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June 07, 26
スライド概要
2026年度日本図書館情報学会春季研究集会で今井福司が行った口頭発表スライドです。
白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター教員。司書・司書教諭課程担当。
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに オープン・スクール教育における学校 図書館の役割をめぐる視点の相違: 1970–90 年代の加藤幸次による指摘の 検討 今井福司 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター 2026 年 6 月 7 日 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 目次 1 はじめに 2 加藤幸次のオープン・スクール教育への関わり 3 加藤の学校図書館にかかわる指摘 アメリカの事例の紹介 『新学校図書館事典』での指摘 雑誌『学校図書館』での指摘 4 学校図書館関係者の反応 5 おわりに Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 1 はじめに 2 加藤幸次のオープン・スクール教育への関わり 3 加藤の学校図書館にかかわる指摘 アメリカの事例の紹介 『新学校図書館事典』での指摘 雑誌『学校図書館』での指摘 4 学校図書館関係者の反応 5 おわりに Fukuji IMAI おわりに 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 背景 学校図書館の機能や役割について、学校図書館の関係 者以外では、発言者の立場や教育観によって必ずしも 一致しない状況がみられる。 発表者は、以前、学校図書館における学校教育の取り 上げられ方を検討するために、全国 SLA の機関紙『学 校図書館』を主な対象として、日本の学校図書館業界 におけるオープン・スクール教育の取り上げられ方を 検討した。 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 研究の目的 (1) 本研究はこの先行研究を踏まえて、学校図書館関係者 以外が学校図書館の役割をどのようにとらえていたの かを明らかにすることを目的に行う。 1970 年代から 1990 年代に発行された文献を対象に、 オープン・スクール教育推進側の学校図書館に関する 指摘、特に加藤幸次(以下、加藤とする)の文献を中 心に取り上げ、当時の学校図書館関係者の発言との比 較を行う。 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 研究の目的 (2) オープン・スクール教育推進者の加藤幸次の文献と学 校図書館関係者の発言の比較を通じて、学校図書館関 係者以外が学校図書館の役割について、どのように考 えていたかを確認しながら、オープン・スクール教育 における学校図書館の役割についての視点の相違につ いて考察する。 なお本研究は発表者による先行研究が存在するが、新規 の文献を追加することで研究の新規性を確保している。 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 1 はじめに 2 加藤幸次のオープン・スクール教育への関わり 3 加藤の学校図書館にかかわる指摘 アメリカの事例の紹介 『新学校図書館事典』での指摘 雑誌『学校図書館』での指摘 4 学校図書館関係者の反応 5 おわりに Fukuji IMAI おわりに 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに オープン・スクール教育とは (1) オープン・スクール教育とは、学校教育の用語で、従 来の教科、学年、学級・学校などの枠組みのなかで教 師が教育していく方法に対して、さまざまな枠組みを 取り払ってオープンな形で行われる教育の形態 1 であ り、単にオープン・スクールと呼ばれることもある。 1 田中俊也. 「オープンスクール教育」 子安増生, 丹野義彦, 箱田裕司 監修. 有斐閣現代心理学辞典, 有斐閣, 2021, 996p. 引用は p. 75 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに オープン・スクール教育とは (2) 実際には様々な類似語が見られる 2 。 オープン・スペース・スクール オープン・ブランド・スクール フリー・スクール フリー・デイ・スクール インフォーマル・エデュケーション インテグレイテド・デイ・スクール スクール・オブ・インテグレイテド 2 小沢周三. オープン・スクールについて 題. 細谷俊夫編. 評論社, 1973, p.501-516 Fukuji IMAI . 学校教育学の基本問 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに オープン・スクール教育とは (3) オープン・スクール教育は、イギリスで行われていた 取り組みが、1969 年のプラウデン報告書でその存在が 広く知られるようになり、1970 年代アメリカでは、教 育の人間化の流れから盛んに取り組みが行われた。 日本では、海外の動きを参照しながら、1972 年には加 藤学園初等学校で実践が始まった 3 。その後、1978 年 の愛知県知多郡東浦町立緒川小学校の実践、1984 年の 神奈川県横浜市立本町小学校、1985 年の東京都目黒区 立宮町小学校の実践が展開された。 3 寺嶋修康. 『オープンスペースを持つ学校建築の系譜と展望』. 甲第 73 号, 首都大学東京, 2009, 164p. 参照は p. 30 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに オープン・スペースについて オープン・スクール教育の取り組みにおいては、多様 な学修を可能とする場所を設ける必要がある。 