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September 03, 24
スライド概要
2024年9月3日実施
栃木県地域公共交通活性化協議会 生活交通対策部会
R6共創・MaaS実証プロジェクト(モビリティ人材育成)選定事業
公共交通戦略人材育成事業 第1回セミナー 講演
講師: 伊藤昌毅(東京大学 大学院情報理工学系研究科 附属ソーシャルICT研究センター 准教授)
場所: 栃木県庁(栃木県宇都宮市)
動画: https://youtu.be/-YSCxGiri4o?si=K-12O55TJDtbYtFw
伊藤昌毅 東京大学 大学院情報理工学系研究科 附属ソーシャルICT研究センター 准教授。ITによる交通の高度化を研究しています。標準的なバス情報フォーマット広め隊/日本バス情報協会
栃木県地域公共交通活性化協議会 生活交通対策部会 R6共創・MaaS実証プロジェクト(モビリティ人材育成)選定事業 公共交通戦略人材育成事業 第1回セミナー 2024年9月3日 栃木県宇都宮市 栃木県庁 公共交通オープンデータを地域に活かす: データ活用による地域交通の可能性とそのために今なすべきこと 東京大学 大学院情報理工学系研究科 附属ソーシャルICT研究センター 伊藤昌毅
伊藤 昌毅 • • • • • • 東京大学 大学院情報理工学系研究科 附属ソーシャルICT研究センター 准教授 一般社団法人 日本バス情報協会 代表理事 静岡大学 土木情報学研究所 客員教授 専門分野 – – ユビキタスコンピューティング 交通情報学 – – – – – – – – 静岡県掛川市出身 2002 慶應義塾大学 環境情報学部卒 2009 博士(政策・メディア) 指導教員: 慶應義塾大学 徳田英幸教授 2008-2010 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特別研究助教 2010-2013 鳥取大学 大学院工学研究科 助教 2013-2019 東京大学 生産技術研究所 助教 2019-2021 東京大学 生産技術研究所 特任講師 2021-現在 現職 – 運行管理者(旅客) 経歴 資格 4
伊藤×国土交通省 • • • • • • • • • 標準フォーマット関連 – – – – バス情報の効率的な収集・共有に向けた検討会 座長(H28年度) 標準的なバス情報フォーマット利活用検討会 座長(H29年度) バス情報の静的・動的データ利活用検討会 座長(H30年度) GTFS-JPに関する検討会 委員(R2年度) – 公共交通分野におけるオープンデータ推進に関する検討会 委員(H29年度-R3年度) – – 都市と地方における新たなモビリティサービスのあり方懇談会 委員(H30年度) 新モビリティサービス推進事業有識者委員会 委員(R1年度) – 交通政策基本計画小委員会 委員(R1年度-R5年度) – シェアサイクルの在り方検討委員(R1年度-) – – 鉄道の混雑緩和に資する情報提供のあり方に関する勉強会 委員(R2年度) 中小企業イノベーション創出推進事業(SBIR フェーズ 3 基金事業) 「鉄道駅における安全性向上のための案内サービスの充実に係る技術開発・実証」採択 審査委員(R5年度) オープンデータ関連 MaaS関連 交通政策審議会 シェアサイクル 鉄道 点呼 – 運行管理高度化検討会・ワーキンググループ(R2年度-) – バス事業者の許可申請等におけるGTFS-JPの実務者協議会(R5年度-) – 「地域公共交通計画」の実質化に向けた検討会(R5年度) 申請オンライン化 地域公共交通計画
伊藤×経済産業省・総務省 • 経済産業省 オープンデータ関連 – 官民データの相互運用性実現に向けた検討会 座長(H29年度) – 情報共有基盤 利用促進ワーキンググループ 委員(H30年度) • 総務省 オープンデータ関連 – 地域情報化アドバイザー(R2年度〜R3年度)
伊藤×地方自治体 • • • • • • • 沖縄観光2次交通の利便性向上に向けた検討委員会 座長(H30年度〜) 群馬県バスロケーションシステム実証実験 アドバイザー(R1年度) さいたま市 スマート駅広研究会 副会長(R2年度〜R3年度) 佐賀市 街なか未来技術活用モデルプラン策定業務有識者会議 委員(R2年度) 東京都 東京都における地域公共交通の在り方検討会 委員(R2年度〜R3年度) 熊本市 熊本版MaaS勉強会 有識者委員(R3年度〜) 杉並区地域公共交通活性化協議会 会長(R3年度〜) • その他自治体主催のイベントでの講演多数 – 静岡県掛川市、石川県能美市、群馬県、島根県安来市、沖縄県、富山県、岐阜県、北海道など
2023年度講演(栃木県生活交通対策協議会) • 公共交通オープンデータの可能性:地域交通の発展につなげるために – https://youtu.be/Ck2xOUNReyA • 栃木県公共交通オープンデータ実演 〜宇都宮ライトレール開通でバスはど う変わった? – https://youtu.be/49E8oD_TWBM • 質疑応答
交通の未来を作る
昭和の 「未来の交通」 デイリーポータルZ 昔の雑誌の『未来予想図』を鑑賞する https://dailyportalz.jp/kiji/mirai-yosouzu-magazines
現在の「交通の未来」 • x 大成建設の未来ビジョン(2022) https://www.taisei-techsolu.jp/tech_center/topics/2030/ TOYOTA WOVEN CITY (2020) https://www.woven-city.global/jpn/
公共交通は衰退する?
