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March 08, 23
スライド概要
2023年3月5日に徳島市で開催された「徳島県 公共交通利用促進「リレー」シンポジウム 乗ってのこそう!公共交通」における発表資料です。
https://www.pref.tokushima.lg.jp/ippannokata/kendozukuri/doro/7213767/
伊藤昌毅 東京大学 大学院情報理工学系研究科 附属ソーシャルICT研究センター 准教授。ITによる交通の高度化を研究しています。標準的なバス情報フォーマット広め隊/日本バス情報協会
2023年3月5日 徳島県徳島市 JRホテルクレメント德島 徳島県 公共交通利用促進「リレー」シンポジウム 乗ってのこそう!公共交通 デジタル技術が拡げる地域公共交通の未来 東京大学 大学院情報理工学系研究科 附属ソーシャルICT研究センター 伊藤昌毅
伊藤 昌毅 • 東京大学 大学院情報理工学系研究科 附属ソーシャルICT研究センター 准教授 • 専門分野 • • – – ユビキタスコンピューティング 交通情報学 – – – – – – – – 静岡県掛川市出身 2002 慶應義塾大学 環境情報学部卒 2009 博士(政策・メディア) 指導教員: 慶應義塾大学 徳田英幸教授 2008-2010 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特別研究助教 2010-2013 鳥取大学 大学院工学研究科 助教 2013-2019 東京大学 生産技術研究所 助教 2019-2021 東京大学 生産技術研究所 特任講師 2021-現在 現職 – 運行管理者(旅客) 経歴 資格 2
伊藤×国土交通省 • • • • • • • 標準フォーマット関連 – – – – バス情報の効率的な収集・共有に向けた検討会 座長(H28年度) 標準的なバス情報フォーマット利活用検討会 座長(H29年度) バス情報の静的・動的データ利活用検討会 座長(H30年度) GTFS-JPに関する検討会 委員(R2年度) – 公共交通分野におけるオープンデータ推進に関する検討会 委員(H29年度-R3年度) – – 都市と地方における新たなモビリティサービスのあり方懇談会 委員(H30年度) 新モビリティサービス推進事業有識者委員会 委員(R1年度) – 交通政策基本計画小委員会 委員(R1年度-) – シェアサイクルの在り方検討委員(R1年度-) – 鉄道の混雑緩和に資する情報提供のあり方に関する勉強会 委員(R2年度) – 運行管理高度化検討会・ワーキンググループ(R2年度-) オープンデータ関連 MaaS関連 交通政策審議会 シェアサイクル 鉄道 点呼
伊藤×経済産業省・総務省 • 経済産業省 オープンデータ関連 – 官民データの相互運用性実現に向けた検討会 座長(H29年度) – 情報共有基盤 利用促進ワーキンググループ 委員(H30年度) • 総務省 オープンデータ関連 – 地域情報化アドバイザー(R2年度〜R3年度)
伊藤×地方自治体 • • • • • • • 沖縄観光2次交通の利便性向上に向けた検討委員会 座長(H30年度〜) 群馬県バスロケーションシステム実証実験 アドバイザー(R1年度) さいたま市 スマート駅広研究会 副会長(R2年度〜R3年度) 佐賀市 街なか未来技術活用モデルプラン策定業務有識者会議 委員(R2年度) 東京都 東京都における地域公共交通の在り方検討会 委員(R2年度〜R3年度) 熊本市 熊本版MaaS勉強会 有識者委員(R3年度〜) 杉並区地域公共交通活性化協議会 会長(R3年度〜) • その他自治体主催のイベントでの講演多数 – 静岡県掛川市、石川県能美市、群馬県、島根県安来市、沖縄県、富山県、岐阜県、北海道など
鳥取大学で交通と出会う
2010年〜2013年 バスネット: 鳥取大学発 バス・鉄道乗換案内 の開発 • 年間4万人を超えるユニークユーザ • 年間30万件を超える検索数 • 総務大臣賞 産学官連携功労者表彰,平成21年 • 総務大臣表彰 U-Japan大賞 地域活性化部門賞, 平成20年 • ほか受賞多数
