日本ロボット学会第143回ロボット工学セミナー

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September 10, 22

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2022年9月10日.オンラインにて.

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1.

確率ロボティクスで 使われる確率の計算 千葉工業大学 上田隆一 2022年9月10日 日本ロボット学会第143回ロボット工学セミナー

2.

本日の話 • 最近の教科書は確率がよく出てくるなあ • これとかこれとかこれ 版元ドットコムより • ただロボットを動かしたいだけなのに・・・ • 仕方なく読む → 雰囲気で読んでいないか? • (読むときどころか書くときにも上田の場合そういう疑惑がある) 自分も含めてちゃんと読める人が増えるとよい 2022年9月10日 日本ロボット学会第143回ロボット工学セミナー 2

3.

どうするか? • 読んでるだけでは体で理解できない • 体で理解する • 体に電気を流すとかそういうことではなく • 既存の勉強会に学ぶ • よく存じ上げないが「シェル芸勉強会」という, ひたすらシェルを操作する勉強会が存在するらしい 確率の問題を解いて体で覚えていただきます! 紙と鉛筆用意のこと 2022年9月10日 日本ロボット学会第143回ロボット工学セミナー 3

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使う道具1: 乗法定理 • P 𝐴 = 𝑥 ∩ 𝐵 = 𝑦 = P 𝐴 = 𝑥|𝐵 = 𝑦 P 𝐵 = 𝑦 • 𝐴が𝑥で,かつ𝐵が𝑦である確率は, 𝐵が𝑦である確率に, 𝐵が𝑦と分かっ ているときの𝐴が𝑥である確率をかけたものに等しい • とりあえず暗記で • 確率変数で書く場合: 𝑃 𝑥, 𝑦 = 𝑃 𝑥 𝑦 𝑃(𝑦) • 注意 • Pは事象を引数にとる(言葉の置き換えと考えてよい) • 𝑃は確率変数を引数にとる関数 • (詳解確率ロボティクスではごっちゃになってて申し訳なく) 2022年9月10日 日本ロボット学会第143回ロボット工学セミナー 4

5.

使う道具2: 加法定理 • P 𝐴 = 𝑥 ∪𝐵 = 𝑦 = P 𝐴 = 𝑥 +P 𝐵 = 𝑦 −P 𝐴 = 𝑥∩𝐵 = 𝑦 • 𝐴が𝑥あるいは𝐵が𝑦になる確率は,それぞれが起こる確率を足したもの から,それぞれが同時に起こる確率を引いたもの • 例: 𝐴をさいころの目とすると • P 𝐴が1か2 = P 𝐴 = 1 + P 𝐴 = 2 − P 𝐴 = 1⋂𝐴 = 2 =P 𝐴= 1 +P 𝐴= 2 • 確率変数で書く場合: • σ𝑛𝑖=1 𝑃(𝑥𝑖 ) = 1 • 𝑃 𝑦 = σ𝑛𝑖=1 𝑃(𝑥𝑖 , 𝑦) • 𝑥1 , 𝑥2 , … , 𝑥𝑛 : 𝑥がとりうるすべての値 2022年9月10日 日本ロボット学会第143回ロボット工学セミナー 5

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計算1: ベイズの定理 •𝑃 𝑥𝑦 = 2022年9月10日 𝑃(𝑦|𝑥)𝑃(𝑥) 𝑃 𝑦 を導出してみましょう. 日本ロボット学会第143回ロボット工学セミナー 6

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答え • 乗法定理から • 𝑃 𝑥, 𝑦 = 𝑃 𝑥 𝑦 𝑃 𝑦 = 𝑃 𝑦 𝑥 𝑃(𝑥) • ⟹𝑃 𝑥𝑦 = 2022年9月10日 𝑃(𝑦|𝑥)𝑃(𝑥) 𝑃 𝑦 日本ロボット学会第143回ロボット工学セミナー 7

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計算2: 独立な事象の式 • P 𝐴 = 𝑥 ∩𝐵 = 𝑦∩𝐶 = 𝑧 = P 𝐴 = 𝑥 P 𝐵 = 𝑦 P 𝐶 = 𝑧 を導出してください. • ただし, 𝐴, 𝐵, 𝐶は互いに独立です. 2022年9月10日 日本ロボット学会第143回ロボット工学セミナー 8

9.

答え • P 𝐴 = 𝑥 ∩𝐵 = 𝑦∩𝐶 = 𝑧 = P 𝐴 = 𝑥|𝐵 = 𝑦 ∩ 𝐶 = 𝑧 P 𝐵 = 𝑦 ∩ 𝐶 = 𝑧 = P 𝐴 = 𝑥 P 𝐵 = 𝑦|𝐶 = 𝑧 P 𝐶 = 𝑧 =P 𝐴=𝑥 P 𝐵=𝑦 P 𝐶=𝑧 2022年9月10日 日本ロボット学会第143回ロボット工学セミナー 9