コロナ禍・2024年問題・・・ • コロナ禍、2024年問題などが続き、公共交通事業の縮小が全 国で続いている • 地方における廃線・減便のみならず、十分な利用者がいる都内 の鉄道すら、減便や終電の繰り上げなどが行われている • 窓口の撤去、駅の無人化なども進む • 人口減少スピードを大きく上回るペースで公共交通サービスの 縮小が進んでいないか
公共交通とは: モビリティ提供に必要な車両・ エネルギー・空間などを共有し有効活用 • 多くの人の要求をマッチングして限られたリソースを有効に活用す るのは、シェアリングエコノミーと同じ • ITを使えばもっとうまく出来るはず 出典: i-SUSTAIN https://www.i-sustain.com/projects
福井での「負の社会実験」 ※福井市の人口:約26万人 • 2000年、2001年に相次いだ京福電気鉄道越前本線列車衝突事故を踏まえ て京福電鉄全線の運行停止命令 • 代行バスが輸送を代替するも、渋滞やバスの大幅な遅延が続き、地域の 通勤・通学が困難に • 地域社会も巻き込んだ積雪地における鉄道の効用が、運行休止後の降 雪・積雪時の代行バスをも巻き込んだ道路交通の麻痺という形で現れた ことで、経営上の黒字や赤字だけでは計り知れない鉄道存続の必要性を 社会に示す結果に • 第3セクター「えちぜん鉄道」として2003年から路線を継承 https://ja.wikipedia.org/wiki/京福電気鉄道越前本線列車衝突事故
シェア(共有)・乗合こそ 未来の交通の本質
シェア(共有)・乗合: 公共交通の本質 • 移動手段(車両)の共有 – 効率化のためにまとめて乗る • 1台にたくさん乗れる – 占有せずに使い回す • 駐車させる必要がない • 運転技能の共有 – 運転出来る人(自動運転でもいい)が多くの人を輸送 – 運転出来ない人でも移動が出来るように • 現時点では「鉄道・バス・タクシー」といった形で具現化
公共交通を採算性で評価しない • 一部の路線においては事業としての公共交通が成立 – 大都市間の輸送、首都圏などの都市内交通など一部のみ – 世界的にも例外的な状況 • 多くの路線・地域において公共交通は赤字が前提 – 公共交通によって都市や地域が機能するか否かが評価軸 – 運賃収入のみでは運行コストをまかなえないのがむしろ当然 • 運輸事業として独立採算を前提とした制度は持続出来ない
地域公共交通 ※ 行政用語の「地域公共交通」は採算性で評価出来ない公共交通の総称 • 都市交通 – 交通手段を共有しないと混雑(渋 滞)してしまう都市部で、道路や 駐車場を有効に使うために公共交 通を中心とした交通網を構築する 政策 – ビジネスマン・勤労者・生徒学生 の移動を支える利便性や信頼性が 必要 – 人や産業の集約があれば、いわゆ る大都市でなくても必要となる • 生活交通 – 自家用車中心で成立する規模の地 域で、移動手段を持たない人の生 活を成り立たせるための政策 – 移動をまとめることが難しいので、 個別需要を効率的にさばく手法が 必要
ヨーロッパなどでは運輸連合を形成 • 複数の交通事業者を一体運用し統一的な公共交通サービスを実現する組織 – 交通事業者、自治体などが主導し結成される • 公費を投入しての運営が前提、運賃収入は半分以下 • ドイツ、フランスなどで導入が進む – 1965年にドイツ ハンブルグで始まる • 運輸連合の役割(例) – 統一的な運賃システムの構築と販売のマネジメント – 事業者間での運賃調整 – 地方自治体や事業者との契約に関するマネジメント – ローカル線の維持管理と品質管理 – 旅客輸送の計画策定 – マーケティングと乗客への情報提供 https://www.itej.or.jp/assets/seika/jijyou/201209_00.pdf 運輸連合の概要と日本への示唆 −ドイツ・ベルリンを例に−(渡邉亮) 参照
公共交通を活かしたまちづくりの成熟 • モータリゼーションが先行したヨーロッパにおいて、中心市街 地を公共交通によって活性化する施策が一般化 – 数十万人規模の都市でもトラムを整備、赤字前提の運営 • LRT導入、歩行者専用道路、トランジットモール… フランス オルレアン https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Rue_Jeanne_dArc_Tramw ay_Orleans.jpg フランス ストラスブール http://uemuraakifumi.com/machi/858 ドイツ カールスルーエ https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Heilbronn_Bah nhofsvorplatz_Stadtbahn01_2002-09-08.jpg
日本やアメリカでも続く動き • 世界的にも自家用車から脱却し公共交通を中心としたまちづく りがすすめられている アメリカ ポートランド http://kcube.zouri.jp/potland-notoshikoutuseisaku.html 台湾 高雄 https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Kaohsiung_LRT_Circu lar_Line_at_Gate_of_Kaohsiung_Port_20180621.jpg 富山市 http://www.toyamashi-kankoukyoukai.jp/?tid=100846
自動運転が作る未来も、むしろ 「街」が主役
City of Tomorrow with Autonomous Vehicles (Drive Sweden) • 自動運転によって街がどう変わるかというビジョン – 街の空間を車のための場所から人のための場所へ • • • • • • 道路標識が不要に 道路を効率よく使えるようになり歩道が広がる 駐車場を街の中心に作らなくてよい 駅に到着したときに待たずに出迎え 自動運転トラックの隊列走行で効率よく 計画的に積み荷を処理することで駐車場削減 https://www.youtube.com/watch?v=WmYsWYDQxuI
再掲: 地域公共交通 ※ 行政用語の「地域公共交通」は採算性で評価出来ない公共交通の総称 • 都市交通 – 交通手段を共有しないと混雑(渋 滞)してしまう都市部で、道路や 駐車場を有効に使うために公共交 通を中心とした交通網を構築する 政策 – ビジネスマン・勤労者・生徒学生 の移動を支える利便性や信頼性が 必要 – 人や産業の集約があれば、いわゆ る大都市でなくても必要となる • 生活交通 – 自家用車中心で成立する規模の地 域で、移動手段を持たない人の生 活を成り立たせるための政策 – 移動をまとめることが難しいので、 個別需要を効率的にさばく手法が 必要
サービスレベルに向き合う • 公共交通が、都市の生活者・ 来訪者が使いたくなるサービ スレベルになっているだろう か? • 路線を絞り、便数を減らした 方が採算性が高くなる可能性 がある。都市交通としてそれ でいいのか?
