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December 15, 24
スライド概要
和歌山大学にでの講義「博物館概論」にて話した内容です。
※一部スライドは削除
発表内容は報告者個人の見解に基づくものであり、発表者が所属する組織の公式見解ではございません。
また、内容に誤りがある可能性があります。ご了承の上閲覧ください。
よろしくお願いします
博物館概論 第9回 27091115 米澤 樹 1
目次 • 自己紹介 • みさと天文台について • 学芸員の仕事について • 伝えたいこと 2
自己紹介 3
自己紹介 • 米澤樹(よねざわ たつき) • 紀美野町みさと天文台 研究員 • 和歌山大学観光学部9期生※2019年 卒業 • 尾久土ゼミ所属、GISを使い研究 • クリエソーラー四輪自転車プロジェ クト • 部活:競技スキー部 • 学芸員資格取得、博物館実習は「み さと天文台」 • バイト:個別指導塾講師、Amazon 倉庫ピッキング 4
科学文化ゼミ(現尾久土ゼミ) 天文に興味を持ったきっかけ 観光からみた宇宙3 GISを使った研究 5
博物館実習 6
学芸員資格について、きっかけ • 最初は取れる資格がこれしかないし、取っとくかくらい • やりたいことがなかった。選択肢を増やすために取ることに • 途中でめんどくさくなり、挫折(就活時期) • 尾久土さんになにがあるかわからんし取っときといわれ取得 →これがなかったら天文台職員にはなっていない 7
卒業後 • 地図会社へ就職 • 1年目は札幌営業所へ配属 • 営業、中小企業に電話かけまくり • 時には外周りも • 2年目は東京本社へ配属 • 契約を結ぶ、交渉、不具合対応等 8
転職 • 3年目に縁があり、「みさと天文台」へ転職 • 転職するかどうかは非常に迷った • 転職時に「学芸員」資格が有利になったかも。 • 肩書としては、「紀美野町教育委員会 主事」及び、「みさと 天文台 研究員」 • 現在に続く ※民間企業が嫌だったわけではない。むしろ楽しかった。 9
みさと天文台について 10
みさと天文台 紀美野町立の天文台 1995年開館 初代台長は尾久土正己 和歌山県最大の望遠鏡を有する ※全国の公開天文台では8位 2021年リニューアル 11
天の川 12
大型望遠鏡 13
プラネタリウム 14
タイムスケジュール 予約 開始時間 プラネタリウム・ライブ解説 要 3Dによる宇宙の旅 月 火 水 木 金 土 日・祝 14:30 〇 〇 ※1 15:30 〇 〇 全天周映画 要 16:30 〇 〇 星空ツアーNeXT 1回目 要 19:30 〇 〇 〇 星空ツアーNeXT 2回目 要 20:30 〇 〇 休館日 〇 ※1「プラネタリウム・ライブ解説」か「全天周映画」のどちらかへ参加のお客様のみ、「3Dシアター宇宙の旅」 (無料)にご参加頂けます。 ※6・7月は全ての時間が上記より30分遅くなります。 15
料金について いくらだと思いますか。 メモしておいてください。答えはないので 16
料金について プラネタリウム 全天周映画 星空ツアーNeXT 一般 500円 500円 1,500円 小学生・中学生・高校生 100円 100円 200円 未就学児(乳幼児) 無料 無料 無料 ※12-2月は星空ツアーNeXTの一般価格は1000円 2021年のリニューアルにより価格を変更。リニューアル前は「大人200円」だった。 17
公開天文台の観望会の料金 公開天文台(望遠鏡のある施設のた め科学博物館や公民館なども含む) の夜の観望会の料金は右図(※1) の通り。 入館料に含まれない 21% 50%以上が無料。天文台(調査実 施館による区分)の大人の平均料金 は363円 <参考>博物館の料金 無料:35.3% 無料 56% 入館料に含まれ る 23% 入館料 平均 ¥434 中央値 ¥310 出典:日本の博物館総合調査報告書(2020) ※1:公開天文台白書2018 6月末公開につき外部公開禁止 18
入館料 ※入館料がある場合 n=80 平均360円 星空ツアー観望会の料金 n=39 平均367円 ※公開天文台白書2018 19 6月末公開につき外部公開禁止
観望会の料金について 長野県阿智村 浪合パーク 1,800円 長野県阿智村 スタービレッジアチ 2,600円-3,400円 石垣島 体験工房コーラルブルー 2,200円 与論島 アークトゥルス 3,300円 ※各HPより、現在の値段。内容、所要時間が異なるため単純な比較はできないことに留意 20
