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June 04, 23
スライド概要
日々の診療や臨床、医学研究に役立つ最新海外論文をPubMedから情報を提供します。Evidence-Based Medicine (EBM)、すなわち、科学的根拠に基づいた医療情報を提供します。今回は2022年にDiagnosticsに投稿されたクリアアライナー治療と上気道狭窄に関する論文を紹介します。
矯正歯科の海外最新論文をPubMedから紹介します。特にマウスピース型矯正(インビザライン)論文中心にお届けします。
Key-words: orthodontics; airway; clear aligners; 3D diagnostics; sleep apnea; CBCT Change in the Constricted Airway in Patients after Clear Aligner Treatment : A Retrospective Study Georgia Fountoulaki and Andrej Thurzo Diagnostics 2022, 12, 2201. https://doi.org/10.3390/diagnostics12092201 紹介者:矯正海外論文サイト https://kyousei-kaigaironbun.com
目次 ©kyousei-kaigaironbun.com 1 2 3 4 5 6 • Introduction • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References
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1. Introduction ©kyousei-kaigaironbun.com 【本研究の目的】 クリアアライナー治療に伴うCBCT画像を用いて、上気道形態と舌の位置を3次元的に評価すること。 特に、上気道狭窄のある患者とそうでない患者においてクリアアライナー治療の臨床効果を比較する ことを目的とする。 上気道の狭窄がヒトの睡眠の質や認知機能に及ぼす悪影響はよく知られている。 本研究は、これまで明らかにされてこなかった歯列矯正と上気道形態との関係に焦点を当てるもの である。
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Materials and Methods ©kyousei-kaigaironbun.com 2.1. Concept, Hypothesis and PICO 【デザイン】 Georgia (2022) ・クリアアライナー(インビザライン)矯正 による治療患者 ・治療前後でBMIの変化が有意でなかった者 ・気道狭窄が観察された者(A群)55名 /気道狭窄がない者(B群)31名 Fountoulaki & Thurzo (2022) クリアアライナー治療における気道の変化を 評価した口腔内と咽頭部の舌位置
Materials and Methods ©kyousei-kaigaironbun.com 2.2. Borders of the Airway Georgia (2022) NP RP 気道狭窄はInvivo Anatomageによって測定した RG Fountoulaki & Thurzo (2022)
Materials and Methods ©kyousei-kaigaironbun.com 2.3. Group Selection and Clinical Evaluation Fountoulaki & Thurzo (2022) Anatomage社(米国カリフォルニア州サンタララ)のソフトウエアInvivo 6で狭窄を評価した 気道のCBCT 3D解析の例。(a)狭窄を伴う治療前のCBCT;(b)治療後のCBCT解析では、 気道狭窄が有意に改善され、舌の位置は変化していない。
Materials and Methods ©kyousei-kaigaironbun.com 2.3. Group Selection and Clinical Evaluation 上から順に、口腔内の気道と舌の位置に関する様々な 臨床状況を示す (1)気 道が狭く、舌が口蓋と切歯に接触し、下顎切歯の 位置が明らかに変化したことで気道の拡張が見られた (2) 舌の位置が変化しても気道の変化がない対照群の 患者の 状況を示している (3)最初のCBCTと比較して、舌の位置が後方 にあるに もかかわらず、気道のクリアランスが改善されている ことを示している Fountoulaki & Thurzo (2022)
Materials and Methods ©kyousei-kaigaironbun.com 2.6. Aditional Parameters Collected and Evaluated セファロパラメータとその定義と意義を表1に示す Fountoulaki & Thurzo (2022)
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3. Results ©kyousei-kaigaironbun.com 3.1. Clinical Structure of the Selected Dataset 86名の患者のうち女性72.1%、男性27.9%、平均治療期間は2.1年であった。 気道狭窄が確認された64%をA群、確認されなかった36%はB群とした。 ・顎間ゴムの使用率:A群61.8%、B群74.2% ・プレシジョンウイングの使用率:A群5.5%、B群6.5% ・顎矯正手術:A群5.5%、B群3.2% ・治療前の不正咬合 クラスⅠ:20.9% クラスⅡ:66.3% クラスⅢ:12.8% ⇒治療後のクラス ⇒65.1% ⇒32.6% ⇒2.3%
