都知事杯オープンデータ・ハッカソン応募作品「東京いちばん図鑑」プレゼン資料

>100 Views

August 30, 26

スライド概要

システムエンジニア友の会として、オープンデータ・ハッカソンに応募しました。
「東京いちばん図鑑」
「うちの町には、なんにもない」を「うちの町にも、ある」するサービスです。

profile-image

システムエンジニア友の会、代表です。 勉強会で使った資料を共有します。

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

(ダウンロード不可)

関連スライド

各ページのテキスト
1.

東京いちばん図鑑 東京都62市区町村すべてに「いちばん」を見つけた 小学校3・4年生の社会科「自分の住む市区町村」で使う教材 システムエンジニア友の会 Quatrex(企画・キュレーション) / whitehara(実装・データ) 都知事杯オープンデータ・ハッカソン 2026

2.

「うちの町には、なんにもない」 小学校3・4年生は、社会科で自分の住む市区町村を学ぶ。その授業で、多くの子がこう言う。 うちの町には、なんにもない。 人口や知名度という一本のものさしで並べれば、大多数は必ず「その他」になる。 子どもの問題ではなく、ものさしの問題だと考えた。 2 / 38

3.

ものさしを183本に増やしたら、62 / 62 だった 統計183指標を、3通り(実数 / 人口1人あたり / 面積あたり)で全自動走査し、 62市区町村す べてに1位があるかを検証した。 62 / 62 すべての市区町村に「いちばん」があった 59自治体は統計だけで成立。 残る3自治体も個別の事実で補えた。 無かったのは町の価値ではなく、それを映すものさしだった。 3 / 38

4.

たとえば、こんな「いちばん」 大田区 葛飾区 御蔵島村 としょかんの数が、 東京でいちばん 23区でいちばん、 家が広い 子どものわりあいが、 東京でいちばん 17かん。2ばんめの世田谷区とは、 1つの家が67.6㎡。下町のイメージ 100人のうち8.98人が小学生。離 たった1かんちがい とは逆だった 島=お年寄りの町ではない どれも「人口が多い」「有名」というものさしでは出てこない。 ものさしを変えたから見つかった。 4 / 38

5.

子どもは、6つの画面をたどる 1 ちず → 2 いちばん → 3 たしかめる 4 たしかめかた → 5 話す → 6 ずかん 自分の町の「いちばん」を、自分で確かめる 画面の外に出て、人に話す 1 ちず … リーグで塗り分けたタイル地図 3 たしかめる … 2位・3位との差と出典 5 / 38

6.

たしかめかたは、4つある。上にあるほど、つよい 1 見に行く じぶんの目で見たことが、いちばんつよい 2 聞いてみる 見ている人に聞いたことが、そのつぎ 3 本でしらべる たしかめてから書かれたもの 4 ネットでしらべる 早いが、だれが書いたか分から ない 八王子市「畑の広さが市町村一」 → 畑が見える道へ(挿絵はAI生成) 62自治体すべてに、行ける場所を置いた。 図書館、公民館、工場、畑、朝の駅の改札。 6 / 38

7.

教育委員会に持っていける形にしてある どの学校でも成立する 62 / 62 を実証済み。使 使ったオープンデータ えない学校が無い SSDSE-A-2026 教育用標準データ 副読本の下調べを肩代わりする 統計の調べ直し セット(統計センター) が毎回発生している(委託実例113万円) 統計でみる市区町村のすがた2026(総 費用は児童1人あたり 年8円 小3・小4の 務省統計局) 198,708人で割った額 東京都公立学校一覧・図書館一覧・公民館 ビルド不要 HTMLを開くだけで動く。学校のネッ 一覧(東京都教育庁 CC BY 4.0) トワークと島しょ部の通信を想定 国土数値情報 行政区域データ(国土交 通省) ほか全10件。付録D章に一覧 すべての数字に、統計名・年・出典URLを画面上で表示している。 7 / 38

8.

「うちの町にもある」に変える うちの町にも、ある。 統計を読む力と、自分の町への関心を、同じ画面で育てる。 東京いちばん図鑑 システムエンジニア友の会 Quatrex(企画) / whitehara(実装) 8 / 38

9.