バスネット利用者の行動分析 • Webやアプリの利用データのビックデータ分析から、公共交通 への需要を明らかに 出発地設定 目的地 イオン鳥取北 (バス停) 鳥取駅 (バス停) 県庁日赤前 (バス停) イオン鳥取北 (バス停) 鳥取砂丘 (バス停) 500 450 400 350 300 250 利用数 順位 出発地 鳥取駅 1 (バス停) イオン鳥取北 2 (バス停) 鳥取駅 3 (バス停) 鳥商前 4 (バス停) 鳥取駅 5 (バス停) 目的地設定 200 150 100 50 0 0 2 4 6 8 10 12 14 16 時間帯 h 鳥取駅バス停 区間ごとの需要 地域別の需要分布 バス停ごとの乗降パターン 18 20 22 24
アクセスログ解析システムの開発 • 直感的な解析を実現するWebインタフェースの開発 – Hadoopを使った分散処理でデータ解析を高速に実現 – 総務省戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)地域ICT新興型研究開発に採 択
モビリティは100年に一度の大変革の時代
ビジネス誌でも多くの特集 2018年3月5日号 2018年9月号 2019年4月29日号 2019年7月30日号
モビリティ革命の背景 • 情報技術の発達 – スマートフォン: 誰もが常時繋がる世界を達成 – IoT: 全てのモノ(車や電車、バス等も含む)も常時繋がる – AI・機械学習: 大量のデータに基づき人間以上の知的アウトプット • カーボンニュートラル – 温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡 – 気候変動を抑制して持続可能な社会を作る
車両目線で次のモビリティを考えるなら CASE
CASE: 自動車産業が見据えている方向性 • C: Connected – 通信・ネットワーク化 • A: Autonomous – 自動運転 • S: Shared and Services – サービス化 • E: Electric – 電動化 • 2016年にダイムラーが提唱・一企業に留まらない自動車産業の方向性を示 すキーワードとなる https://www.daimler.com/innovation/case-2.html
TESLA • イーロンマスク氏による電気自動車ベン チャー企業 – 2003年創業 • 自動運転に対応したハードウェアを標準 装備 – カメラや超音波、レーダーなどで周辺を認識 – オートパイロット機能を提供 – 現在は完全な自動運転ではないが、将来は完全自 動運転に対応? – ソフトウェアアップデートで機能追加 • 利用者の運転行動を通してアルゴリズム を進化 • Webでカスタマイズ・オーダー https://ja.wikipedia.org/wiki/テスラ・モデル3
https://response.jp/article/2019/02/28/319596.html
• xx トヨタの求人広告が話題に(2017年) https://adgang.jp/2017/10/151302.html
A: Autonomous
各社の実験も活発に • カリフォルニア州車両管 理局(DMV)が公開した 自律走行車の開発企業各 社による試験状況より • ウェイモ(Google)、 Uber、AppleなどIT企業 も実験中 https://wired.jp/2019/02/26/new-robo-car-report-card/
今ある自動車がただ自動運転になる だけではない
City of Tomorrow with Autonomous Vehicles (Drive Sweden) • 自動運転によって街がどう変わるかというビジョン – 街の空間を車のための場所から人のための場所へ • • • • • • 道路標識が不要に 道路を効率よく使えるようになり歩道が広がる 駐車場を街の中心に作らなくてよい 駅に到着したときに待たずに出迎え 自動運転トラックの隊列走行で効率よく 計画的に積み荷を処理することで駐車場削減 https://www.youtube.com/watch?v=WmYsWYDQxuI
自動運転は いつ実現するか?
