OSSコミッターが海外カンファレンスに飛び込んだ話

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February 26, 26

スライド概要

LF AI & Data Japan Regional User Group (Japan RUG) 第3回 Meetup (2026/02/20) 登壇資料
https://community.linuxfoundation.org/events/details/lfhq-lf-ai-data-foundation-presents-japan-regional-user-group-rug-meet-up-1/

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Head Enginner at Open Source Program Office (OSPO) in Mitsubishi Electric. Interest: Deep learning compiler, PyTorch, Apache TVM, Edge LLM, AI Accelerator

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各ページのテキスト
1.

OSSコミッターが 海外カンファレンスに 飛び込んだ話 Masahiro Hiramori LF AI&Data Japan RUG Meetup @ 2026/2/20

2.

自己紹介 Masahiro Hiramori / 平森 将裕 Head Engineer at 三菱電機OSPO Apache TVM Committer ○ ○ GitHub: mshr-h LinkedIn: Masahiro Hiramori AIモデルをいろんなハードウェアで動かすための「コンパイラ基盤」 PyTorch Frontendを主にメンテナンス PyTorch ○ ○ PyTorch Ambassador 2025/10~ PyTorch Contributor Award Nominee 2024 & 2025 onnx2fx: Yet another ONNX to PyTorch FX converter ※Committer: コード変更を取り込む権限のある開発者 2

3.

PyTorch Ambassador Program ● ● ● PyTorch Foundationが運営する公式コミュニティプログラム 現在、世界中で50名近いアンバサダーが活動 役割 ○ ● PyTorch や vLLM などの PyTorch Foundation プロジェクトの成長を世界各地で後押しする 活動内容 (一例) ○ ○ ○ ○ イベントの企画・開催 教育コンテンツの作成 新規ユーザーのメンター活動 オープンソースコミュニティへの貢献 3

4.

オープンソースとの関わり方 ● OSSを利用してフィードバックする ○ ● コントリビューターとして開発に携わる ○ ● 要望 / 不具合報告 ドキュメント / コード貢献 イベント / カンファレンスに参加する ○ PyTorch Conference、Open Source Summit、KubeCon 4

5.

海外カンファレンスは遠い世界? ● ● ● 英語が上手い人だけ? PyTorch開発者だけ? 研究成果を出した人だけ? 5

6.

OSS活動の延長でPyTorch Conferenceへ ● ● ● 初参加 ポスター発表 Proposal (発表募集への応募)のレビュー (審査) 6

7.

今日話すこと ● 以下の3つの立場で経験したことを紹介 ○ ○ ○ ● 参加者 発表者 (ポスター発表 ) レビュアー (Proposalの審査) 目標:この発表を聞いた人の、海外カンファレンスに対する解像度が上がる 7

8.

結論:海外カンファレンスは 英語力 より 会話の設計 ● ● ● ● 会話が価値 そのために準備 (会う人 / 質問 / 自己紹介) ポスターは会話の起点 Proposalでは価値を言語する 8

9.

● ● ● 深層学習モデルを作って、学習して、動かすためのOSSフレームワーク 2016年にFacebook (現Meta)が公開 Stats (as of 2026/2) ○ ○ ○ ● コントリビュータ : 約4,200人 Star数: 約9.7万 月間DL: 約7,300万 研究から本番運用まで、幅広く使われている 9

10.

PyTorchの役割 ● ● ● モデルを書く (torch.nn など) 学習する (自動微分=autograd、分散学習など) 推論環境で動かす (GPU / CPU / 各種アクセラレータ上で) 10

11.

PyTorchの役割 ● ● ● ● モデルを書く (torch.nn など) 学習する (自動微分=autograd、分散学習など) 推論環境で動かす (GPU / CPU / 各種アクセラレータ上で) 本番運用や他システム連携 ○ ○ 速く動かす (torch.compile など) モデルを“持ち運べる形 ”にする (torch.export / torch.onnx など) ■ Apache TVM などで取り込み、推論環境向けに最適化する torch.compile CPU 最適化済みモ デル GPU PyTorch torch.export 学習済み モデル 取り込み NPU Apache TVM 11

12.

PyTorch Conference 2025 ● ● PyTorch Foundation主催の年次イベント 主な内容 ○ ○ ○ ● ● ● ● PyTorch の最新機能・ロードマップの共有 研究者・エンジニアによる事例発表 エコシステム (関連プロジェクト 等)の紹介 San Francisco / 2025-10-22〜23 Open Source AI Week / 2025-10-18〜26 3,432人 / 1,026組織が参加 キーノート22件、セッション103件、 ポスター113件、CfP投稿675件 12

13.

1) 参加者としての学び 13

14.

「セッション聴講」より「会話」が価値 ● ● 現地でしかできない:質問 / 議論 / 関係構築 内容は動画で後追いできる ○ ● PyTorch Conference 2025 - YouTube 「参加者と話してたらセッションを聞きそびれた」ぐらいの気持ちでいい 14

15.

