インセプションデッキの四方山話

4.1K Views

December 07, 21

スライド概要

profile-image

レッドジャーニー(https://redjourney.jp/) 所属のアジャイルコーチ 元ギルドワークス 所属 様々な規模のSIerでのシステム開発を経て今に至り、約10年で40の組織、80のチームを支援している。 「ええと思うなら、やったらよろしいやん」を口癖に、社内のみならず社外のチームがより良くなるお手伝いなど日々活動中。 ・認定プロフェッショナルスクラムマスター(CSP-SM) ・認定プロダクトオーナー(CSPO) ブログ:サウスポーなエンジニアの独り言

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

(ダウンロード不可)

関連スライド

各ページのテキスト
1.

正しいものを正しくつくる ワーキンググループ vol3 インセプションデッキの四方山話 ギルドワークス 中村 洋(@yohhatu) https://visualhunt.com/photo/4356/dirt-road-among-fields/

2.

自己紹介 ・中村 洋(よう) ・ギルドワークス ・エナジャイル ・現場コーチ/アジャイルコーチ ・認定スクラムマスター ・DevLOVE関西 ・@yohhatu http://about.me/yohhatu

3.

今日得られるもの 1:インセプションデッキを作る、運 用する上でのアンチパターン 2:インセプションデッキをうまくや るコツ

4.

始める前にみなさんに お聞きしたいこと http://www.flickr.com/photos/oregondot/4132135156/

5.

インセプションデッキに関する質問 1:知っています? 2:作ってます? 3:最後に目にしたのいつです?

6.

インセプションデッキとは?

7.

特徴 ・10個のタフクエスチョン ・関係者全員で ・1デッキ60〜90分 ・1回で終わりではない(叩き台) ・作っておわりでもない ・ふりかえり、リリース後に見直す ・常に見えるように

8.

我われはなぜここにいるのか • 大事な理由その1 • 大事な理由その2 • 大事な理由その3 <このプロジェクトの根幹に 関わる理由を1つ、ここに書く>

9.

エレベーターピッチ • [潜在的なニーズを満たしたり、 潜在的な課題を解決したり] したい • [対象顧客] 向けの、 • [プロダクト名] というプロダクトは、 • [プロダクトのカテゴリー] です。 • これは [重要な利点、対価に見合う説得力のある理 由] ができ、 • [代替手段の最右翼] とは違って、 • [差別化の決定的な特徴] が備わっている。

10.

パッケージデザイン (プロダクトの名前) (素敵な写真) (最高のキャッチコピー) (ユーザーへのアピールその1) (ユーザーへのアピールその2) (ユーザーへのアピールその3)

11.

やらないことリスト やる やらない あとで决める

12.

プロジェクトコミュニティは... (ほげほげ部門) (他のチーム) コアチーム (○○グループ) 関係者全員を! ...思っているよりもずっと大きい!

13.

技術的な解決策の概要 採用する技術: * <プログラミング言語> * <ライブラリ> * <ツール> * <その他の要素技術> ←リスクがある箇所 ←今回は対象外

14.

夜も眠れなくなるような問題は何だろう? • もし起きたらこわーいこと、その1 • もし起きたらこわーいこと、その2 • もし起きたらこわーいこと、その3

15.

俺たちの“Aチーム” 人数 役割 強みや期待すること 1 アナリスト 必要な分だけ必要なときに分析するスタイルで働ける。 テストも喜んで手伝える。 素早い繰り返し型の開発スタイルで働ける。 2 開発者 C#、MVC.NET、jQuery、SQL ユニットテスト、リファクタリング、TDD、 継続的インテグレーション 0.5 マネージャ 顧客と直接顔を合わせてのコミュニケーションを担当する。 状況報告、スコープ調整、予算管理、レポートラインへの報告

16.

期間を見極める リリース! 構築 受入テスト トレーニング ~3ヶ月 1週間 1週間 あくまで推測であって、確約するものではありません。

17.

トレードオフ・スライダー 典型的なフォース MAX MIN 機能をぜんぶ揃える(スコープ) MAX MIN 予算内に収める(予算) MAX MIN 期日を死守する(時間) MAX MIN 高い品質、少ない欠陥(品質) 上記以外で重要なこと MAX MIN 簡単に使える MAX MIN 考えさせない! MAX MIN 詳細な証跡(なんでもログを取る) MAX MIN (などなど)

18.

初回のリリースに必要なもの リリース! 構築 受入テスト トレーニング ~3ヶ月 1週間 1週間 3名、3.5ヶ月、$250K

19.

https://github.com/agile-samurai-ja/support/ tree/master/blank-inception-deck https://www.flickr.com/photos/denverjeffrey/2561885967

20.

インセプションデッキが ないとどうなるの? https://visualhunt.com/photo/115379/

21.

インセプションデッキがないとどうなる? 進む方向や進め方を関係者の合意なく、 プロジェクトを進めることになる プロジェクトの目標がわからない クライアントの期待がわからない チームがどう挑めばいいかわからない

22.

プロジェクトは失敗する https://www.flickr.com/photos/jimmediaart/4112367854

23.