オープン・スクール教育の動きでは、これはオープン・ スペースという名称で呼ばれ設置が進められていた。 日本では、1984 年に文部省が多目的スペースを設けた 学校への補助を行ったことにより、10 年でオープン・ スペースを備える公立小・中学校が 3,000 を超えたと いう 4 。 4 上野淳, 原田純. 「多目的スペースを有する公立小・中学校の平面計 画動向」. 『日本建築学会計画系論文集』. 1994, 59(458), p.71-78. Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 加藤幸次の経歴 名古屋大学大学院教育学研究科博士課程在籍後、1968 年から 1972 年までフルブライト奨学金によってウィス コンシン大学マディソン校に留学した 留学時にオープン・スクール教育の理論や学校の事例 に触れていたという 6 。 1974 年から国立教育政策研究所の研究員、1987 年か らは 2005 年まで上智大学で教鞭をとった。 個別最適化の学びを中心に教育学の研究に携わり、日 本個性化教育学会の会長も務めている。 6 加藤幸次. 『個別最適な学び・協働的な学びの考え方・進め方: 個に 応じた指導のより一層の充実を目指して』黎明書房, 2022, 149p. 参照 は p. 56 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 加藤のオープンスクール教育のかかわり 1970 年代から、加藤のオープン・スクール教育に関す る指摘が行われている。 例えば 1975 年、環境工学社から刊行されていた『ス クール・サイエンス』という雑誌において 4 回の連載を 行い、アメリカにおけるオープン・スクール教育の状況 を解説し、日本に対する示唆を論じている。 加藤は日本におけるオープン・スクール教育のオピニ オンリーダーとして活躍しており、前述した緒川小学 校の事例においても指導者として大きな役割を果たし た重要な人物だった。 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 1 はじめに 2 加藤幸次のオープン・スクール教育への関わり 3 加藤の学校図書館にかかわる指摘 アメリカの事例の紹介 『新学校図書館事典』での指摘 雑誌『学校図書館』での指摘 4 学校図書館関係者の反応 5 おわりに Fukuji IMAI おわりに 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに アメリカの事例の紹介 アメリカの事例における学校図書館の指摘 (1) 1975 年には次のような指摘を行っている。 ミネアポリスで見学した学校は円形であった。円の 中央が図書館兼学習センターになっており、その周 りに教室が配置されていた。(略)図書館兼学習セ ンターは十分に広く、しかも、色彩あざやかに、各 所に学習コーナーが設けられていた。どの教室から もただちに図書館兼学習センターに入られるように なっている。 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに アメリカの事例の紹介 アメリカの事例における学校図書館の指摘 (2) オープン・スクール教育の学校のパターンの説明 7 1. 図書館、学習センター、あるいは、リソース・センター (resource center)と呼ばれる多様な教材・教具および 図書を備えた 1 つのセンターを中心にして、教室ない し学習室がまわりに配置されているもの 2. 校舎が複数の群(クラスター)により構成される 英語・社会科センター、科学・数学センター、メディア センターといった機能ごとに部屋や建物を分けている もの。 7 加藤幸次「オープンスクールとはなにか」『スクール・サイエンス』 8(55), 環境工学社,1975, p. 72–75. Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 『新学校図書館事典』での指摘 『新学校図書館事典』での指摘 (1) 加藤の学校図書館に関する指摘が最も多くみられるの が『新学校図書館事典』8 である。 加藤は第 1 部「現代社会と学校教育」の第 5 章「学校 図書館の将来的展望」を執筆している。 この章では、学校図書館を支える思想、ラーニング・ センターの思想、ラーニング・センターの構想という 3 つの節に分けて、学校図書館への提言がまとめられて いる。 8 室伏武, 高桑康雄, 瀬戸真編『新学校図書館事典』 第一法規出版, 1983, 467p. 参照は p. 37–43 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 『新学校図書館事典』での指摘 『新学校図書館事典』での指摘 (2) “現状の学校図書館は公共図書館を学校という特別な組 織の中にもち込んだものに過ぎない” とし、学校図書館 は「貸出」主義に安住し、図書館が学校で行われてい る学習活動と有機的に組み合わされていないとした上 で、学校図書館は学校での学習活動を支え、総合する 中心的な機能を果たすべきと述べている。 学校図書館はメディアを書籍や印刷物に限るのではな く、視聴覚教材をも対象としながら、「学校図書館」と いう用語は「ラーニング・センター」という新しい用 語に変えられる必要があると主張している。 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 『新学校図書館事典』での指摘 『新学校図書館事典』での指摘 (3) 「ラーニング・センター」として、どの教室からも図 書館にいつでも簡単に出入りすることができるように すべきとし、図書館の周囲に教室を配置するか、教室 と図書室ないし図書館の区切りを取り払うべきとした。 実際に日本では、ワーク・スペースやラーニング・セ ンターと名づけられたスペースに図書館の機能が分散 された事例が見られ、学校図書館の新しい方向を示し ているとも述べている。 