どんなことを会話するか ● 自分の課題を相談 ○ ● 仕様変更の”優先度やスケジュール感” ○ ● → 方針が決まる → ロードマップに反映 コミュニティが一番困っているところ ○ → コントリビューション先が分かる 15

16.

事前準備が重要 ● 現地での時間の使い方を先に決める ○ ○ ● 「必ず見たいセッション」を 2つ決める 残りの時間は、廊下 / 展示 会いたい人を先に決める ○ ○ 事前にDMやメールで連絡して、会う約束 例:『あなたの◯◯の発表を見に行きます。終わった後、 5分だけ質問できますか?』 16

17.

事前準備が重要(続き) ● “自己紹介の型”を作る ○ ○ ● 30秒版を作って暗記 “I came from Japan. (日本から来ました )”は会話のきっかけになる 質問を事前に作る ○ ○ ○ セッション聴講前に「これを聞こう」を 2〜3個作る 発表を聞きながら質問を修正 終わった瞬間に聞きに行く 17

18.

2) 発表者(ポスター)としての学び 18

19.

ポスター発表 ● ● ● Conference期間 (10/22~23) 中、 ポスターが会場に掲示される 来場者は自由に見て回れる Poster Session枠 ○ ○ ○ ● 初日の18:00〜19:30 発表者がポスター前に立って 質疑応答・ディスカッションする時間帯 私のPosterには15人ほど来た Apache TVM関連のテーマで発表 19

20.

ポスターを出すと、向こうから話しかけてくる ● ● 参加者のときは、自分から話しかける必要がある ポスターを出すと、人が来てくれる ○ ○ 会話のきっかけが生まれる 自分の得意領域で会話できる 20

21.

ポスターは「3段階」で説明 ● 10秒:何をしたか ○ ● 60秒:なぜ必要 / 何が嬉しい ○ ● "PyTorch で作ったモデルを様々なハードウェアにデプロイできるようにした " "クラウドAI/LLMはネットワーク必須、プライバシー懸念、従量課金性のため、ローカルで AI/LLMを 動かしたい" 3分:仕組み / 今後の課題 ○ ○ ○ "PyTorchモデルをTVMで取り込むための連携部分を実装した " "ExportedProgramフォーマットを使うことで、連携を 壊れにくく した" "サポートモデルの拡充が今後の課題 " 21

22.

発表内容は「技術の凄さ」より「誰が嬉しいか」 ● 「それで誰が嬉しいの?」が見えないと伝わらない ○ ● 「すごいアルゴリズムを作った」じゃなくて「実用的な改善」でいい ○ ● 「Proposalのレビューで学んだこと」 (後述) とも一致 「困ってた人が助かる」 英語力は最低限必要、ただ「話の構造」の方が重要 ○ ○ ○ ○ 問題はこれ 自分はここを変えた 結果こうなった 次はここが課題 22

23.

ポスター発表での会話 ● TVMコミッター同士でApache TVMの強み・特徴を議論 ○ ● → "Developer experience, composable, customizable" ユーザー要望を聞く ○ → 機能追加に ([Relax][PyTorch] Add support for Custom Ops - apache/tvm) 23

24.

3) レビュアーとしての学び 24

25.

レビュアー ● Program Committee Memberは、提出されたProposalを精読し、 ○ ○ 評価(スコア付け) 評価理由の記述 を行う ● 各メンバーは特定のカテゴリを担当 ○ 私は 「Compilers & Kernels」 カテゴリを担当 Meet the Committees | LF Events 25

26.

採択されるProposalの共通点 ● ● ● ● 誰の課題を解くかが明確 聴衆が明確 今この場で聞く価値 技術より価値の説明 26

27.

書き方のコツ(レビュアーの視点) ● ● ● ● ● 対象(誰に向けた話?) 課題(何に困っている?) 価値(どんな嬉しさがある?) なぜ今(なぜPyTorch Conference?) Takeaway(聞いた人が明日からできること) ❌:「我々はXを用いてYを高速化した。評価の結果、Z%改善した。」 ✅:「LLM推論を運用しているチーム向けに、PyTorch 2.xの◯◯を使って“ボトルネック になりがちなY”を改善する。A100環境でZ%短縮し、明日から使える設定とハマりどころ を共有する。」 27

28.

参考:数字感 ● ● CfP投稿:675件 採択:216件 ○ ○ セッション:103件 ポスター:113件 → 採択率 32% 28

29.

まとめ(4つの学び) ● ● ● ● 会話に価値 ポスターは会話の起点 英語より事前準備 Proposalは対象・課題・ 価値 ・なぜ今・Takeawayを言語化 29

30.

PyTorch Conference 2026 ● PyTorch Conference 2026 | LF Events ○ ○ ● San Jose / 2026-10-20 ~ 21 CfPスケジュール:未定 ■ 昨年実績 ● CfP Close (Main Talks):2025-06-01 ● Poster Submission Deadline:2025-08-01 参加するなら ○ ○ ○ ○ 日程をカレンダーに入れる 会いたい人を 3人決める 質問を3つ用意する Proposalを出す (相談に乗ります ) 30