公共交通のデータ活用 • 採算性を評価し減便するべき路線を探す • 路線の廃止、統合をシミュレーション • 都市交通として必要とされるサービスレベルを評価 • ボトルネックを見つけ出し関係者に提言
熊本で社会目標化した 「車1割削減、渋滞半減、公共交通2倍」 (株)トラフィックブレイン 代表取締役 太田恒平 33
NICT Beyond 5G 研究事業をやっています 行動変容と交通インフラの動的制御による スマートな都市交通基盤技術の研究開発 組織 東京大 学 期間: 2021年度〜2023年度 予算: 7.8億円/3年 所属・役職 代表者 担当分野 情報理工学系研究科 准教授 伊藤昌毅 交通情報、AI交通信号 生産技術研究所 教授 大口敬 交通工学、道路信号 空間情報科学研究センター・ 瀬崎薫 生産技術研究所 教授 情報ネットワーク、IoT、モバイ ル空間センシング 情報理工学系研究科 准教授 塚田学 ITS通信技術 工学系研究科 教授 中尾彰宏 次世代サイバーインフラ 生産技術研究所 教授 中野公彦 機械生体システム制御工学 生産技術研究所 教授 ペニントン デザイン先導イノベーション マイルス 生産技術研究所 准教授 本間健太郎 空間デザイン数理 トラフィックブレイン 代表取締役 太田恒平 ダイヤ改善、交通情報 MaaS Tech Japan 代表取締役 日高洋佑 MaaSデータ基盤 公共交通分野について、熊本をフィールドに研究中 34
熊本都市圏における研究の目標・取組 目指す姿 車1割削減、渋滞半減、公共交通2倍 車の分担率64%の1割(6%)が転換すれば、公共交通の分担率は6%から12%へ倍増 そのために ①遅延・渋滞改善 交通関係者 の行動変容 計画 〜バスの遅れ5分以内へ〜 ②公共交通マーケティング 〜データに基づき潜在需要に働きかけサービスレベル設定〜 利用者 の行動変容 財政・経営・ 政治・有権者 の行動変容 情報 ③オープンMaaS 投資 ④交通投資再構築 〜優れたサービスが広く使え先端技術が生まれる都市へ〜 〜独立採算・赤字補填・道路偏重から脱却〜 35
バス利用者2倍増構想 with 共同経営推進室 ターゲット 目的 属性 発着地 バス利用 徒歩以外 トリップ 現状 現状 /年 トリップ/年 シェア 目標 シェア 主な施策案 中高生 - 2254万 73万 3.3% 6% 入学説明会、路線・ダイヤ見直し、割引策 大学生 - 538万 51万 9.6% 16% 説明会、路線・ダイヤ見直し 1732万 429万 24.8% 31% 市電連携、共通定期、サイネージ 通勤 社会人 他熊本市着 9836万 370万 3.8% 8% 新規路線、乗継改善、乗継運賃 熊本市外着 6069万 60万 1.0% 7% 企業通勤バス 21286万 529万 2.5% *8% 割引策 熊本市発 4284万 455万 10.6% *11% 体験会、ミニサイネージ 熊本市外発 1966万 64万 3.3% *7% 敬老パス、体験会 47965万 2032万 4.2% 9% 通学 中心部着 私用 社会人 中高生 - 高齢者 合計 • 従来は、中心部への通勤と高齢者(特に熊本市おでかけIC)へ注力してきた • 通学・通勤・私用・高齢者のグループに分け、目標設定、施策立案、実行をしている。 • 研究PJとしては、データ分析(特に共通策)、システム開発を担当。
研究目標が社会目標へ 大西市長マニフェスト 熊本県渋滞解消推進本部 資料
熊本県知事・熊本市長 トップ会談 KAB:https://www.kab.co.jp/news/?NewsData=202407180930.php&path=video/202407180930.mp4&mode=1 Kkt:https://news.ntv.co.jp/n/kkt/category/society/kk0ffbe745805148b4afec77753b21c5f6
2. 都市型バスのあり方
国策からこぼれ落ちている都市型バス 都市型バスに乏しい財政措置 • ハード面から底上げした新バスシステム・オムニバスタウン事業の消滅 • 自治体間の「地域間幹線」が国補助の主体 • 幹線とは名ばかりで、輸送量最大150では10人×15便程度の閑散路線 • 政令市はフィーダー補助、交付金も冷遇 • 国補助に連動した車両補助も無いため、過疎地は新車、中心部は旧型車ばかり • 国補助が無いことで自治体内の財政的優先度が落ちてしまう • 道路にはたっぷり国費がつくのと対照的 相変わらずの事業者依存 • 社会的にはサービス増が期待されるも、縮小均衡から抜けられない • サービス低下 → 利用低迷 → 車依存 → 渋滞 → 速達性低下 …の悪循環のまま と国のせいだけにせず、地域主体で悪循環から抜けなければならない 48
利用者2倍に向けたアプローチ 加藤先生流に言えば「基本コンテンツ」 サービス(路線・ダイヤ) 所要時間 × 公的投資の覚悟が必要 縮小均衡を超えた 増便には多大な費用 バスレーン等が必要 (速達性・定時性) 定時性は事業者の ダイヤ次第で改善可能 × 運賃(割引) 事業者負担では限界 政策的割引の確立へ 認知(案内・PR) 比較的低コストだが チリツモの効果 × 49
増便すれば利用者は増えるが、多くの場合赤字も拡大 富山ライトレール 栃木県小山市 おーばす 本数を3.5倍(曜日不明) 11年で1.8倍の経費増 ↓ ↓ 平日は2.2倍(感度0.49) 利用2.0倍(感度1.2) 休日は5.3倍(感度1.75) 富山県朝日町 5年で便4.1倍 ↓ 利用2.8倍(感度0.6) 山形県鶴岡市 50 便数4倍 ↓ 利用3倍(感度0.7) ※ルートを再設計、 バス停を58→79に増設 一概には言えないが、 100%(2倍に)本数を増やせば50%利用増は見込める!?