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計算3: 条件付き確率 • つぎが成り立つとき, P 𝐵 = 𝑦 の値を求めてください • P 𝐴 = 𝑥 = 0.6 • P 𝐴 = 𝑥|𝐵 = 𝑦 = 0.7 • P 𝐴 = 𝑥|𝐵 ≠ 𝑦 = 0.3 2022年9月10日 日本ロボット学会第143回ロボット工学セミナー 10

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答え •P 𝐴=𝑥 =P 𝐴 =𝑥∩𝐵 =𝑦 +P 𝐴 = 𝑥∩𝐵≠ 𝑦 = P 𝐴 = 𝑥|𝐵 = 𝑦 𝑃(𝐵 = 𝑦) + P 𝐴 = 𝑥|𝐵 ≠ 𝑦 𝑃(𝐵 ≠ 𝑦) • 𝑎 = 𝑃 𝐵 = 𝑦 とおくと • 0.6 = 0.7𝑎 + 0.3 1 − 𝑎 • 0.3 = 0.4𝑎 • 𝑎 = 3/4 2022年9月10日 日本ロボット学会第143回ロボット工学セミナー 11

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使う道具3: 期待値 • 𝑓(𝑥) 𝑃(𝑥) = σ𝑛𝑖=1 𝑓 𝑥𝑖 𝑃(𝑥𝑖 ) • 期待値の性質 • 𝑓(𝑥) 𝑃(𝑥) = σ𝑛𝑖=1 𝑓 𝑥𝑖 𝑃(𝑥𝑖 ) • 𝑎𝑓 𝑥 + 𝑏𝑔(𝑥) 𝑃(𝑥) = 𝑎 𝑓(𝑥) 2022年9月10日 𝑃(𝑥) + 𝑏 𝑔(𝑥) 𝑃(𝑥) 日本ロボット学会第143回ロボット工学セミナー 12

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計算4 • 分散に関する次の式を証明してください. • 𝜎2 = 𝑥−μ • μ= 𝑥 2022年9月10日 2 𝑃(𝑥) = 𝑥2 𝑃(𝑥) −μ2 𝑃(𝑥) (平均値) 日本ロボット学会第143回ロボット工学セミナー 13

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答え • 𝜎 2 = 𝑥 − μ 2 𝑃(𝑥) = 𝑥 2 𝑃(𝑥) −2μ 𝑥 𝑃 𝑥 + μ2 = 𝑥 2 𝑃(𝑥) −2μμ + μ2 = 𝑥 2 𝑃(𝑥) −μ2 2022年9月10日 日本ロボット学会第143回ロボット工学セミナー 14

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計算5 • 不偏分散の期待値が,母分散と一致することを証明してくださ い. 𝑥𝑖 (𝑖 = 1,2, … , 𝑛)は𝑃にしたがうとします. • 不偏分散: 𝑠 2 = 1 𝑛−1 σ𝑛𝑖=1(𝑥𝑖 − 𝑥)ҧ 2 • なにか実験してデータをとると計算する分散ですね. • 母分散: 𝜎 2 = 2022年9月10日 𝑥−μ 2 𝑃(𝑥) = 𝑥2 𝑃(𝑥) −μ2 日本ロボット学会第143回ロボット工学セミナー 15

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答え(1/2) •= •= 1 σ𝑛𝑖=1 𝑛−1 1 σ𝑛𝑖=1 𝑛−1 2 (𝑥𝑖 − μ) 𝑃+ (𝑥𝑖 − μ)2 𝑃− A 2022年9月10日 2 𝑛−1 𝑛 𝑛−1 μ − 𝑥ҧ 𝑛(𝑥ҧ − μ) (μ − 𝑥)ҧ 2 𝑃+ 𝑛 𝑛−1 (μ − 𝑥)ҧ 2 𝑃 𝑃 B 日本ロボット学会第143回ロボット工学セミナー 16

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答え(2/2) • A: 1 σ𝑛𝑖=1 𝑛−1 (𝑥𝑖 − μ) 2 𝑃 = 𝑛 𝑛−1 𝜎2 • (𝑥𝑖 − μ)2 𝑃 は (𝑥 − μ)2 𝑃 と同じなので B: 1 𝑛(𝑛−1) (𝑥1 + 𝑥2 + ⋯ + 𝑥𝑛 − 𝑛μ) 2 𝑃 = 𝑛 𝑛(𝑛−1) 𝜎2 • 最後の変形: 𝑥1 + 𝑥2 + ⋯ + 𝑥𝑛 の分散で, 𝑥𝑖 (𝑖 = 1,2, … , 𝑛)の分散の和に • 𝑠 2 𝑃 2022年9月10日 =A − B = 𝑛 𝑛−1 2 𝜎 − 𝑛 𝑛 𝑛−1 𝜎2 = 𝜎2 日本ロボット学会第143回ロボット工学セミナー 17

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まとめ • このような計算は自己位置推定やSLAMの式の導出に出現 • 教科書を読む際に変形に慣れておくと読みやすい • 先に勉強しておくとよい • 本を書いています • 統計を使ってロボットの設計や実験,ロボコンの作戦を考える • ロボットや機械学習の教科書を読む 2022年9月10日 日本ロボット学会第143回ロボット工学セミナー 18