【Unite Tokyo 2019】Unity上でセルルックCGアニメ映画「HELLO WORLD」のシーン再現にチャレンジ!

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October 17, 19

スライド概要

2019/9/25-6に開催されたUnite Tokyo 2019の講演スライドです。

阿尾 直樹(株式会社グラフィニカ 演出/ディレクター)
堀内 隆(株式会社グラフィニカ 映像ディレクター)
鶴田 剛史(フリーランス プログラマ)
小林 信行(ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社 コミュニティエバンジェリスト)


セルルックCGアニメ映画「HELLO WORLD」の素材を使い、Unity上での映像再現検証結果、また今後の可能性や課題についてお話します。Unity上で劇場作品と同じクォリティに迫れるか、Unityを映像制作のメインツールとすることで従来のアニメ制作コストを20%削減できるか、を命題に検証した結果をアニメ制作現場目線からご報告します。MeshSync/Scene Cache ワークフロー、DXRハードシャドウを用いたリアルタイムセルシェーダー、Unity上で3D素材をそのまま使い作業することで、AEでの2Dコンポジット作業を最小限に抑えることのメリット等についてのレポートです。

Unityのイベント資料はこちらから:
https://www.slideshare.net/UnityTechnologiesJapan/clipboards

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リアルタイム3Dコンテンツを制作・運用するための世界的にリードするプラットフォームである「Unity」の日本国内における販売、サポート、コミュニティ活動、研究開発、教育支援を行っています。ゲーム開発者からアーティスト、建築家、自動車デザイナー、映画製作者など、さまざまなクリエイターがUnityを使い想像力を発揮しています。

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各ページのテキスト
2.

Unity上でセルルックCGアニメ 映画『HELLO WORLD』の シーン再現にチャレンジ!! 株式会社グラフィニカ/ Graphinica ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社 / Unity Technologies Japan 阿尾直樹 堀内隆 鶴田剛史 大前広樹 小林信行

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Graphinica 阿尾直樹 堀内隆 グラフィニカ ディレクター フリーランスプログラマ 3DCGアニメーター、ディレクタ ーとして主にTVアニメ、ゲーム、 CM、PV等の作品に関わり、現在 はCGの経験を活かしてコンテ・ 演出方面へ活躍の幅を広げて いる。 アニメ撮影、編集を経て、現在は TVシリーズからイベント映像、 セルアニメから実写VFXまで、 映像演出全般に携わっている。 プログラマとして現在ゲー ムエンジンを用いたアニメ ーション制作の可能性を模 索している。 グラフィニカ 演出 3 鶴田剛史

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Unity Technologies Japan 大前広樹 小林信行 ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの日 本担当ディレクター。Unityの中の人の一 人としてさまざまな難しい問題の解決に尽 力するほか、日本のゲーム開発コミュニテ ィの一員としてゲーム開発がもっと楽しく なる活動に注力。 ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン 所属のコミュニティエバンジェリスト。 UnityやMayaをはじめとする各種 3Dツールの研究、ゲーム制作のノウ ハウの普及、ユニティちゃんトゥーン シェーダー2.0の開発を担当。 4

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セルルックCGアニメ 『HELLO WORLD』のワンシーンをUnity で果たしてどこまで再現できるか? CG映像プロダクションのGraphinicaと Unity Technologies Japanの両チーム でチャレンジしてみました! Ⓒ2019「HELLO WORLD」製作委員会

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それではまず『HELLO WORLD』の PV映像をご覧ください!

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『HELLO WORLD』 映像作品としての制作上のポイントとは? 従来の2Dの作画アニメ作品に匹敵する クオリティのセルルック3DCG作品を 作る! 7

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『HELLO WORLD』 制作環境・ツール 3ds Max After Effects 8

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『HELLO WORLD』 制作上大変だったこと ・キャラクターの豊かな感情表現 ・ハイクオリティーな3DCGカットの制作 ・最終的なクオリティを決める丁寧なコンポジット 9

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キャラクターの豊かな感情表現 →構造が複雑なリグ 10 Ⓒ2019「HELLO WORLD」製作委員会

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ハイクオリティーな3DCGカットの制作 →厳密なレイアウト設計と、自然な日常芝居 11 Ⓒ2019「HELLO WORLD」製作委員会

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最終的なクオリティを決める丁寧なコンポジット →AE上での多重レイヤー、深いコンポ構成、ファイルサイズの巨大化 12 Ⓒ2019「HELLO WORLD」製作委員会

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『HELLO WORLD』 本編で実際にUnityを使った箇所とは? 13

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検証プロジェクトのテーマ 「劇場公開レベルの3Dキャラクター モデルをUnityでリアルタイムに 扱いつつ、従来のワークフローでの クオリティに迫ることができるか?」 14

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Unity Japan team 担当シーン 15 Ⓒ2019「HELLO WORLD」製作委員会

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Graphinica team 担当シーン 16 Ⓒ2019「HELLO WORLD」製作委員会

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カットの再現にあたり、課題となったポイント ① DCCツールからUnityへのデータのやり取り 3sdmax→Unity ② Unity上での質感再現、特に高品質の影の再現 ③ ファイナルルックかつリアルタイムでの確認 17

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① DCCツールからUnityへのデータのやり取り ? 18 Ⓒ2019「HELLO WORLD」製作委員会

