualHunt.com Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

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効率性 ファースト 業務 迷わないよう に決めておく あらかじめ全部 決めておく 技術 もっと 効率化 分かっている 意思決定 効率的か より標準化、 ルール化の強化 ものだけ どうか 組織構造 縦割り Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 組織内の “常識化”

11.

社会が期待する価値提供が 既に出来ていない「恐れ」とともに 新たな価値提供のためのcapability ⾃体が減衰している 価値提供できて いるのか︖ 社会・環境 ︖︖︖ 顧客からのフィード バックを得ているか︖ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 組織・事業

12.

この構造は伝統的な事業組織 に限ったことではない 事業・組織が軌道に乗り 継続できている時点で そこには “最適化” がある (つまり、年数の話ではない) Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

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探索適応とは、事業・プロダクト作りでは 「何をつくるべきなのか︖」(何が価値なのか︖) という問いに応えるためのすべである … それはつまり、 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

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正しいものを正しくつくる Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

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仮説検証型アジャイル開発 選択の幅最⼤ (セットベース) 検証 計画 仮説⽴案 (モデル化) 正しいものを 探す スプリント プランニング 検証 MVP特定 価値の選択肢を⼗分に広げ 検証によって絞る 正しくつくる スプリント レトロスペク ティブ 選択の振れ幅最⼩ (ポイントベース) 評価 仮説検証 開発計画 (リリースプラ ンニング) スプリント 開発 MVP検証 スプリント レビュー 次の価値探索へ アジャイル開発 構想を早く形にして フィードバックを得る Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 15

16.

プロダクトマネジメントにおいて より強調したいこと Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

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プロダクトマネジメントにおいて より強調したいこと 不確実性を 飼い慣らす Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

18.

“不確実性を飼い慣らさない” 不確実性 不確実性は野放し (どうなるか全く分からな いプロダクト作り) 企画 開発 市場投⼊ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 時間

19.

“不確実性を飼い慣らさない” 市場には刺さって 不確実性 いないことが認められず 無謀な戦いが始まる 市場に投⼊して 即時、価値が無い ことが分かる (その意味で確実性が上がる) 企画 開発 継続運営 市場投⼊ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 時間

20.

“不確実性を飼い慣らす” 不確実性 仮説検証によって 不確実性を低減させる 多少の “ゆらぎ” を 得ながらの事業進⾏ 仮説検証 アジャイル開発 MVP特定 事業運営 市場投⼊ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 時間

21.

確実性を⾼める作戦 「ターンアラウンドの最短化」 探索適応のケイデンス(回転数)を出来る限り⾼める = 試す→理解を正すの時間が最短となる検証⼿段を取る (MVPよりまずはプロトタイプ、プロトタイプよりまずはインタビュー) Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

22.

いきなり不完全なプロクトを市場に投⼊しない “MVP” と “MKP” を区別する 不確実性 MVPによる検証 MKPの市場投⼊ 仮説検証 アジャイル開発 MVP特定 事業運営 市場投⼊ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 時間

23.

「MVP」vs「MKP」 検証・学習⼿段と、価値提供の⼿段を常に⾒分けること ソフトウェア的には同⼀でも、果たす役割としては異なる Minimum Viable Product Most Knowledgeable Product ・ tの検証、学習の為の 最⼩限の実⾏可能物 ・価値提供の為に最⼤限学習 結果を踏まえたプロダクト 分かっていないこと 分かっていないこと 分かっていること MVPで「分かる(学んだ)」 領域を増やしていく MKP MVP か・かた・かたちで 最も最適な範囲を提供 このあたりの区別をつけておかないと「検証のためにラフに作ったモノ」と 「価値提供のために持続性が問われるモノ」との間の⽬的不整合に後々悩まされることになる fi Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. https://www.docswell.com/s/papanda/Z4Q3NJ-shin-drr

24.

“不確実性を飼い慣らす” 探索適応 不確実性 最適化 MVPによる MKPの 検証の積み重ね 磨き込み 仮説検証 アジャイル開発 MVP特定 事業運営 市場投⼊ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 時間

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めでたし、めでたし Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

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やがて “最適化” へと⾄る Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

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“最適化のデットエンド” に⾏き着くも なまじ事業⾃体は成果をあげているため 思い切った転換ができない Photo credit: danbruell on Visualhunt Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

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「不確実性を飼い慣らす」 ための アンチフラジャイル型 プロダクトマネジメント Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

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「変化」への3つのスタンス ロバスト レジリエンス 変化しない強さ 変化に対応する 変化に適応する 従来の最適化を堅守 変化を受け⽌めて、従来 変化を受け⽌めて、従来 するスタンス 通りのことができるよう 以上の価値提供ができるよう (変わらないようにする) に戻る (復元⼒) 事業・組織⾃体を変える Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. アンチフラジャイル

30.

“不確実性を飼い慣らすⅡ” 不確実性 仮説検証 アジャイル開発 MVP特定 事業運営 市場投⼊ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 時間

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“不確実性を飼い慣らすⅡ” 不確実性 ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ⾃ら不確実性を⾼める =未開の領域に踏み出す 仮説検証 アジャイル開発 MVP特定 事業運営 市場投⼊ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 時間

32.

= ⾃ら不確実性を⾼める 「分からないこと」を ⾃ら増やすということ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

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﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ 既に最初の仮説検証で経験している通り 「分からない」ところにこそ 価値がありえる Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. Photo via Austin Ban via VisualHunt.com

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新たに、 「選択肢を広げる」 ことを始める 効率性への “最適化” 新たな選択肢 (仮説)を得る 事業の安定 取りうる選択の幅 取りうる選択の幅 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

35.

