現場リーダーが変わっていった姿を見ていた現場コーチの話

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August 28, 17

スライド概要

「Geeks Who Drink in Tokyo-Agile Team Edition-」での発表資料

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レッドジャーニー(https://redjourney.jp/) 所属のアジャイルコーチ 元ギルドワークス 所属 様々な規模のSIerでのシステム開発を経て今に至り、約10年で40の組織、80のチームを支援している。 「ええと思うなら、やったらよろしいやん」を口癖に、社内のみならず社外のチームがより良くなるお手伝いなど日々活動中。 ・認定プロフェッショナルスクラムマスター(CSP-SM) ・認定プロダクトオーナー(CSPO) ブログ:サウスポーなエンジニアの独り言

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各ページのテキスト
1.

Geeks Who Drink in Tokyo -Agile Team Edition- 現場リーダーが変わっていった姿を 見ていた現場コーチの話 ギルドワークス 中村 洋(@yohhatu) https://visualhunt.com/photo/4356/dirt-road-among-fields/

2.

自己紹介 ・中村 洋(よう) ・ギルドワークス ・エナジャイル ・現場コーチ/アジャイルコーチ ・認定スクラムマスター ・DevLOVE関西 ・@yohhatu http://about.me/yohhatu

4.

現場コーチ https://visualhunt.com/f/photo/6320530955/0096f62955/

5.

ミッション 「正しいものを正しくつくる」 現場を増やす

6.

チームのビルド 技術課題の解決 プロセスの 改善

7.

関わった現場 18社 https://visualhunt.com/photo/8648/

8.

関わったチーム 34チーム https://visualhunt.com/photo/35879/

9.

現場コーチに期待してもらっていいこと ✔ 「自分達で考えて行動する」ことの習慣づけ ✔ アジャイル開発やウォーターフォール開発などの開発 プロセスの知見全般 ✔ これまでの現場コーチでの経験で得た見える化や課題 解決のためのアイデア ✔ 様々な場でのファシリテーター ✔ チェンジ・エージェントの最初の仲間

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今日のお話に関する注意 Copyright (c) 2014 Guild Works Inc. https://visualhunt.com/photo/172801/

11.

今日のお話に関する注意 あくまで自分のこれまでの経験です 現場の状況はコンテキストに強く依存 します

12.

現場コーチの関わり方 Copyright (c) 2014 Guild Works Inc. https://visualhunt.com/f/photo/5577185505/a680d6ae1b/

13.

現場コーチの関わり方 1:守破離の守を知り、身につけたい 2:守破離の守がうまくできない 3:守破離の破に進みたい

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守破離 https://www.flickr.com/photos/mandolux/36074503/

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守破離とは まずは師匠に言われたこと、型を「守る」ところから修 行が始まる。その後、その型を自分と照らし合わせて研 究することにより、自分に合った、より良いと思われる 型をつくることにより既存の型を「破る」。最終的には 師匠の型、そして自分自身が造り出した型の上に立脚し た個人は、自分自身と技についてよく理解しているため、 型から自由になり、型から「離れ」て自在になることが できる。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE %88%E7%A0%B4%E9%9B%A2

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守破離の守を知り、身につけたい Copyright (c) 2014 Guild Works Inc. https://visualhunt.com/photo/171297/

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守破離の守を知り、身につけたい 【状況】 ✔ アジャイルな開発の進め方やその考え方を 知り、できるようになりたい組織やチーム ✔ 理由にはビジネス環境の変化など外的要 因、技術的負債など内的要因もある ✔ トップダウン、ボトムアップのいずれもあ る

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守破離の守を知り、身につけたい 【問題】 ✔ 「知る」ために何をどういう風に学べばよ いかわからない ✔ 体系的に知識や事例を持っている専門家が いない ✔ 変化することへの抵抗がある

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守破離の守を知り、身につけたい 【現場コーチへの期待】 ✔ 教科書的なやり方を教えて欲しい ✔ 変わることへの抵抗をなんとかして欲しい