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Unity Japan team ① DCCツールからUnityへのデータのやり取り ⇒ MeshSyncを使用する  MeshSyncのScene Cacheを使うメリット 1. DCCツール上では重いアニメーションを、 Scene CasheでUnityに送ることで、スクラブ再生できる 2 . Unity上でタメツメを設計するためのコマ抜き作業ができる 3 . 使うDCCツールを選ばない 19

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Unity Japan team 1. DCCツール上では重いアニメーションを、Scene CasheでUnityに 送ることで、スクラブ再生できる 20 Ⓒ2019「HELLO WORLD」製作委員会

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Unity Japan team 2. Unity上でタメツメを設計するためのコマ抜き作業ができる 21 Ⓒ2019「HELLO WORLD」製作委員会

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Unity Japan team 3 .使うDCCツールを選ばない ⇒Scene Cacheで出力すれば、Unity上では同じように扱えるので、 協力会社ごとに、得意なDCCツールを使用できる。 Blenderなども従来の制作パイプラインに加えられる。 22

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Graphinica team ① DCCツールからUnityへのデータのやり取り キャラクター:Alembic プロップ:FBX マテリアル・カメラ:Json 23

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②Unity上での質感再現、特に高品位の影の再現 Q: リアルタイムで質感表現をする事が何故必要なのか? 1. コンポジット向けの素材出しや、レイヤー管理を軽くしたい! 2. 作業段階の巻き戻しや追加を素早くできるようにしたい!! 3. 完成段階に近い映像を見ながらストレスがない環境で作業したい!!! 24

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Unity Japan team ②Unity上での質感再現、特に高品位の影の再現 --------------------------Screenpresso --------------------------録画中です --------------------------OK --------------------------- After Effects 25 Ⓒ2019「HELLO WORLD」製作委員会

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Unity Japan team ②Unity上での質感再現、特に高品位の影の再現 UTS2 + DXRレイトレースハードシャドウ 26 Ⓒ2019「HELLO WORLD」製作委員会

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Unity Japan team ②Unity上での質感再現、特に高品位の影の再現 UTS2 + DXRレイトレースハードシャドウ 従来のシャドウマップ方式 DXRレイトレースハードシャドウ方式 27

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Unity Japan team ②Unity上での質感再現、特に高品位の影の再現 UTS2 + DXRレイトレースハードシャドウ フェイスライトの落影を シンプル気味に設定 フェイスライトの落影を 情報量多めに設定 28

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Graphinica team ②Unity上での質感再現、特に高品位の影の再現 29 Ⓒ2019「HELLO WORLD」製作委員会

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②Unity上での質感再現、特に高品位の影の再現 <メッシュの割り方・ポリゴン分割の綺麗さ> Tessellation 30 TurboSmooth Ⓒ2019「HELLO WORLD」製作委員会

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③ファイナルルックでリアルタイム確認 Pencil+ 4 Line for Unity でのライン表現 31 Ⓒ2019「HELLO WORLD」製作委員会

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③ファイナルルックでリアルタイム確認 Unity上でリアルタイムに「撮影処理」を加えて行く 32 Ⓒ2019「HELLO WORLD」製作委員会

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Graphinica team Unity上のコンポジットレイヤーツール 33 Ⓒ2019「HELLO WORLD」製作委員会

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最後にまとめとして、 Graphinica、Unity Japan 両チーム それぞれの再現の結果を、本編映画の 映像と比較できる形でご覧いただきます!

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Unity Japan team 『HELLO WORLD』本編映像 35 Ⓒ2019「HELLO WORLD」製作委員会

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Graphinica team 『HELLO WORLD』本編映像 36 Ⓒ2019「HELLO WORLD」製作委員会

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今回の映像再現度は・・・・・・ 85%!! ※あくまで今回のカットは、という所ですが・・・

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再現度残りの%は?

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Graphinica team 再現度残りの%は? 本編映像 AfterEffects 画面 Ⓒ2019「HELLO WORLD」製作委員会

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Graphinica team 再現度残りの%は? 本編映像 Unityでの再現映像 今回はあえてこのままにしています! Ⓒ2019「HELLO WORLD」製作委員会

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Unityを使う事で時間短縮は可能か? 1. 従来のDCCツールから大量の連番素材等をレンダリングして、それらを 2Dコンポジット上で大量のレイヤー構成で仕上げていくという流れからの脱却 →レンダリングコスト、膨大なデータのやりとりの軽減 2. 撮影(コンポジット)とアニメーションがコンテ以降である程度同時平行で作業 できる点 →常に作業の進捗をunityを通して各セクションのスタッフで共有ができ、 スピーディーに作業を進める事ができる 41

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Unityを使う事で時間短縮は可能か? 3. 監督、演出がUnityをある程度使える事でチェック時にもフィニッシュの絵が リアルタイムで確認でき、処理等についてはその場で修正もできるという点 →監督・演出のイメージする映像によりスピーディーに近づける 緊急対応の時でもスピーディーに対応ができる 結果、従来のクリエイティブではない時間をカットし、 クリエイティブなtry&errorに時間を割くことができる。 またワークフローもシンプルになり現場にとって時間短縮に繋がる! 43

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Unity Japan team まとめ 44

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Graphinica team まとめ 45

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ご清聴ありがとうございました! 46