アジャイルコーチが事業会社を立ち上げたけど、事業環境が生々しくて視野が広がる

3.7K Views

January 08, 25

スライド概要

Regional Scrum Gathering Tokyo 2025 の発表資料です。

profile-image

Agile Coach at Attractor Inc. Co-founder / Board director at CareFran Inc.

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

関連スライド

各ページのテキスト
1.

アジャイルコーチが事業会社を立ち上げたけど、 事業環境が生々しくて視野が広がる 株式会社アトラクタ / 株式会社CareFran 高橋一貴 UnsplashのVlad Sarguが撮影した写真

2.

高橋一貴 / Takahashi Kazuyoshi 株式会社アトラクタ アジャイルコーチ 株式会社CareFran 共同創業者/取締役 ヤフーでのアジャイル開発普及の立ち上げや、スタートアップのサー ビスローンチ、ネット印刷のラクスルにおける組織マネジメントなどを 経験 現在はアトラクタのアジャイルコーチとして企業の課題解決の支援と ともに、共同創業したCareFranで介護のDXに取り組んでいる。 支援と実践の両輪が特徴。 2

3.

介護業界をとりまく状況 ✤ 今年から戦後ベビーブームの世代が後期高齢者になり、介護の需要が増大 ✤ 人手不足のうえ、低賃金と言われており、なり手不足が深刻 ✤ 紙・FAXへの依存などアナログな部分が大きく残り、書類業務の負荷が高い ✤ 質の維持と効率化への社会的圧力が高まっている 3

4.

そこでCareFranですよ ✤ 高齢者の増加状況に対して非常に脆弱 ✤ SaaSではなく介護事業そのものを高効率で提供する仕組みをつくる ✤ 介護事業者の賃金問題と業務負荷の問題を両方解決 ✤ スタートアップの成長ステージとしてはシードからアーリーに入ったところ ✤ この年末年始ではじめて本業で売上が立つ見込みがたちました! 4

5.

わたしたちがよく知っていそうなことで何が起きる? ある程度訓練されたスクラムマスターやアジャイルコーチがよく言うし、知った気になっ ていること ✤ 事業環境を理解する ✤ ユーザに向き合う ✤ 価値を届け、事業に貢献するプロダクトをつくる ✤ 失敗を許容する 5

6.

ドメイン理解が沼 - 事業環境を理解する ✤ ケアマネジャーが不足している自治体で設立 ✤ しかし利用者の紹介はこない ✤ 知っているところ、知っている人でないと安心して紹介できない ✤ 地元でネットワークのあるメンバーを採用 ✤ 合理的に正しければ課題解決できるわけではない ✤ 手元の課題が解決したとして、1段階、2段階さらに掘り下げられないか 6

7.

われわれは空気を吸うようにITスキルを行使している - ユーザに向き合う ✤ われわれは世界の果てから来た ✤ そしてオープンなコミュニケーションをしようとか怖いことを言っている ✤ 「怖い」「壊しそう」という不安を払拭するには対面でのトレーニングが必要 ✤ 価値を主張する前に「その価値の価値」を共有 ✤ 使い方より新しい働き方に慣れるほうが大切 7

8.

使いこなせばすごいことができる…!? - 価値を届け、事業に貢献するプロダクトをつくる ✤ プロダクトは覚えればすごく便利ではなく、はじめから楽じゃないとだめ ✤ 特に、使い始めから「覚えれば便利」は話にならない ✤ 既存のプロセスに馴染ませながら変えていく必要がある ✤ プロダクトを使う仕事をさせない。プロダクトに仕事をさせる ✤ はじめは最小限のスコープでいいし、オズの魔法使い方式でもいい ✤ 価値を感じてもらう 8

9.

われわれは全然わかっていない - 失敗を許容する ✤ どこまでがスコープなのか決めたくなるが、わかっていないことはわかっていた ✤ プロダクトの名前を決めたいが材料がない ✤ とりあえずOKRの番号 ✤ LINE公式アカウント:OKRの2番目→Niban ✤ 介護従事者用システム:OKRの3番目→Sanban ✤ はじめから決め打ちにしない。でも名前はつける ✤ 失敗を許容する、というより、変化の余地を作る 9

10.

まとめ ✤ ニーズを外形的に捉えるだけでわかった気になっていないか ✤ 意思決定の仕組みまで入り込める手を打てているか確認をする ✤ われわれは世界の果てからいきなり現れて怖いことを言っている ✤ やるべきことを主張する前に、なぜそれに価値があるか共感を作る ✤ 使いこなせばすごいプロダクトは使えない ✤ スコープは狭くていいのではじめから楽にする ✤ 「われわれはここまでわかっている」は、たぶんわかっていない ✤ やってみてわかることが必ずある。変化の余地を作っておく 10

11.

NEXT→ACTION ✤ スクラムは課題発見の仕組みだとは言うけれど、自分たちの課題解決だけじゃなくて 顧客の課題解決や社会的な意義を言語化できる? ✤ アジャイルコーチとかスクラムマスターが得意な「組織の課題解決の仕組みづくり」の 先に、「社会の課題解決」があっても良いのでは。自分で事業をするのも楽しい。 人生かけて俺らは何かひと つやり遂げる必要がある “69” ONE OK ROCK Regional Scrum Gathering Tokyo 2020 Closing Keynote NEXT→ACTION 11