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守破離の守を知り、身につけたい 【現場コーチの行動】 ✔ 最初はティーチャーとしてトレーニング& レクチャー中心 ✔ 徐々にコーチング中心 ✔ 「実験して小さく失敗する」ことをとにか く教える

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守破離の守を知り、身につけたい 【現場コーチの道具】 ✔ ScrumやXPなど ✔ カンバン、タスクボードなどの見える化 ✔ インセプションデッキ、ドラッカー風エク ササイズなどのプロジェクトのこと、チーム のことをする ✔ バリューストリームマップ

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カンバン

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カンバン チームや組織をまたいだ日常の仕事の流れや状況を見 える化した。 狙いは、それぞれのやっていること、状況を見える化 すること。 役割の壁を越えて「利用者に喜んでもらうプロダクト を届ける」といった同じ目的を見ての対話を促すこと。 関わる人が気軽に話すようになり、終わらせることに 集中するようになった。

24.

参考:カンバンの3原則 1:見える化 →仕事やプロセス、それに対する理解の差異がわかる 2:WIPの制限 →1つ1つを早く終わらせる 3:流れの管理 →仕事がワークフローを速く流れるようにする。ボト ルネックを見つけて対応する

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インセプションデッキ https://www.flickr.com/photos/denverjeffrey/2561885967

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インセプションデッキ プロジェクトの全体像(目的、その背景、方向性や優 先順位など)を伝えるためのドキュメント。 狙いは、異なる役割の人達の間でプロジェクトに対す る共通認識を作るため。

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特徴 ・10個のタフクエスチョン ・関係者全員で ・1デッキ60〜90分 ・1回で終わりではない(叩き台) ・作っておわりでもない ・ふりかえり、リリース後に見直す ・常に見えるように

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守破離の守がうまくできない Copyright (c) 2014 Guild Works Inc. https://visualhunt.com/f/photo/3363073562/8c0f20776a/

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守破離の守がうまくできない 【状況】 ✔ 自分達なりでアジャイルな開発をやろうと してきた組織やチーム ✔ チェンジ・エージェントのような推進役が いることもある ✔ カンバンやタスクボード、ふりかえりなど は見える化されている(ように見える)

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守破離の守がうまくできない 【問題】 ✔ (特に)推進者がなんとなくうまく行ってい ない気がしててモヤモヤしている ✔ やっている人達がなんでこれをやっている かわかっていないことが多い(惰性でやってい る)

31.

守破離の守がうまくできない 【現場コーチへの期待】 ✔ 課題を解決する方法を教えて欲しい ✔ 本当の課題を見つけて欲しい ✔ 曇りなき外部の視点でいろいろフィード バックを欲しい

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守破離の守がうまくできない 【現場コーチの行動】 ✔ 観察と質問をする「なんでこのやり方やっ ているんですか?」 ✔ どういう実験をしたか聞く。「これまでど ういう実験をしてきました?」 ✔ メトリクスを取る ✔ 自分達で課題に気づいてもらう

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守破離の守がうまくできない 【現場コーチの道具】 ✔ 因果関係図 ✔ メトリクス ✔ 型の比較

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因果関係図 https://www.flickr.com/photos/denverjeffrey/2561885967

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因果関係図 組織が抱えている課題の根本原因分析を見 える化するための図 狙いは、表面的な課題ではなく、根本的な 課題に対処するため

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メトリクス https://visualhunt.com/photo/13096/

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メトリクス 様々な指標を定量的、継続的に計測する。 狙いは、変化の度合いが見えることで変化 を継続的に続けることができるようにする ため 精緻であれば良いが「前回、これまでと比 べてどうなっているか?」といった傾向が わかればまずは良い

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自分達のカタを比較する

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自分達のカタを比較する Scrumと現状のやり方を比較することで、「今の姿」 に対する共通認識を作った。 狙いは、守破離の守と差分を知ることで、未知なるモ ノへの恐怖心を減らすことと。 ここから「ありたい姿」を考える変化への一歩を踏み 出すことができる。

40.

守破離の破に進みたい Copyright (c) 2014 Guild Works Inc. https://visualhunt.com/f/photo/15615311533/a630ea0463/

41.