2020年!? • テスラは2020年に「完 全な自動運転」を実現 する – オートパイロット機能 – スマートサモン機能 https://wired.jp/2019/02/25/tesla-full-self-driving-promise/
CES 2019 トヨタ・リサーチ・インスティテュート (TRI)ギル・プラットCEOスピーチ • レベル5の自動運転とは、いつどこで どんな環境でも、ドライバーなしで自 動運転が可能なシステムと定義されま す。 • これはすばらしい目標ですし、私たち もいつかは達成できるかもしれません。 • しかしながら、こうした自動運転シス テムが抱える、技術的・社会学的な難 しさを甘く考えてはいけないと思って います。 2019年01月08日 https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/26085185.html https://car.watch.impress.co.jp/img/car/docs/1161/181/html/001_o.jpg.html
• x 官民 ITS 構想・ロードマップ 2019 より
S: Shared and Services IT×交通の可能性が 世界中で試されている
Uber • 2010年 サンフランシス コで設立 • 2011年 NY、パリ進出 • 2013年 東京でタクシー 配車開始 • 2015年 CMUの研究者40 名を引き抜き • 2015年福岡市でライド シェア実証実験、国交省 が中止 • 2016年 トヨタと提携 • 2016年 京丹後市で「さ さえ合い交通」
マイクロモビリティの急速な普及 • 電動キックボードとシェアサイクルをマイ クロモビリティと総称 – ドックレス(どこでも乗り捨てられる)が流行 • Bird、Jump (Uber)、Lyft、Lime、 Skip、Spin (Ford)などが全米の都市で競 争
MaaS (Mobility as a Service)
MaaSとは? • ドア・ツー・ドアの移動に対し、 様々な移動手法・サービスを組み合わ せて1つの移動サービスとして捉えるものであり、ワンストップでシーム レスな移動が可能となる。 • 加えて、様々な移動手段・サービスの個々のサービス自体と価格を統合 して、 一つのサービスとしてプライシングすることにより、いわば「統 合一貫サービス」 を新たに生み出すものであり、価格面における利便性 の向上により利用者の移動行動に変化をもたらし、移動需要・交通流の マネジメント、さらには、供給の効率化も期待できる。 • 小売・飲食等の商業、宿泊・観光、物流などあらゆるサービス分野との 連携や、医療、福祉、教育、一般行政サービスとの連携により、移動手 段・サービスの高付加価値化、より一層の需要の拡大も期待できる。 (国交省 都市と地方の新たなモビリティサービス懇談会中間とりまとめより)
MaaS Global社による定義 • あらゆる種類の移動手段を単一の 直感的なモバイルアプリにまとめ ます。さまざまな事業者が提供す る移動の選択肢をシームレスに組 み合わせて、旅行計画から支払い まですべてを取り扱います。オン デマンドで旅行を購入する場合で も、手頃な価格の月額パッケージ をサブスクライブする場合でも、 MaaSは最善の方法であなたの移 動のニーズに応えます。
Whim by MaaS Global • • ヘルシンキ(フィンランド)でMaaSを実現 Whim というアプリを通して鉄道、バス、タ クシー、自転車などの組み合わせ検索や予約決 済を実現 https://whimapp.com
https://note.mu/kakudosuzuki/n/n01c8ab0f9b84 Whimの利用 • xx
Whimのプラン: 料金により交通行動を誘導
モビリティのサービス化 (MaaS)は、自動運転より本質 的なモビリティ進化の方向性 流行語として消費される予感しかしない…
MaaSの背景: IT・スマホの普及・発展 • いつでもどこでも「その時・その場で・他に何も使わずに」解決す るのが当たり前に – – – – 知りたい→WebやSNS検索 届けたい→SNSでシェア 売りたい→カメラで撮ってメルカリに 行きたい→乗り換え案内やGoogle Maps • 利用者の「したい・欲しい」の種に気付かせ、阻害せずに具体的な 形に落とし込めるようにUI/UXが進化中 – 明確に「何をしたい」を持たなくても、アプリとの対話の中で欲求を形成・具現化