3. Results ©kyousei-kaigaironbun.com 3.1. Clinical Structure of the Selected Dataset A群とB群で性別や年齢に統計的な有意差はなかった Fountoulaki & Thurzo (2022)
3. Results ©kyousei-kaigaironbun.com 3.1. Clinical Structure of the Selected Dataset A群とB群においてエラスティック、プレシジョンウイング、手術、骨格クラスに関して統計的な有意差は見 られなかった Fountoulaki & Thurzo (2022)
3. Results ©kyousei-kaigaironbun.com 3.2.1. Volumetric Changes in the Airway 図7a(治療前)と図7b(治療後)が示すように、アライナー治療により、A群(治療前の気道狭窄あり)では 容積が改善された(p < 0.001) Fountoulaki & Thurzo (2022)
3. Results ©kyousei-kaigaironbun.com 3.2.2. Surface of the Airway Cross-Section at the Level of Highest Constriction (a)アライナー治療開始時、(b)治療後、最も狭窄した気道の表面は、どのグループでも治療後に大きな 変化は見られなかった Fountoulaki & Thurzo (2022)
3. Results ©kyousei-kaigaironbun.com 3.2.3. Position of the Highest Constriction (a) 治療前の狭窄レベル;(b)治療後の最高狭窄レベル 最も多い狭窄は第2頸椎(CV2)で確認された。両群間に統計的な有意差は見られなかった Fountoulaki & Thurzo (2022)
3. Results ©kyousei-kaigaironbun.com 3.3. Change of Tongue Position in the Oral Cavity from Lateral View グループ間の有意差は認められなかった。治療前と治療後のCBCTで口蓋と切歯に相当する舌の輪郭の違いを評価した。 (a)治療前の気道狭窄が顕著なA群では、61.1%の症例に舌の位置の変化が認められた。 (b)同様に、対照群では63.3%の症例に治療後の舌の位置の変化が認められた。 Fountoulaki & Thurzo (2022)
3. Results ©kyousei-kaigaironbun.com 3.4 Results of Skeletal Analysis A群とB群におけるSNB角度の値(1)Sella Turcica, (2)hard tissue Nasion (3)point Bで形成される角度SNB。 (a)A群(左)とB群(右)の治療前のSNB角度、(b)A群(左)とB群(右)の治療後SNB角度。 Fountoulaki & Thurzo (2022)
3. Results ©kyousei-kaigaironbun.com 3.4 Results of Skeletal Analysis Fountoulaki & Thurzo (2022)
3. Results ©kyousei-kaigaironbun.com 3.4 Results of Skeletal Analysis オーバージェットは有意ではなかった Fountoulaki & Thurzo (2022)
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4. Discussion ©kyousei-kaigaironbun.com 本研究の結果、咬合や顎間関係の改善により、気道のクリアランスが改善された。 また、気道狭窄の最も多い位置は、第2頸椎のレベルであることが明らかになった。 一般的に矯正治療後の3D気道スペースの変化に関するエビデンスは不足している。 Diwakar (2021)によると、CBCTを用いて算出された気道容積に対する頭蓋顔面形状の影響に着目 している。 この研究によると、気道空間が男女で大きく異なることが明らかになっている[45]。 本研究の限界は、気道空間が男女で異なること、立位のCBCTは頸部に対する頭部姿勢が気道を変 形させ、頭部位置を変えても気道の変形が残ることである。 また、リラックスしていない状態でCBCTを行うと、不自然な舌の痙攣が起こり、それを確認する ことが難しいこと、舌の位置を横方向から評価する必要があることが挙げられる。
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5.Conclusions ©kyousei-kaigaironbun.com クリアアライナー治療を受けた患者さんには、上気道の容積に変化が見られた。 気道狭窄群では、治療中に統計的に有意な容積の増加がみられた(p < 0.001)。 治療前の狭窄のない対照群における容積の変化は、有意ではなかった。 アライナー治療前後のCBCT評価では、平均62.2%が舌の位置と切歯・口蓋との関係に変化を示した。
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References ©kyousei-kaigaironbun.com
記事監修 ©kyousei-kaigaironbun.com Dr. 堀井和宏 (Kazuhiro Horii) 日本矯正歯科学会 臨床指導医(旧専門医)・ 認定医 日本舌側矯正歯科学会 American Association of Orthodontists 〒520-0832 滋賀県大津市粟津町4-7 https://www.horii-kyousei.com