51 増便・バスレーンシミュレーション(平日1日の例) 運転時間削減 短縮時間 バスレーン 短縮 適用 幹線 [分] 率 Lv 方面 路線(断面) 1_植木 1A_徳王 1B_池田三丁目 2A_高平橋 3 50% 2B_須屋小屋 3 50% 2C_城北校前 3 100% 2D_立田山 3 100% 3A_高杉 3 100% 3B_武蔵陸橋 3 100% 3C_塚の本 3 100% 3D_江南病院前 3 100% 4A_渡鹿四丁目 5 100% 4B_熊本学園大学入口 5 100% 4C_帯山小学校入口 5 50% 4D_京塚 5A_小楠公園前 3 50% 5B_東野中学校前 6A_下江津 6B_江津三丁目 6C_田井島(浜線バイパス) 6D_田迎(旧浜線) 6E_県立高等技術専門校前 7A_熊日前(国道) 7B_熊日前(旧道) 8A_新土河原一丁目 8B_島団地入口 8C_野口町 8D_野中公民館前 8E_稲荷入口 8F_高橋中間 2_合志・ 菊池 3_菊陽・ 大津 4_長嶺 5_益城・ 空港 6_嘉島 7_宇土・ 宇城 8_田崎・ 城山 増便率 時短感度(4%/分)を乗算 比例 反映 ×増便感度(0.5) 往復数 運転時間[h/日] 経費概算[円/日] 混雑 幹線部 輸送人員 収支概算[円/日] 増便 増加 1便人 増便増 増便増 レーン 増加 収入 収支率 収入 収支率 収支 現行 現行 増加 現行 増加 現行 増加計 後 率 数 加 加率 増加 率計 現行 現行 増加 増後 増減 8 91 123 177 62 35% 1,247千 439千 29.0 5,273 927 18% 0 927 18% 1,179千 95% 207千 82% -231千 2 23 34 14 7 48% 100千 48千 15.8 726 174 24% 0 174 24% 106千 106% 25千 89% -23千 3 38 49 71 18 26% 503千 128千 28.6 2,171 314 14% 149 463 21% 435千 87% 93千 84% -35千 3 24 49 65 65 100% 456千 457千 35.4 1,698 884 52% 155 1,039 61% 432千 95% 265千 76% -193千 3 33 49 61 24 40% 426千 172千 28.0 1,846 448 24% 275 723 39% 351千 82% 138千 82% -35千 3 42 49 77 8 10% 539千 55千 30.3 2,541 212 8% 330 542 21% 465千 86% 99千 95% 44千 3 41 49 58 6 11% 406千 45千 25.5 2,088 204 10% 275 479 23% 384千 95% 88千 105% 43千 3 38 49 64 14 21% 454千 97千 25.4 1,931 279 14% 265 545 28% 367千 81% 103千 85% 6千 3 29 49 50 29 59% 349千 206千 25.4 1,475 509 34% 238 747 51% 283千 81% 143千 77% -63千 3 28 49 45 29 64% 318千 204千 20.7 1,160 435 38% 191 626 54% 223千 70% 120千 66% -83千 6 61 93 81 27 33% 568千 189千 22.5 2,739 718 26% 691 1,410 51% 523千 92% 269千 105% 81千 6 65 93 104 29 28% 733千 206千 22.3 2,905 626 22% 706 1,332 46% 593千 81% 272千 92% 66千 8 78 123 118 59 50% 831千 416千 20.2 3,125 917 29% 404 1,322 42% 545千 66% 230千 62% -185千 8 93 123 137 44 32% 964千 311千 25.7 4,776 770 16% 0 770 16% 813千 84% 131千 74% -180千 6 75 93 130 28 21% 919千 196千 27.6 4,108 510 12% 277 787 19% 811千 88% 155千 87% -40千 2 21 34 55 34 62% 384千 238千 22.6 951 294 31% 0 294 31% 219千 57% 68千 46% -170千 2 18 34 31 29 94% 215千 203千 21.2 741 349 47% 0 349 47% 149千 69% 70千 52% -133千 2 12 34 17 33 196% 118千 232千 17.0 390 382 98% 0 382 98% 71千 60% 70千 40% -162千 2 21 34 30 19 62% 213千 132千 14.6 613 190 31% 0 190 31% 101千 47% 31千 38% -101千 8 93 123 171 56 33% 1,201千 396千 19.8 3,668 605 16% 0 605 16% 815千 68% 134千 59% -262千 2 26 34 34 10 31% 237千 73千 13.1 683 105 15% 0 105 15% 118千 50% 18千 44% -55千 2 28 34 32 7 24% 223千 53千 13.2 726 86 12% 0 86 12% 144千 65% 17千 59% -36千 4 46 63 61 24 38% 432千 166千 21.8 1,984 382 19% 0 382 19% 403千 93% 77千 80% -89千 2 32 34 31 2 8% 216千 17千 6.4 405 16 4% 0 16 4% 83千 39% 3千 37% -14千 2 16 34 16 19 113% 116千 130千 12.7 407 229 56% 0 229 56% 88千 76% 49千 56% -81千 3 44 49 57 7 11% 405千 46千 15.7 1,382 79 6% 0 79 6% 309千 76% 18千 72% -28千 2 36 34 27 -2 -6% 193千 -11千 7.3 522 -15 -3% 0 -15 -3% 93千 48% -3千 50% 8千 2 23 34 33 17 51% 233千 119千 13.4 601 154 26% 0 154 26% 125千 54% 32千 45% -87千 3 31 49 33 19 58% 230千 134千 17.7 1,096 318 29% 0 318 29% 209千 91% 61千 74% -73千 1日集計 全幹線 1,202 1,698 terminal桜町路線2,998 3,495 all 全路線 4,596 5,093 41%・496便増 1,878 2,571 3,818 723 723 723 39% 13,232千 5,098千 28% 18,115千 5,098千 19% 26,901千 5,098千 39%・510万円経費増 52,731 11,100 65,527 11,100 81,442 11,100 21% 17% 14% 3,958 3,958 3,958 15,058 15,058 15,058 29% 10,436千 23% 12,494千 18% 15,374千 29%・1.5万人利用増 79% 2,986千 69% 2,986千 57% 2,986千 73% -2,112千 67% -2,112千 57% -2,112千 299万増収 211万減益
増便・バスレーンによる渋滞緩和の推計(太田私案) 増便 • 熊本市の幹線8方面のバスを48%増便。日中は7.5〜30分間隔に設定 シナリオ • 増便率の0.5倍の利用増を仮定(20%増便なら10%利用増) バスレーン • 3箇所の所要時間を3~5分短縮と設定 • 所要時間×4%/分 の利用増を仮定(5分短縮なら20%利用増) 利用増・収支 • 年532万人(32%)、9.3億円減益 推計結果 渋滞解消効果 • 交通量︓年403万⼈削減 • 速度︓14.0→15.1km/h(中央区平⽇8時)、⾛⾏時間︓178万時間短縮 • 便益︓47.6億円(公費⽀出の5.1倍の効果) ⾞1⼈削減あたり中央区1814円、他区824円
バスレーンの検討 ■候補の考え方 バスロケ速度の 中央値[km/h] ②浄行寺~子飼橋 ①産業道路 1. 4車線以上 2. 既存のバスレーンと接続 3. バスの朝ピーク速度が10km/h未満 4. ピーク輸送力が400人/時以上 (利用が倍増すれば 一般車線の輸送力を上回る) ↓市長への提案をきっかけに 熊本市のバス機能強化部会にて 導入を検討中 ③県庁通り・ 第二空港線 道路管理者・県警と合意しながら 進めるには政治のリーダーシップ が不可欠!