公共交通を活かしたまちづくりの成熟 • モータリゼーションが先行したヨーロッパにおいて、中心市街 地を公共交通によって活性化する施策が一般化 – 数十万人規模の都市でもトラムを整備、赤字前提の運営 • LRT導入、歩行者専用道路、トランジットモール… フランス オルレアン https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Rue_Jeanne_dArc_Tramw ay_Orleans.jpg フランス ストラスブール http://uemuraakifumi.com/machi/858 ドイツ カールスルーエ https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Heilbronn_Bah nhofsvorplatz_Stadtbahn01_2002-09-08.jpg
ヨーロッパなどでは運輸連合を形成 • 複数の交通事業者を一体運用し統一的な公共交通サービスを実現する組織 – 交通事業者、自治体などが主導し結成される • 公費を投入しての運営が前提、運賃収入は半分以下 • ドイツ、フランスなどで導入が進む – 1965年にドイツ ハンブルグで始まる • 運輸連合の役割(例) – – – – – – 統一的な運賃システムの構築と販売のマネジメント 事業者間での運賃調整 地方自治体や事業者との契約に関するマネジメント ローカル線の維持管理と品質管理 旅客輸送の計画策定 マーケティングと乗客への情報提供 https://www.itej.or.jp/assets/seika/jijyou/201209_00.pdf 運輸連合の概要と日本への示唆 −ドイツ・ベルリンを例に−(渡邉亮) 参照
モビリティ革命の地域社会へのインパクト • 移動手段・くらしの足をどう確保するか – 多くの人にとっては、モータリゼーションで移動が手軽に・便利に – 過疎化・少子高齢化などの状況の中で、新しいモビリティで地域の足を再構築で きるか? • 地域の産業・経済基盤をどう成立させるか – 地域の雇用を支える企業・事業は今後どうなるのか • 裾野の広い自動車関連産業 • 道路などのインフラ整備 – 第一次、第二次産業からソフトウェア・サービスへ
自治体はMaaSに どう向き合うべきか?
× MaaS・デマンド実証実験 ○ 結果としてMaaSが出来上がる ように公共交通事業者や地域の関 係者を支援する
1. 地域公共交通会議を機能させよう
日本の公共交通の特徴 • 民営の営利事業としての経営 • 複数事業者で同一エリアで競争 • 鉄道・バス・タクシーがそれぞれ別会社
競争前提の地域公共 交通運営 • 岡山では新規参入の妥 当性をめぐってストや 法廷闘争も https://toyokeizai.net/articles/-/213178
行政の役割の高まり • 地域公共交通活性化再生法(2007年 制定)により、行政が主導して地域 公共交通を計画、実現する枠組みが 明確化。 • 特徴(伊藤の理解) – 地域のことは地域(事業者、住民、行政な ど)で – 全体をネットワークで考える – やる気のある地域を金や制度でサポート – まちづくりとの連携
地域公共交通会議など • 市町村が主体となり、地域の交通事業者や利用者などを集めた 協議会を開催できる 出展: 中部運輸局愛知運輸支局 「地域公共交通会議等運営マニュアル」
http://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/hrt54/com_policy/pdf/H29startup-koutuukikaku1.pdf
公共交通事業者の共同経営という方向性 • 独禁法の規制を特例法案が審 議される • 熊本では合意 – 九州産交バス、産交バス、熊本電気 鉄道、熊本バス、熊本都市バス • ドル箱である中心地への路線 集中を防ぐ – 内部補助だけでなく公的補助も必要
2. 地域交通に関するコスト負担を議論しよう
地域公共交通維持に関するコスト負担の議論 https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_t https://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_tk5_000011.html k_000183.html
