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October 31, 19
スライド概要
毎年行われるUnityの大型公式イベント「Unite Tokyo」その基調講演がどのように作られているか知りたいと思った事はありませんか?
え、ない?
大型イベントの基調講演というのは、多くの講演者、多くの内容をテンポよく詰め込まないとなりません。
そのため、通常の講演とはちょっと違う準備が必要となります。このような基調講演はどのように準備して実行するのか…このセッションではそのウラ側を初めて紹介してみます。
スピーカー:
大前 広樹
ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン 日本担当ディレクター
リアルタイム3Dコンテンツを制作・運用するための世界的にリードするプラットフォームである「Unity」の日本国内における販売、サポート、コミュニティ活動、研究開発、教育支援を行っています。ゲーム開発者からアーティスト、建築家、自動車デザイナー、映画製作者など、さまざまなクリエイターがUnityを使い想像力を発揮しています。
大前 広樹@Unity Generative Art — Made with Unity Unite Tokyo 2019 基調講演の裏側
基調講演とは 毎年のUniteで行われている一番ながい講演 めっちゃ手間と準備がかかる
基調講演の役割 Unityの考えている未来や今起きていること、最新の機能や今後起きるこ と・考え方などを、俯瞰的に60分〜90分くらいでガガッとお伝えする
通常講演との違い 通常講演 基調講演 セッション時間 45分〜60分 60分〜120分 登壇人数 1〜2人 8人〜 ライト等演出 あんまりない がっつりある デモの役割 ちゃんと見せる 驚きを届ける 持ち時間 長い(20分〜60分) 短い(3分〜10分)
基調講演の時間と満足度 😒 短すぎる… 30 60 😄 😰 面白かった! 長すぎ… 90 120 (分)
で いただいた みなさんの声
基調講演・皆さんの声(2017) 素晴らしい、日本語は上手ですね えー あー が多いのが気になりました。 別に歩き回らないでいいです 時間厳守 ワクワクしました! 基本的なアップデート内容が分かってよかったです! スライド誤字あった
基調講演・皆さんの声(2018) 新しい情報をください。 ほぼ発表済みの既知の内容でしたのでこの公演に参加する何らかのメリットを設定するとよいかと もう少し明確なロードマップや未来を見せて欲しかった youtube で十分 何というかまとまりのない基調講演だったと思います。 Unityの進化が感じられました!最高です。 大前さんは歩き回っていいと思います。 もっとエンタテインメント性を高く なんらかの目玉を用意するべき
基調講演・皆さんの声(2019) 部屋の温度調節!寒い 黒河くんかっこいい 非常に刺激がありました! 映像産業とエンタメ産業の垣根を越えるimproveは興奮しました 最高でした。一年に一度、この情報量の発表が行われることに驚愕します。 各分野の具体例がでて楽しかった。 ウェブアプリやアニメなど、ゲーム以外にも興味深い内容が多かった TinyModeだっけ?どこいったんだろ
アプリ利用のメリット メリット いただいた内容を即日確認できる 紙に比べて、ストレートな意見を頂ける (本音的、感情に近い) チャレンジ 心を鍛えながら読む必要がある
Unite Tokyo基調講演のNPSスコア NPS 50 NPS(Net Promoter Score) とは 講演を見た人に入力してもらったスコア を特定の方法で計測した値で、 「この講演をどの位ひとにオススメした いか」を数値化したもの。 数値軸 37.5 25 下手をするとすぐマイナスの値が出る、 と〜っても怖いスコアシステム。 12.5 0 2017 2018 2019
2019年基調講演のチャレンジ • Unite Copenhagenとほぼ同日の実行 • 内容も一部Unite Copenhagenと共有 • ゲストスピーカー • 複数の大型リアルタイムデモ
プランニング 7月 基調講演でやりたい 内容のブレスト 可能な内容のリスト 共有 ザックリしたプランの 策定 8月 講演者の選定 9月 やっぱあのデモ 間に合いそうにないわ 社内リハーサル 内容の確定 各パートの ブラッシュアップ 内容の修正 内容の修正 内容の修正 内容の修正 内容の修正 内容の修正 内容の修正 内容の修正 実施! 会場 リハーサル
スライド製作 各パートの担当者 ゲストスピーカー ブランドデザインや 全体のルック&フィールの 責任を持つ スライドデザイナー
ブランド&デザイン・・・?
…みなかったことにします! スライドデザイナー
台本製作 • Google Docsを使用してパート毎に作成 • 最終的にMasterスクリプトに合体
送り指示や ライティングなど スライド しゃべり文 送りタイミング
台本文の推敲 • すべて文章に起こすため、書き文字になりがち • 倒置法的表現など「読むにはいいが、聞くとストレ スフル」な文章を修正していく
台本文の推敲 「シャドウガンなどFPSを開発するスタジオ で知られるチェコのマッドフィンガーゲームズ は・・・」 「マッドフィンガーゲームズはチェコのゲーム スタジオで、シャドウガンなどFPSを 開発しています」
なぜGoogle Docsなのか? • 最後まで編集を詰められる • 文字の大きさなどを一度に変えられる • しゃべる内容をそのまま書ける
同時通訳 同時通訳のチームにもこの内容を そのまま共有、事前に通訳文を 準備していただく
日本語と英語が交互する場合… • 同時通訳レシーバーはつけてないお客さんも いる • 英語に切り替わる前に、日本語スピーカーか ら案内をすると親切
何故発表者ノートを使わないのか
練習 • 過去のみなさんの声からの学び • キーノートは通常の講演より「話す技術」を求めら れる • 「簡潔に」 • 「滑舌よく」 • 「重要なポイントを解りやすく」
デモ機のセットアップ • • このタイミングですべてのデモをインストールして デモ機をセットアップしておく デモによっては200GB越えのsvnなんてものもあるので数日前から入念にダウンロードし ておく 「このタイミングでデモをインストールすると言ったな。あれは嘘だ」 「デモは明日できる。続報をまて」
デモ準備のコツ • デモのセットアップは必ずバージョン管理システム を使うこと<重要> • おかしくなった時にかならずロールバックできる!