増便・バスレーンによる渋滞緩和の推計 増便 • 熊本市の幹線8方面のバスを48%増便。日中は7.5〜30分間隔に設定 シナリオ • 増便率の0.5倍の利用増を仮定(20%増便なら10%利用増) バスレーン • 3箇所(産業道路、子飼橋-浄行寺、県庁通り)の所要時間を3~5分短縮と設定 • 所要時間×4%/分 の利用増を仮定(5分短縮なら20%利用増) 利用増・収支 • 年532万人(32%)、9.3億円減益 推計結果 渋滞解消効果 • 交通量︓年403万⼈・0.7%削減(中央区は177万・2.2%削減) • 速度︓14.0→15.1km/h(中央区平⽇8時)、⾛⾏時間︓178万時間短縮 • 便益︓47.6億円(公費⽀出の5.1倍の効果) ⾞1⼈削減あたり中央区1814円、他区824円
バス遅延改善 現状:平日朝夕・土曜日中に 5分以上の遅延が常態化 最大遅延時間(起点〜終点間での遅延の最大値)の中央値 DiaBrain:バスロケデータを基に 遅れの少ないダイヤを自動で設定 例)桜町BT→植木駐車場 15:32の便 植木 駐車場 2021年4-6月 中央値[分] 5分以内率 植⽊駐⾞場 植⽊病院・かがやき館前 北区役所前 植⽊五丁⽬ 植⽊三丁⽬ 植⽊(熊本) 植⽊⼀丁⽬ 植⽊宮の前(市場前) 投⼑塚 向坂 古閑⼩屋 ⿅⼦⽊ 北部まちづくりセンター前 御⾺下 四⽅寄 南原(熊本市北区) 昇⽴ ⼤窪⼆丁⽬ ⼤窪(熊本) 五⼾窪 ⾺々鋏 清⽔台団地⼊⼝ 徳王 ⼭伏塚 池⽥⼆丁⽬ 池⽥⼀丁⽬ 岩⽴⼩路 出町三丁⽬ 往⽣院前 京町本丁 裁判所前(熊本市) 新堀町 家庭裁判所前 市役所前(熊本) 桜町バスターミナル 時間調整 時間調整 時間調整 時間調整 実績に合わせて 便ごとにダイヤを 自動修正 旧ダイヤ 新ダイヤ 実績(2021年4〜9月) 桜町BT 15:32 15:42 15:52 16:02 16:12 16:22 16:32 15:32 15:42 15:52 16:02 16:12 16:22 16:32 遅れ5分以内を目指し熊本5社で実施中
熊本バス 中央病院線 下り(土曜) 15 15 10 10 5 5 0 0 07:22 09:18 11:25 14:18 15:10 16:05 17:15 18:13 下上島・バイパス 07:27 09:20 11:25 15:15 2023年度にコロナ回復した分を考慮しきれなかったのが、実は心残り 16:05 17:15 イオンモール熊本 下上島・バイパス 17:00 鯰・バイパス 鯰入口 中央病院で 6分以内に 中の瀬・西 15:30 中の瀬車庫 宇⼟〜三⾓では 概ね10分以内に 中の瀬車庫入口 画図パークタウン 14:00 浜線健康パーク入口 田井島(浜線バイパス) 12:30 熊本中央病院 11:00 長溝入口 20 09:30 八王寺団地前 2022年度4⽉⼟曜 中央病院線P4-2下り(中央値) 08:00 八王寺 18:30 ワンダーシティ前 0 九品寺六丁目 0 九品寺五丁目 5 西原公園・九品寺三丁目 5 建設会館前 10 水道町 25 尚絅校前 20 通町筋 10 市役所前(熊本) 15 1_桜町バスターミナル 2_熊本駅前 3_十禅寺町 4_平田町(国道) 5_上近見(国道) 6_日吉校前(国道) 7_下近見(国道) 8_高江町 9_南高江(国道) 10_熊本農業高校前 11_緑川橋(国道) 12_宇土駅東口 13_松原(宇土) 14_住吉駅前 15_長部田 16_東長浜 17_網田駅前 18_大田尾 19_三角西港前 20_五橋入口 21_登立 22_大矢野庁舎前 23_さんぱーる 24_二号橋 25_前島 26_リゾラテラス天草 27_遊覧船のりば前 28_松島 29_松島郵便局前 30_今泉三差路 31_知十 32_小畦橋 33_大浦(天草) 34_須子 35_赤崎(天草・下津江) 36_下津江四郎ヶ浜ビーチ 37_上津浦漁協前 38_下津浦 39_小島子 40_島子 41_志柿 42_瀬戸大橋 43_天草中央総合病院前 44_本渡バスセンター 45_天草市役所前 46_天草警察署総合庁舎前 47_産交車庫前(天草) 2022年度4⽉⼟曜 桜町→天草(中央値) 桜町バスターミナル イオンモール熊本 17:00 鯰・バイパス 鯰入口 中の瀬・西 15:30 中の瀬車庫 中の瀬車庫入口 画図パークタウン 14:00 浜線健康パーク入口 田井島(浜線バイパス) 12:30 熊本中央病院 長溝入口 八王寺団地前 11:00 八王寺 ワンダーシティ前 九品寺六丁目 09:30 九品寺五丁目 西原公園・九品寺三丁目 08:18 建設会館前 15 1_桜町バスターミナル 2_熊本駅前 3_十禅寺町 4_平田町(国道) 5_上近見(国道) 6_日吉校前(国道) 7_下近見(国道) 8_高江町 9_南高江(国道) 10_熊本農業高校前 11_緑川橋(国道) 12_宇土駅東口 13_松原(宇土) 14_住吉駅前 15_東長浜 16_網田駅前 17_大田尾 18_三角西港前 19_五橋入口 20_登立 21_大矢野庁舎前 22_さんぱーる 23_二号橋 24_前島 25_リゾラテラス天草 26_遊覧船のりば前 27_松島 28_松島郵便局前 29_今泉三差路 30_知十 31_小畦橋 32_大浦(天草) 33_須子 34_赤崎(天草・下津江) 35_下津江四郎ヶ浜ビーチ 36_上津浦漁協前 37_下津浦 38_小島子 39_島子 40_志柿 41_瀬戸大橋 42_天草中央総合病院前 43_本渡バスセンター 44_天草市役所前 45_天草警察署総合庁舎前 46_産交車庫前(天草) 08:00 尚絅校前 水道町 通町筋 20 市役所前(熊本) 産交バス あまくさ号 下り(土曜) 桜町バスターミナル 2023 年度の 25 改善例 20 2023年度4⽉⼟曜 桜町→天草(中央値) 本渡BCで 16分以内に 18:30 2023年度4⽉⼟曜 中央病院線P4-2下り(中央値) イオンモール で10分以内に
遅延改善で利用は伸びるのか? ざっくり試算 熊本5社のバス待ち時間が1分短縮したら? 出発待ち時間短縮 利用者便益 増収効果 38万時間/年 1分×輸送人員2273万[人/年] 3.2億円 /年 38万時間×時間価値840[円/分] 1.3億円 /年 3.2億円×運賃弾力性0.4 =年間収入51億円の2.5% ダイヤ、信号、バスレーンの組み合わせで積み上げたい
