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October 03, 23
スライド概要
Y先生のEBM講座リンク先一覧 ( https://note.com/mxe05064/n/n4b3ab8020899 )
Estimated Lifetime Gained With Cancer Screening Tests
AMeta-Analysis of Randomized Clinical Trialsの表2を理解して、「人年」を少し勉強する
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2808648
Estimated Lifetime Gained With Cancer Screening Tests AMeta-Analysis of Randomized Clinical Trialsの表2を理解して、「人年」を 少し勉強する https://jamanetwork.com/journals/jamainternalm edicine/article-abstract/2808648
表2. 無作為化臨床試験におけるスクリーニングの有無による100 人年当たりのがん特異的死亡および全死因死亡の絶対リスク
参考:本文の結果を、表にしたもの(GTP-4を利用するも間違いがあり、そのままなので、 注意して。また、本文の文章では表1の人数なのに、表2は参考としたメタ分析の人数だったりし て異なっており、意味不明で、こだわらないことを薦めます) 全死因死亡率の相 対象がん死亡率の絶 スクリーニングによる寿 感度分析による寿命 対リスク (95% CI) 対差(100人年あたり) 命の延長 (95% CI) の延長 スクリーニングテスト 参加者数 大腸内視鏡検査 84,585 0.98 (0.95-1.00) - 110日 (0-274日) N/A 結腸鏡検査 614,431 0.99 (0.96-1.04) - 37日 (−146 to 146日) N/A FOBT(隔年) 598,934 1.00 (0.99-1.01) - 0日 (−70.7 to 70.7日) N/A FOBT(毎年) 30,964 1.00 (0.98-1.03) - 0日 (−70.7 to 70.7日) N/A マンモグラフィー 73,634 1.00 (0.95-1.04) - 0日 (−190 to 237日) 47日(−47to142日) PSAテスト(前立腺がん) 721,718 0.99 (0.98-1.01) 0.03 37日 (−37 to 73日) N/A CT(肺がん) 20,505 0.97 (0.88-1.08) 0.23 135日 (−45 to 270日) N/A 複数のがんスクリーニング 未提供 未提供 未提供 123日 (6-227日) N/A
その前の表1が、選択された論文の一覧だが、表2では、基本は10年以上の経 過をみているメタ分析があればそれを利用するため、表1の結果と違うメタ分 析の論文を使ったりしていて、対比しにくい そのメタ分析の質は問わないので、変なメタ分析を採用している可能性も否定 できないし、表1の論文が、そのメタ分析に含まれているかの確認も不明 次のスライド(表1)のように、4論文を集めたとあるが、この[32]論文は、前立腺がん のメタ論文である。 https://www.bmj.com/content/362/bmj.k3519 こちらは、付録にあるように、メタ分析をしたとある。
Lung cancer: CT は、メタ分析を行なっている。
表2. 対象癌での死亡と、総死亡の絶対リスクが、100人年で書か れている。総死亡の100人年の解説を次のスライドで 癌種類・スクリーニング方法、集まった症例数、フォローアップ年、 対象癌での死亡
人年などの解説 Q:なぜ、「人年」という概念があるのか? A:例えば、ある研究が100人の参加者を対象に行われ、そのうち50人が1年間追跡され、 他の50人が2年間追跡されたとします。その結果、 (1) 1年間追跡された50人の中で 10人が疾患を発症し、 (2) 2年間追跡された50人の中で20人が疾患を発症したとし ます。 この場合、単純に発症者の人数を比較すると、(1)では20%、(2)では40%となり、 2年間追跡されたグループでの発症率が高いように見えます。しかし、これは追跡時間 が2倍長いためであるのは、簡単に理解できます。 そこで、50人×1年=50人年と、50人×2年=100人年として、人年で発症率を計算する と、1年間追跡されたグループでは、50人年で10人が発症したので、年間発症率は 10/50 = 0.20(または20%)です。一方、2年間追跡されたグループでは、100人年 (50人×2年)で20人が発症したので、年間発症率は20/100 = 0.20(または20%)で す。 したがって、「人年」を考慮すると、両グループの年間発症率は同じであると結論付け ることができます。このように、「人年」を使用することで、追跡期間が異なる参加者 間でも、事件発生率を公平に比較することが可能になります。 しかし、これが成り立つためには、いろいろな仮定・条件が必要です。
人年で発生率を計算するための仮定 • 発生率が追跡期間を通じて一定である: この仮定がない場合、 時間の経過とともに発生率が変化する可能性があります。その結 果、長期間追跡されたグループでは、初期と比較して後期の発生 率が上昇または減少する可能性があります。これにより、人年に 基づいた発生率の計算が歪む可能性があります。 • コホート(研究参加者)の特性が一定である: コホートの特性 (年齢、性別、基礎疾患の有無など)が異なる場合、これらの特 性は発生率に影響を与える可能性があります。これは、発生率が 一定であるという仮定を壊す可能性があります。 • 追跡期間中にコホートが一定である: 追跡期間中に新たな参加 者が追加されたり、参加者が研究から脱落したりすると、これも また発生率が一定であるという仮定を壊す可能性があります。 • バイアスや混乱因子がない: 他の要因(混乱因子)が発生率に 影響を与えたり、選択バイアスや情報バイアスが存在する場合、 これらもまた発生率の比較を歪める可能性があります。 など、いろいろあります。実際は、なかなか難しいです。