みさと天文台の料金 • 一般的に観覧料、入館料が安すぎて、維持管理ができないところもある →持続可能でない。幅広い業界に一石を投じる • 町の歳入(=収入)を一定程度確保 山内台長 • 街の人に星でお金が取れることを示す。 • 決して安くない1,500円はスタッフにとってプレッシャー • 面白いもの、楽しいものにしないといけない →結果的に天文台の品質向上に役立っているのでは。 • なお、今のところ料金が「高い」と言う声はない。 • ちなみに、この料金でも黒字にはならない。 • 一方で業界内、組織内で、教育でお金を取ってよいのか、観光に力を入れないと いけないのかとの声もある。 そもそも観光と教育は本当に違うのか。教育でお金を取るのは良くないのか、、 21 天文教育とアストロツーリズムの垣根を越えて ~鹿児島県与論島における星文化普及の取り組み~ (澤田ほか、2021)
来館者数の推移 2014年を境に増えている。 理由:ターゲット「女性」にした。 キーワードを変更! 「望遠鏡」から「天の川」へ ブランドイメージが変わり、天の川スポットへ 5.00 4.50 4.00 3.50 3.00 2.50 2.00 1.50 1.00 0.50 0.00 みさと天文台に何を期待していたか 吉田(2023) 22 山内千里(2021)
HPにも表れている 2014年のHP 2015年のHP 23
博物館法(令和4年4月15日施行令) (入館料等) 第二十六条 公立博物館は、入館料その他博物館資 料の利用に対する対価を徴収してはならない。 ただし、博物館の維持運営のためにやむを得ない事 情のある場合は、必要な対価を徴収することができ る。 24
学芸員の仕事について 25
紀美野町星の動物園条例 星の動物園は、次に掲げる事業を行う。 1. 住民が宇宙を中心とした豊かな自然環境の中で正しい自然 観を吸収し、情緒豊かな人間形成を目指す事業 2. 天文及び宇宙に関する調査、研究及び資料等の刊行並びに 公開事業 3. 住民を対象に天体観望会を開催し、天文学の普及及び指導 を行う事業 4. 住民講座、研究会、学会等を開催する事業 5. 全国の公開天文台や関連の学会等の関係機関と連絡し、協 力する事業 6. 前各号の事業を含め、星の魅力を発信するため、宿泊の場 を提供する事業 26
紀美野町星の動物園条例施行規則 2 研究員は、次に掲げる職務を行う。 1. 天文及び宇宙に関する調査、研究及び資料等の刊行並びに 公開に関すること。 2. 住民を対象に天体観望会を開催し、天文学の普及及び指導 に関すること。 3. 住民講座、研究会、学会等の開催に関すること。 4. 全国の公開天文台や関連の学会等の関係機関との連絡及び 調整に関すること。 5. 友の会の運営に関すること。 27
私の大事にしていること お客様に星空を通して「学びの楽しさ」を伝えること。 ※このことは教育・観光で共通している。 28
「学びの楽しさ」とは ~宇宙ってスゲー~ • 宇宙のスケール感 • 時間とともに変化している様子 • 宇宙の“意外性”を通し、気付きを与える • 星空や様々な天体の見方を知る 29
「学びの楽しさ」を伝えるための手段 ライブ解説 ほんものにこだわる デジタル技術との融合 より魅力ある施設へ 状況によって解説 が変わる 何度来ても楽しい 施設目指す。 様々なこだわりに より、一層感動でき、 観察力を養い深い 学びにつながる。 言葉では伝えにくい 内容も視覚的にわ かるようになり、深 い学びにつながる。 お客様に飽きられ ない施設にするた め、様々なサービス を提供する。 プラネタリウム SDSSで使用した実物 大型望遠鏡ドーム投影 カフェ 30
事務仕事 (稟議や会計処理) 31
星空ツアー解説 &練習&知識習得 32
プラネタリウム解説 &操作練習 33
各種機器の設定 不具合対応 34
プログラミング (PHP、JavaScript) 35
写真撮影 現像・編集 36
デザイン 広報関係 37
災害対応 38
研究・発表 39
SNSアカウントの運営 40
研究員の一日(土日祝の例) 出 勤 ( 海 南 12 時 13 時 プ ラ ネ タ リ ウ ム 14 時 シ ア タ ー 全 天 周 映 画 休 憩 ( 晩 ご は ん ) 15 時 16 時 18 時 3 星 空 ツ ア ー 星 空 ツ ア ー 1 回 目 2 回 目 19 時 20 時 片 付 け 終 業 帰 宅 ( 天 文 台 → 天 文 台 ) 始 業 打 合 せ ・ 準 備 D 8 時 空き時間 事務作業・催し準備・展示整備 → 起 床 朝 ご は ん 、 昼 ご は ん 、 晩 ご は ん の 用 意 就 寝 海 南 ) 22 時 23 時 25 時 41
やりがい、うれしいこと • 「楽しかったです」「また来ます」など声をかけてくれること • 非常に満足した様子で帰ってくれること • すごくきれいな星空、天体、天文現象が見られること。 しんどいこと ・繁忙期(GW、お盆、流星群) ・公務員として公平な対応をしないといけないこと。 ・天候によって、見せられる天体が変わるので、事前にスケジュールを立てられ ない。臨機応変に対応しないといけないこと。 ・ツアーの参加者に1500円の価値を出すこと 42
伝えたいこと 43