付録 ここから先は、話しません 資料としてお読みください。 9 / 38

10.

付録の目次 A. 課題と背景 なぜ「なんにもない」と言うのか F. AIの使い方と、事実の裏取り 人とAIの組が /誰のためのサービスか 2つ/出力をそのまま採用しない/偽のデータを B. 62 / 62 をどう検証したか 走査のしくみ/ 出さない 1位の線引き/画面が持っている層 G. 続けられるか 更新は年1回・数日/費用は児 C. 画面の中身 体験の流れ/「たしかめかた」に 童1人あたり約8円 置いたもの/聞くを出さない場所 H. その後(想定シナリオ) これは想定であって、 D. オープンデータと出典の扱い 利用データ全 実績ではない 10件/出典表示の方針 I. 資料 URLと参照先 E. 技術と設計 不変条件/通信するのは1か所 だけ 10 / 38

11.

付録A. 課題と背景 11 / 38

12.

なぜ「なんにもない」と言うのか 学習指導要領で、小3・小4の社会科は自分の住む市区町村を扱う。 教材は各自治体の副読本が 中心になる。 副読本は「うちの町の良いところ」を並べる作りが多い。 しかし子どもは、他の町と比べた位置を 知らない。 比べる材料が「人口」「知名度」しかないとき、 62市区町村のうち上位数件を除く全部が「その 他」になる。 比較の軸が足りないことが、「なんにもない」の正体だと考えた。 12 / 38

13.

誰のためのサービスか 主な利用者 小学校3・4年生(社会科の市区町村学習) 使う場面 授業・調べ学習・自由研究・家庭学習 副次的な利用者 教員(教材として)、保護者、転入者 対象を小3・小4に絞ったことで、設計が決まった。 漢字は学年相当まで。全画面にふりがなを用意した 1画面あたりの情報量を絞り、1つの数字だけを大きく出す 「調べる」の入口を検索ではなく、現地と人に置いた 13 / 38

14.

付録B. 62 / 62 をどう検証したか 14 / 38

15.

走査のしくみ 183指標 × 3正規化 × 3つの比べ方を総当たりで回し、 各自治体が1位を取れる組み合わせ を探索した。 段階 内容 1. 正規化 実数 / 人口1人あたり / 面積1平方キロあたり 2. 比べ方 東京都62自治体 / 同規模リーグ / 全国 3. 採否 子どもに説明できるか、単位が破綻していないかを人が判定 リーグ制を入れたのは、人口規模が3桁違う自治体を同じ土俵で比べないため。 青ヶ島村(人口 2桁)と世田谷区を実数で並べても意味がない。 15 / 38

16.

「1位」の質を落とさないための線引き 数を埋めるために順位を作らない。次を守った。 人口1人あたりで分母が極端に小さい場合、実数も併記する。 「少ないから1位」を隠さない 2位との差が小さいときは接戦であることを明示する(現在8件) 統計の年・出典・算出方法を全件に持たせ、 check_copy.py で欠落を機械検出する 統計に無いものは「無い」と書かない。 調査対象外と、ゼロを区別して表示する 残る3自治体(杉並区・調布市・日野市)は、統計指標そのものが存在しない領域だった。 アニメ、 映画、動物園。個別の事実として、複数の出典で裏を取って掲載した。 16 / 38

17.

画面が持っている層 層 何に答えるか 到達 第1層 見出し うちの町のいちばんは何か 62 / 62 第2層 用語解説 その統計はそもそも何か 41指標 / 59自治体 第3層 わかることがら だから何が言えるか 62 / 62 たしかめかた どうやってたしかめるか 62 / 62 ふかぼり もう一段の問い 62 / 62 17 / 38

18.

付録C. 画面の中身 18 / 38

19.

体験の流れ 1. 町をえらぶ … 地図または一覧から。学校を選べば自分の町へ直行できる 2. 予想する … 3択クイズ。答えより先に予想を出させる 3. 答え合わせ … 1つの数字を大きく。2位・3位との差を同時に見せる 4. たしかめかた … 見に行く・聞いてみる・本でしらべる・ネットでしらべるの4段 5. 話す … だれに、なんて話すかを1行書く 6. ずかん … 集めた町がたまっていく。62枚 2から4が1本の流れになっていることが設計の中心。 「予想 → 答え → 検証 → たしかめ方」を切らさない。 19 / 38

20.