あまりよくない インセプションデッキの状況 https://visualhunt.com/photo/191333/

24.

あまりよくない インセプションデッキの状況 1:誰か1人だけが作っている 2:普段、目にすることがない 3:変わることがない 4:筋が通っていない

25.

誰か1人だけが作っている インセプションデッキ https://visualhunt.com/photo/195839/

26.

誰か1人だけが作っている 現象:関係者で集まって作らず、誰か 1人(たいがいえらいか声の大きい人) で作っている 困ること:他の人の想い、考えなどが 反映されず、”自分事”にならない

27.

誰か1人だけが作っている 原因:「みんなで作る」価値がわかっ ていない 原因:関係者が忙しすぎて集まれない

28.

誰か1人だけが作っている 対策:みんなで作らなかった場合に起 きる出来事を伝える。「指示待ちにな りがち」「理解が深くないので、根本 的なムダが多く出る可能性が高い」な ど

29.

誰か1人だけが作っている 対策: ・合宿形式で一気にやる ・デッキを複数回に分けておこなう ・たたき台を用意しておく

31.

誰か1人だけが作っている 結果:関係者が理解し、腹落ちした状 態になる。想いなどが反映されたイン セプションデッキができあがる

32.

普段、目にすることがない インセプションデッキ https://visualhunt.com/photo/46859/

33.

普段、目にすることがない 現象:作ったはずのインセプションデッ キを日常的に目にしない 困ること:目の前のタスクしか見なく なり、ありたい姿を見失う。視座が低 くなる

34.

普段、目にすることがない 原因:見える化されていない。日常の 行動に反映されていない可視化のみ。

35.

普段、目にすることがない 対策:プロジェクトボードにインセプ ションデッキを加える。施策を遂行す る日々のタスクとインセプションデッ キとの関連を持たせる

36.

普段、目にすることがない

37.

普段、目にすることがない 結果:日々のタスクの理由を深く理解 し、高い視座を持つことができる

38.

変わることがない インセプションデッキ https://visualhunt.com/photo/191870/

39.

変わることがない 現象:インセプションデッキを見直す ことがない。最初に作ったままになっ ている 困ること:プロジェクトの進む方向が 変わっていることに気づかない

40.

変わることがない 原因:計画は立てれば終わりという思 い込み。ベースラインと見比べる習慣 がない 原因:日々のタスクに忙殺されて余裕 がない

41.

変わることがない 対策:計画はその時点での情報を反映 させたものでしかなく、更新していく ものであることを伝える 対策:”インセプションデッキを見直 す”タスクを定期的に組み込む(1ヶ月 に1回など)

42.

変わることがない 結果:プロジェクトの進む方向を確認 することができる。わかったことを反 映することで、よりプロジェクトへの 理解が深まる

43.

筋が通っていない インセプションデッキ https://visualhunt.com/photo/136348/

44.

筋が通っていない 現象:インセプションデッキの問いの 答えの整合性が取れていない 困ること:方針がバラバラになり、意 思決定がしづらい。意思疎通に時間が かかり、ムダが出る

45.

筋が通っていない 原因:インセプションデッキを作るこ とが目的になっている 原因:関心のある問いとしか向き合っ ていない

46.

筋が通っていない 対策:ウォークスルーをして、関係者 でインセプションデッキの整合性を確 認する

47.

筋が通っていない 結果:プロジェクト全体像が把握しや すくなる。状況が変化した際にどこに 影響が出るかわかりやすくなる

48.

インセプションデッキを うまく作るポイント Copyright (c) 2014 Guild Works Inc. https://www.flickr.com/photos/gufoblu/8518390176

49.

インセプションデッキを うまく作るポイント 1:心理的安全性 2:自分事 3:様々な問いの切り口

50.

心理的安全性 ✔ 何を言っても「バカにされない」 「受けと止めてもらえる」といった安 心感 ✔ チームの状況によってアプローチを 変える

52.

自分事 ✔ 自分でお金を出すとしたら、どうプ ロジェクトを進める?

53.

様々な問いの切り口 ✔ 事業・プロダクト・自分といった視 座や過去・現在・未来といった時間軸 など様々な切り口の問いと向き合う ✔ 第三者の存在

54.

会社 事業 プロダクト/サービス プロジェクト チーム 自分

55.

1:ありたい姿 3:なぜそう ありたいのか? 4:差分と その理由 2:今の姿 5:時間軸

56.

注意点 https://visualhunt.com/photo/172801/

57.

インセプションデッキだけで プロジェクトがうまく行くわけではない https://www.flickr.com/photos/calsidyrose/4925267732

58.

まとめ https://visualhunt.com/photo/128272/

59.

あまりよくない インセプションデッキの状況 1:誰か1人だけが作っている→みんなで作る 2:普段、目にすることがない→見える化 3:変わることがない→再計画を予定 4:筋が通っていない→ウォークスルー

60.

インセプションデッキを うまく作るポイント 1:心理的安全性 2:自分事 3:様々な問いの切り口

61.

インセプションデッキが プロジェクトの成功に役立てば 幸いです https://www.flickr.com/photos/rishibando/4282630035 https://www.flickr.com/photos/kacey/14903219403