JR西日本 不採算路線の区間収支を公表 (2022年4月11日) https://www.westjr.co.jp/press/article/2022/04/page_19817.html
熊本市における公共交通の収支・投資状況(2019年度) 公開情報から独自に調査 経常収支 交通事業者 行政の公共交通政策 バス5社 熊本市 https://jmpo.kumamoto-toshibus.co.jp/opendata/opendata2-1/ 収入 支出 57億 90億 収支 -33億 収支率 61% 行政が30億円補助 予算 主要事業一覧より 支出 17億 20億 収支 収支率 -2.7億 86% 一般会計から3.3億円補助 資本的収支 建設改良費 6.3億 https://www.city.kumamoto.jp/common/Upl oadFileDsp.aspx?c_id=5&id=2422&sub_id= 43&flid=162069 5.2億 主要事業 調査・計画関係 0.7億 主要事業 計 5.8億 道路整備 プログラム 熊本県 http://www.kotsukumamoto.jp/kihon/pub/detail.aspx?c_id=56&id=1123&pg=1 収入 熊本市 地方バス路線維持費助成 市電 営業収支 行政の道路政策 軌条更換、 電停改良等 独立採算が原則だが赤字基調 要求・査定の概要より 鉄道 空港 地方公共交通対策≒バス補助 交通政策課 計 1600億/10 年 熊本県 https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachme nt/24203.pdf 南阿蘇鉄道災害復旧 並行在来線対策 熊本空港直轄事業負担 熊本空港国際線振興 天草空港運行支援 184億/年 8.2億 2.4億 3.1億 2.6億 2.1億 要求・査定の概要より https://www.pref.kumamoto.jp/upl oaded/attachment/24208.pdf 道路整備課 217億/年 道路保全課 155億/年 道路整備 プログラム 7000億/10 年 4.9億 28.1億 赤字補填がほとんどで投資は乏しい 公共交通の2桁上の支出 67
交通投資再構築(熊本市への提案スライドより) ◼ 日本全国共通の公共交通への投資状況 • 独立採算の枠の中で、赤字削減に注力 • 行政の公共交通計画の目標は横ばい • 熊本)公共交通人口カバー率:2000年→2020年で0%増 公共交通年間利用者数:2019年→2025年で5%増 • 2000年頃に提唱された公共交通中心都市への転換に挫折 • 熊本) 2000年のマスタープランでは 車交通量28%抑制・速度2倍、鉄道4倍の計画が立案 ◼ 欧米における公共交通への投資状況 • 都市交通は公共サービスとして赤字が常 • 道路を整備しても誘発需要で渋滞が続くため、 マイカー抑制、公共交通・自転車・徒歩転換を20年継続 • カーボンフリーの波もあり成長産業として投資 • 例)アメリカは8年で都市内公共交通に490億ドル、鉄道に660億ドル投資 日本中で20年の遅れを取り戻す交通政策の近代化が必要 熊本5社の収支率 61%(2019年) 68
3. 「銀の弾丸はない」と思いながら 上手にテック企業と付き合おう
実証実験毒饅頭… • • • • • 最初は甘い言葉で「何でも出来ます」と言う いまいち使いづらいサービス、UI 担当する地方支社と東京の開発者に距離がありすぎ 問題を指摘しても反応が悪い、改良されない 数年で撤退、地域は取り残される
自治体の現場と大企業のモビリティソリューションの ミスマッチ問題 • 大企業 – AI、ビッグデータ、IoT 領域のビジネス開発とし てモビリティに注目 – プロトタイプを開発し PoC実施 最初は相思相愛 ※複数の実話をもとに再構成 • 自治体 – 有名な大企業が来た! – トップが連れてきた! – 具体的な問題を抱える 「高齢化率63%の熊山 地区283世帯のための移 動手段確保…」
