伝統的な組織で始めるアジャイル

6.3K Views

April 25, 21

スライド概要

政府情報システム開発のアジャイル開発実践ガイドブックをよみとく

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

関連スライド

各ページのテキスト
1.

伝統的な組織で 始めるアジャイル 政府情報システム開発 「アジャイル実践ガイドブック」による突破⼝ Ichitani Toshihiro Photo credit: Onasill ~ Bill - 72.7M on Visual Hunt / CC BY-NC-SA Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 市⾕聡啓

2.

市⾕ 聡啓 Ichitani Toshihiro 直近の⽅向性は「組織変⾰(DX)⽀援」 株式会社レッドジャーニー (⺠間企業DX) 政府CIO補佐官 (省庁DX) 株式会社リコー CDIO付DXエグゼクティブ

3.

探索的な事業開発の⽅法 仮説検証型アジャイル開発 選択の幅最⼤ (セットベース) 検証 計画 仮説⽴案 (モデル化) 価値探索 (正しいものを探す) 評価 スプリントプ ランニング 検証 MVP特定 開発計画 (リリースプラ ンニング) 選択の振れ幅最⼩ (ポイントベース) スプリント 開発 アジャイル開発 (正しくつくる) スプリント レトロスペク ティブ MVP検証 スプリント レビュー 次の検証計画 (価値探索)へ

4.

・カイゼン ・チーム開発 ・仮説検証 ・アジャイル ・仮説検証 ・アジャイル ・アジャイル Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. ・アジャイル⼊⾨

5.

⾏政初の アジャイルガイド 政府情報システム開発における「アジャイル・ガイド」 https://note.com/papanda0806/n/n08b5402d5597

6.

Do Agile Be agile Photo on VisualHunt

7.

伝統的な組織で、新たなあり⽅に どのようにして取り組んでいくか

8.

Whyから始める WHY 価値観 HOW 原則 WHAT ⾏動

9.

Start with Why (ゴールデン・サークルを描こう) ゴールデン・サークル とは、 「意思決定の構造」のこと。 「Why」(⽬的)に基づき、 「How」(⼿段)を⽤いて、 「What」(⾏動)を起こす DXに限らず組織にとっての新たな取り組み 新たな⼀歩を踏む際に確認しておきたい内容。 何のためにが無いから、またその合意形成に ⼊れないから、分からない・ついていけない・ 組織活動にならない

10.

ゴールデン・サークルの罠 ゆえに、ゴールデン・サークルをWHYから描き、WHYから始める。 …は王道ではあるが、「正しくアジャイルに取り組む」ために、 「隅々まで学びあげ、理解し、それから実際に始める」では、 とてつもなく時間を要することになる。(終わらない初期⽴ち上げ) 特に、このアプローチを巨⼤な組織を相⼿に⾏うにはあまりにも 途⽅がない。それは、伝統的な⼤企業でも、政府情報システム開発の ⽂脈でも、同じ。 「本来こうすべし」を捉えつつも、現実的に「始められる」切り出し が重要。

11.

「⼩さな型」駆動

12.

「⼩さな型」駆動 ⼤きな組織の中で、まず「気づいてもらう」「知ってもらう」 「アジャイルの存在すら知らない」ところでは、その存在が 確認できるよう、なんらかの定点が組織内に必要。 新たな取り組みには「⾜場的理解」が不可⽋ いきなり⼗分な理解に達するほど容易なことを学ぼうとして いるわけではない。StepWise(段階的発展)が必要。 「⼩さい=⾜りない」は次の段階を踏むための布⽯ 不⾜を補うために⾃ずと学び動かなければならない。 (参考⽂献症候群)

13.

「⼩さな型」は「標準」ではない とはいえ、組織の必要⼗分な「標準」という扱いにしない、 ⽬指さない。 最初期の段階から「標準」を⽬指す=作りすぎとなりやすい。 作りすぎると、 ・重すぎて相⼿に受け⼊れられない ・組織にフィットしているのか分からないまま想像で作る 部分が多く、結果のちのち本質ではないことに制約される

15.

WHY HOW WHAT

16.

何のためのアジャイルなのか? Photo on VisualHunt

17.

アジャイル開発9つの意義 フィードバックに基づく開発で、⽬的に適したシステムに近づけていく 形にすることで、関係者の認識を早期に揃えられる システム、プロセス、チームに関する問題に早く気付ける チームの学習効果が⾼い 早く開発を始められる システムの機能同⼠の結合リスクを早期に解消できる 利⽤開始までの期間を短くできる 開発のリズムが整えられる 協働を育み、チームの機能性を⾼める

18.

アジャイルに取り組む4つの前提 常にカイゼンを指向すること 対話コミュニケーションの重視 情報システムの変更容易性を確保し続ける 利⽤者⽬線で開発を進める

19.