選択肢を広げる =「越境する」 顧 客 の 変 化 新 規 既 存 新たな顧客 への展開 (不確実性の”ヤマ”) 既存事業の 最適化 新たな顧客に 新たな価値の探索 (不確実性の”⼤ヤマ") 新たな価値 の探索 (不確実性の”ヤマ”) 既存 新規 課題の変化 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

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選択肢を広げる =「越境する」 顧 客 の 変 化 新 規 既 存 世代を越えて 利⽤の拡⼤ 若年層向け メッセージング アプリ 医療、コマース NFT… メッセージング を越えて コンテンツ利⽤、 既存 決済利⽤ 新規 課題の変化 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. ※不確実性とは度合いであり、ただ ⼤きいモノを狙えという主旨ではない

37.

不確実性を⾼める切り⼝は 「仮説キャンバス」から得られる ⽬的の “視座” を⾼める 顧客の理想的な状態を ⾼みに置き直す 解決する課題を 広げる Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 届ける顧客や 対象とする状況を かえる (ふやす)

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⾃ら不確実性を取り⼊れることで “価値の上限" を上げる インパクトの 積み上がり 新しい社会モデルを 描く 実現したい ビジョンの進化 解決する課題を広げる 提案価値の拡張 顧客層を広げる 事業規模の拡⼤ 最初の 課題解決 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

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いつ、不確実性の “ヤマ”をつくるのか︖ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. Photo via Mars Williams via Visual hunt

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3つの観点で状態を⾒て判断 チームとしての 停滞感の兆しがある 収益が安定的になる (“⾒込み”がつけるようになる) ・ふりかえりで新鮮味がない ・5 ngerで3が続く … チーム ビジネス プロダクト 技術に関する新たな 判断が減っている fi Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

41.

“ユーザー” 軸で状態を照らす “ユーザー” に関する 会話が少なくなっている 捉えている “ユーザー像” が 変わっていない、増えない チーム ビジネス プロダクト ユーザー (顧客) “ユーザー体験” の向上が 反映されない、考えられていない Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

42.

不確実性に踏み出せるよう鍛える 不確実性を⾼めるということは、チームや開発、運営に “ゆらぎ” を招き⼊れるということ。ゆれすぎて、カオスに過ぎないように 3つの状態をそれぞれ鍛えておく (それがプロダクト戦略というもの) チーム ・チームでの⽅向性合わせの 練度を⾼めておく → Ex インセプションデッキ ビジネス プロダクト ・機動的に動けるための フォーメーションの⼯夫 など ・不確実性に向き合う “余⼒” が 作れるようバッファを設ける → ビジネス⽬標上の配分調整 ・数字が落ちた場合における 応急策の確⽴ など → Ex チームトポロジー, 雁⾏陣開発 ・技術的負債の段階的な返済 ・より機能性の⾼い開発環境への 戦略的な置き換え・投資 など Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

43.

不確実性の “ヤマ” の間隔が⻑い = 迎える変化が⼤きく、プロダクトへの変更影響が⼤きすぎる、 チームが⽅針転換を受け⽌め切れない、⼤きな混乱を招く恐れがある 不確実性 仮説検証 アジャイル開発 MVP特定 事業運営 市場投⼊ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 時間

44.

“不確実性を飼い慣らすⅢ” 不確実性 不確実性の “ヤマ” の「さざなみ化」 ヤマが遠くなりすぎないように、 周期的に意図的に “ヤマ” をつくる 時間 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

45.

⽅向性を正す 機会をつくっておく 向かう べき先 むきなおり ふりかえり 現在の 延⻑先 現在 過去の⾏動と結果を捉え直して 今やるべきことをかえる (過去から現在を正す) 向かいたい⽅向を捉え直して 今やるべきことをかえる (未来から現在を正す)

46.

⽅向性を正す 機会をつくっておく 向かう べき先 むきなおり ふりかえり 現在の 延⻑先 現在 「変化」に向けた 過去の⾏動と結果を捉え直して バックログを積み上げる 今やるべきことをかえる (新たに学ぶべきことは何か︖) (過去から現在を正す) 向かいたい⽅向を捉え直して 今やるべきことをかえる (未来から現在を正す)

47.

“バックログフロー” の点検 ある時間あたりでのバックログの積み⽅、結果をみる → 1スプリント、1ヶ⽉、3ヶ⽉…あたりの「変化バックログ」の 割合がどのくらいあるか︖ ※新たな不確実性への調査、仮説検 証、試⾏のためのバックログ 計画作りでみる 結果からみる 不確実性への向き合いに 全体のバックログのうち 10%割いているなど この1ヶ⽉、3ヶ⽉あるいは 1年を通じてどれだけ不確実性 に向き合い、取り込めたか︖ プランニングの段階に おける変化バックログ の割合 プランニング時には積んでいたが結果的には ゼロ…できなかったのか︖結果がななかった Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. のか︖ ふりかえりする

48.

“不確実性を飼い慣らすⅢ” “ヤマ” をつくるタイミングをあらかじめ狙いすますのは、難しい “ヤマ” をつくるべきかどうか判断する「機会」のほうを設ける 不確実性 不確実性のヤマ をつくる判断 不確実性のヤマ をつくる判断 むきなおり Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 不確実性のヤマ をつくる判断 時間

49.

プロダクトマネジメントとして ”正しいプロセス・⼿順” だけに焦点を あてても、最適化の罠にはまる 可能性が⾼い Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

50.

不確実性に向き合い、 ときに従い、ときに乗り越える、 「モメンタムの選択」こそが マネジメントの意義 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

51.

不確実性を 飼い慣らせ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

52.

そして 不確実性を 愛そう Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.