運賃を安くすれば人は乗る
熊本県内バス・電車無料の日 バスターミナル併設商業施設開業の 渋滞対策のため、グループトップの決断で無料化 62
市電・バスが大繁盛 行列ができる市電@新水前寺 満席のバス@植木
空気に補助金より、利用者に政策的割引を by 共同経営推進室 第105回土木計画学ワンデイセミナー 「地域公共交通プライシングの新提案 -運賃設定にまつわる固定観念を越えて-」 九州産交バス 今釜氏資料より 64
参考)ウィーンの公共交通運賃 市営の地下鉄・路面電車・バス、旧国鉄、民間路面電車などを含めた統一的な運賃体系 市内なら乗り継いでも追加運賃は不要 券種 期間 普通きっぷ (乗継可) 時間券 日券 年券 運賃 大人€2.4 6-15歳€1.2 65-歳€1.5 24時間 €8.0 48時間 €14.1 72時間 €17.1 1日 €5.8 7日 €17.1 31日 €51.0 365日 大人€365.0 65-歳€235.0 券種 対象者 期間 エリア 価格 Top youth pass 14-23歳 学生 年度 東オーストリア 地域 €82.0 Youth pass 〃 年度 授業日 自宅〜学校等 €19.6 Semester ticket -25歳 学生 夏or冬 学期 ウィーン市内 €75.0 Summer holidays monthly ticket 〃 夏休み ウィーン市内 €29.5 普通運賃は高めだが 年間57,500円(76往復分)で 誰でも市内乗り放題 学生は年間12,900円で 県内乗り放題
乗継割引による渋滞緩和の推計 乗継割引 シナリオ • バス⇔バス、バス⇔市電/電鉄/JRの初乗り分を公費で補填 • 割引により乗継が2倍(現在約6%→12%)と仮定 • 乗継増加のうち7割が新たな公共交通利用と仮定 利用増・収支 • 年207万人(10%)利用増、4.4億円減収補填 推計結果 渋滞解消効果(増便・バスレーンに加えて) • 速度︓15.1→15.5km/h(中央区平⽇8時)、⾛⾏時間︓61万時間短縮 • 便益︓16.2億円(公費⽀出の3.7倍の効果)
公共交通DXとデータ活用
データという視点が前景化
日本: MaaS関連データの連携に関するガイドライン • 2020年3月 国土交通省が公開 – 現在: Ver. 3.0
ワンソース・マルチユース 乗り換え案内 マイ路線図・マイ時刻表 公共交通 オープンデータ 交通分析 service_id route_name 平日 250号線 [3102](片上→岡山駅) 行ラベル 06:52 08:40 10:35 15:11 17:05 総計 計画 最小 中央値最大 120 83 92 102 106 78 78 83 90 100 76 76 80 84 75 79 81 88 80 85 87 98 111 60 79.4 82 89 96 • • 40 計画 中央値 20 最小 最大 17:05 15:11 10:35 08:40 06:52 0 データを使った様々なアプリ開発や 交通分析が実現 データ分析やアプリ開発によって公 共交通の利便性が向上
データの階層 解釈のためには下層の データ(知識)が必要 • 経営・収支 – 運賃収入、運行費用、B/C • 需要 – 移動需要、交通分担率、交通アプリとの接触 • 利用 居 – 乗降人数、ODデータ、行程全体の発着地、乗車密度、ユニークユーザ数、 移動目的 • 運行 – GPSデータ、遅れ・定時性、車両運用、給油・消費エネルギー • サービス・供給 – 路線、駅・バス停、時刻表、頻度や本数 • 都市・環境 – 地図、道路ネットワーク、人口、産業、着地
そもそもDXとは? • 企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル 技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、 ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、 プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立す ること – 「DX推進指標」における定義, 経済産業省, 2019年7月 • 結果:顧客や社会のニーズに基づいた製品やサービス • 手段:データとデジタル技術を活用 • 波及効果:業務、組織、プロセス、企業文化・風土の変革
DXの実現とは:デジタル人馬一体で高速PDCA が継続する状態を作る • すべてITがやってくれる – AI・自動運転を導入して任せればオッケー • 絶え間なくデータを突き付けられ、迅速な判断・実行を求められる – 判断の結果も、デジタル技術のおかげで即現場に反映される – 「何を判断するか」自体も進化する • 乗りこなす人間の側に相応の能力が求められる→組織風土の変革 – 「顧客や社会のニーズに基づいた交通」をあらゆるスケールで考え続ける必要 – 事務職において「同じ仕事をミスなくやり続ける」スキルからの脱却
都市交通計画はそもそもデータ活用? DXによって長期PDCAサイクルを活性化・実質化 データ 改善 パーソントリップ調査 地域公共交通計画 都市交通マスタープラン 都市・地域総合交通戦略 実施計画 DXのサイクルは 数日〜数ヶ月 データに基づいた課題解決? 5年サイクルの地域交通計画 現状の課題に対する地域交通資源の配分? 立地適正化計画 10年サイクルの都市交通計画 データに基づいたべき論? • • 数日から数ヶ月の超短期サイクルが常に回っていることで、 長期的なサイクルにおける質やスピードも高まる 長期計画が示すビジョン・目標・スケジュールとの整合性 を常にチェックする
交通DXの対象の半分は行政組織 制度・政策・補助金の 効果や評価は? 国交省 制度・法令 地域交通のデータ一式 が溜まる(ただし紙) 運輸局 紙による 届出・申請・監査 検索、呼出、支払などの デジタル化が進行中 政策・補助金 協議会を開催 (ただしデータなし) 交通行政のDX 公共交通 事業者 自治体 スマホ アプリ 自治体へのデータ 提供義務なし 交通サービスのDX • 交通行政のDXが進まない限り公共交通事業者は帳票地獄が続く 利用者