「人年」は、「1人・1年あたり」ではない 「人年」は、「 person-year 」であり、あくまでも、研究対象となる人々が 追跡された全体の時間の累計です。よって、100人年(100 person-years) は、いろいろな組み合わせがあります。 例えば、 100人の参加者がそれぞれ1年間追跡される。 50人の参加者がそれぞれ2年間追跡される。 20人の参加者がそれぞれ5年間追跡される。 10人が5年、5人が10年追跡される。 いずれも100人年です。 それと比較して、「per person-year」と書いてあると、1人・1年あたりとな ります(これは、「per person per year」と書いても同じです)。 ここで誤りやすいのが、「per 100 person-years」との記載です。これは、 上記の「 100 person-years」(100人年という累積量)と異なり、 「per person-year」の1人・1年あたりを100倍したものです。よって、10人10年 でも、100人1年のどれかわわかりませんが、ともかく、「100人年あたり」 ということです。
表2. 赤は、 100人年あたりの総死亡の絶対リスクである。よっ て、100人でもなければ100年でもなく、1人・1年あたりを100 倍したと考える。 次のスライドでは、元論文のどこから算出したのか示す。 癌種類・スクリーニング方法、集まった症例数、フォローアップ年、 対象癌での死亡
たとえば、「Overall mortality in men and women in the randomized Prostate, Lung, Colorectal, and Ovarian Cancer Screening Trial: https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0969141319839097」には、 10000人年あたりの、死亡数が記載されている。介入群は、182.7である。 よって、100人年あたりなら、1.827となる。これらを論文から集めて、平均 をとっていると思われるが、このように人年あたりの死亡数が記載してある論 文が少なく、選択された論文全ての記載が不明である。
表2. 総死亡の相対危険度・相対リスク(RR)について 癌種類・スクリーニング方法、集まった症例数、フォローアップ年、 対象癌での死亡
論文の、Statistical Analysisをみると For each of the cancer screening tests of interest, we retrieved the reported relative risks of all-cause mortality, applying either mean or median times of follow-up, depending on what was reported. 対象としているがんスクリーニング検査のそれぞれについて、 報告されている全死因死亡の相対リスクを検索し、報告され ている内容に応じて追跡期間の平均値または中央値のいずれ かを適用した。 意味不明です。メタ分析の結果ではない?人年のリスクなの か、普通の症例数のリスクの比なのか?
表1のRRは、人年のリスクの比なのか? どうも、ここは、同じ0.65より、人年のリスクの比から計算のようだ 次のスライドで
前立腺がんのところは、「人年」からのRRのようだ。 [32] 前立腺がんのメタ https://www.bmj.com/content/362/bmj.k3519
肺癌のところは、「症例数」からのRRのようだ。 付録の、メタ分析の結果の表 文献番号[24]が正しい
表2. スクリーニングによる、lifetimeの延長について 癌種類・スクリーニング方法、集まった症例数、フォローアップ年、 対象癌での死亡
論文の、Statistical Analysisをみると We defined lifetime without screening as the observed follow-up time in person-years for individuals randomized to the no-screening group divided by thenumber of individuals. スクリーニングなしのlifetimeを、スクリーニングなし群にランダムに割 り付けられた人の、観察された追跡期間(人年)を人数で割ったものと定 義した。 For the screening group,we calculated lifetime as the observed lifetime in the no-screening group multiplied by 1 minus the relative risk of all-cause mortality compared with the no-screening group as derived from the reports. スクリーニング群のlifetimeについては、報告から得られたスクリーニン グなし群と比べた全原因死亡率の相対リスク(RR)を1から減じた値を、ス クリーニングなし群で観察されたlifetimeに掛けることで計算した。 The observed difference between the observed estimates in screening and the no-screening groups was the incremental gain in lifetime attributable to screening. スクリーニング群と非スクリーニング群で観察された推定値( lifetime) の差は、スクリーニングに起因するlifetimeの増加となる。