「たしかめかた」に置いたもの 62自治体すべてに、次をそろえた。 場所(図書館・公民館・工場・畑・駅の改札など、実在の施設または公共の場所) 行き方と、大人と一緒に行くことの注意書き かかるお金(多くは無料) 見るポイントを3つ。数えたり、時間を変えて再訪したりする問い 挿絵(62点。すべてAI生成のイラスト) 挿絵には常に「イメージイラスト(AIでかいた絵です)」と表示している。 写真と紛れないようイラ スト調にそろえ、実在の建物・看板・企業ロゴは描かない方針で作った。 20 / 38

21.

病院と福祉施設では「聞く」を出さない 「たしかめかた」の段1「見に行く」の行き先のうち6件は、病院・福祉施設に関わる。 ここだけはそとから見るだけで止め、訪ねて聞く導線を出さない。 子どもが押しかければ迷惑に なるためである。 数字の現場に行かせる設計だからこそ、行かせてはいけない場所を先に決めた。 21 / 38

22.

付録D. オープンデータと出典の扱い 22 / 38

23.

利用データの一覧 # データ 供給元 1 SSDSE-A-2026 教育用標準データセット(市区町村) 統計センター 2 統計でみる市区町村のすがた2026 総務省統計局 3 国土数値情報 行政区域データ(N03) 国土交通省 4 令和7年度 東京都公立学校一覧 小学校 東京都教育庁 5 同 義務教育学校名簿 東京都教育庁 6 同 高等学校名簿 東京都教育庁 7 東京都私立小学校一覧 東京都生活文化局 8 施設関連情報 図書館一覧 東京都教育庁 9 施設関連情報 公民館一覧 東京都教育庁 10 全国地方公共団体コード 総務省 23 / 38

24.

出典表示の方針 東京都オープンデータカタログサイト由来のデータはCC BY 4.0であり、 出典表示が必須であ る。次の3か所で表示している。 各自治体の画面 … その数字に使った統計名・年・出典URL 「たしかめかた」 … 施設一覧の出典 大人向けページ … 全データの一覧、算出方法、データの限界 地図の行政区域データは、スマートニュース メディア研究所が加工した配布版 ( smartnewssmri/japan-topography )を使っており、その旨も表示している。 10件の枠に収まらない出典(多摩動物公園マネジメントプラン、区市町村の公表資料、 アニメ産 業レポート等)は、大人向けページに記載した。 24 / 38

25.

付録E. 技術と設計 25 / 38

26.

不変条件 … ダブルクリックで動く 配信物は静的ファイルのみ。ビルドステップを持たない。 全データをJavaScriptとして同梱して いるため、HTMLを開くだけで動く。 学校のネットワークは制約が強く、島しょ部は通信も不安定である。 授業で使えることを最優先 に、これを設計の不変条件として守っている。 フロント 素のHTML / CSS / JavaScript。フレームワークなし データ生成 Python( tools/gen_data.py )。再現できる形で管理 公開 nginx + Cloudflare Tunnel 検証 Jest 153件 / pytest 148件 / 文章の整合チェック( check_copy.py ) 26 / 38

27.

通信するのは1か所だけ 例外は「どの学校で使われているか」の集計のみ。 送るのは学校コード1件だけ。児童の情報は預からない 3件未満の学校は数字を出さず「すこし」と表示する。 離島の小さな学校で個人が特定されな いようにした 「利用人数」ではなく「えらばれた回数」と呼ぶ。同じ端末から何度でも増やせる以上、人数とし て出せば検証できない数字になる 母数62の問題を丁寧に潰してきた作品の同じ画面に、検証できない数字を置かない。 この考えを進めて、学校の一覧を見る画面は初期版では出していない(2026-08-19)。 延べ 回数を並べても子どもの学びにならないと判断したため。通信と集計のしくみは残してある。 27 / 38

28.

付録F. AIの使い方と、事実の裏取り 28 / 38

29.