交通DXは誰がどう実施する? • 交通DXは交通事業者、自治体(地域交通部門)、地方運輸局、 国交省(交通政策部門)それぞれが進める必要 – 本日のテーマは自治体(地域交通部門)におけるDXと認識。ただし他の主体の DXが進まなければデータが流通しないので、全体で進める必要がある – 組織力から交通事業者のDXが全体のDXを引っ張る可能性 • データの流れを作る必要 – 取り組みの結果となるデータが返ってくるように – 交通行政DXにおいては運輸局への申請・届出のデジタル化、データに基づく政 策評価が重要
未知・未来の技術をあてにするのは思考停止 • • • • 都市OS – 雰囲気だけのキーワードであり何の実態もない。 – – – データ流通の肝はオープン化と標準化。初手で「プラットフォーム」は不要 パワポに円筒形の絵は溢れているが本物のデータプラットフォームはほぼ存在しない 「プラットフォーマーが囲い込んで云々」はほぼ過剰反応 – – – 大きなゲームチェンジャーだが発展途上の技術。現時点での「実証実験」は無意味。 方向性1: 現時点での技術レベルで徹底的に実用化を目指す。(米国・中国の事例) 方向性2: 基礎技術に徹底的に投資し技術者に仕事をさせる。 – 補助金をあてにした低品質なシステムが乱立。田舎で小規模・低コストで「実証」している限り技術を検証・改良・淘汰出来 ない 都市向け: 自動運転の実用化を見越した先行投資。タクシー・ライドシェアの進化形を技術論から議論するべき。 田舎向け: AIは不要。地域や自治体を束ね、継続的な公金の投入を確約して最低限投資に値するマーケットを作る。紙と電 話のレベル感を維持しながら、導入しやすく使いやすい共通システムを構築 データプラットフォーム 自動運転 AIオンデマンド交通 – – • パワポ上ではデータプ ラットフォームと称する ただの絵をよく見ますよ ね MaaS – – 日本においてはスマホによる簡易な割引チケットシステムに落ち着いた 交通系ICカードの欠点(高コスト・柔軟性の欠如)が存在理由。現状はデータの分断の要因でもある。
交通DXで本来目指すべきこと デジタルなら「顧客や社会のニーズに基づいた交通」を別次元で実現出来るはず
交通資源台帳のデジタル化・リアルタイム化・共有 • 地域の路線・車両・人員 などの資源をデータ化し リアルタイムに更新・共 有 – 利用者向けにはGTFS/GTFSRTなどの形で実施済み • リアルタイムにデータ化 されていなければ「地域 の輸送資源を総動員」は 無理
地域の交通モード別移動実績(分担率) • 自家用車、バス、鉄道な どの利用者総数を経路ご とに可視化 – 熊本において各種交通統計や ICカードデータを利用し作成 – PT調査データに類似している が経路単位の精度は無い • 分担率を視覚的に把握。 交通モードを俯瞰して政 策立案へ
交通サービスレベルの可視化・評価 中心地からの到達時間 地域ごとの通える高校数
顧客や社会のニーズに基づいた交通とは? • 交通事業者の内情に合わせたサービス – 交通事業者単独での収支改善 – 運転手不足に合わせた減便 • 移動の課題を解決するサービス – 通勤、通学、通院の足の確保 – 渋滞の解消
国土交通省における交通DX? • 地域公共交通の「リ・デザイン」3本柱のひとつ – 交通DX – 交通GX – 3つの共創 • DXを誤用・限定解釈 – DX・GXと並べることで何でもアリに 「交通DX・GXによる経営改善支援事業」より
交通DX: 顧客や社会のニーズに基づいた交通に向けて • 交通DXの半分は交通行政のDX。行政の役割は大きい • 都市交通はデータで課題を把握し改善を進める余地が大きい – 10万〜300万人程度規模の都市圏か • ITが答えを出すのではなく、何を評価するかで結論が変わる。 事業者単独の収支ではなく都市交通の全体を評価するべき • サービスレベルの目標を設定したい。データを用いれば達成状 況の精密な算出が可能 • 公金の投入で技術開発への投資が可能なように – かつては都市新バスシステム、オムニバスタウンなどで技術開発が進んだ
地域交通における行政の役割の高まり • 地域交通法(活性化再生法) 改正で地域交通のリ・デザイ ンを求めている • 協議会の開催など地方自治体 に期待される役割は大きい
地域公共交通会議など • 市町村が主体となり、地域の交通事業者や利用者などを集めた 協議会を開催できる 出展: 中部運輸局愛知運輸支局 「地域公共交通会議等運営マニュアル」
地域公共交通計画の策定 • 地域公共交通計画は「自分たちの地域 ではこのような考え方で地域公共交通 の持続的な提供を行います」という宣 言文 • 事業実施に当たっての住民・議会への 説明、予算要求時の財政協議などに際 し“法定の”計画に事業が位置付けら • れていることが根拠となる • 地域の関係者は協議への“応諾義務”や “結果の尊重義務” https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/content/001633211.pdf
ところでGTFS
GTFS形式の公共交通オープンデータ整備が進行中 バス業界において「標準化」「オープン化」が同時に進行 路線 時刻 運賃 リアルタイム GTFS: 国際的な標準フォーマット(標準的なバス情報フォーマット・GTFS-JPと互換) 乗換案内・MaaS サイネージ・印刷物等 交通分析・計画 106
2019年2月:90 2019年7月:126 108 21年1⽉ 20年10⽉ 20年7⽉ 20年4⽉ 20年1⽉ 19年10⽉ 19年7⽉ 19年4⽉ 19年1⽉ 18年10⽉ 18年7⽉ 18年4⽉ 2018年11月:30 18年1⽉ 2018年7月:23 17年10⽉ 17年7⽉ 事業者数 350 300 250 200 150 100 50 0
順調にオープンデータが増加 700 600 500 400 300 200 100 0 オープンデータ提供事業者数