アジャイルの向き、不向き アジャイルの向いている領域 開発対象についてある程度の⽅向性はあるものの、全容が明らかになっておらず、 開発を進めながら詳細化していく必要があるケース。 あらかじめ詳細を決めることができない、あるいは決めにくい領域 アジャイルの向いていない領域 あらかじめ対象範囲や実現するべき詳細が定められており、明らかになっている ケース。業務内容が明らかになっており、作って確認するという余地が少ない領 域。 慎重な判断が必要な領域 ⼤規模な情報システム、業務内容等が極めて複雑、あるいはミッションクリティカ ルなケース。 このような場合は、どこまでをあらかじめ詳細化するか、どの部分を アジャイルに開発するか、また、どのように品質を確保し、継続的に⾼めていくか といった判断が必要。

20.

アジャイルとは、度合い Photo on VisualHunt

21.

アジャイルの度合い そもそも、アジャイル or ウォーターフォールといったゼロイチの考え⽅では現実 にフィットしない。どの程度アジャイルにするか、どの程度固くするか、その度合 を階調(グラデーション)として捉える。 ①実際に取り組む仕事の制約の強さ ②取り組むテーマの複雑さ ③チームの練度 から確実性と不確実性の折込度合いを決める

22.

調達時に留意すべきこと 経験者の参画 何が間違いが、何が間違いではないのか、未経験では判断がつかない。 致命的な間違いを予⾒、対処するための「経験者の参画」。 伝統的⼤組織では「(⼤)失敗から学ぶ」アプローチでは、失敗を活かす「次」が 永遠に訪れない可能性もある 発注者の姿勢 アジャイルは「協働」の価値観がなければ、成り⽴たない仕事のスタイル。 「後は任せたよろしく」ではうまくいかない。”⼗分な時間と、より良いプロダクト のための不断の努⼒ができる環境を準備すること” 開発範囲に MVP(Minimum Viable Product)の範囲を⽤意する 契約⽅式を検討する

23.

MVP(Minimum Viable Product)をスコープに適⽤する 変更を可能とするためには? Mustで実現するべき範囲(=MVP)と、 Nice to haveとみなす範囲(=あれば尚良し)を切り分ける N⽉ N+1⽉ MVPを 確実にやりきる プラン スコープ固定 N+2⽉ N+4 N+5⽉ ・基本MVP以降の開発を⾏う ・MVPが延伸した場合も吸収 ・MVP開発で新たに判明した MVP範囲は対応する スケジュール、コストは xとして マネージする fi N+3⽉ ことに対処する スコープ変動

24.

⼩さな型はあくまで「⾜場的理解」 その先に⾏くには?

25.

正しい「理解」と「実践」を ⽀援する仕組み Photo on VisualHunt

26.

わずか19P これだけで実践に 臨むには困難 https://scrumguides.org/docs/scrumguide/v2020/2020-Scrum-Guide-Japanese.pdf

27.

Start with Why ⾏為から学ぶ 価値観 価値観 原則 原則 ⾏動 ⾏動 何のために(価値観)、どうやって(原則)、 やるか(⾏動) 型から⼊って、実際にやってみる やってみる(⾏動)過程と結果から、 だから、価値観をあわせるのが⼤事! …⼤事だけど、容易ではない。 何が⼤事なのかを学び直す(原則) その学びをより良くするためには?(価値観)

28.

「⼩さな型」から始めて「経験学習」 ふりかえり むきなおり ものわかり ⼩さな型

29.

コルブの経験学習 具体的経験 能動的実験 内省的観察 抽象的概念化 ものわかり 概念発⾒の習慣化 ふりかえりで 行為を棚下ろす 水平の工夫では なく背景・因果の 探索 再利用可能な ように名前付け ・パターン化

30.

「伴⾛」の存在によって「学び直し」を逃さない ふりかえり むきなおり ものわかり ⼩さな型 伴⾛の必要な ところ

31.

…理想は伴⾛者をつける、 だが、そういかない場合は?

32.

“周辺"で場をつくる Photo credit: othree on Visualhunt.com

33.

組織に”ギア”につくる Photo credit: Thomas Claveirole on VisualHunt.com

34.

本当に⼩さな接点から始める (最⼩2⼈)

35.

⼩さな接点から近い円をつくる (最初の1⼈⽬の隣の⼈たち)

36.

“実体の場” “駆動の場” “実体の場”と”駆動の場” を噛み合わせる (「アジャイルのギア」)

37.

まとめ Photo credit: Onasill ~ Bill - 72.7M on Visual Hunt / CC BY-NC-SA Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.

38.

「⼩さな型」から始めて「経験学習」 ふりかえり むきなおり ものわかり ⼩さな型

39.

アジャイルによって アジャイルになる Be agile by Agile Photo on VisualHunt

40.

組織に”アジャイルのギア”につくる Photo credit: Thomas Claveirole on VisualHunt.com

41.

なぜ、伝統的な組織で 「アジャイル」を⾔うのか

42.

DBS is “World's Best Digital Bank” (2018) (従業員) ⾃分たち⾃⾝を 芯までDigital 2万2000⼈を カスタマージャーニーに スタートアップに にする 組み⼊れる 変⾰する https://www.dbs.com/jp/default.page https://www.slideshare.net/BenTurner20/executingthedigitalstrategy

43.

⽇本を芯から アジャイルにする

44.

Ekkyo journey Continues! Photo on Visual hunt