社内リハーサルの様子
ちなみに このデモは 基調講演前日に キャンセルになりました(T-T)
人員・ハード構成
PCスペック OS: Windows10 Home 64bit CPU: Core™ i9-9980 Memory: 32GB PC4-19200 VGA: RTX™ 2080 Ti SSD: 1TB Samsung PM981a NVMe対応 HDD: 3TB Power: 800W かなりのモンスターマシン プレゼンテーション用PC 1台 (+バックアップ1台) デモ用PC 2台 (+バックアップ2台)
基調講演の フロー管理表 時間が近いので 同じPCだと危ない
ハードウェア構成 • デモPCは4台構成(2台ペアx2) • デモをスムーズに実行するため • クラッシュした時のためのフルバックアップ • PCはKVM延長器でリモート接続、いつでもバックアッ プに切り替えられるように
返しの構成 Google Docsの台本 今のスライド 次のスライド
A Back Stage Presentation Slide PC Presentation Slide PC Back UP C Google Document Confidential Monitor TH-42LF60J Screen Out Confidential Monitor TH-42LF60J Next Slide Confidential Monitor TH-42LF60J Screen Out Confidential Monitor TH-42LF60J Next Slide Confidential Monitor TH-42LF60J Google Document Confidential Monitor TH-42LF60J NEXT Slide PC NEXT Slide PC Back UP Google Document PC A Back Stage Podium 300”FrontScreen Clicker Perfect CUE A 300”FrontScreen B Podium B C
人員構成 • ライトや動画のキューだけでなく、スライドの操作もオペ 卓から行う • 台本のGoogle Docsをスクロールする専門のスクロール人 も 配置
A Back Stage Moving on to the next slide and control by the operation staff . Presentation Slide PC Presentation Slide PC Back UP NEXT Slide PC DEMO PC1 Main DEMO PC1 Back UP 台本表示用PC DEMO PC2 Main DEMO PC2 Back UP The staff scrolls the screen. NEXT Slide PC Back UP Google Document PC スライド送りスタッフ Operation Staff Operation Staff (English speaker) Clicker Perfect CUE Operation Staff Operation Staff (English speaker) 日本語オペレーションスタッフ C Google Document Confidential Monitor TH-42LF60J Next Slide Confidential Monitor TH-42LF60J Screen Out Confidential Monitor TH-42LF60J Next Slide Confidential Monitor TH-42LF60J Google Document Confidential Monitor TH-42LF60J Podium B 日本語用の台本送りスタッフ Operation by the speakers themselves The staff switches the images on the confidential monitors. 英語オペレーションスタッフ Confidential Monitor Screen Out TH-42LF60J Operation Staff Operation staff switches PC connected Podium monitor. Operation Staff 英語用の台本送りスタッフ DEMO PC Preview Monitor keyboard Mouse Speaker
A Back Stage Moving on to the next slide and control by the operation staff . Presentation Slide PC Presentation Slide PC Back UP Operation Staff Operation Staff (English speaker) NEXT Slide PC DEMO PC1 Main DEMO PC1 Back UP DEMO PC2 Main DEMO PC2 Back UP The staff scrolls the screen. NEXT Slide PC Back UP Google Document PC Clicker Perfect CUE Operation Staff Operation Staff (English speaker) デモPC切替スタッフ C Operation Staff B Google Document Confidential Monitor TH-42LF60J Operation staff switches PC connected Podium monitor. Podium Operation by the speakers themselves The staff switches the images on the confidential monitors. Operation Staff Confidential Monitor Screen Out TH-42LF60J Next Slide Confidential Monitor TH-42LF60J Screen Out Confidential Monitor TH-42LF60J Next Slide Confidential Monitor TH-42LF60J Google Document Confidential Monitor TH-42LF60J DEMO PC Preview Monitor デモPCはKVMエクステンダーで表示 keyboard Mouse Speaker
基調講演をやるときのポイント • 基調講演はライブだと思ってあたりましょう! 予定外のことはよく起きます!かならずバックアッププラ ンを! • 話す事やすべてのイベントを全て一つの台本にして 進行を全員で共有しましょう! • 会場でのリハーサル時間をしっかり取りましょう! 予定外のことは大体会場で起きます! (今回はリハ中にブレーカーが落ちました)
基調講演を成り立たせてくれた スタッフの皆さんに あらためて感謝を! スタッフのみなさん!ありがとうございました!