インビザライン 奥歯が咬まない?リスク要因研究(2022)

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August 30, 22

スライド概要

2022年AJO-DOの投稿された論文の紹介です。クリアアライナー治療後に起こる臼歯部の開咬はしばしばみられますが、臼歯部圧下と関連があるとされています。この研究は臼歯部圧下の有無やその定量化、さらにリスク要因を検討した研究です。

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矯正歯科の海外最新論文をPubMedから紹介します。特にマウスピース型矯正(インビザライン)論文中心にお届けします。

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各ページのテキスト
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マウスピース型矯正論文紹介 Unplanned molar intrusion after Invisalign treatment Laura Talens-Cogollos, Arturo Vela-Hernandez, Marıa Aurora Peiro-Guijarro, Veronica Garcia-Sanz, Jose Maria Montiel-Company, Jose Luis Gandia-Franco, Carlos Bellot-Arcıs, and Vanessa Paredes-Gallardo Am J Orthod Dentofacial Orthop 2022 https://doi.org/10.1016/j.ajodo.2021.03.019 紹介者:矯正歯科海外論文紹介サイト https://kyousei-kaigaironbun.com

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目次 1 2 3 4 5 6 • Introduction • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References

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目次 1 2 3 4 5 6 • Introduction • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References

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Introduction クリアアライナーを装着している多くの患者において、軽い臼歯部の開咬が頻繁に観察され、 この状況は通常、臼歯部の圧下の可能性に起因しているとされている[5-8]。 圧下を示唆する先行研究は、インビザラインの現在のスマートトラックではなく、 EX30の材料を使用した研究であった。 そこで、 本研究はスマートトラック素材のクリアアライナー装着後の臼歯部圧下の有無、 圧下が起こった場合の定量化、および圧下に影響を及ぼす変数(年齢、治療期間、 オーバーバイト、下顎平面角、咬合平面角、前顔面高径、上下顎切歯の傾斜、 上下顎切歯の挺出)との関連を分析することを目的とする。

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目次 1 2 3 4 5 6 • Introduction • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References

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Materials and Methods 参加者概要 2012年から2018年にインビザライン(Smart Track)による治療を受けた者 包含基準 成長過程を終えた18歳から60歳の成人患者 骨格クラスⅠ 良質のセファログラム、写真、治療開始時と終了時のクリンチェックがある者 すべての歯が完全に萌出していること 第一、第二大臼歯が治療前、治療中、治療後に対合歯に接触していること 除外基準 深い過蓋咬合、前歯部開咬の者 治療前、治療中、治療後に臼歯部開咬を呈した者 臼歯部開咬を軽減するための処置を行った者 治療計画に臼歯部の圧下、遠心移動を含む者 固定式補綴物を装着している者 骨性癒着歯や骨支持量が歯根の半分以下の者 歯周病の兆候や症状がある者

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Materials and Methods Talens-Cogollos et al.(2022)より

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Materials and Methods Talens-Cogollos et al.(2022)より Talens-Cogollos et al.(2022)より

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目次 1 2 3 4 5 6 • Introduction • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References

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Results Talens-Cogollos et al.(2022)より 参加者58名(女性38名[65.5%]、男性20名[34.5%])、平均年齢32.3歳、18-60歳、中央値31歳 治療期間平均586.7日、126-1222日、中央値564.5日 U6_SN、L6_MPは有意に減少したことが明らかになった。

11.

Results Talens-Cogollos et al.(2022)より 臼歯部圧下は74.2%(n=43)で認められた。そのうち、上顎臼歯部15.5%(n=9)、下顎臼歯部32.8%(n=19), 上下顎臼歯部は25.9%(n=15)であった。 臼歯部圧下を認めない症例は25.8%にすぎなかった。 上顎臼歯の圧下の平均は0.28mm、下顎臼歯の圧下の平均は0.41mmであった。 上顎臼歯のみの圧下の平均は0.98mm、下顎臼歯のみの圧下の平均は0.84mm、両顎臼歯の圧下の平均は 1.01mmであった。 上/下/両額の平均値に有意差はなかった。性別に関する有意差はなかった。

12.

Results Talens-Cogollos et al.(2022)より 上顎臼歯部の圧下は下顎平面角(r=-0.268)、咬合平面角(r=-0.278)、下顎臼歯部の圧下(r=-0.270)と負の 相関を示した。年齢、治療期間との有意な相関は認められなかった。

13.

Results Talens-Cogollos et al.(2022)より 重回帰分析の結果、 上顎臼歯部の圧下はL6_MP T0、下顎平面角T0、顔面軸T0、 下顎臼歯部の圧下は顔面軸T0、年齢に関して有意でありモデルにおいて予測される変数である。 予測変数の値が大きくなるにつれて、治療後の臼歯部の圧下が減少する傾向がみられた。

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目次 1 2 3 4 5 6 • Introduction • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References

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Discussion 上顎臼歯の圧下は、下顎平面角と咬合平面角と負の関係があり、すなわち、これらの値が小さいほど 上顎臼歯の圧下率が高くなることが明らかになった。 臼歯部圧下率が最も低い長顔型患者著比較して、単顔型、中顔型の患者において咬筋の活動が大きいため であることと示唆することは妥当である[22]。 下顎臼歯の圧下は、顔面軸によって予測されることが明らかになった。 臼歯部の圧下は、アライナーの王ラスティック素材が半永久的かつ長期間にわたって上顎と下顎に咬合面に 介在し、ある程度の筋力のある患者においては、臼歯部の圧下の程度が変化して発生するものであると考え られる。 ⇒臼歯の圧下は通常両方の臼歯において1mmの大きさを伴うため、self-limitedであることが観察されてい る。これは、アライナーの継続的な使用により乱れた本来の垂直方向の寸法を回復するための患者による 神経筋の適応と説明することができる。

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目次 1 2 3 4 5 6 • Introduction • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References

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Conclusions 1. 非計画的臼歯部圧下0.94mmは74.2%に認められた。 2.上顎臼歯部のみの圧下が15.5%,下顎臼歯部のみの圧下が32.8%の症例で認められた。 また、25.9%の症例では,両アーチの臼歯部の圧下が認められた。 3. 大臼歯の圧下と治療期間との間に相関関係は認められなかった。

18.

目次 1 2 3 4 5 6 • Introduction • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References

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References

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記事監修 Dr. 堀井和宏 (Kazuhiro Horii) 日本矯正歯科学会 臨床指導医(旧専門医)・ 認定医 日本舌側矯正歯科学会 American Association of Orthodontists 〒520-0832 滋賀県大津市粟津町4-7 https://www.horii-kyousei.com