「スクリーニングなしのlifetimeを、スクリーニングなし群にラ ンダムに割り付けられた人の、観察された追跡期間(人年)を人 数で割ったものと定義した。」とは 「人年」を、症例数で割れば、基本的に、1人あたりの追跡期間(lifetime)となる。と 言うことは、追跡期間の平均値であり、カプランマイヤーなどで中断例などを考慮した 生存期間と異なる。 例えば、肺癌CTのメタ分析の文献[32]の、元論文のRCTのWille論文[24] (https://www.atsjournals.org/doi/10.1164/rccm.201505-1040OC) には、 By April 2015, 34 participants had been lost to follow-up due to emigration (20 from the CT group and 14 from the control group). Total person-years of followup were 19,439 person-years (mean, 9.47; median, 9.80) in the screening group and 19,547 person-years (mean, 9.53; median, 9.80) in the control group (P = 0.233). 2015年4月までに、34人が移住により追跡不能となった(CT群から20人、対照群から 14人)。追跡調査の総人員年は、スクリーニング群で19,439人年(平均値9.47、中央 値9.80)、対照群で19,547人年(平均値9.53、中央値9.80)であった(P = 0.233)。 とあり、Control Group (n = 2,052)であることより、 非スクリーニング群のlifetime=19547÷2052=9.53年(345を乗じて、3478日)。
「スクリーニング群のlifetimeについては、報告から得られたスクリーニング なし群と比べた全原因死亡率の相対リスク(RR)を1から減じた値を、スク リーニングなし群で観察されたlifetimeに掛けることで計算した。」とは 実は、この計算で算出されるのは、スクリーニング群のlifetimeでなく、その後に記載されて いる「スクリーニング群と非スクリーニング群で観察された推定値( lifetime)の差は、ス クリーニングに起因するlifetimeの増加となる。」となる。 肺癌CTの全原因死亡RR0.97を例にすると、死亡が少ないのだから、 lifetimeは、延長する事 になる。よって、死亡の0.97でなく、生存の1/0.97など、1以上の値でないと、延長となら ない(odds ratioでないので、厳密には違うが、概算として、書いた)。 例えば、肺癌CTでの3478日×(1-0.97)=104.34となり、死亡が減ったのに、3478日が、 104.3日になると、明らかに、スクリーニング群のlifetime でありません。。 よって、スクリーニング群のlifetime=非スクリーニング群のlifetime×(1/相対リスク (RR))となる。これなら、3785.6日と増加となる。よって、スクリーニングに起因する lifetimeの増加=スクリーニング群のlifetime-非スクリーニング群のlifetime=3785.6 - 3478=107.6日。←あくまでも、RRなので、正確でなく、上の104.3日のが正しい(と言っ ても、以下のように概算と考えるが)。 ちょっとここで気になるのが、 lifetimeという年に、死亡のリスク比を掛けて良いのかと言 うことである。非スクリーニング群(コントロール)の死亡の絶対数にRRを掛けて、スク リーニング群の死亡数を算出するのはわかるが、ここでは、年という期間である。しかし、 例えば、死亡数が少なければ、 lifetimeは延長するはずなので、概算はわかることになるの で行なっていると推測(ただし、スクリーニングを2回した人が含まれていたとか、そもそも ベースラインの年齢が全ての研究で同じだったとか、いろいろな要因を無視)。 ともかく、この104.3日を表2で確認すると、次のスライド。
前のスライドでの、スクリーニングに起因するlifetimeの増加は、 104.3日でした。もっとも、非スクリーニングのlifetimeが、3論 文の一つの、Wille論文[24]によっているので(他の2つはよくわ からず)、本当に概算ですが、表2の、107日と、おおよそ合っ ています。
前のスライドでの、スクリーニングに起因するlifetimeの増加は、 104.3日でした。もっとも、非スクリーニングのlifetimeが、3論 文の一つの、Wille論文[24]によっているので(他の2つはよくわ からず)、本当に概算ですが、表2の、107日と、おおよそ合っ ています。 方法の所の文章からすると、上記の説明とならないと いけない。 ところが、Table2では、もっと簡便な方法です。
以下のように、Table2のFollow-up time,yの観察期間を使っている。 観察期間×365(日)×(1-RR) となっている。 観察期間を、元のSRの論文の記載や、元論文の平均値などより計算したもの を使っており、定義した、「観察された追跡期間(人年)を人数で割ったも の」ではないようだ。さらに概算になっているぞ・・・。 Cancer Follow-up time, y RR Lifetime gained y×365×(1-RR) Breadt 13 1 0 0 Colorectal fecal 1y 15 1 0 0 Colorectal fecal 2y 15 1 0 0 Colorectal sigmoid 15 0.98 110 109.5 Colorectal colono 10 0.99 37 36.5 Prostate 10 0.99 37 36.5 Lung 10 0.97 107 109.5 PLCO 17 0.98 123 124.1 メタ分析の元論文、de Koning 10.0、 Wille 10.0、Paci 9.3の中央値 106.945 yを、元論文の中央値の10とすると、109.5と 107にあわない。 yを、元論文の平均値の9.766にすると、 106.945と107にあう
以上で、表2の説明が終了