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 『新学校図書館事典』での指摘 『新学校図書館事典』での指摘 (4) こうした「ラーニング・センター」を用いる主体的な 探究学習のために、子供たちが自ら学習課題に取り組 む「学習パッケージ」が用意されるべきだとし、実際 の学習活動においては、映画、スライドや参考書と いった、いろいろな学習のためのメディアが利用され るべきだとしている。 「ラーニング・センター」には、何より専任の司書が 欲しいが、現状では教師がティームを作り共同したり、 地域住民からボランティアによって運営してもらうこ とが現実的な方法であるとしている。 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 『新学校図書館事典』での指摘 『新学校図書館事典』の指摘の位置づけ 加藤は “このように学校図書館の機能をとらえることに 反対する人がいるにちがいない。いや多分、今日、学 校図書館の活動に従事している人の多くが反対するに 違いない”9 も書いている。 しかしながら加藤が主張する「ラーニング・センター」 の内容は、当時の学校図書館で全く議論されていな かったわけではない。むしろ学校図書館が目指すセン ター機能のうち「学習センター」とも重なる点は多い ともいえよう。 9 室伏武, 高桑康雄, 瀬戸真編 op. cit, 参照は p. 39 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 雑誌『学校図書館』での指摘 雑誌『学校図書館』での指摘 (1) 加藤は 1980 年から 1991 年にかけて、全国 SLA の 『学校図書館』で 3 回寄稿し、そのうち 2 回の記事で学 校図書館について触れている。そのどちらも『新学校 図書館事典』の記述と類似した指摘が行われている。 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 雑誌『学校図書館』での指摘 雑誌『学校図書館』での指摘 (2) 1980 年の『学校図書館』では、学習指導要領改訂に合 わせた「小学校の新しい教科書」という特集が組まれ、 「教科書と学校図書館」という記事を寄稿している。そ の中で加藤は “学校図書館は学習の場や教材・教具を提 供する「学習センター」となる” としている 10 。 10 加藤幸次. 「教科書と学校図書館」 『学校図書館』 1980, (351), p. 9-12. 参照は p. 12 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 雑誌『学校図書館』での指摘 雑誌『学校図書館』での指摘 (3) 1991 年の記事では現状の「貸出主義」に陥っている学 校図書館は必要との表現を使いつつ、図書館が本来あ るべき姿は「メディア・センター」、「学習センター」 であり、「全校図書館化」として、固定した部屋に図書 を置くのではなく、オープン・スペースに置くことを 主張している。 司書については、図書に限らない様々なメディアに触 れられる設備にしたうえで、学校の中心に置き、司書 が設置されるべきだ 11 としている。 11 加藤幸次. 「オープン・スクール時代における学校図書館のあり方 を探る」 『学校図書館』 1991, (483), p. 38–43 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 雑誌『学校図書館』での指摘 本節のまとめ 加藤は海外の事例について図書館が使われる事例を紹 介していた。 一方、日本の学校図書館に対しては「貸出」主義に 陥っていると指摘し、「ラーニング・センター」への転 換を求めていた。 加藤自身は学校図書館業界が否定的な見解を持つと予 想していたが、学校図書館が目指すセンター機能のう ち「学習センター」とも重なる指摘も見られた。 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 1 はじめに 2 加藤幸次のオープン・スクール教育への関わり 3 加藤の学校図書館にかかわる指摘 アメリカの事例の紹介 『新学校図書館事典』での指摘 雑誌『学校図書館』での指摘 4 学校図書館関係者の反応 5 おわりに Fukuji IMAI おわりに 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 『学校図書館』における反応 (1) 当時の学校図書館関係者はオープン・スクール教育を どのように受け止めていたのだろうか 12 。 学校図書館界では 1970 年代から 1980 年代にかけて は、オープン・スクールへの関わり方が模索されてい た一方、1990 年代に入ると、日本のオープン・スクー ルの動きを評価するような記事が出てきていた 13 。 以下では 1990 年代の指摘を取り上げる。 12 なお、加藤に対する直接の言及はないため、あくまでもオープン・ スクール教育に関する受け止めである。 13 今井福司. op. cit, 参照は p. 43 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 『学校図書館』における反応 (2) 1990 年 11 月『学校図書館』14 では以下の指摘がある。 安彦忠彦が “日本に作られたオープン・スクールの場 合、多くは学校図書館に当たる部分が「オープン・ス ペース」になっていて、周囲を壁や窓で囲む仕切りを もっていない” としつつ、“このことは、良い効果と悪い 効果とを生んでいる” との指摘をしている。 14 安彦忠彦「学習意欲を高める図書館の役割」 『学校図書館』 1990, (481), p. 63–69. 参照は p. 64 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 学校図書館関係者の反応 (1) 1990 年の 12 月号では、芦谷清が 1980 年代の学校図 書館を振り返る中で、オープン・スクールにおいて、 中心的な学校図書館がないまま分散配置をすることが 問題であると言及している 15 。 