GTFS形式 • 世界で広く使われる形式(GTFS-JP, 標準的なバス情報フォーマットもほぼ 同等) • 乗換案内に必要な情報(バス停・駅+路線+時刻表+運賃)をまとめて格納 したファイル形式 バス停/駅+路線 時刻 運賃
GTFS: Googleによるデファクト スタンダードが出発点 • 2005年オレゴン州ポートラン ドの公共交通事業者とGoogle によりGTFSという標準規格が 作られた – 2010年前後から米国で普及 – オープンデータとして公開 • 現在はGoogleの手を離れ、世 界中でデータが作られている http://qiita.com/niyalist/items/5eef5f9fef7fa1dc6644
オープンデータとして自社などのWebページで公開 • Webページからデータを誰でもダウンロード出来るように
GTFS データリポジトリの開発(2021~) • 国土交通データプラット フォームにGTFSデータを投 入するために開発 – 国土交通省技術調査課 – 受託・社会基盤情報流通推進協議会 (AIGID) – 協力・ 日本バス情報協会 • 自治体、バス事業者がデータ を公開、管理するためのプ ラットフォームとして 119
GTFSデータリポジトリを利用してデータ公開 • GTFSデータリポジトリにデータを登録、自社Webからリンク
GTFSリアルタイム(バスロケ)提供も増加中(67事業者) • 便ごとのバス停通過時刻、緯度経 度情報などをリアルタイム公開 – Protocol Buffer形式 • 混雑情報も提供可能 – 2020年より宇野バス、横浜市交通局が対応
2020年: 都バス・横浜市営バスの GTFS-JP・GTFSリアルタイムデータ公開 • 公共交通オープンデータ協議会(坂村健会長) による取り組み – 公共交通オープンデータセンター • 都バスは、Google Mapsでバスロケを考慮し た検索が可能に 2019年3月
オープンデータから様々なアプリが開発される • 大企業、ベンチャー−企業、個人がアプリ開発
Google Mapsへの掲載 • GoogleはGTFS形式によるオープ ンデータを推奨 • 乗換案内に掲載されていない自治 体やバス事業者が利用促進のため にデータ整備 • 訪日外国人が利用するのはGoogle Maps
「駅すぱあと/Yahoo!乗換案内」がオープン データを採用 • オープンデータ化されたバスデータを経路探索に採用 https://ekiworld.net/personal/app/spec/info.html?style=pc
GTFSリアルタイムで攻めの情報発信 • バスロケやアラートを標準フォーマットで積極公開、利便性向上へ
GTFS-JPオープンデータ整備の効果 • 北恵那バス馬籠線での調査 – 利用者の多く(76%)は外国人。馬籠宿 から妻籠宿へ向かうルートが大半 – 外国人のうち欧米の旅行者が85% • 外国人の15%がGoogle Maps検索で バスを知る。20代は4割以上 • 沖縄・石垣島での調査 – データ整備前(2018年2月)と整備後(2019 年8月)との比較 – 「バス・船の検索に不便があった」が約5割か ら約3割に改善 • • – 検索する際の不便や困難が大きく改善 • 2018年10月調査(中津川市が実施) http://www.city.nakatsugawa.gifu.jp/page/081195.html 国内: 約5割(n=88)から約3割(n=101) 海外: 約6割(n=9)から約4割(n=34) 検索できなかったとの回答が約7割から約3割に 2019年9月報告(沖縄県 観光2次交通検討委員会資料) https://oki2k.jp/files/ic_20190913_no4.pdf
バスロケーションシステムの基礎データ • 群馬県・富山県では2018年度整備したデータを活用しバスロ ケーションシステムの整備を推進 – GTFSリアルタイムデータのオープン化にも取り組む https://toyama.vtfm.jp https://www.pref.gunma.jp/04/h21g_00088.html
MaaSの基盤データとして • 北海道十勝MaaS実証実験の 基盤データの一部はGTFS-JP オープンデータ • 小田急+VAL研究所のMaaS プラットフォームに採用 http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/hokkaido-tokachi-maas.htm https://www.slideshare.net/KenjiMorohoshi/20200128shikoku-gtfsjp
サイネージでの活用
市民発のアプリも登場 • Aa 青バスなう! https://sonohino-kibunshidai.org/aobus_now/ UnoMap https://play.google.com/store/apps/details?id=work.momizi.unomap&hl=ja
• x 142
災害対応がついに実現 • 2018年の西日本豪雨を踏まえ てデータ整備の体制や訓練 • 2021年夏の水害による呉線の 運休・代行バス運行の際に、 オープンデータ整備公開・ Google Mapsにて検索可能に 143
QGISデモ
Webによるバスアナウンス 広告入稿実証実験@臨港バス 広告音声を作成 地図でバス停をクリック 期間と時間帯を設定
既存の仕組みがあるところで実現する難しさ • バス運行には様々な機 器・装置が複雑に関 わっており、簡単に変 えることが出来ない • 仕組みを理解している 業界の玄人の反応が 「どうせ出来ないだろ う」から「ここまで やっているのか」に変 わっていく
バスの車内放送を制御するIoT装置を開発 • IoTデバイスによるバス車載器の開発 • Webベースのコンテンツ作成システムの開発 • バス事業者 – 車内放送をコストからベネフィットへ • 広告主 8月9日夜に公園 で夏祭りを行い ます! – 柔軟でタイムリーな広告配信 – 地域のミクロな情報発信需要を掘り起こし • バス利用者 – 地域の中での移動と情報をバスが支えるように