人とAIの組が、2つ AIが人の指示を実行するのではない。 人とAIの組が2つあり、IssueとPull Requestで会話 する体制で作った。 AIを使ったのは次の作業である。 183指標×3正規化の全自動走査 62自治体ぶんの子ども向け文章の下書き 単位の整合チェック、SVG地図の生成 「たしかめかた」の挿絵62点 さらに、AIによる自動コードレビューをPull Requestに入れている。 本資料の作成中にも、挿 絵の地形の誤りを1件検出した。 29 / 38

30.

AIの出力を、そのまま採用しない 「都内唯一」「日本一」の主張は、複数の独立した出典で裏を取る手順を定めた。 実際に、次の誤 りを発見して取り下げている。 主張 結末 武蔵野市「日本初のコミュニティバス」 誤り。 多摩地域に先行例があった 青梅市「国宝が都内唯一」 誤り。 東京国立博物館が複数所蔵している 杉並区「アニメ制作会社数が最多」 一度取り下げたが、業界統計で再確認して復活させた 3件目が重要である。弱い根拠で「不成立」と訂正したこと自体が誤りだった。 裏取りの根拠にも 強弱があり、訂正を過信してはいけない、という教訓として運用に書いた。 30 / 38

31.

偽のデータを出さない 開発中、集計機能の見栄えのためにダミーの数字を入れたことがある。 取り下げた。 子どもに「出典を確かめよう」と言うサービスが、 自分の画面に検証できない数字を置くわけに はいかない。 実データの無いものを、実績のように見せない 想定の話は「想定」と明示する 数字を出せない場所では、数字を出さない 31 / 38

32.

付録G. 続けられるか 32 / 38

33.

更新は、年1回・数日で済む 年次更新の作業量を実測した。 2025年版と2026年版を突き合わせた結果、1年で「いちばん」が入れ替わったのは 62自治 体中4件だった。 更新作業は、統計の差し替えと、その4件の文章手直しで済む。 走査は自動化されているため、 指標の再計算に人手はかからない。 年1回・数日の作業に収まる。 33 / 38

34.

費用 … 児童1人あたり 約8円 年間運営費(見積) 約 155万円 小3・小4の児童数 198,708人 → 1人あたり約8円 公立小学校数 1,265校 → 1校あたり約1,200円 収益は取らない。東京都・教育委員会の予算、公認教材の獲得、 教材メーカーとのタイアップを想 定している。 副読本の改訂では、統計の下調べが毎回やり直しになっている (世田谷区の委託実例で113万 円)。その重複を肩代わりする位置づけである。 出典 … 児童数・学校数は東京都教育委員会「令和7年度公立学校統計調査」(令和7年5月1日現在。小3・小4は学校調査編 第3表)。 委託実例は世田谷区「令和6年度契約実績一覧(委託等)」の1,128,600円(帝国書院・随意契約)。 34 / 38

35.

付録H. その後(想定シナリオ) 35 / 38

36.

これは想定であって、実績ではない 以下はすべて架空の想定である。 効果測定の結果ではない。 時間軸 何が起きうるか その日 「なんにもない」が「〇〇がある」に変わる。62/62を実証済みなので、どの学校でも起きる 数年 自分の町を1つのものさしで説明できた子は、他の町も同じものさしで見られるようになる 10〜15年 地域の担い手、オープンデータの使い手、島しょ・多摩との関わり 地域への愛着を、生まれた場所への固着ではなく いま住んでいる場所を読み解く技能として渡したい。 短期のところだけは、想定ではなく設計の帰結である。 36 / 38

37.

付録I. 資料 37 / 38

38.

URLと参照先 デモ https://tokyo-one.vx-xv.com 大人向けページ(出典・算出方法・データの限界) https://tokyo-one.vx-xv.com/otona.html 都知事杯オープンデータ・ハッカソン 2026 https://odhackathon.metro.tokyo.lg.jp/ 東京都オープンデータカタログサイト由来のデータはCC BY 4.0で利用している。 作品内の挿絵62点は生成AIによるイラストであり、画面上でその旨を明示している。 ご意見・ご要望をお寄せいただける窓口を用意しています。 38 / 38