皆さんの質問を読んで ・資格を取るためにした勉強のうち直接仕事に役立っている知識は全体の何 割くらいですか。 ・大学で学んだこと(博物館科目)は、仕事中に役立ちますか? • 社会に出て、何が必要になるのかわからない。環境、時代で変わる。 • 本当に必要な知識、スキルは仕事中に学べる(学ばないといけない) • じゃあ大学では何をするべきか。 • 損得ぬきで、今しかできないこと/今やりたいことをしてほしい。 • 研究する力(仮説を立てて検証する、論理的思考)は社会ですごくや くに立つ。 44
大学時代にやってよかったこと • いろんなことに挑戦した • 本をたくさん読んだ • ブラインドタッチを練習した。 • ExcelやGISなどのソフトウェアを勉強 した • 海外旅行に行った • 趣味を見つけた(スキー、天文) • 無駄に時間を過ごす(ぐうたらする) 大学4年生の読書量 • YouTubeやアニメ、映画をたくさん見た 45
大学時代にやっておけばよかったこと • もっと授業を真面目に受ける • もっと本を読めばよかった • もっといろんな所へ行けばよかった • もっといろんなことを挑戦しておけばよかった。特に大学生の方 がしやすいことも多い • 資格は取るに越したことはない 社会人も意外と時間はある。※サラリーマンなら土日祝+有給5日/年 しかも、お金もある。※平均給与17万円/月 本当に大学生にしかできないのは何でしょうか。 46
まとめ • 先のことはわからないので、いろんなことに挑戦してほしい • 学芸員資格の取得もその一つ • 実習として博物館に行ける • これは学芸員資格を取得しないとできないこと 47
最後に アルバイト、インターンシップ、博物館実習大募集 比較的、歳の近い先輩なので、お気軽に相談、雑談、質問大歓迎です。 48
参考文献等 • Astrotourism Lab • みさと天文台 • 山内千里(2022)「みさと天文台の “令和の大改修” に至るまで」 • 澤田 幸輝ほか(2021)「アストロツーリズムに対する日中間の認識 ギャップに注目した意識調査」 • 紀美野町(2023)「予算に関する説明書」 • 猪名川町(2022)「令和4年度 猪名川町予算説明書」 • 井原市(2023)「令 和5年度井原市一般会計特別会計予算書」 • 吉田芽生(2023)「星空観光に求められるもの」令和2年度和歌山大学 観光学部卒業論文 • 公開天文台協会(2023)「公開天文台白書2018」 49
質問返信 50
博物館の展示物は傾け方や光によって見せ方を工夫 していますが、天文台ではどのような見せ方の工夫を するかなどはありますか? 星は展示物と違い、角度や光の調整することができな いので、工夫している点があれば教えてください。ま た、博物館の展示物は光や風、温度による劣化の対策 が課題になっているように、天文台だからこそ発生する 問題はありますか? 51
見せ方の工夫・展示物の劣化の対策 大型望遠鏡が塔の上 館内が薄暗い 橙色の明かり 望遠鏡を多く 展示している 車のライトの邪魔 がないように 光害が少ない 空気が汚れた空気 が比較的すくない 満天の星が見られる ように光の邪魔を少 なくしている ほかにも、光害の啓 蒙、空の明るさ計測 カビないように 空気の流れのある 館内に展示 天文台全景 望遠鏡のある塔 照明 展示している望遠鏡 駐車場が遠い 52
天文台と学芸員の関わりはなかなかイメージが湧きません 1. 博物館資料の収集・整理 →天体写真、発行物 2. 博物館資料の保管・保存 →望遠鏡保管、保全、修理、光害対策(星空を守る) 3. 博物館資料の展示・活用 →プラネタリウム、各種展示物、星空ツアー 4. 博物館資料の調査研究 →学会発表、公開天文台白書作成 5. 教育普及活動等,博物館資料と関連する事業 →この授業、博物館実習受入、プラネタリウム、星空ツアー 53
社会教育調査によると図書館職員の非常勤・指定管 理者職員の割合が全国的に50%以上になっている と読み取れます。同じく専門性を求められる職に従事 する方にはどのように映っているのでしょうか。 天文台職員も同様の状態 正規職員43% 非正規、嘱託職員48% ※公開天文台白書2018 54 6月末公開につき外部公開禁止
天文台の指定管理者への委託期間 12施設からはプラス面の回答 ・来館者や観望会の参加者が大幅に増えた ・予算執行が柔軟に行えるようになった ・参加者の満足度向上 などがある。 20館からマイナス面の回答 ・予算削減、人員削減 ・委託期間があるため、長期的な計画が立 てづらい ・職員の身分が不安定 などがある。 ※2006年調査では、委託期間「3年」が一 番多かった 図 130. 指定管理者への委託期間 ※公開天文台白書2018 6月末公開につき外部公開禁止 55
天文台の指定管理者の変化(2006→2018) 図 133. 指定管理者が変わったか(n=60) ※公開天文台白書2018 6月末公開につき外部公開禁止 56