15 芦谷清. 特集, 「学校図書館の 40 年: 図書館利用を促す多面的な働 きかけ, 運営・活動の 40 年」 『学校図書館』 1990, (482), p.29–37. 参 照は p. 33–34 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 学校図書館関係者の反応 (2) 『学校図書館』1991 年の 1 月号では「新しい時代の学校図 書館像を探る」という特集で、オープン・スクール教育が 取り上げられている。 岩佐澄男は直接オープン・スクールという用語は使っ ていないが、日本に多く設置されたオープン・スペー スを紹介しつつ、学校図書館を廃して「学年図書室」 を設ける傾向にあることを指摘している 16 。 16 岩佐澄男 「情報化時代の学校図書館: 学習情報センターとオープン スペース」 『学校図書館』 1991, (483), p. 16–21 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 学校図書館関係者の反応 (3) 福永義臣は、日本では、教育方法や教育計画を指す 「オープンシステム」と学校の建築を指す「オープンプ ラン」が混同されてしまい、「オープンプラン」による 学校では、(学年スペースに置かれるなどして)資料の 分散管理が起こることにより利用の便が図られている 一方、(学校図書館に資料を集中させることで可能とな る)集中管理による組織化のメリットが失われていた と指摘している 17 。 17 福永義臣. 「学校図書館のない『オープンスクール』のパラドック ス」 『学校図書館』 1991, (483), p. 30–37 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 学校図書館関係者の反応 (4) 植松貞夫は、建築の観点から日本のオープン・スペー スは、学年単位ないし複数学年の多目的オープン・ス ペースを複数設けるパターンと、このパターンに加え てホールや食堂などの全体で共有する多目的スペース を設けるパターンの二つがあることを指摘している。 その上で、専任の司書教諭が欠けていること、資料に ついて図書室と学年スペースでどのように分割するか ということ、学年スペースに置かれた資料を他学年が アクセスしづらいことを指摘し、学校図書館の独立し た施設や司書教諭が必要であると主張している 18 。 18 植松貞夫 「オープンスペースと学校図書館: 図書スペースの現状と 問題点」 『学校図書館』 1991, (483), p. 22– 29 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 本節のまとめ (1) このように『学校図書館』において、オープン・ス クール教育に対して、3 か月連続で何らかの問題点が指 摘されていた。 特に学校図書館を「独立した施設」としない対応への 批判が多く見られた。 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 本節のまとめ (2) なお、当時の文部省のハンドブックでは、学校図書館 の教材センターとしての役割を触れる中で、“必ずしも 資料そのものを一か所に集中することを意味するもの” ではないとしている 19 。 一方、当時の全国 SLA の資料では、学校図書館は独立 した部屋を設けることや、その部屋にカウンターや書 棚を設けることが前提とされ、オープン・スペースの 考え方は含まれていなかった 20 。 19 文部省編『小学校、中学校における学校図書館の利用と指導』ぎょ うせい, 1983, p. 2 20 学校図書館研修資料編集委員会編. 『学校図書館 ABC:運営から指 導まで』全国学校図書館協議会, 1988, p. 20–24. Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 1 はじめに 2 加藤幸次のオープン・スクール教育への関わり 3 加藤の学校図書館にかかわる指摘 アメリカの事例の紹介 『新学校図書館事典』での指摘 雑誌『学校図書館』での指摘 4 学校図書館関係者の反応 5 おわりに Fukuji IMAI おわりに 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 本研究の知見 検討の結果、加藤は児童・生徒が「探究活動」を行う ために、「ラーニング・センター」の観点から、様々な メディアを活用することができるように目指すべきで あると主張していることが分かった。 この考え方は、学校図書館関係者が提示する「学習セ ンター」の方向性と類似していた。しかし、当時の オープン・スクール教育の取り組みでは学校図書館の 独立した施設を否定する考えが含まれていたためか、 当時の学校図書館業界では、否定的な見解を持つ関係 者もいたことが明らかになった。 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討
はじめに オープン・スクール教育 加藤の指摘 学校図書館関係者の反応 おわりに 本研究の課題 本研究では、加藤以外のオープン・スクール教育の関 係者について、十分検討できていない。 また当時の学校図書館実践について、こうした考え方 がどのように反映されていたのかについても検討が不 足している。 例えばオープン・スクール教育の代表例とされる緒川 小学校では学校図書館活動が盛んであったことが報告 されている一方、オープン・スクール教育で緒川小学校 を紹介する際には、学校図書館がほとんど取り上げら れてていない点は検討すべき内容だと考えられる。 Fukuji IMAI 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター オープン・スクール教育における学校図書館の役割をめぐる視点の相違:1970–90 年代の加藤幸次による指摘の検討