オープンMaaS: 各種交通手段を標準化/オープン化 • ひとつのアプリに囲い込まれず、世界標準で世界最先端を導入 交通情報 鉄道・バス 経路 検索 オープン 規格 GTFS GTFS タクシー チケット販売 オープン 規格 広告 検索データ 人流データ ? ? Profile Passport オープン 規格 GTFSOnDemand ? 交通需要 マネジメント 交通計画 渋滞緩和 研究 ・ 創発 ジョルダン 駅すぱあと バス 再編 GTFSTicketing NAVITIME ヴァル研究所 Google マップ 公共交通 収支改善 オープン 規格 GBFS Realtime 遅延 改善 社会 目標 デマンド交通 ログデータ ロケ・運行情報 ダイヤ データ /API シェアサイクル 機能連携 Yahoo!乗換 サイ ネージ 印刷 システム 現地媒体 CO2削減 my route 観光 情報 住宅 検索 車 購入 各種情報サイト 観光 収入 市街地 活性化 Twitter LINE SNS 高齢者 外出 定住 …
4. データ・ITに自分事として向き合おう
公共交通オープンデータの整備と活用
地域の公共交通は乗換案内に出てこない
地域の公共交通は乗換案内に出てこない データ整備にはコストが掛かるため 利用者数が少ない地域のバスにまで 手が回らない 交通事業者が自ら 標準形式のオープンデータを用意して 乗換案内に提供する
海外の事例: 交通事業者がオープンデータを提供 • 路線図、時刻表、リアルタイム車両位置情報などのデータの利用を開放 • 自由に使ってもらうことで、アプリの作成や工夫を凝らした印刷物などの情 報提供を促進 • アメリカ、ヨーロッパでは当たり前になりつつある
オープンデータから様々なアプリが開発される • 大企業、ベンチャー−企業、個人がアプリ開発
GTFS形式 • 世界で広く使われる形式 • 乗換案内に必要な情報(バス停・駅+路線+時刻表+運賃)をまとめて格納 したファイル形式 バス停/駅+路線 時刻 運賃
日本の公共交通データ流通の現状 JR 私鉄 交通新聞社 私鉄 私鉄 バス バス バス JTBパブリッシング バスデータに関しては、集約して販売する 事業者がなく、乗換案内事業者それぞれが 独自で一社一社のデータを集めている 乗換案内サービス事業者
日本: 路線バス業界を中心にのオープンデータ整備が急速に進展 バス業界において「標準化」「オープン化」が同時に進行中 路線 時刻 運賃 リアルタイム 「標準的なバス情報フォーマット」(世界標準のGTFS互換)でデータ整備 乗換案内・MaaS サイネージ・印刷物等 交通分析・計画 87
2014年〜 静岡県でコミュニティバスのオー プンデータ化の取り組み • 県庁、市役所、地元IT企業等とGTFSによるオー プンデータ化を実現 – Google Mapsへ提供可能に • アイデアソン、ハッカソンで地域でのデータ活用 を目指す
「交通ジオメディアサミット 〜 IT×公共交通 2020年とその先の未来を考える〜」 開催 • • • • • 2016年2月12日開催(東大駒場第2キャンパス コンベンションホール) 195人来場 産(現場寄り): JR東日本、バイタルリード(出雲市の交通コンサルタント) 産(IT寄り): ジョルダン、ナビタイム、ヴァル研究所(駅すぱあと) 官: 国土交通省、学: 東京大学(私) コミュニティ: Code for Japan、 路線図ドットコムなど
バス情報の効率的な収集・共有に向けた 検討会(2016年12月〜2017年3月) • 事務局: 総合政策局公共交通政策部交通計画課 • 外部委員 – – – – – – – – – – 伊藤昌毅 東京大学生産技術研究所(座長) ー川雄一 株式会社構造計画研究所 伊藤浩之 公共交通利用促進ネットワーク 井上佳国 ジョルダン株式会社 遠藤治男 日本バス協会 櫻井浩司 株式会社駅探 篠原雄大 株式会社ナビタイムジャパン 丹賀浩太郎 株式会社工房 別所正博 公共交通オープンデータ協議会 山本直樹 株式会社ヴァル研究所
2017年3月31日 「標準的なバス情報フォーマット」公開
バス事業者や自治体による公共交通 オープンデータ整備が活発化 • • 全国で30近い事業者が整備・公開 4県が県を挙げたデータ整備中 2018年11月現在 伊藤調べ http://tshimada291.sakura.ne.jp/transport/gtfs-list.html
本年も順調にオープンデータが増加 700 600 500 400 300 200 100 0 オープンデータ提供事業者数