守破離の破に進みたい 【状況】 ✔ アジャイルな開発をやっていて、それなり にうまくやれている ✔ チェンジ・エージェントがいて、外部の知 識をうまく導入している

42.

守破離の破に進みたい 【問題】 ✔ あるチームでうまくいった方法を組織に広 めていきたいけど、チームを越える方法がわ からない ✔ 破に進むための推進力が足りない(確信が 足りない)

43.

守破離の破に進みたい 【現場コーチへの期待】 ✔ 守ができているか見て欲しい ✔ 破の形を一緒に見つけて欲しい ✔ チェンジ・エージェントと伴走して欲しい

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守破離の破に進みたい 【現場コーチの行動】 ✔ 現場のメンバーよりチェンジ・エージェン トと接することが多い ✔ 開発チームにとどまらず、企画や組織に越 境していくことが多い

45.

守破離の破に進みたい 【現場コーチの道具】 ✔ むきなおり ✔ 仮説キャンバス(事業やプロダクトを表す 何か)

46.

事業状況の分析 Copyright (c) 2014 Guild Works Inc. https://visualhunt.com/photo/8919/

47.

事業状況の分析 バランスト・スコアカードを使い、事業の 状況の共通認識を作り、話し合った。 狙いは、視座からの共通認識の違いと課題 やあるべき姿を意識すること https://devtab.jp/entry/internal/18

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視座を高く持つ Copyright (c) 2014 Guild Works Inc. https://visualhunt.com/photo/70875/

49.

会社 事業 プロダクト/サービス プロジェクト チーム 自分

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ありたい姿を意識する Copyright (c) 2014 Guild Works Inc. https://www.flickr.com/photos/gufoblu/8518390176

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1:ありたい姿 3:なぜそう ありたいのか? 4:差分と その理由 2:今の姿 5:時間軸

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1:ありたい姿→目標とする状態。これがないと、ど こに向かっていいかわからない。 1:ありたい姿 2:今の姿→今の状態。これを認識していないと、間 3:なぜそう 違えた施策をすることになる。 ありたいのか? 3:なぜそうありたいのか?→ありたい姿を実現した 4:差分と い理由。ないと手段と目的が混同しがちになる。 その理由 4:差分とその理由→計測可能であること。また理由 がわかっていないと適切な施策が打てない。 2:今の姿 5:時間軸→どれくらいの時間軸(マイルストーン)で 5:時間軸 そうなりたいか。施策を選択する1つの要素になる。

53.

ヌーラボさんとの関わり方とその変化 Copyright (c) 2014 Guild Works Inc.

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ヌーラボさんとの関わり方とその変化 【状況】 ✔ 「守破離の守がうまくできない(かも?)」 「守破離の破に進みたい」くらいの段階での 相談 ✔ 組織が大きくなって来て、これまでのやり 方では、(主に中村さんが)ボトルネックにな るのがわかってきていた

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ヌーラボさんとの関わり方とその変化 【問題】 ✔ (主に中村さんの)ボトルネックを解消する ための、やり方が中村さん自身も自信がなかっ た ✔ プロダクトオーナー的な役割があまり機能 していなかった

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ヌーラボさんとの関わり方とその変化 【現場コーチの行動】 ✔ チームに直接関わることをせず、もっぱら 中村さんとの接点が多かった ✔ 中村さんに理論や考え方などのレクチャー とディスカッション、また中村さん個人への フィードバックなどが多かった ✔ 開発チームにとどまらない越境を中村さん に促した

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まとめ https://www.flickr.com/photos/derekbruff/5583561290

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まとめ 組織や状況によってチェンジ・エージェント や外部のコーチの役割、ふるまい、期待が変 わってくる 一度決まったら固定的なものではなく常に変 化し続ける 自分の組織、現場やチームがどういう段階か 見極めるようにする

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参考書籍 ✔ Fearless Change アジャイルに効く アイ デアを組織に広めるための48のパターン ✔ 組織パターン

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「正しいものを正しくつくる」 現場に近づくヒントになれば幸いです https://www.flickr.com/photos/kacey/14903219403