標準的なバス情報フォーマット広め隊 • 標準的なバス情報フォーマット (GTFS-JP)データ整備に関わる有志 によるコミュニティ – 2017年夏頃から、国交省検討会の関係者らを 中心に自然発生的に誕生 – 普及に関わるツール開発、勉強会やイベント 開催、関係者への働きかけなどを継続的に実 施 – チャットなどによる活発な情報交換 • 参加者 – – – – – – 大学研究者 乗換案内サービスデータ整備担当 バス事業者向けツール開発者 公共交通コンサルタント 交通事業者職員 自治体職員 等 20名程度
広め隊による講演会・講習会 • 県や運輸局が実施する勉強会に講師として登壇 • 事業者や自治体にツール導入を指南
フリーのデータ作成ツール開発・提供・利用支援 • 西沢ツール – 西沢明氏開発 – 約40+自治体・事業者が利用 • 見える化共通入力フォーマット – 伊藤浩之氏開発 • 当初は三重県のプロジェクトで利用 – 約33自治体・事業者が利用
その筋屋 • 無償配布されているダイ ヤ編集システム • プロ向けシステムと同等 の機能を備え、バス事業 の運営に利用出来る • GTFS/標準的なバス情報 フォーマット出力機能を 備える – 42事業者がオープンデータ公 開 http://www.sinjidai.com/sujiya/
データ作成に加えて、オープンデータとして公開 • Webページからデータを誰でもダウンロード出来るように
德島では?
• x
データは何に使える?
ワンソース・マルチユース 乗り換え案内 マイ路線図・マイ時刻表 公共交通 オープンデータ 交通分析 service_id route_name 平日 250号線 [3102](片上→岡山駅) 行ラベル 06:52 08:40 10:35 15:11 17:05 総計 計画 最小 中央値最大 120 83 92 102 106 78 78 83 90 100 76 76 80 84 75 79 81 88 80 85 87 98 111 60 79.4 82 89 96 • • 40 計画 中央値 20 最小 最大 17:05 15:11 10:35 08:40 06:52 0 データを使った様々なアプリ開発や 交通分析が実現 データ分析やアプリ開発によって公 共交通の利便性が向上
Google Mapsへの掲載 • GoogleはGTFS形式によるオープン データを推奨 – ほぼ選り好みせずデータを掲載 – 検索の統計情報も公開 • 乗換案内に掲載されていない自治 体やバス事業者が利用促進のため にデータ整備 • 訪日外国人が利用するのはGoogle Maps
「駅すぱあと/Yahoo!乗換案内」がオープン データを採用 • オープンデータ化されたバスデータを経路探索に採用 https://ekiworld.net/personal/app/spec/info.html?style=pc
サイネージでの活用
バスロケーションシステムの基礎データ • 群馬県・富山県では2018年度整備したデータを活用しバスロ ケーションシステムの整備を推進 – GTFSリアルタイムデータのオープン化にも取り組む https://toyama.vtfm.jp https://www.pref.gunma.jp/04/h21g_00088.html
GTFSリアルタイム(バスロケ)提供も増加中( 57事業者) • 便ごとのバス停通過時刻、緯度経 度情報などをリアルタイム公開 – Protocol Buffer形式 • 混雑情報も提供可能 – 2020年より宇野バス、横浜市交通局が対応
MaaSの基盤データとして • 北海道十勝MaaS実証実験の 基盤データの一部はGTFS-JP オープンデータ • 小田急+VAL研究所のMaaS プラットフォームに採用 http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/hokkaido-tokachi-maas.htm https://www.slideshare.net/KenjiMorohoshi/20200128shikoku-gtfsjp
市民発のアプリも登場 • Aa 青バスなう! https://sonohino-kibunshidai.org/aobus_now/ UnoMap https://play.google.com/store/apps/details?id=work.momizi.unomap&hl=ja
ゆる〜と 全国日帰り温泉・銭湯マップ • バスの利用を促進する援軍! https://yuru-to.net
地域コミュニティが データ活用 Code for Saga 富山県資料
交通政策におけるデータ分析の 可能性
都バスのサービスレベルを把握するマップを作成
公共交通の運行本数の直感的把握
人口と運行本数比較
高松駅13:00発の到達圏 https://qiita.com/niyalist/items/1d3941761df3969f16a2
中心地からの到達時間
地域ごとの通える高校数
自動車台数と公共交通利用者数の比較 地図作成: 太田恒平(トラフィックブレイン)
QGIS + GTFS-Go • GTFSデータをオープンソー ス(無料)のGIS上で表示 • 行政職員向けの講習会を動画 配信中 – https://www.youtube.com/watc h?v=w2gFMyK67ws
人対人ではなく、皆がデータに向き合うように • 客観的なものに向 き合うことで、理 性的な対話が出来 る • 解釈のアイディア が出やすい
運輸行政全体で データの流れを作る必要性
データの流れからみたバス事業 許認可権限 形式的な要件は確認はするが 地域の状況を踏まえた判断はしない 運輸局 (国) ダイヤ改正・臨時便 路線やバス停の新設・廃止 新規参入・撤退 公共交通 事業者 アプリ 事業者 許認可・申請 紙ベース 利用者 標準化+オープン化 情報提供の義務は無い 自治体 利用の実態は 自治体に届かない 自治体が地域の交通をデザイン することが法的に求められている この体制のままよりよい交通は作れるのか?
公共交通データ活用の現状 • 利用者 – スマートフォン活用にシフト、スマホで公共交通がより便利に • 公共交通事業者 – アナログな業務を多く残す(ダイヤ作成なども一部はアナログ) – デジタル機器が連携せずに導入されている状況 • 国(運輸局) – 公共交通事業者からの許認可や届け出を受ける立場 – ほぼ全てが紙の束+ハンコ • 自治体 – 地域の公共交通をデザインする役割を求められるように – ITの専門家も、交通の専門家も不足
運輸局への紙による膨大な申請・届出業務 バス会社(永井運輸@前橋) 関東運輸局 太田恒平, 水野羊平, 三浦公貴, 伊藤昌毅, "GTFS-JPデータを用いた乗合 バス事業の電子申請に向けた基礎検討 〜帳票地獄からの脱却による働き 方改革を目指して〜", 第59回土木計画学研究発表会, 2019年6月9日.
書式の例 • x https://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/bus/procedure/noriai/style.html
利用者向けのデジタル化を進めたところで…
千葉市地域公共交通計画(案) • データ整備を施策とし て挙げる • パブリックコメント実 施中 – 2021年12月8日〜2022年1 月7日 https://www.city.chiba.jp/toshi/toshi/kotsu/mobility-plan.html
規制改革推進会議経済活性化ワーキング・グループ • 経団連からの提案(2021年12月8日) – 事業許可申請および変更認可申請手続きを電子化すること – 申請内容をマシンリーダブル、かつGTFS-JP(共通フォーマット)を活用した形式 とすること https://www8.cao.go.jp/kiseikaikaku/kisei/meeting/wg/econrev/211208/agenda.html
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モビリティは100年に一度の大変革の時代
モビリティ革命の地域社会へのインパクト • 移動手段・くらしの足をどう確保するか – 多くの人にとっては、モータリゼーションで移動が手軽に・便利に – 過疎化・少子高齢化などの状況の中で、新しいモビリティで地域の足を再構築で きるか? • 地域の産業・経済基盤をどう成立させるか – 地域の雇用を支える企業・事業は今後どうなるのか • 裾野の広い自動車関連産業 • 道路などのインフラ整備 – 第一次、第二次産業からソフトウェア・サービスへ
地域交通は制度疲労が目立つが、 財源や許認可など根本からの制度 の再構築が求められる デジタルがもたらす可能性や 変化を地域の価値に どう結び付けられるか